なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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新たな登場人物がやって来ました。

癖の有る喋り方が…なかなか難しいですねー( ̄□ ̄;)!!

続き・よろしくお願いします。


なでこ☆フォックス -47-

去年の「わたし」は二年二組で学級委員長をしていました、なんで「わたし」なんかが学級委員長を?

 

当時の「わたし」を知る人ならば誰でも?マークですよね、ただ(うつむ)いているだけで何にもしない「わたし」が学級委員長ですよ、担任は何を考えているんだって話になりますよね。

 

このミスキャストを、誰よりも不信に思っていたのは「わたし」自身です、「わたし」のもう1つの人格というか蛇格の【クチナワさん】に思いっきり不信がられましたからね。

 

「わたし」は自分自身を納得させる為に【クチナワさん】に言いました、一学期に流行ったお呪いに手を出さなかったのは「わたし」だけだから、クラスの皆はお互い誰の事も信じられなくなっている、だから消去法で仕方なく「わたし」が学級委員長に成ったのだと。

 

そんな風に「わたし」が納得したところで、既に学級崩壊しているクラスですよ、「わたし」なんかに学級委員長を遣らせても何も解決など出来ません、勿論・当時の「わたし」は何もせずにただ悶々(もんもん)と過ごしていました。

 

ですが担任の先生は「わたし」と会う度に(千石、例の件はどうなっている)と聞きます、「わたし」は何もしていません・と言いますか何も出来ませんので、どうなっていると聞かれても・答えようがないので、俯いて・先生が(あきら)めるのを待ちます。

 

「わたし」は何も言わずに俯いているだけですが、何も言わないからといって・何も感じない訳では無いです、勝手に「わたし」に責任を押し付けておいて、自分ではなにもしないで「わたし」に経過(けいか)を聞いてくる、そんな担任に・腹も立ちましたし、ストレスだって感じていましたよ。

 

「わたし」が二年二組の学級崩壊にとどめをさしたのは、怪異がらみ等では無くて、完全にストレスを爆発させただけの自己暴走でしたね……、なんで「わたし」は…今頃こんな事を思い出しているのでしょう?

 

う~ん?

 

そもそも二年二組が学級崩壊したのってお呪いのせいなんですよね、たしか・そのお呪いを故意(こい)に流行らせた人が居たような…、名前は確か…【貝木泥舟(かいきでいしゅう)

 

『よぉぉ忍野、お前から呼び出されるなんて夢にも思わなかったぞぉ、今更・俺のような詐欺師(さぎし)に何の用がある?』

 

『やぁ・貝木君、元気そうで何よりだ、何か良いことでもあったのかな?』

 

『ぶっ殺すぞ!!』

 

『はっはぁ、まったく君って奴は本当に短気だねぇ、変わってなくて嬉しいよ』

 

『この町に俺を呼んだ用件を言えぇ、話すかどうかはそれからだぁ』

 

『あまり時間もないからねぇ、いいだろう用件はただ1つだ、貝木君が去年この町で広めたお呪いの責任を取って貰おうと思ってね』

 

『忍野ぉ、お前ちょっとボケたんじゃねーか、どんな用件かと思えばよぉ・去年の呪いの責任だと、いやぁすまない、確かに俺だ・俺がこの町の子供達に呪いを流行らせた、小遣(こづか)(かせ)ぎをさせて(もら)ったよ、その代償に俺は戦場ヶ原に携帯を折られたぜ、ついでにこの町に入るなという約束もしている、その約束を反故(ほご)にしてまで俺を呼んだ用件が、呪いの責任を取れとは笑わせる、そんなもんは遠の昔に終わってるぜぇ、忍野ともあろう者が・とんだ勘違(かんちが)いだったなぁ』

 

『か・勘違いなんかじゃ有りません!』

 

「わたし」は振り返って「貝木さん」をまっすぐ見て言いました。

 

『んん…、誰だぁ・お前はぁ』

 

半年ぶりに見る「貝木さん」は、初夏だというのに相変わらず上下共に黒い服です、違いを挙げるならば・髪の毛が逆立っていることと、その髪の毛を反転させたかの様な・ふさふさの(ひげ)でしょうか、不吉という印象をあえて与える出で立ちです。

 

『千石撫子です』

 

『お前が…あの千石かぁ、(おどろ)いたなぁ・随分(ずいぶん)な変わり様じゃないか、そうか・人間に戻ってちゃんと遣ってるんだなぁ、良かったじゃねーかぁ』

 

『あ・はい、ありがとうございます…』

 

そうでした「わたし」が知っている「貝木泥舟さん」は、蛇神となった「わたし」を人間に戻してくれた人です、「わたし」にとっては恩人に当たるのでしょうが…。

 

『別に礼を言われる様なことはしてねえがぁ、まーその様子なら神様に戻りたいなんてことは無さそうだな、とりあえず俺がしたことが無駄にならなかったならそれで良い』

 

「貝木さん」は、何ていうか…とても(おだ)やかな顔を「わたし」に向けます、本当にこの人がお呪いを流行らせたのでしょうか?

 

『貝木お兄ちゃんは、らしくない事をしただけさ、死なずにすんで良かったね、僕はキメ顔でそう言った』

 

『貝木だぁ・斧乃木ぃ、それとなぁ・俺がしたことは普通のことだぁ、大人が子供に対してする・普通の事をしただけだぁ』

 

『普通は命()でメデューサを説得なんてしないけどね、貝木おに・貝木、あなたにとっては普通じゃない何か特別な理由があったんじゃないの』

 

『ねーなぁそんなもんは、俺は普通の事をしたんだ、特別なモノなんて何もない、俺にとって大事なものは金だ、俺は金のために動いた・それだけだぁ』

 

『ふーん、言いたくないなら詮索(せんさく)はしないけど、でも・らしくない事はもうしない方が良いよ、今度は本当に死んじゃうかも知れないからね』

 

『そうだなぁ、死んだら大事な金が使えなくなっちまうからなぁ、(きも)(めい)じておこう』

 

『本当に分かっているのかい? 貝木…は、前回死にかけただろう、僕が通り掛からなかったら、今頃は地獄で【手折正弦(ておりただつる)】と仲良く折り紙を折っていただろうよ』

 

『そうだったなぁ、俺が広めた呪いで恨みを買ったよなぁ、呪い返しを受けてた中坊にボコられたんだった、斧乃木ぃ・世話になったな、だがあれは・俺がウッカリしただけだぁ、普段ならボコられる前には逃げ切っていた筈だ』

 

『普段のあなたなら確かにそうだね、だから僕は言っているんだ、らしくない事をしたからだってね』

 

『あぁ・分かった、そうだなぁ・らしくない事はしないだよな、しっかりと教訓として覚えておくぞ、だからもう・これ以上その話はするな』

 

『あの・貝木さん、呪い返しを受けていた中学生に、(おそ)われたんですか?』

 

『なんだぁ・千石、お前が興味(きょうみ)を示すような話じゃないだろう』

 

『貝木さんは、その男の子の顔を見ましたか?』

 

『いやぁ・顔は見てねえな、いきなり後ろから頭を殴られたからなぁ、いや・()たな、顔は覚えてねえが・蛇の呪いで精神がブッ飛んでる眼を観たなぁ、あんだけ強力な呪いを受けてよく動けるもんだと感心したぜぇ』

 

『忍野さん…』

 

『間違いないだろうねぇ、貝木君を襲ったのは賀茂翔琉だ、ただ…仮にもゴーストバスターである貝木君を、待ち伏せて襲撃(しゅうげき)するような真似をしたとなるとねぇ…、正直・信じ(がた)い…』

 

『俺を買い(かぶ)るんじゃねえ、俺はたんなる偽物だぁ、お前とは違うんだよ忍野、それでなんだぁ・その賀茂とかいうガキがどうした、まさか俺がばら()いたお呪いで・あんな強力な蛇の呪いに掛かったなんて言うんじゃーねーだろーなぁ、それこそ的外れってもんだぞぉ、言っておくが・俺がガキ共に広めてんのはだな、愛だの恋だのといった・誰が誰を好きで・誰が誰を嫌いか何ていうよぉ、()わば【こっくりさん】程度のものだぁ、それにちょっとしたアイテムを付けて小銭を稼いだだけだぜぇ、間違っても・あんな強力な怪異を引っ張り出す代物じゃねーよぉ』

 

『こっくりさん・ねぇ、まぁ・確かに貝木君が広めようが広めまいが、ちょっとでも興味を持ったなら誰にでも使用可能なお呪いだ、それ自体には特別な問題は無い、だとすると・オマケに付けたアイテムの方に問題が有ると考えるのがセオリーさぁ、いったい何を(あた)えたんだい』

 

『おぉい忍野ぉ・正気かぁ、俺がガキに本物のアイテムを渡すわけねーだろーがぁ、偽物に決ってんだろぉ、まがい物の・真っ赤な偽物だぁ、河原(かわら)の石を丸く(けず)っただけのただの石を【殺生石(せっしょうけき)】って事にしただけだぁ』

 

『【こっくりさん】に【殺生石】かい? 確認の為に聞くけど・その組合せというのは何かの悪意を持って広めたのかなぁ』

 

『んな訳あるかぁ、俺がガキ相手に悪意を持つ訳ねーだろう、むしろ逆だ・俺にとってガキ共というのは大事な金づる、云わば大事なお客様だぁ、悪意など向ける訳がねぇ』

 

『ならば質問を変えよう、どうして君は【こっくりさん】の付属(ふぞく)品に【殺生石】を選んだんだい』

 

『そうだなぁ、俺の大事なお客様達の年代は・とにかく恋愛に対するモノが大好物でなぁ、そん中でも特に・叶わない恋に対するお呪いが一番だぁ、俺みたいなロートルからすればぁ・叶わないなら次を探せばいいと思うが、そこは商売だからなぁ・客先のニーズに応えるのがプロってもんだろぉ、だから俺は【殺生石】を選んだ、男を(とりこ)にする・絶世の美女が封印された石だと言ってなぁ』

 

『貝木君が商売に熱心なのはよく分かった、つまりこの組合せについては単なる偶然、ってことになるのかな…』

 

『何が言いたい…』

 

『貝木君は【殺生石】に封印された絶世の美女が【玉藻前】だということは知っているだろぉ』

 

『当然だぁ、知らなければ【殺生石】を使う意味がねーだろーが』

 

『ならば【玉藻前】が九尾の狐だということも知っていたよねぇ』

 

『だからよぉ、当たり前の事を聞いてんじゃねーよ、お前は本当にあの忍野なのかぁ、どうしたぁ・いつもの見透かしたような物言いはよぉ』

 

『僕にはさぁ・どうも偶然の産物だという事が()に落ちなくてねぇ、疑う様な真似をして済まなかった』

 

『ハッキリ言え・何が有ったぁ、俺が広めたお呪いが何を引き出したぁ』

 

『君の予想通りだ…【玉藻前】が復活したよ』

 

『ふざけるなぁ・そんな馬鹿な話があるかぁ! 俺がばら撒いた呪いはどれもこれも偽物だぁ、本物など何処にも無いぞぉ、それがどうして本物の【玉藻前】を復活させるというんだぁ』

 

『その答えの前に1つ質問をさせてくれないかなぁ、貝木君は相馬珠美という女の子を知っているかい?』

 

『俺はなぁ・これでもプロとして仕事をしている、顧客(こきゃく)の個人情報に対するコメントはしない、だが・知らない相手に対しては言っても構わないだろう、相馬珠美という名は知らないなぁ』

 

『それじゃあもう1つ【滝夜叉姫】についてはどうかな』

 

『…たしか【平将門】の娘がそんな名前だったかぁ、だからどうしたぁ【玉藻前】が復活するのと何の関係があるぅ…、まさか…』

 

『あまりこのフレーズは使いたくないんだけど、その・まさかさぁ、【滝夜叉姫】とは実在した人間だ、その人間の怨霊が【玉藻前】なんだ、そして実在した人間には子孫がいてねぇ、それが【相馬珠美】さぁ、【玉藻前】は【相馬珠美】を宿主として復活した、さて・どうやって【玉藻前】が復活したかという問題だがぁ、ここから先は完全に僕の推論(すいろん)だから・そのつもりで聞いて欲しい』

 

『ちょっと待て、忍野・お前の話を聞く前に、俺にも質問をさせろぉ、まずお前は誰に頼まれて此処にいるんだぁ、臥煙先輩かぁ・だとしたら俺はこれ以上この話は聞けないな、先輩とは絶縁中だからなぁ』

 

『それなら心配は要らないよ、臥煙先輩は貝木君と絶縁状態だなんてこれっぽっちも思っていないからねぇ、仮に絶縁状態だったとしてもぉ、今回の件は臥煙先輩から頼まれたモノではないよ、まぁ・誰からの依頼(いらい)かって問われるとねぇ、この国の歴史からの依頼だろうかぁ』

 

『………』

 

「貝木さん」は腰に手を当てたまま空に視線を向けています、暫くの間・何も言わずにひたすら空を眺めていました、

 

『…そぉかぁ、それは壮大だなぁ・俺ごときが逃げおおせる相手じゃあねーなぁ、いいだろう・お前の推論とやらを聞かせろぉ、納得が出来たらよぉ・責任取ってやるぜぇ』

 

その姿勢のまま呟くように言葉をつむぎ…それからゆっくりと「忍野さん」を見ました、

最後は深い闇を覗きこむ様な視線で言いました、(責任を取ってくれる)と。

 




さてさて、一連の事件の発端となった責任者です。

この先「貝木泥舟」は子供達に対して、大人の責任の取り方を教訓として示せるか?

次話もお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。
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