さむいよ…わたし…ここでしんじゃうのかな…
だれかたすけて…おかあさん………
そこに居るのは誰だ?
…だれ…?
俺は---
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雪深いポッケ村。
今日も元気な女の子の声が響いている。
「すみませーん!ポポのお肉下さい!」
暖かい毛皮で作られたマフラーをした女の子が カゴとお金をお店の人に差し出している。
この女の子がこの物語の主人公、コウだ。
「はいよ、コウちゃん今日もお使いかい?偉いね」
「うん!私もう昨日で6歳になったんだもん、お使いだってへっちゃらだよ!」
「もうコウちゃんも6歳になったのかい、月日が経つのは早いねぇ」
商店のおばさんはコウから預かったカゴの中にポポの肉とこっそりりんごを入れ渡した。
「はい、ポポのお肉。ちょっと重たいから気を付けるんだよ」
「ありがとう!…あれ?おばさん私りんごは買ってないよ?」
コウは買った覚えのないりんごを見て不思議そうに首を傾げた。
「りんごは6歳になったコウちゃんへのおまけだよ。帰ってニャルちゃんに剥いてもらいなさい」
「わぁ!おばさんありがとう!」
コウはポポの肉とりんごの入ったカゴを大事そうに持つとおばさんに手を振り、家に向かって走り出した。
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「おかあさーん!ポポのお肉買ってきたよー!!」
「ありがとうコウ。こっちのテーブルまで持ってきて貰えるかしら?」
「分かったー!」
玄関でコウが叫ぶと奥の部屋からコウの母親から返事が返ってきた。
コウはポポの肉とりんごの入った少し重たいカゴを持ち直して奥の部屋へと向かった。
奥の部屋はキッチンとリビングが一緒になったような作りになっており、いつも食事をしているテーブルに母親と1匹のキッチンアイルーが座っている。
「コウちゃんお帰りなのニャ!」
「お母さん、ニャルちゃんただ今!さっきね、お店のおばさんからりんご貰ったの!」
「あら、そうなの?良かったわねコウ。ニャルちゃんお願いね」
ニャルちゃんとはこの家で一緒に暮らしている茶トラのキッチンアイルーだ。
母親はコウからカゴを受け取るとそのままニャルへとカゴを受け渡す。
「ねぇ、ニャルちゃんりんご剥いて!」
「ニャルちゃん、今日の夕飯はさっき話したようにお願いね?良かったらコウにりんごを剥いてあげてちょうだい」
「コウちゃん、ママさん了解なのニャ!……ニャーッ!?」
ニャルはビシッ!と敬礼をしてカゴを持ち自分の城とも言えるキッチンへと向かった。
…途中で転びそうになってたのは見なかった事にしてあげよう。
キッチンについたニャルは早速りんごを取り出すとスルスルと器用に剥いていく。
コウはニャルが料理をしている所を見るのが好きだ。いつもニャルがキッチンに立つとコウはキラキラした目で眺めている。
「出来たのニャ!」
「ニャルちゃん、ありがとう!」
瑞々しいりんごがお皿の上に盛り付けられている。ウルクススの耳の形をしたりんごも混じっていたりと中々に芸が細かい。
「うわぁ、可愛い!いただきます!」
コウは手を合わせて挨拶をするとりんごを食べ始めた。
甘くて美味しいりんごはあっという間に全部無くなってしまった。
「ごちそうさまでした!ねぇ、お母さん今から遊びに行ってもいい?」
「お父さんが帰ってくるまで時間もあるしいいわよ、ただしお母さんとのお約束ちゃんと言えるかな?」
母親は腰に手を当てて3本の指を立てた。
どうやら約束とは3つあるようだ。
「うん!嬉しい事をされたらお礼を言う。村の外には出ない。夕飯までには帰ってくる。でしょ?」
「はい、よく言えました。気を付けて行ってくるのよ」
「はーい!行ってきます!」
コウは元気に返事をすると外へと遊びに出掛けた。
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「うーん…今日は何して遊ぼうかな?…そうだ、あそこに行ってみよう!」
いつも他の子供達と遊んでいる広場に来たものの今日は誰も来ていないようで姿が見えない。
コウは暫く考えた後、何処かへと走っていった。
「えーと…確かこの辺に…あった!」
コウは村の中心部から少し歩いた所にある小さな湖へと来ていた。
この湖は村の近くにあるが雪山と繋がっており、危険なため余り人も来る事はない場所だ。
無論母親との約束ではこの場所も来てはいけないことになっている。
この湖の近くで偶然に雪山草を発見した時から、コウは誰も遊ぶ相手がいない時などこの場所に来ることが多くなった。
「雪山草ないかなぁ…」
辺りをキョロキョロと見回すが中々見付からない。
「…あ!雪山草!」
湖の周りを歩いていると少し離れた所に雪山草を発見した。
それも1本だけでなくポツポツと少しずつ離れた距離に生えている。
コウは発見した事が嬉しくなりつい雪山草を採るのに夢中になってしまった。
…村から外れどんどん雪山の方へと向かって行っている事に気付かずに。
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「いっぱい採れた!…あれ、ここ何処?」
今までに無いほど沢山の雪山草を採取して喜んだのも束の間。辺りを見回すと先程の湖のは影も形も見えず銀世界が広がっている。
足跡も後から後から降る雪に消され帰り道が分からなくなってしまっていた。
「…どうしよう…お父さんとお母さんに怒られる」
何となくこっちかな?と思った方向に歩いて行くが湖は見えて来ない。
「まだ見えないのかな…」
次第に辺りは暗くなってきて、とうとう完全に日が沈んでしまった。
ハラハラと降っていた雪も吹雪になっておりコウの体力を奪っていく。
「…ッ!」
そして遂にコウはその場に倒れ込んでしまった。
(さむいよ…わたし…ここでしんじゃうのかな…だれかたすけて…おかあさん………)
雪に体力を奪われ倒れたコウに容赦なく吹雪が降り注ぐ。段々と意識が薄れていったその時。
「そこに居るのは誰だ?」
低く唸るような鳴き声と人のような男の声が聞こえた。
「…だれ…?わたしは…コウ、だ…よ」
コウは最後の力を振り絞り返事をした。
「俺は---」
最早なにも聞こえない。
コウは完全に意識を失ってしまった。