なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -24-

 

『たまちゃん…なんだよね』

 

『そうだよ、嘘つきの、千ちゃん』

 

こうして目の前にしても、いまだに信じられません、前髪で目を(おお)い隠した、ちょっと前までの「わたし」千石撫子に似た女子が、相馬珠美だなんて。

 

【おい・気を抜くなって言ったろーが・こいつの目は正気じゃねー】

 

そんな事言われても、前髪で目が見えないのに、

 

『んー、どうしたの、そんなに恐い顔をして』

 

「わたし」は初めて知りました、目の見えない相手と話すことが、こんなにも心地が悪いということを…、いままで「わたし」と話してくれた皆さん、本当にごめんなさい。

 

『この姿を見るのは、昨日が初めてだったの?』

 

「わたし」は「たまちゃん」から目を離さずに、小さく(うなず)きます。

 

薄情(はくじょう)ね、小学生の頃は、あんなに仲良くしてたのに』

 

「たまちゃん」が、今どんな気持ちで話しているのか、表情が動かないのでまったく分かりません。

 

『ごめんね、わたし去年ちょっといろいろあって…』

 

『あたしのことは、忘れていた?』

 

『………』

 

『どお、あたしのこの姿、似てるでしょう』

 

『…うん…』

 

『千ちゃんは知らなかったよね、あたしはずっと、千ちゃんの容姿に(あこが)れていたのよ』

 

「たまちゃん」の口が薄い笑みを浮かべます、「わたし」は悪寒(おかん)身震(みぶる)いしました。

 

『怖いの? 千ちゃん、以前のあなたって、こんな感じだったじゃない』

 

「たまちゃん」は「わたし」が(おび)えるのを楽しむように、笑顔が()しました。

 

【なに・呑み込まれてやがんだー・あーん・珠美が似せてんのはよー・見た目だけだろーがー】

 

うん、以前の「わたし」はあんなふうに笑わないし、こんなに話も出来なかったよ。

 

『ふーん、強くなったね千ちゃん、しっかりと見れるんだー、あたしのこと』

 

『たまちゃんは、どうして…目を隠したりしてるの』

 

『これはね、彼への懺悔(ざんげ)、かつてあたしの友達だった女の子が、無慚(むざん)に失恋させた、彼へのね』

 

『えっ……』

 

『さすがに、覚えていてくれたみたいだね、嘘つきの、千ちゃん』

 

覚えていたのではなくて、思い出しました。

 

ちょうど一年位前のことです、

「たまちゃん」とは中学校に入ってから同じクラスになったことがなく、時折すれ違う毎に少し話をする関係でした。

 

理由は「わたし」が学校に馴染(なじ)めず、誰にたいしても友好的に話す事を()けていたからです。

 

そんな「わたし」でしたが、「たまちゃん」は以前と変わらずに話しかけてくれていました。

 

ただ、一年前の「わたし」は、変わらない「たまちゃん」との付き合いも、わずらわしいものに感じていたのです。

 

そんな二年生一学期のこと。

 

 

『千ちゃん、一緒に帰ろー』

 

『あ…うん』

 

『今日は千ちゃんの家に行っても良いよね、ね、ね』

 

別段、断る理由もないので了承しました。

 

『よっし、じゃー久々にお菓子とジュースで、女子トークするぞ』

 

なんだか今日の「たまちゃん」は、何時にも増してテンション高いな。

 

「なでこ」の部屋に着くなり、「たまちゃん」は何のまえぶれもなく切り出します。

 

『千ちゃん、正直に答えて、今でもららちゃんのお兄さんのこと好きなの?』

 

『な・なにを言うとるのかねー』

 

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