☆
七月七日【七夕】です。
放課後の七百一中学校・三年三組には、部活の時間調整をしている生徒が数人残っている他は、ほとんどが下校しました。
「わたし」はと言いますと、昨日
空はどんよりと曇っていて、今にも雨が降り出しそうな天気です。
『これじゃあ、織姫と彦星も会えそうにないね』
今年は
普通に考えたら家出か駆け落ちコースでしょう、一年に一度だけ会わせてくれるからとか言われても絶対無理、しかも雨が降ったら天ノ川が増水して会えませんだよ、こんな条件で仕事に
などと
『はぁ…わたしも恋愛とかしたいな…』
えっ…と、な・なにを言ってるのでしょうねー「わたし」は、いままで自分以外の誰のことも好きになったこと無いのに、恋愛なんて出来るわけ無いのに…。
『なでこちゃんは本当にお兄ちゃんのことが好きなの? お兄ちゃんのことを好きだってことにしていれば、なでこちゃんは楽だからだよね、
いつだったか「ららちゃん」に言われた言葉ですね、「わたし」は「暦さん」を
永遠に叶わない恋をしたい?…
それが楽な道だから?…
分かりません、今の「わたし」としては如何してそんなふうに思ったのか見当もつかないです、ですが「わたし」の身勝手な感情が【クチナワさん】という怪異を生んだことは、言い逃れの出来ない事実なのです。
『あ・そっか、このシュシュが【クチナワさん】だったんだ』
手首にできた傷を隠すために巻いた白いシュシュですが、以前の「わたし」が怪異として扱っていた物でした。
『それで話し掛けられるような気がしたんだね』
とは言っても、全部「わたし」の頭の中で起こっていた妄想なのですが、お札を
【おいおい・そりゃーねーんじゃねーかー・なー・なでこちゃんよー】
『………』
【おーい・無視かー・なー聞こえてるんだろう・なーでーこーちゃん】
『
【だーかーら・そりゃねーだろーが・俺はなでこちゃんが造り出した人格なんだぜー・いや・蛇に人格ってゆーのも変だから蛇格かー・シャッシャッシャー】
『
【そーじゃねーかとは思ってたんだけどよー・やっぱり勘違いしてやがったなー・シャーねーから教えてやるぜ・なでこちゃん】
幻聴は右手首に巻かれた白いシュシュから聞こえます、たぶん耳を