Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第七 変身

 

 

 

大広間での夕食が終わった。

一年生は、それぞれの寮の監督生に引率され、寮へと向かった。

スリザリンの寮の談話室は、ホグワーツの地下牢にあった。

 

 

「『純血よ、永遠なれ』」

 

 

一年生を誘導していた監督生が、寝ている老人魔法使いの絵画の前でそう言った。

すると、絵画の魔法使いがゆっくりと目を開け、こちらをジロッと見た。

 

 

「何だ、一年生か? 折角寝ていたのに...」

「『純血よ、永遠なれ』」

「はいはい...」

 

 

寮に入るには、絵画に「合い言葉」を言わなければならない。

一ヶ月に一回ほどペースで変わる。

 

さて、この地下牢で、一年生の気分はだだ下がりだった。

まるで、罪人になったような気がした。

だがその気持ちも、談話室にはいった事で打ち消された。

 

石造りの広い部屋、天井はガラスで緑色の水が見えた。

そこからは、銀色の装飾のある丸いランプが鎖で吊り下げられていた。

暖炉には、蛇の彫刻が施されている。

其の周りには、同じく彫刻の施されたイスやテーブルがある。

何とも美しい場所だった。

 

スリザリンの寮監は、「変身術」の教授で副校長のメビウス・クロート。

組み分けの時に、羊皮紙に書かれた名前を読み上げたあの若い男だ。

 

寮につくと、まず寝室とルームメイトが発表された、

だが、リンネの名前は呼ばれる事はなかった。

 

各自解散となり、生徒達が散らばっても尚、先生は何も言わなかった。

 

 

「あの、クロート教授...私の名前が呼ばれなかったのですが...」

 

 

リンネはクロート教授に尋ねた。

すると彼は、優しい笑顔で答えた。

 

 

「実はですね、君はこっち側の都合で一人部屋にしているんです。周りの生徒から色々言われても困るので、自己申告を待っていたんですよ。部屋は、十三号室です」

「分かりました。...教授、クロート教授は『変身術』を教えていらっしゃいますよね? もしかして...動物を人間にする魔法をご存知でしょうか...?」

「...何故?」

 

 

彼は不思議そうな顔をした。

一部の女子生徒が、教授の顔をウットリと見つめているの事はいざ知らず...

リンネは今にも泣きそうな顔をした。

 

 

「...っ」

「あ、あわわわ...す、すみません! む、無神経でしたね...だからお願い泣かないで...」

 

 

クロート教授は、ロングボトム教授並みの慌て具合でリンネを宥めた。

 

 

「だ、大丈夫...です...」

「ち、ちなみに、それは私の作った魔法です。口外禁止ですよ〜? 中々悪用される可能性がありますからね。さて...それはペットですか?」

「はい...」

「では、変身させたペットと一緒に行動する事を許可します。というか、校長に申請して、生徒として扱うようにしてもらいますね。変身が成功したら、私の部屋に来てください」

 

 

この優し過ぎる対応に疑問を感じながらも、リンネはお礼を言った。

教授は微笑み、羊皮紙の切れ端に何かを書いて、リンネに渡した。

そして、校長の所に行って来る、と告げて談話室から出て行ーーこうとしたが、何かを思い出したかのようにクルリと右回れ右をすると、戻って来た。

 

 

「そう言えば、一つ言い忘れていました」

 

 

彼は魅力的な笑みを見せると、リンネの耳元で囁いた。

 

 

「あまり、目立たない方が良いですよ。君は見張られているんですから」

 

**

 

彼の言葉が気がかりだった。

リンネは、自分の部屋に行ってナルを取り出すと、言葉の意味を考えていた。

ナルは床をそわそわとした様子で這い回り、リンネは五つあるうちの天蓋付きベッドの一つに寝転がった。

 

 

『ねーご主人様ってば、早く私を人間にしてくださいよ〜。ねーってば〜』

 

 

半分棒読みのナルの声は、リンネの耳には入らない。

 

 

”君は見張られているんですから”

 

 

教授の声が、頭で木霊した。

”見張られている”

つまり、今年度から闇祓いやら吸魂鬼やらがいるのは自分を見張るためなのか...?という考えが、ふとリンネの頭を過った。

 

 

『ご主人様! ご〜しゅ〜じ〜ん〜さ〜ま〜! 返事しないとガブッといっちゃいますよ! 言ってなかったけど、私は毒蛇なんですよ〜!!』

『そう』

『あ〜もう! ちょっと呪文を唱えるだけなんですよ! ね!』

 

 

ナルがしきりに腕に絡まって来るので、リンネは顔をしかめて杖を取り出した。

 

 

『何ですか? 変身させてくれるんですか? それとも私を消すとかそういう?』

『...どちらでも良いが』

『変身させてください!!』

 

 

緑色の蛇は、スルスルと床へと降りた。

リンネはクロート教授に貰った羊皮紙を取り出した。「マンチェンジ、人となれ」と書かれている。

 

 

『ジッとしていろ。やるぞ...「マンチェンジ! 人となれ!」』

 

 

リンネはナルに向けて杖を構え、呪文を唱えた。

すると、急になるからもの凄い光が溢れ出し、周りが全て真っ白で見えなくなった。

しばらくすると、光は失せた。

だが、突然現れた猛烈な光の所為で、リンネは目が見えなくなっていた。

 

 

「うわぁ、凄いですね...人間の体、何だか懐かしい...」

 

 

ナルの声が聞こえる。

だが、その言葉は『パーセルタング』ではない。

 

 

「な、ナル?」

「はい、ご主人様。私...どうですか?」

「どうと言われても...さっきから何も見えないのだが」

 

 

しばらくすると、リンネの視力が徐々に復活してきた。

だんだん、ナルの姿が見えて来る。

 

 

「お前...ナルなのか?」

「はい、ご主人様」

 

 

リンネの目の前には、緑色の瞳を持った黒髪の美青年が立っていた。

彼は跪くと、リンネの右手の甲に接吻をした。

 

 

「麗しき我が君、今宵から私は、永遠に人間として貴女様にお仕えいたします」

「良いだろうナル。だがその前に...手軽な服でも着ろ」

 

**

 

スリザリン寮の近くに、クロート教授の部屋はあった。

談話室と同じように、緑色に染まっていた。

リンネは用件だけ述べ、ナル用の学校の制服を貰った。

 

 

「良いですか? 一応制服を着用させてください。実質的に生徒ではありませんが、とりあえず許可はおりました。校長に感謝ですね」

 

 

ナルに制服を渡し、リンネは眠りについた。

 

翌日、リンネが目を覚ますと、隣には学校の制服のローブを着たナルが横たわっていた。

 

 

「...何故お前が此処にいる」

「え? 私が人間になったら、ご主人様は一緒に寝てくれないんですか? ダメなんですか? 差別ですか?」

「別にダメとは言っていない。ただ、今のお前は人間(・・)である事を忘れるな。せめて了承を取れ。一緒に寝ても良いから」

 

 

リンネがそう言うと、ナルは顔をしかめた。

 

 

「嫌なんですか? 了承取れって事は、やっぱり嫌なんですか?!」

「別にか・ま・わ・な・い、と言っているだろう。ったくお前は、こんな事でネチネチと...」

「あぁ! 嫌わないでください!」

「そんな事で嫌わん。着替えるから、少し待て」

 

 

彼女はベッドから出てため息をつくと、制服に着替えて教科書などの入ったカバンを手に取った。

 

 

「ねぇご主人様、私が着いて行ったら、お友達を作りづらいんじゃないですか?」

「だから、私は友達など作らない」

「...そうですね! ご主人様は私だけのモノですからね!」

「私はそんな事は言っていない。私は誰のモノでもないが、ナル、お前は私のモノだ」

「そ、それは...! ご主人様から私への愛のこくはーー」

「お前はペットだ」

 

 

リンネは「行くぞ」とつぶやくと、寝室から出て行った。

 

 

「あぁ! ご主人様! ちょっと、先に行かないでくださいよ!!」

 

**

 

談話室に行くと、大勢のスリザリン生の視線が一気にリンネに集まった。

いや、ナルに集まったいうべきか(特に女子連中の)。

 

 

「ご主人様、視線が痛いです」

「気にするな。行くぞ」

 

 

リンネが談話室から出ようとすると、誰かが彼女の前に立ちはばかった。

 

 

「おやぁ、君でしたか。うんうん、魔法は成功したようですね」

 

 

リンネを外に出そうとしないクロート教授は、ナルを興味深そうに見つめていた。

 

 

「はい、上手くいきました」

「素晴らしい。スリザリンに10点」

 

 

すると教授は、こちらをジロジロ見て来るスリザリン生に向かってこう言った。

 

 

「そろそろ、大広間に行ったらどうかな?」

 

 

寮監(絶対権力者笑)にそう言われたら、従わないわけにはいかないだろう。

スリザリン生達は、談話室を出てゾロゾロと大広間へと向かった。他の寮生から変な目で見られたのは、言うまでもない。

リンネも出ようとしたが、クロート教授に中に押し入れられた。

 

 

「ダーメです、ちょっと私の話を聞いてくださいな。話したい事があるのです」

「話したい事?」

 

 

クロート教授は、リンネをイスに誘った。

リンネが座ると、ナルはその膝の上に腰を降ろして来た。

問答無用で突き飛ばしたリンネに好感を感じながらも、教授は話しだした。

 

 

「まず、君には本当に感激です。『マンチェンジ』という変身術は、私自身が作ったものなのですが、到底手に負えなくて...大量の魔法力と体力を消費される馬鹿みたいにヤバい魔法ですよ。まぁ、サラザール・スリザリンの末裔ですからね。しかも、今の時代では珍しい『純血』だ。何の混じり気のない純粋な魔法族の血...あの方(・・・)とは格が違う...」

 

 

クロート教授は邪悪に微笑んだ。

その笑みに、今まで見せて来た優しさはひとかけらも見当たらない。

 

 

「君...いえ、貴女様こそが真の『闇の帝王』なのです。さぁ、私と一緒に昔の同胞を集め、魔法界をもう一度支配下におきましょう!」

 

 

顔を赤らめて迫ってくる教授を見て、リンネは鼻で笑った。

 

 

「何を言うんですか? 支配? 真の『闇の帝王』? 冗談は止めてください。私はあくまでも、勉強をしに来ているのですから。...それと、人にモノを頼む時は、”お辞儀しろ”...」

「え...?」

「では、失礼します」

 

 

リンネは教授を押しのけて、談話室を出た。

ナルも、其の後に続いて行った。

 

 

「ご主人様、あの方の申し出を断られるおつもりですか?」

「あぁ、私に仲間など必要ない。必要なモノは、忠実なる下僕だ。それに、あいつが『正義のお味方』側のスパイだとも限らんからな」




ナル可愛い ああナル可愛い ナル可愛い リンネも可愛い 二人お似合い〜

という短歌が、さっき頭を過りました。
でも、本当に二人共可愛い。
さて、今回は蛇→人間のお話でしたね。ついでに、クロート教授の裏が見え隠れしたような...?

さぁてお待ちかね、モチのロン。人物紹介だよん!

【ナル(人間)】
緑目、黒髪、高身長のイケメン。
リンネを溺愛している。
リンネに「人として」仕える事が出来るので、もの凄く喜んでいる。


【メビウス・クロート】
変身術の教授でホグワーツの副校長。
母親と父親が「死喰い人」で、そういった教育を受けてきた。


ホグワーツ、イケメンが多い。
さて、今回はオリジナルの魔法が出て来ました。それも紹介。


【マンチェンジ、人となれ】
本作品オリジナル魔法。
動物を人間に変身させる魔法。
杖で指揮をするかのように、しなやかに下げるのがポイント。
かけた人物の意図で、それを動物に戻す事が出来る。


ローリングさんが描写していない「呪文」もあるので、これから色々と大変になってくるな...。
じゃあグッナイ!
ナルはきっと、リンネちゃんを抱き枕にしてるから良い夢が見られるはずさ!
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