以前の「わたし」を客観的に抽象すれば、非常に内気で人見知りが激しく、無口で人と目を合わせるのが苦手な女の子でしょうか。
外見的特徴としては、目立たない地味な服装に、顔が隠れるつばの大きな深い帽子を被り、その上前髪は目を隠す長さで切り揃えていましたね。
まーこれでは以前の「わたし」の顔を覚えている人はそうそう居ないでしょう。
因みに登校拒否をしていた当時のヘアースタイルは蛇髪だったようです、目が合うと石になっちゃうとかのアレですかねー、今は触れないでおきましょう。
そして現在の「わたし」はと言いますと「ららちゃん」の着せ替え人形です。
『わーららちゃん、ちゃんとするから、だからお腹だけはやめてーー』
…ごめんなさいトラウマが…。
今の「わたし」はと言いますと「ららちゃん」の気に入ったファッションの色違いを着ることが多いです、ヘアースタイルも基本的に「ららちゃん」がロングに対して「わたし」はショートボブです。
話が逸れてしまいますが「ららちゃん」がお姉さんの「阿良々木火憐さん」と活動していた【ファイヤーシスターズ】は「かれんさん」の中学卒業を持って解散いたしました、永らく町の平和の為に貢献? して頂きありがとうございました。
しかしそれで「ららちゃん」の正義魂が費えることはありませんでした、正義活動の人選は武闘派の「かれんさん」が抜けたことで当然腕力に自信のある人を選任すると思っていましたが、「ららちゃん」いわく、
『今までのファイヤーシスターズだと悪を断罪するしかなかったんだよねー、でもさー悪ってそもそもなんなんだろうって最近思うんだよ、単純に力の弱い子が力の強い子に暴力で負けたらさー、やっぱり力の強い子が悪くて懲らしめなきゃって思うじゃん、でもさーそれってそもそも強弱が有るからの話で善悪とは関係ないんだよ、なんでもかんでも弱い者が護られるっていうのはおかしくない? いーっつも護られてただけのなでこちゃんには、その辺のこと分かるよねー』
だそうです、ひどく頭にきました…、でも何も言い返せなかったです、事実でしたし。
『そうだー、なでこちゃんが遣ればいいんだよ、そうしよう、うん、それが一番いい』
「ららちゃん」は「わたし」の恨めしい視線などには一切気付くことなく、「わたし」の両手を握って言いました、「わたし」が「ららちゃん」の意図が分からず首を傾げていると、
『よし、キャッチコピーは【堕天使と小悪魔☆ツインズ】にしよう』
と、何の説明もないままショッピングモールへ連行されたのです、こうして【栂の木二中のファイヤーシスターズ】は【堕天使と小悪魔☆ツインズ】として正義活動を再スタートしました、めでたしめでたし。
「わたし」が一学期を無事に過ごしている話に戻しますと、やっぱり「ららちゃん」との関係なんでしょうね。
中学生の間で絶大な勢力を誇っていた【ファイヤーシスターズ】の参謀である「ららちゃん」と「わたし」が明暗のツインズファッションで歩く姿が七百一中の生徒にも多数目撃され、結果として「わたし」が一年前に起こした暴挙は、何らかの正義活動の一環であったのだろうという解釈が勝手に広まりました、心苦しい限りです。
そして新たに結成した【堕天使と小悪魔☆ツインズ】でになう「わたし」の担当は、もっぱら謝罪です。
そもそもネーミングからしておかしいのです、「ららちゃん」は正義を標榜としているのに、堕天使と小悪魔では行動そのものが逆になってしまいます、でもそこが「ららちゃん」の凄いところで、
『なでこちゃん、これから私たちが倒すべき悪っていうのはさー、私はなーんにも悪いことなんてしていません、私はただ大多数の意見に従っているだけです、皆がいじめているから私も仲間外れにされない為にいじめました、的なー! はあー、じゃーお前は皆が自分の親を犯罪者だって言ったら、何の意見もなく鵜呑みにするのか? って聞きたくなるよねー、でもさー実際多いんだよ、何でも責任を他人任せにしちゃうクズ共ってさ、あーそうそう心配しないでね、これはなでこちゃんに言ってるんじゃないから』
酷いよ「ららちゃん」、いつも「わたし」を引き合いに出さなくてもいいじゃん。
『そこでね、なでこちゃん、私は堕天使で、なでこちゃんには小悪魔に成ってもらおうと思うんだよ』