なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -5-

荷物を取り、保健室の扉へと手を伸ばします、

 

(イタ)ッ…』

 

扉の取っ手に手を掛けた瞬間でした、右手首に(するど)い痛みが走ります。

 

とっさに、痛みのある場所を左手で押えていましたが、痛みが和らいできたのでそっと手を放していくと、右手首には三本の引っ掻き傷が有るではありませんか。

 

よく分からないのですが、ドラマなどで手首を切って自殺するシーンとかで出てきそうな場所なので、

 

『ららちゃんに見られると、また誤解(ごかい)されるよ』

 

なので、最近は必要のなくなった白いシュシュを、手首へと巻き付けました。

 

すると何故でしょう、手首に巻いただけなのに、白いシュシュが勝手に話をしそうな気分になるのは?

 

妄想(もうそう)に振り回されている時間は無いので、そそくさと保健室から退出すると、一気に校門へと向かいました。

 

『こんなに慌てなくても、そんな短時間で来れるわけ…』

 

「わたし」が校門に着いたと同時です、目の前を突風(とっぷう)が吹き抜けました、

 

『おーっと・いけない、つい通り過ぎてしまったぞ、女子中学生が保健室にて、あられもない姿で身悶(みもだ)えているというのに、私としたことが何たるミス』

 

目の前を通り抜けた突風は、瞬時に軽やかなバックステップを()みつつ戻ってきました。

 

『あれ、千石ちゃんではないか、随分(ずいぶん)と印象が違うので人違いかと思ったが、私は可愛い女の子は一度見たら忘れないのだ、うん、間違いなく千石ちゃんだな、しかし(みょう)だなー、私の知る情報では、千石ちゃんはいま保健室のベットの上で、流れ出る汗にブラウスをびっしょりと濡らしながら、苦しそうに身悶えている(はず)なのだが』

 

「わたし」が突風だと思ったのは、神原駿河(かんばるするが)さんでした、

 

『こ・こ・こんにちは』

 

失敗です、あまりにも意外過ぎる人物の登場に、ついどもってしまいました。

 

『私が着たからにはもう安心だぞ、何も心配することはない、さあ保健室のベットまでお姫様抱っこで連れて行ってあげよう』

 

神原さんは言うが早いか、何も躊躇(ためら)うことなく、「わたし」の首に腕を廻します、そしてあっという間にお姫様抱っこをされてしまいました。

 

『い・いえ、大丈夫レズから、ちゃんと歩けるので…』

 

噛みまくりです、

 

『そうか、千石ちゃんはレズを気にしていたのだな、それは申し訳なかった、でも心配することはないぞ、私はバイセクシャルだからな』

 

どういう誤解の結果に出たセリフなのか、「わたし」には分かりませんが、神原さんはとても自信満々です。

 

『いえ、そうじゃなくって、どうして神原さんがうちの学校に…』

 

お姫様抱っこをされながらなのです、顔がとても近くて、心臓の鼓動が激しくて、まともな思考なんて出来ませんよー。

 

『あーそういえば言っていなかったね、そこが私の短所だと理解はしているのだが、どうにも直しようが無くて困っている、私は考えるよりも先に体が動いてしまうタイプなのだ、これでは阿良々木先輩の(めかけ)には成れそうにない、不甲斐(ふがい)ないばかりだ、だが私はまだ(あきら)めたわけでは無いぞ、最近の私は受験勉強に没頭(ぼっとう)している、必ずや阿良々木先輩と戦場ヶ原(せんじょうがはら)先輩の居る大学に合格し、そして未来永劫(えいごう)続くであろう濃密(のうみつ)なトライアングルを形成する為にな、心配はいらない、もちろん私が総受(そうう)けとなる予定だ』

 

とても至福(しふく)そうな顔で神原さんは言います、でも「わたし」の質問の答えになってないし、そもそも受験勉強で忙しいのにこんなところで何をしてるんですかね。

 

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