なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -28-

『あのー』

 

「わたし」の背後で肩をがっしりと(つか)んでいる、「蝋燭沢先輩」へと振り返りました。

 

『俺のことは知ってるよな、正義の使者である阿良々木暦を崇拝(すうはい)する、蝋燭沢先輩だぜ!』

 

とても爽やかに自己紹介をしましたが、崇拝する「暦さん」を呼び捨てなのに、自らを先輩だと紹介しました。

 

『んー、俺が此処(ここ)に居る理由が知りたいんだな』

 

『ああ・いいえ、それについては何となく分かります』

 

昨日「ららちゃん」が電話していたのは、この事だったんだね。

 

『しかし、学校の廊下に竜巻が発生するとは驚いた、ツッキーの言うように、迎えに来て正解だったようだな』

 

「ららちゃん」は「ツッキー」って呼ばれてるんだ、意外と彼氏には寛容(かんよう)なんだね。

 

【おい・なでこちゃんよー・姿が見えないからってー・安心してんじゃーねーよ・まだこの学校の中に居るのは・まちがいねーんだからよー】

 

そうだね、ちょっと安心しちゃって…、何ででしょ う?

 

やっぱり「蝋燭沢先輩」は、どこか「暦さん」と似てるのかな?

 

見ためや話し方は全然違うけど、人を安心させるオーラが似てるのかな?

 

【だーかーらーよー・何を安心してんだー・この色ボケ蛇娘はー・あーん】

 

『色ボケとか言わないで』

 

『いや、俺はそんな事言ってないぞー』

 

『え・あ・いや、先輩じゃなくて、あれーわたしなに言ってんだろー、あはははは…』

 

『そう言えば、先輩はこんな堂々と学校の中に居ても大丈夫ですか?』

 

『あー、サッカー部の後輩たちを指導(しどう)してやるって言ったら、一発でOKだったぜ』

 

そうでした、この人は七百一中のスーパースターでした、弱小サッカー部を全国レベルに引き上げた立役者(たてやくしゃ)です。

 

『実際にリハビリを()ねて、夏休みはコーチしに来る予定だったから、少し早まったって感じかな』

 

そして、悲劇(ひげき)のスターでもありましたね。

 

『最近のサッカー部はどーだ、千石はそっちには興味ないから知らねーか』

 

『ごめんなさい、ほとんど何も…』

 

『だよな、俺はやっぱ翔琉のことが気になってな』

 

翔琉って言うと、やっぱり「賀茂君」のことですよね。

 

『ほら、あいつは俺の後のエースストライカーだろ、仕事はちゃんとこなしてっけど…、なんちゅーかさー、チームメイトとのコミュニケーションがなー、去年の夏休みから一回も笑わねーし、やっぱキャプテンがプレッシャーなんかなー』

 

去年の夏休みから、一回も笑っていない…。

 

『それとも、やっぱあの顔のアザのせいかな』

 

顔のアザ…。

 

『あの…、賀茂君の顔にはアザが有るんですか?』

 

『あー見たこと無いか、なんて言うかさー、爬虫類の(うろこ)みてーなアザが出来ててよ、まー男だからそんな気にしてねーと思うんだけど、首から右目にかけてな』

 

爬虫類の鱗、蛇の鱗…、あの時…呪いを掛けた人の(もと)へと帰った、蛇の怪異…。

 

『どうしたー千石、顔色が悪いぞ』

 

『いいえ、何でもありません…』

 

(翔琉はいまだに苦しんでいるのよ)

 

「たまちゃん」が言っていたのは、その事だったんだね…。

 

「わたし」の罪。

 

頭が良くて・スポーツが万能で・女の子に優しいそんな人が

 

人を憎み・呪いを掛ける

 

そして、その呪いが自らに帰り、アザとなって、いまだ彼を苦しめ続けている。

 

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