なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -35-

『それで阿良々木先輩は、忍野さんにどうやって連絡を取ったのだ』

 

忘れていました、あまりにも違う話が長くて…。

 

『初めに言った通りさぁ、元委員長ちゃんに付けられた鈴が、僕の前に阿良々木君を連れてきた、さすがにツンデレちゃんは一緒じゃ無かったけどねぇ、まぁツンデレちゃんは僕のことが嫌いだから、一緒に来るという選択は無かっただろう、だが・その代わりに元委員長ちゃんが来たのにはまいったねぇ』

 

大概(たいがい)のことは見透かして話す「忍野さん」に、参ったと言わせる「羽川さん」って本当に何者なのでしょう?

 

『元委員長ちゃんは、僕の弟子に成るってきかなくてさぁ、いろいろな条件を出して引き取らせるのに苦労したよぉ、うかうかしているとすぐに戻ってきそうだからねぇ、あんまり長居は出来ないから、そのつもりで頼むよ』

 

『羽川先輩は忍野さんに弟子入りしたのか、やはり只者(ただもの)ではないなー』

 

「忍野さん」はそれで参っていたんですね、意外と人とのコミュニケーションが苦手だったりして、ちょっと親近感(しんきんかん)()きました。

 

『それで、羽川先輩にはどのような条件を出したのだろうか?』

 

『元委員長ちゃんにはぁ、ホッキョクグマと友達になった暴力陰陽師(おんみょうじ)の迎えを頼んだ、こっちは保険としてね、阿良々木君には今回の責任者をねぇ、こっちは()()でも連れてくるように頼んである』

 

『まぁそれについてはおいおい話すとして、そろそろ本題に入るとしよう、…さぁて何があったのかなぁ、元照れ屋ちゃんの体験したことを、教えてもらえるかい』

 

『あ・はい、よろしくお願いします』

 

話の流れと言いますか、話の順序はけっこう滅茶苦茶で…、

 

『えっと、たまちゃんが、あ・いえ、たまちゃんと言うのはわたしの小学校からの友達で、今も同じ中学校に通ってます、そのたまちゃんが…怪異に取り()かれています』

 

といった感じです、相変わらず「わたし」は話が下手だと確信しました。

 

そんな「わたし」の下手な説明を、二人はじっと何も言わずに聞いてくれました。

 

『なるほどねぇ、元照れ屋ちゃんはこの北白蛇神社で神様をしていた時の記憶と、自分の中のもう一つの人格・というか蛇格【クチナワ】の封印が解けたってことだねぇ、まぁこのタイミングで解けたのにはやっぱり意味がある、実際に【クチナワ】のお(かげ)で大事には(いた)らなかったしね』

 

『しかし【玉藻前(たまものまえ)】が人に憑依(ひょうい)するっていうのは、(にわか)には信じ(がた)い、アレは妖狐の中でも上位中の上位でねぇ、一般的な狐憑きとは比べ物にならないモノさぁ』

 

『【玉藻前】の伝承(でんしょう)というのは色々ある、平安時代の末期に鳥羽上皇の寵愛(ちょうあい)を受けた絶世(ぜっけい)の美女、というのが一般的な【玉藻前】の知られ方なんだけど、その正体は【九尾の狐】だった、そして【玉藻前】は怪異としては珍しく列記(れっき)とした目的を持っていてね、その目的とは朝廷(ちょうてい)顚覆(てんぷく)だ』

 

『【玉藻前】は妖狐・つまり狐の怪異だろぅ、人間が生前の(うら)みによって(たた)り神になったのとは違い、(けもの)の怪異である【玉藻前】が人間社会に対してこんなにも分かりやすく弓を引くというのは(めずら)しいことなんだ、なにか特別な恨みがあったのかもしれないねぇ』

 

『伝承の続きだけど、上皇たちは【玉藻前】に生気を吸われて次々に倒れてしまった、朝廷は疲弊(ひへい)してもう少しで顚覆かと思った時、かの有名な陰陽師【安倍晴明(あべのせいめい)】によって【玉藻前】は正体を見抜かれてしまう、その後【玉藻前】は朝廷を挙げての討伐(とうばつ)軍と奮闘(ふんとう)を繰り返す、討伐軍は甚大(じんだい)な被害を出しながらも【玉藻前】を東へ東へと追い詰めていった』

 

『実はここで変わったエピソードがあってね、【玉藻前】は討伐軍の大将に夢の中で和睦(わぼく)を申し入れているんだ、ただ結果としては交渉決裂(こうしょうけつれつ)となってしまったけど、僕はこのエピソードにはちょっとした興味(きょうみ)がある、機会(きかい)があれば(たず)ねてみたいんだ、自らのテリトリーに(さそ)い込んだのに、なぜ討伐軍を皆殺しにしなかったのかってねぇ』

 

『まぁそれは置いといても【玉藻前】とは超有名な怪異さ、日本の三大悪妖怪なんていう言われ方もしているからね、そん(じょ)そこ()の妖狐とはレベルが違うのさぁ』

 

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