なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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後日談らしきもの ーその②-?



なでこ☆フォックス -54-

          ☆

 

えーと後日譚(ごじつたん)というか、今回「わたし」が体験した怪異現象についてのご報告をさせて頂きます。

 

ご報告なんて言いましたけど、「わたし」が話す以上あまり(まと)まった報告になるとも思えませんので、期待せずに聞いてもらえると話しやすいです、よろしくお願いします。

 

まずは「たまちゃん」について聞いて下さい。

 

事の発端(ほったん)といいますか、「たまちゃん」が九尾の狐である妖狐【玉藻前】と遭遇(そうぐう)するまでの経緯(けいい)を、簡単ではありますが報告させていただきます。

 

今から約1年前のことです、「わたし」達の町ではお呪いが流行りました、この町の中学生の大半がお呪いに手を出したという事ですから、空前の大ブームと言っても過言ではないのかな?

 

逆に言うと、お呪いに手を出さなかった「わたし」などの方が希少(きしょう)と言える位で、そして意外と男子の方がのめり込んでいたあたり『ウーン・なんだかなー』、まー「わたし」の感想は置いといて、男女問わず皆がご執心(しゅうしん)だったのは間違いありません。

 

そして「わたし」がお呪いに手を出さなかった1番の理由ですが、…「わたし」には友達がいないという事です。

 

なんだか悲しくなってきたので続きを…。

 

皆の感情を「わたし」が言うというのも・ちょっとひけ目を感じなくもないのですが…。

 

始めのうちはお呪いに手を出すということに臆病(おくびょう)だったみたいです、というのも・以前「わたし」は【こっくりさん】について説明をさせていただきました、覚えていて頂ければ幸いです。

 

占いとお呪いは別物です、占いというのは今まで(つちか)ってきた経験値(けいけんち)をもとに作られた予知といいますか、方向性や可能性または今の状態を教えてくれるものです、対してお呪いというものは人が故意(こい)に作り出した結果を求めるものです、因果律(いんがりつ)って言葉がありますが、原因がありそして結果になったという解釈(かいしゃく)ですよね、大きな(うず)が巡りめぐって出た結果のことだと思います、つまり自然によってもたらされた結果です、それに対して呪いとは()じ曲がった結果を出させるものなのです。

 

呪いとは人の意思によって行われた特定の儀式のことで、その儀式によって自然界のものに干渉(かんしょう)をします。

 

自然界は自然の法則(ほうそく)(したが)って動いているので、それを故意に動かすというのは法則を捻じ曲げるということなります、そして捻じ曲げられたものは元に戻ろうという反対の力が発生します、幸運や不運というものは不文律(ふぶんりつ)なものなので、何を持って不運とするかは明言できませんが、お呪いによって起こした現象というのはズルをしたという解釈になります。

 

さて「わたし」たち中学生は進んで『ズルをするか?』と問われた場合、大半の人達は『しない』と答えます、これは別に中学生が立派(りっぱ)なのだと言うつもりではないですよ。

 

今も言ったように、自然の法則は捻じ曲がったものを元に戻そうとします、それがどんな形で元に戻そうとするかと言えば天秤(てんびん)です、「忍野さん」が言っていた『人を呪わば穴二つ』というのもこの法則からのものだと思います。

 

例えばAさんがBさんに不幸になる呪いを()けたとします、その瞬間にAさんとBさんは天秤の左右の皿の上に乗ります、Aさんの呪いが成功したときBさんの乗った皿が下がります、この状態は捻じれた状態でとてもバランスの悪い状態です。

 

バランスの悪い状態と言うのは人でも自然でも気持ちが悪いものですよね、なので元のバランスの良い状態に戻す力が働くのです、つまりBさんが不幸になる呪いによって(かたむ)いたのであれば、Aさんにも同等の不幸が与えられればバランスはとれます、これが『人を呪わば穴二つ』ってことと同意なんだと思います。

 

勿論その逆も有ります、AさんがBさんに幸せになって欲しいと願うものです。

 

この場合もAさんの願いが(かな)いBさんの皿が上がれば、バランスをとるためにAさんも幸せになります、でもこれって両者の間だけで生じた天秤なので(ほか)の人には関知出来ませんが、法則としては挙げ挙げも成立する筈です。

 

でも人生において幸・不幸の分量は決まっているという認識(にんしき)から言うと、じつは何もしないというのが最良だったりするのかな? でも何もしないことを(つらぬ)いていた「わたし」が呪いを懸けられるのだから…、何もしないというのも無理なのでしょうか? でも「わたし」の場合・何もしてない訳じゃ無いですね、「賀茂くん」のことを振ったし、ちゃんと原因は作っています…、でも「賀茂くん」が告白なんてしなければあんなことには…、そもそも「賀茂くん」は「わたし」のこと本当に好きだったのかな?………。

 

すみません…脱線(だっせん)しました…。

 

えーと…何が言いたかったかと言うと、「わたし」たち中学生の認識としてはお呪いがズルだという事はたぶん理解していました、ズルをすれば必ずしっぺ返しが来ることも知っています、なのでこの町の中学生に大ブームを起こしたのはお呪いではなくて、占いです、中身は『キューピットさま』や『エンジェルさま』と名前を変えた【こっくりさん】ですけど、皆の認識としては占いです、よく当たる占いとして流行ったそうです。

 

さて「わたし」がその『エンジェルさま』や『キューピットさま』にどうして手を出さなかったのか、こんな言い回しの必要などないのですが、誰からも(さそ)われなかったからです…ちょっと悲しい。

 

んーん・気を取り直して行くぞー。

 

つまり『エンジェルさま』や『キューピットさま』は1人では行わないものなので、それらのお呪いを行う為には友達を誘う必要があります、なので「わたし」は手を出せなかった、そして友達付き合いの多い「たまちゃん」が手を出したのは、必然だったのでしょう。

 

はじめは仲のいいクラスメイト3人に誘われて、放課後の教室で『キューピットさま』を行ったそうです、その時は4人でシャーペンを握ってとのことなので、別段(べつだん)これといった怪異現象は起こりません、その際に『キューピットさま』に(たず)ねた内容もごくごく些細(ささい)なもので、『クラスに何人両想いの人が居るか?』などといったものでした、つまりここでは個人情報に触れるようなことまではしなかったようです。

 

しかし、回数を重ねるうちに質問の内容はエスカレートしていきます、クラスの誰が誰を好きだとか・また誰は誰を嫌いかなどということにまで発展(はってん)しました、この時点で「たまちゃん」はそのグループとは別行動をします、正直エスカレートしていく質問の内容に(こわ)さを感じていたみたいです、それから(しばら)くの間は表面的な友達付き合いしかせずに、『キューピットさま』とも距離を置いていました…、「わたし」が「賀茂くん」を振るまでの間は…。

 

とは言え「たまちゃん」の場合「わたし」とは違って2・3度お呪いをしています、つまりクラスメイトにとって「たまちゃん」は秘密(ひみつ)を共有した者です、「たまちゃん」の意思がお呪いを拒んでもクラスメイトはそれを許しません、そして少しづつ(いじ)めへと変貌(へんぼう)していきます。

 

あからさまな虐めという形にはならなかったみたいですが、「たまちゃん」の好きな人は誰かなどといったことが(うわさ)になりました。

 

「たまちゃん」の性格はとても開放的です、なので「わたし」も誤解(ごかい)をしていましたが、「たまちゃん」は実は恋愛に対してはとても慎重(しんちょう)だったのです、男の子と話す時には自分の気持ちが分からない様に細心の注意を払っていました、なので「たまちゃん」は自分の好きな人を言い当てられた時に絶句(ぜっく)してしまいます。

 

結果を先に言ってしまえば、そのことがお呪いの効力(こうりょく)を知るきっかけになり、また「賀茂くん」への想いを強くしました。

 

そして、絶句した「たまちゃん」に対してクラスメイトは悪乗りをします。

 

『当たりかよ相馬ー』『ちょー顔真っ赤じゃん』『珠美、もうバレバレなんだから告っちゃえばいいじゃん』

 

などと・皆が()って(たか)って(はや)し立てるのです、「たまちゃん」は自分ではどうすることも出来ないほどに顔が赤くなるのを自覚しています。

 

『お前らいい加減にしろよ!!占いだか何だか知らないけど、そんないい加減なもので人の気持ちが分かる訳ないだろ!!』

 

「たまちゃん」と一緒に渦中(かちゅう)の人となっていた「賀茂くん」です。

 

『相馬、気にしなくていいぞ、俺は占いなんて信じてないから』

 

『翔琉ー(うそ)じゃねーって、マジでこの占いは当たるんだぜー、お前も一緒にやってみればわかっからさー』

 

『いい加減にしろよ…、当たるか当たらないかなんて関係ない、お前たちがしていることは単なる虐めだろ』

 

『違うよ、ねー、珠美が告白できないから、代わりに私たちが教えてあげてるだけだよー』

 

「賀茂くん」は「たまちゃん」に視線を移します、「たまちゃん」は唇を噛んで涙が流れない様にこらえました。

 

『嘘を付くなよ、相馬はそんな奴じゃない! 伝えたいことはちゃんと自分で言える』

 

『ヒューヒュー・翔琉も相馬のこと好きなんじゃねー』『マジでー、両想いなら付き合っちゃえばいーじゃん』

 

(ちが)う!!』

 

「賀茂くん」はとても凛々(りり)しく、ハッキリとした口調で・キッパリと言いました、調子に乗ってひやかそうとするクラスメイト達でしたが、そのひと言で「賀茂くん」の気持ちを理解したようで、それ以上は何も言わずに()()りになっていきました。

 

『あ・あのさ…、なんかごめんねー、あたしのせいで巻き込んじゃって、あたしさ・最近みんなと付き合い悪かったから…、ちょっとした嫌がらせだったみたい、ほんとーごめんね…あたしに好かれてるみたいなこと言われて…、迷惑かけちゃって…』

 

『なんで相馬が(あやま)るの、悪いのはあいつ等で・相馬は被害者(ひがいしゃ)だろ』

 

『あーうん、でも翔琉に迷惑かけちゃった訳だし…』

 

『迷惑じゃないよ、嫌いだって言われるんだったら迷惑かもだけど』

 

『でも翔琉は好きな子いるんでしょう』

 

『あーうん・まー…、片想いだけどね』

 

『だったら・やっぱり迷惑だよ…』

 

『別に付き合ってる訳じゃ無いし、そこまで考える必要は無いかな』

 

『でも・さっき翔琉…怒ってた』

 

『それは・あいつ等が人の秘密を言いふらして、おもしろ可笑(おか)しく付き合っちゃえとか言うから、それに腹が立っただけで相馬に怒ってたんじゃないよ』

 

『そう…なんだ』

 

『そうだよ』

 

『翔琉は凄いね』

 

『え? 何が…』

 

『自分の気持ちをちゃんと言葉に出来る』

 

『うーん…相馬の方こそ出来るだろう』

 

『……うん、そうだよ』

 

『ならば同じじゃん』

 

『まあっねー、あたしは好きな人が出来たらちゃんと告白するよー、だから誤解しないでよねー』

 

『そんなこと・とっくに知ってるよ、さっきだって相馬は頭に血が上ってたから何も言い返せなかったんだろう』

 

『そーそー・ちょーあったまきたー、みんな適当なこと言ってくれちゃって~……』

 

『無神経すぎるよな! 人の感情が分からないやつ等は無視だ・無視!』

 

『うん……』

 

『あのさ…、翔琉の好きな人って…』

 

『あーーそこに()れる―』

 

『いやー話の流れ的にさー、興味あるじゃん…』

 

『うーーん、まーー…相馬にならいっか』

 

『うんうん、いいよいいよ、聞かせて聞かせて』

 

『内緒にしてくれるよな』

 

『もっちろん、絶対に内緒にする~』

 

『…千石…撫子』

 

『え……と…、あーーあーー千ちゃんかー、へーそうなんだーそう言えば1年の時同じクラスだったっけー』

 

『うん…、小6の時も同じだったけどね』

 

『あーそうそう・そうだそうだ、でもあの頃はあまり接点なかったけど、ひょっとして去年なにかイベントでも起きたのかな~』

 

『ないない、てゆうかほとんど会話もしてない』

 

『うっそ、えっじゃーどうして千ちゃんのこと好きになったの?』

 

『一目()れみたいなものかな』

 

『それって…、小学生の頃から好きだったってこと…』

 

『まーうん・そうだね』

 

『………』

 

『相馬は気付かなかった?』

 

『いやーごめん・まったく…』

 

『そっかー、さっき俺のこと自分の気持ちをちゃんと言葉に出来るって言ってくれたけど、そうでもないんだ…、正直にいうと告白をする勇気が無い』

 

『だ…大丈夫だよ、翔琉なら言えるよ、あたしが協力するから、だから頑張って』

 

『本当に…』

 

『うん(まか)せて! 千ちゃんとはマブだから』

 

『ありがとう相馬、本当に・ありがとう』

 

          ・

 

その日を境に「たまちゃん」と「賀茂くん」は2人きりでよく話すようになったそうです、「たまちゃん」はその時間が楽しかったと言ってましたが・たぶん嘘ですね、自分が好きな相手とする恋愛相談なんてとても辛かったと思います。

 

「賀茂くん」は「たまちゃん」の本当の気持ちを知らないので、「たまちゃん」が応援するという言葉を鵜呑(うの)みにしたからといって、…単純に「賀茂くん」を悪く言う事は出来ません、と言うか「わたし」には「賀茂くん」を()める権利(けんり)なんて無い、それに相手の気持ちが分かっていなかったのは「わたし」の方…、まったく何に腹を立てているのかって話ですよ…。

 

でも、それでも思ってしまいます、なんで「賀茂くん」は「たまちゃん」の気持ちに気付いて挙げられなかったのかって…、勝手なのは分かってます、でも………。

 

『あのね、あたしは、好きな男の子がいるんだー、すっごいがんばり屋でさー、頭も良いし・スポーツも万能で、女の子に対しても優しいし、ルックスだっていい線いってるよ、でもさ、残念ながらその男の子には、片想いの相手がいるの、だからあたしのことは、話しやすいただの友達』

 

「たまちゃん」はどんな気持ちでこの言葉を言ったのでしょう…、「賀茂くん」が片想いしている相手が「わたし」だってことに、気が付かなかった「わたし」の方が罪深いのですが……。

 

そして「わたし」は大罪を(おか)してしまう…。

 

勇気を出して告白をしてくれた「賀茂くん」を…、「わたし」はこっ(ぴど)(ののし)り…、とことん傷つけて…、振りました…。

 

その結果に責任を感じた「たまちゃん」が「わたし」を恨んだのは当然です。

 

でも「たまちゃん」の本心は・少しだけ安心したようです、けれど・その安心した気持ちは「賀茂くん」を裏切る行為だと考えた「たまちゃん」は「わたし」に呪いを懸けました。

 

そして呪いを懸けたことを「たまちゃん」に告げられた「わたし」は、またしても(あやま)ちを犯します。

 

皆さんもご存知の通り「わたし」が懸かった呪いは【蛇切縄】です、でも「たまちゃん」が懸けた呪いは『恋を引き裂く』というものでした。

 

「たまちゃん」の心情としては、「わたし」が「賀茂くん」に味あわせた痛み、つまり恋愛感情が破綻(はたん)する痛みを「わたし」に体験させることが目的だったのです、なので「たまちゃん」が懸けた呪いは『蛇の呪い』ではありません、恋人同士を破局させるための呪いです。

 

でもそれって何もしなければ何の効力も無い呪いです、だって「わたし」には恋人なんて居なかったのですから。

 

しかし「わたし」は呪いを解くために行動しました、【蛇切縄】の儀式(ぎしき)を行いました、結局それは「わたし」の自縛(じばく)行為(こうい)なんですよね。

 

さて、「たまちゃん」が懸けた呪いはというと、鏡に「わたし」と「暦さん」の名前を書きその鏡を神社で割るというものです、割れた破片(はへん)は土に埋めるのですが、注意点としてはその行為を人に見られてはいけないというのがあります、なので呪いを懸ける場所として「たまちゃん」が選んだのも北白蛇神社でした、人目を()けるには最適ですからね。

 

偶然なのか・それとも必然だったのか、事の始まりはいつもあの場所・北白蛇神社で起こります、「たまちゃん」は遭遇(そうぐう)してしまいます、日本三大悪妖怪である九尾の狐【玉藻前】と…。

 

北白蛇神社のご神木に「わたし」と「暦さん」の名前を書いた鏡を吊るします、「たまちゃん」の手には【殺生石】という名の石が握られていました、当時の北白蛇神社は廃屋同然(はいおくどうぜん)でよくないモノの吹溜(ふきだま)りです、呪いを懸けるという行為も「たまちゃん」にとって初めてのことで、「たまちゃん」は全身で恐怖を感じていました。

 

境内のいたる所に(ただよ)う、不気味(ぶきみ)な気配からの視線を感じた「たまちゃん」は目眩(めまい)(おそ)われます、悪寒(おかん)についで目眩に襲われた「たまちゃん」はその場から一刻も早く立ち去る為に、手に持った石を強く握りしめました、その際に何かを願ったのかは覚えていないとのことですが、目的である鏡を見て…、そして吞み込まれました…。

 

鏡に(うつ)っていたモノ、それは・白い繊毛(せんもう)(まと)妖艶(ようえん)な女性? どこか「たまちゃん」と似た雰囲気(ふんいき)をした(あや)しくて(あで)やかなるモノ【玉藻前】です。

 

朦朧(もうろう)とした意識の中で「たまちゃん」は鏡に向かって語りかけました、『あたしに力を貸して』…と…。

 

【よかろう・わっちにそなたの体を貸しなんせ・さすればわっちはそなたの望みを(かな)えてやりんす】

 

恐怖心が最高(ちょう)にまで達していた「たまちゃん」には【玉藻前】の言葉に(あらが)うことが出来ません、小さく(うなず)きます・これで契約(けいやく)は成立しました。

 

その後「たまちゃん」は家に帰るまでの行動についてはあまり覚えていないそうですが、ひとつだけ【殺生石】を鏡に投げつけたのだけは覚えているみたいです、「わたし」の名前と「暦さん」の名前が粉々に砕けたのだけは・ハッキリ見えたと…。

 

          ・

 

以上が、「たまちゃん」が九尾の狐である妖狐【玉藻前】と遭遇(そうぐう)するまでの経緯です、そして現在の「たまちゃん」はと言えば、すっかり元通り…っていうのとは少し違いますが、というか…かなりイケイケです、そしてグイグイです。

 

こうして「わたし」が「たまちゃん」の話が出来るのも、今朝から永遠と語られたからなのです。

 

完全に徹夜(てつや)明けの「わたし」が「神原さん」に付き()われて帰宅している時のことです、「わたし」の家の前に1人の女の子が(たたず)んでいました、言うまでも無く「たまちゃん」です、しかし昨日の今日だというのに髪型は見事に別人だと思う位にショートカットに成っていました。

 

「神原さん」は「たまちゃん」に容赦(ようしゃ)ない視線を向けています、その視線に対し「たまちゃん」も真っ直ぐに見つめ返します。

 

『うん、可愛いな! こんど時間が合ったら遊びに行こう』

 

「神原さん」は場違いな台詞を残して、そのまま帰ってしまいました。

 

『千ちゃん』

 

『はひっ』

 

噛んでしまいました。

 

『…早くしないと学校遅刻するよ』

 

『あ・うん…』

 

『待ってるから、急いでね』

 

『あ・ありがとう』

 

『ううん』

 

「たまちゃん」ははにかみながら応えました、どちらかと言うと「わたし」の方がドギマギしていたと思います、結構(けっこう)修羅場(しゅらば)を経験したのに一向に経験値は増えないです。

 

『あのね…あたし…、翔琉に告白するよ』

 

『………』

 

『千ちゃんの影はもう追わないから』

 

『うん…うん、うん…うん…うん…』

 

『ごめんね』

 

『ううん、わた・わたしこそ…ごめんなさい』

 

『えへ、ライバルだからね、千ちゃん』

 

『う…ん…?』

 

『よし・先手必勝だー!』

 

良かったよー、本当に…本当に…。

 

『こらーあたしは宣戦布告(せんせんふこく)したんだぞ~、そんな戦意喪失(せんいそうしつ)した顔するな~』

 

『してないよ…、ぜんっぜんしてないよー、だから…絶対に遠慮(えんりょ)なんてしたらダメだからね』

 

『分かってる、あたしはもう絶対に…千ちゃんにも翔琉にも遠慮をしないから、あたしはあたしの気持ちに嘘を付かないよ』

 

『うん…うん…約束だからね』

 

『うん、約束したよ』

 

          ・

 

その後はずっと、これまでの1年間の経緯を話し合いました、ここではその一部を()(つま)んで報告させていただきましたが、機会があればまた話させていただきます。

 

いま「わたし」は放課後の教室で1人窓の外を眺めています、そして今頃「たまちゃん」は体育館裏で「賀茂くん」に告白をしている筈です、どんな結果に成ったとしても「わたし」は「たまちゃん」を温かく(むか)えます。

 

相変わらず稚拙(ちせつ)な報告となってしまいましたが、お付合い頂きまして本当にありがとうございました。

 

皆様もお呪いには気を付けて下さいね。

 




えーと後日談らしきものが続いてます、本編は終わっているのに…。

あと少しだと思います、どうかあと少しだけお付き合いくださいませ~。
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