Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第八 吸魂鬼

 

 

 

 

 

ホグワーツの新一年生にとって、初日はそれなりに大変だった。

問題点が多数ある。

 

一つは、教室の場所だ。

地図も何もないわめ、そこら中にかかっている「動く絵」の住人達に尋ねなければならない。

 

次に、階段だ。

階段だけでも142はあるらしく、それぞれが気まぐれに動く。なので、目的地が分かっていても行けない事が多々ある。

 

リンネの抱える問題は、上の二つだけだ。

しかし、他の生徒はまだまだ悩みがある。

それは「ピーブス」だ。

 

彼は、ホグワーツを毎日ヒョコヒョコと飛び回る、意地の悪い”ポルターガイスト”の小男だ。

誰彼構わず、生徒でも教授でも校長でも悪戯を吹っかけ、他人の喧嘩やもめ事が大好物なホグワーツの迷惑者だ。

 

もう一つは「フィルチ」。

ピーブスとは似て異なる存在だ。

彼は、痩せて白髪のホグワーツの管理人だ。

実は彼は、魔法族に生まれながらも魔法の仕えない「スクイブ」である。なので、生徒を酷く嫌悪しており、彼の前で「スクイブ」という単語は禁句となっている。

生徒の校則違反を見つける事に障害と尊厳をかける、根性悪な奴だ。

愛猫の「ミセス・ノリス」と共に、日々ホグワーツの生徒達をしばき続ける。

 

ただ、何方もリンネには近寄って来ないし、リンネは罰則とは無縁の存在なので、正直どうでも良い。

 

授業は、とても楽しいモノだ。

「呪文学」のフリッとウィック教授は、くしゃくしゃな茶髪の背の低い魔法使いだった。

そして、不規則に積み上げられた本の上に立って、授業を行った。

 

 

「実は私の父は、フィリナス・フリットウィックと言って、あのハリー・ポッターに呪文をたっくさんの教えたのですぞ!」

 

 

ちなみにこの自慢は、毎年の恒例らしい。

どうやら、教授達の中でもリンネをサラザール・スリザリンの末裔だという事を知らない人間もいるようだった。

 

 

「こんにちはリンネ、久しぶり...なのかな」

 

 

「薬草学」の授業では、ロングボトム教授と再会した。

彼は笑顔でリンネに挨拶をしてきた。リンネも勿論、笑顔で挨拶を返した。

リンネが、ヴォルデモートの血縁者などという事は露知らずに。

 

 

「ご主人様が、ご自身がスリザリンの末裔だと公表すれば良いのでは?」

「ナル、クロートが言っていただろう。私は見張られている。大胆な行動は、私的にも今やるべきではない」

 

 

特に印象に残った授業と言えば、「魔法薬学」だった。

否、印象に残ったのは教授の方だった。

 

 

「俺様は! 『魔法薬学』教授のサド・ユージュだ! 貴様等の魔力も知恵も、この俺様には及ばない。俺様に敬意を示して、”ユージュ様”と呼べ! 良いな?!」

 

 

何と言うか、典型的なドS俺様な人だった。

彼の手には、叩かれたら痛そうな綺麗なムチが握られていた。

 

 

『はい...」

 

 

とりあえず、「コイツはヤバい...!!」と悟ったスリザリン生。

地下牢にあるこの教室は、冷気に包まれていた。

何か、この先生の方がスリザリンの寮監に合っているよね? 雰囲気的に、と皆がそう思っている。

しかし、何故かハッフルパフの寮監だ。

 

 

「そして、さっきからこの俺様を反抗的な目で見つめているお前!」

 

 

ユージュ教授はクルリと振り返り、リンネをビシッと指差した。

驚いた。勿論、反抗的な目なんて向けていない。

 

パンっ、という音が教室に響いた。

リンネの足元の固い石の床には、少し凹みが出来ていた。ムチだ。

 

 

「良いか? 俺様は、話を聞かなかった奴や校則を破った奴や俺様が気に入らなかった奴は。男女も年齢も関係なく、声が失せるまでムチで痛めつけるつもりだが...貴様は何だ。俺様の髪に何かついているのか?」

「いえ...」

 

 

リンネは、可愛らしさMAXの笑顔で先生を見た。

スリザリン生は、リンネの笑顔に魅了され、息を飲んだ。

 

 

「とても素敵だな、と思っていただけです」

「なっ!」

「ほぅ...」

 

 

ナルは驚きの目でリンネを凝視し、ユージュ教授は興味深そうな目でリンネを見ていた。

 

 

「私も、ユージュ様のようなムチが欲しい所ですね」

「フッ、面白い。それで、お前はムチで何を叩く?」

 

 

教授はニヤリと笑うと、リンネにムチを投げ渡した。

リンネはムチを持つと、ナルをジッと見つめた。

 

 

「え、何ーー私ですか?! まぁ、ご主人様に痛めつけられるなら本望ですから構いませんがね...って痛い! ちょ、ちょっと、急に叩かないでって痛っ! 痛い痛い痛い! あ、ちょっと止めてーー」

 

 

しばらく叩いた後、リンネが

 

 

「スッキリしました。楽しかったです。ありがとうございました」

 

 

と笑顔を見せてムチを教授に返すと、彼は満足した様子を見せていた。

しまいには、

 

 

「お前とは親友になれるかもしれない。そうだ、そのムチは新しいんだが、俺には少し合わなかったからな。お前にやるよ」

 

 

と口調を変えて、頬を赤く染めながらムチをくれた。

これを常時携帯するようになったのは、言うまでもない。

 

 

「ご主人様、チョー痛かったです。ムチ」

「お前、本望だと言っていただろう」

 

**

 

すぐに一週間の月日が経ってしまった。

何時の間にか、この学校にも馴染んできて、一週間はあっという間ーー風のように過ぎ去っていった。

 

リンネとナルは、黒い湖の周りを散歩していた。

上空には、黒いボロボロの布のような吸魂鬼が数体飛んでいた。

二人の少し遠い所では、スリザリンの寮生が男女合わせて五人いた。其の中には、オールとナインの姿も見えた。

 

 

「ねぇご主人様、私のご主人様」

 

 

五人衆には目もくれず、ただ忽然と湖を眺めていたリンネに向かって、ナルが言った。

さっきから、湖に波紋が広がったり、五人衆の騒ぎ声が聞こえるだけだ。

 

 

「何だ? ナル、ペット」

「アレ見てくださいよ...」

 

 

ナルは、スリザリン五人衆を指差した。

何と、吸魂鬼に向かって石を投げつけている。

オールとナインは、後ろから顔をしかめながらも三人を見ている形だった。

 

 

「本当の馬鹿とは、正に彼奴等の事だな。吸魂鬼の危険さは、私でも承知の上だぞ」

「ですねぇ、しかし、止めに行った方が良いのでは? でないと、ご主人様にも影響が...とばっちりを受ける可能性は無限大ですよ?」

 

 

ナルが言い終わる暇もなく、吸魂鬼が三体激怒して、五人衆にスルスルと滑るように近寄って行った。

すると、周りの空気が一気に冷たくなった。

湖が薄く凍る。

 

そして、五人の心の中から幸福感というモノが一気に消え失せた。

その代わり、二度と幸福になんてなれないようなーーそんな気分になった。

 

五人衆のリーダーらしき少年に、吸魂鬼の一体が迫った。

そして、吸魂鬼が彼の顎を噛み、今にも魂を吸い出そうとした其の時、

 

 

「止めろ、『吸魂鬼』」

 

 

リンネの声が、何倍にも拡大されて湖に響いた。

勿論それには、吸魂鬼にも届いた。

三体の吸魂鬼は、スーッと滑ってリンネに近づいて来た。

だが、リンネの真っ赤な目を感じ取った吸魂鬼は怯んだ。

 

 

『まさか...そんな、はずは!』

 

 

低い、唸るような声が聞こえた。

吸魂鬼だ、彼等の声だ。

 

 

「私は、サラザール・スリザリンの末裔であり、先代の『闇の帝王』の血縁者。リンネ・ゴーントだ」

『末裔?! 血縁者?!』

「彼奴等には、私から行っておく」

『我が君、何かあれば、我々をすぐに御呼びください。何時でもお手伝いいたします』

 

 

吸魂鬼はお辞儀をすると、空へと消えていった。

何が起こったのか理解出来ていない五人衆と、ヤバいほど闇の帝王の記憶があり、リンネにまで従う吸魂鬼に驚いているナル。

 

 

「さて、あの馬鹿共の処理はどうしたモノか。クロートにでも言うか?」

「それが良いです」

「いや...彼奴とはしばらく二人きりになりたくないし、吸魂鬼にペラペラ話されると迷惑だ」

「私は、人として扱われないんですね」

 

 

ナルとそんな事を話していると、五人衆がリンネに向かって走ってきた。

 

 

「リンネ様ぁ〜!! ハァ、ハァ、ハァ、ハァ...」

 

 

いち早く辿り着いたのは、激しく息を切らしたオールだった。

しばらくすると、他の四人も駆けつけて来た。

 

 

「貴女は、本当に凄いお方だ」

 

 

ナインはそう言うと、頭を下げて跪いた。

後の四人も、続いて頭を垂れた。

 

 

「ご、ご主人様...何か怖いです」

「なら、お前だけ先に寮に戻っていても構わんぞ」

 

 

リンネは五人を見下ろした。

別に、双方悪い気がしなかった。

マグル生まれもいるなら、尚更だ。

踏みつけにしてやっても良いだろう。

 

 

「わ、私は感激いたしました。自業自得で襲われた我々を、貴女様は助けられた...」

「吸魂鬼を飼いならすだなんて!」

「我々は、貴女にお伝えしたく存じます」

 

 

五人が前に跪いている事で、ナルはフラフラしてきた。

吸魂鬼も生徒も跪けた愛しいご主人様は、もの凄く輝いて見えた。

 

 

「...顔を上げろ」

 

 

五人は、同時に顔を上げた。

リンネは、それぞれの目を真っ直ぐと見据えた。

その瞬間、何かが自分の中に入って来たような感覚がしたのは、ナインだけだろうか。

 

 

「...良いだろう。今のお前等に、偽りの言葉がないのは分かった。私に仕えるつもりならば、教授方の目の届かない所では、私の事をこう呼べ...『ヴォルデモート卿』と」




ホグワーツでは、ピーブスもフィルチも吸魂鬼もリンネの敵ではありません。
ちなみにピーブスは盗み聞きで。フィルチは校長から聞いて、リンネが末裔だと知っています。

ユージュ教授も、リンネがお気に入りとなりました。ムチは、時を見計らって使わせよう。
授業風景は、私の体力が保てば書こうかな。

ちなみに吸魂鬼は、本作ではリンネに普通にペラペラお喋りしてくる、友好的な存在とします。

此処で人物紹介。

【フェリウス・フリットウィック】
呪文学の教授。
父親は、原作で呪文学を教えていたフィリウス・フリットウィック。
彼はその息子。
ゴブリンの血が混ざっている。

【サド・ユージュ】
魔法薬学の教授。
読んで字の如く、ドS。
ムチを愛用していて、生徒にも老人にも犬にも使う。
ムチでは、固いコンクリートが凹むほど強い力を持つ。
何故か、ハッフルパフ出身。

【五人衆】
多分、オールとナイン以外は名前の出て来ない。

【吸魂鬼】
本作品で大活躍する予定(色んな意味で)
全身がマントに覆われていて、普段はフードを被っているので顔は見えない。
唯一フードを取る時は、「吸魂鬼の接吻」という死刑よりももっと惨い事を行う時だ。


最後のは人物じゃないけど...まぁ良いか。
ま、新登場人物が多いわー。

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