モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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『週刊ポケモン生活 アローラ特集号』 1-ククイ博士の生まれ故郷

 アロ~ラ~。

 他地方の挨拶を真似るのは僕の友人の専売特許だが、やってみるとこれが意外と気持ちいい。

 数年前にアローラ地方出身の携帯獣学者であるククイ氏が、ポケモンリーグ新設承認のためのテストとしてカントー地方のジムリーダーやリーグトレーナーと戦ったことは、センセーショナルなニュースとして記憶している読者の方も多いだろう。

 僕達を含むカントー人の多くはアローラ地方を喧騒からかけ離れたのんびりとした観光地として認識していたから、ククイ氏の戦いぶりに驚いたという人もいるのではないだろうか。実は自分もその一人である。僕は結構色んな地方につながりがあって、世界各地のトレーナー事情には詳しい方だと思っていたのだが、アローラ地方はノーマークだった。基本的に、のんびりとしたバカンスとは無縁の人生だったのだ。

 そりゃ勿論世界各地どの地方にもポケモンはいるわけだから、ある程度それらを競わせる試みはあるだろう。アローラ地方にトレーナーが全く居ないと思っていたわけではないが、まさかあれほどのレベルとは思っていなかった次第である。

 これは少し感覚的な話になるのだが、たとえどれだけ優秀なトレーナーでも、他地方でのバトルになると、誰でもちょっとした違和感に襲われる。これに関しては経験豊富な僕がそう思うのだから間違いないと断言できる。

 その理由の大きな一つに、地方の文化や伝統の違いというものがあげられると僕は思っている。文化や、伝統。一人の人間が成長するにあたって、それらと隔離された生活をおくるのは殆ど不可能だ。そして、それらは必ずトレーナー同士の戦いにも影響を与えるだろう。戦いと言うものは、常に生活の中にあったはずだからだ。

 アローラ出身のククイ氏の戦いには、必ずアローラの文化や伝統というものがベースとして存在していたはずだ、彼にとって、アローラの文化や風土など欠片も感じさせないカントーの地と言うものは圧倒的なアウェーだったはずだ、カントーとジョウトの違いなどとは比べ物にならない。生活の根本である食から違うのだから。

 その圧倒的なアウェーの地で、彼はカントーが誇るトップトレーナー達と見事に渡り合ってみせた。確かに序盤数戦の試合には多少の硬さはあった、しかし、彼は試合の中でそれらを修正し、最終的にはトップの中のトップ、カントー地方が生み出した天才の一人であるワタルに見事に食らいついてみせた。僕は断言する、あれは見事な試合だった。

 最終的に負け越したククイ氏に、ポケモンリーグ本部がリーグ新設の承認をしたことについては賛否両論があったと記憶しているが、あんなものは戦いというものを知らない評論家達が旗持ちになってやいのやいの言っていただけだ。これは一貫した意見としてずっと言い続けているが、僕はククイ氏、及びアローラポケモン協会にリーグ新設の許可を出したことに関しては賛成も賛成大賛成だ。

 

 さて、僕はククイ氏のバトルを見て以来、機会があればアローラ地方に行きたい行きたいと思っていたが、なかなか機会に恵まれない状態だった。しかし、つい先日、ある機会に恵まれて、アローラの地を十分に堪能してきたところだ。

 丁度『週刊ポケモン生活』が四週に渡ってアローラ特集を組むとなったので、僕もアローラで感じたことを書いてみようと思う、最も、どの景色が良いとか、どの観光スポットが良いだとか、そういう非常に楽しくて役に立つ情報は本誌の巻頭にカラー写真付きでいくらでも確認できると思うので、寄り道程度に期待して欲しい。




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