『僕は携帯電話を持たない主義でねぇ、僕と連絡を取る場合は伝言をばら蒔くか、直接会って話すかしかない』
現代科学とか言う前に、いつの時代の人なのかっていう話ですよね。
『それについては私も理解している、忍野さんがこの町を離れた後に、先輩方が苦労していたからな』
『僕も忍ちゃんほどじゃないけどぉ、ひとところに長居が出来ない体質でねぇ』
「忍さん」といえば、「暦さん」の幼女奴隷ですから(違ったかな?)、でも「暦さん」とは片時も離れずに一緒だと聞きいたことがあります…。
『あぁ忍ちゃんって呼んだら、阿良々木君の幼女奴隷だと思うよねぇ、【忍野忍】彼女の本来の姿は、伝説の吸血鬼【キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード】怪異の王・怪異殺し・鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼・なのさ、まぁ今の忍ちゃんは吸血鬼の搾りかすのようなものだから、さっき言ったような・ひとところに長居が出来ない、なんてことは無いから安心していい、だが全盛期の彼女は一歩踏み入れただけで、その土地のよくないモノ達を根こそぎ集める体質だったからねぇ、まったくヘビーな仕事だったよ、これって蛇神神社のせいかもねぇ』
これが、おやじギャグなのですね。
『そういえば阿良々木先輩に聞いたのだが、この北白蛇神社にはよくないモノが溜まっていて、そのよくないモノの力のせいで、千石ちゃんが【蛇切縄】の呪いに掛かったそうだが』
『それについては、僕は元照れ屋ちゃんに謝らなければならない、この神社がよくないモノの吹溜りになっていることは、元照れ屋ちゃんが呪いを受ける少し前に分かっていた、だがよくないモノを散らす為のお札に、力を篭める時間が思ったより掛かってしまってねぇ、すまなかった』
『あー・いえ・そんな、助けてもらいましたし』
『そうだな、忍野さんのせいというより、どちらかと言えば忍ちゃんのせいみたなところもあるしな』
『いや・元百合っ子ちゃん、怪異には何も責任はない、怪異が存在するのは存在する理由があるだけで、怪異がもたらした現象については、ただの現象であって自然現象と何も変わらないのさぁ、だからハートアンダーブレードはよくないモノを寄せ付ける特異体質だが、彼女には一切責任はない、責任があるのは人間の方だけさ、よくないモノを散らさなかった僕と、よくないモノに引き寄せられた元照れ屋ちゃんの責任だ』
『しかし、それでは不公平ではないのか、怪異には責任がなくて、なぜ人間には責任があるのだ』
『元気がいいなぁ・元百合っ子ちゃんは、やっぱりいいことがあったのかい? そんなに睨まないでくれよ、別にはぐらかしている訳じゃないんだからさぁ、今も言ったように怪異現象っていうのは自然現象と何も変わらない、だから何処にでも存在するし、また何処にも存在しないモノなんだ、ただ何らかの現象が有ったとしか人間には分からない、だからこそ人間はもっと用心深くなくてはならない、よくないモノ・よくない場所・よくない心・それらのモノには近づかないように細心の注意が必要なんだよ、そしてそれらのよくないモノと出会ってしまった場合、それは本人の自己責任と言わざる負えないのさ、ただ僕の場合はその逆でねぇ、怪異と人間の橋渡しを生業としている身としては、よくないモノの吹溜りをほおってはおけないということさぁ』
つまり「わたし」はよくないモノに引き寄せられてこの北白蛇神社に来て、そして呪いを受けた。
でもそれは自己責任であって、誰のせいでもなく「わたし」の責任。
『今度は僕がひとところに長居できない理由だけど、僕は忍ちゃんとは逆で怪異を消してしまうんだ、おっと勘違いしないでくれよ、僕が消すと言ったのは概念的な意味だからさぁ、祈祷やお祓いといったものじゃあない、そもそも怪異とは何かといった話になるが、妖怪・幽霊・神・悪魔とまぁ言葉として知っているけど、実際には見ることが出来ない存在を・怪しくて異なるモノ・怪異と言っている、怪異現象っていうのはよくないモノばかりでなく、よいとされることにも当て嵌まるんだ、例えば宝くじが当たったなども怪異現象さ、バランスが崩れているからねぇ、良いか悪いかなんていうのは人の見かた次第ってことさぁ、つまり怪異っていうのは人が作り出したモノで、その存在の容は感情によって変わる、畏れ・恐怖・敬意・畏怖・憐み・魅了・嘆願といった人間の感情に合わせた容で現れる、さて・僕が怪異を消すといったのはねぇ、この感情というか概念のことなんだ、なぜ人は神様・仏様に祈りを奉げるのだろぉか』
『私は神に祈ったことはないが、猿の手には願った…な』
『わたしは…やっぱり…幸せになりたいと…』
『困った時の神頼み、最近の日本人だと大抵は自らの欲に対して、もしくわ辛い現実を改善するために祈るのだろうね、しかし本来は神仏に奉げるのは感謝だった、時代の流れなのかもしれない、人が抱く畏れや畏怖といったものの対象は、怪異ではなく現実社会へと移っていったのさ、はっはぁ、そこにきてこの僕さぁ、人間である僕が怪異と渡り合う姿を見せるのは、ただでさえ失いかけている信仰心を更になくさせてしまうってねぇ』
『見えないモノに対しての恐れが無くなるから、怪異が消えてしまうってことなのだな、だが怪異は人間社会に必要なものなのだろうか?』
『それこそ人それぞれさぁ、神も仏も要らないという人間もいれば、神仏にすがることでしか生きられない人間もいるだろうぉ、僕の意見としては不要なものなんて一つもない、だけどね』