なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -23-

朝のホームルームが終わり、いよいよ席替えです。

 

『視力の悪い生徒は前の方に、その他の生徒はとりあえず好きな場所に移ってくださいね、同じ席を選ぶ時は話し合いか、じゃんけんで決めるように、じゃーよーいドン!』

 

今だけは負けられません、「なでこ」は周囲のクラスメイトをかき分けて、一番後ろの窓際へと走りました。

 

『ゲット!』

 

やりました、目的の席をゲットした「なでこ」は周りを(なが)めます、クラスメイトの大半はまだ席を決めずに、うろうろとしていました。

 

『わたしはここにしよーっと』

 

「なでこ」の前の席を指さしたのは「ららちゃん」でした。

 

『あーあたしもここがいー、変わって・変わってー』

 

「ららちゃん」の指さした机を、抱きかかえる女子がいました。

 

『あなたの席は向こうよー』

 

『やだー月ちゃんが前に行ってよー、あたしはなでこちゃんの前がいーの』

 

『千ちゃんはー、わたしとたまちゃんのどっちが良いの?』

 

『えー…、なでこはららちゃんの方がいいかな…』

 

無茶ブリだよー、でも「ららちゃん」を怒らせるのは嫌だから、ごめんね相馬さん。

 

『あーずるーい・ずるいずるい、なんで月ちゃんのことあだ名で呼んでるのー、あたしのことはまだ、相馬さんなのにー』

 

そこに反応?

 

『これで分かったでしょー、あなたの席は向こうなのよー』

 

前の席を指しなが、「ららちゃん」は笑顔で言います。

 

『やだー、あたしだけのけ者みたいじゃん、せめてあたしのこともあだ名で呼んでくれなきゃ、ぜーったいに前に行かないからね』

 

これも話し合いの解決なのかな? でもこれ以上もめてると「なでこ」の席まで取られかねないよね。

 

『えっと、相馬さんはどんな呼ばれかたが良いの?』

 

『それはもう【たまひめ】だけどー、お人形みたいななでこちゃんに【ひめ】って呼ばれると、うーんなんだかなー、ぎゃくにキズつきそうな気がする、やっぱ月ちゃんといっしょで【たまちゃん】でいーや、ちょっとネコっぽいけど』

 

「なでこ」は人形みたいじゃないし、相馬さんが呼ばれたいなら「たまひめ」って呼ぶのにな。

 

『分かった、これからはたまちゃんって呼ぶから、もう席の取りあいはしないでね』

 

『うーー、なんかやっぱり月ちゃんに負けてる気がする、あたしもべつな呼ばれかたがいー、なでこちゃんなんかなーいー』

 

だから無茶ブリだってー。

 

『そんな・急には…』

 

『ふっふーん、だったらわたしが考えてあげるねー』

 

『おーどんなの・どんなの』

 

相馬さんは目を(かがや)かせているけど、

 

『まずはー、そうまのうまを取って【馬ちゃん】』

 

『無い・それはむーりー』

 

『じゃーねーこれは力作だよー、そうまのまと、たまみのまを取って【ママちゃん】』

 

相馬さんは机に()()しました。

 

『かわいくなーいー、て言うかお母さんになってるじゃん』

 

ぷっ…本当だ。

 

『はぁーもーいーよ【たまちゃん】のままで、それとーあたしも【千ちゃん】と【ららちゃん】って呼ぶね、その方が仲間っぽいしさ』

 

『えーどうしよっかなー』

 

「ららちゃん」それはちょっと意地悪だよ、

 

『もう決定だよ、ダメって言ってもムダだから』

 

たまちゃんには、問題にならないのか。

 

 

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