なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -6-

『その…人が見てます…』

 

校門前でお姫様抱っこをしている女子が、衆目(しゅうもく)(さら)されるのは当然です。

 

『良いではないか、もっと皆に見せつけてやろう、と言うのは冗談だが、千石ちゃんは具合が悪いのだろう、だったら何も心配せずに私を(たよ)ってくれ』

 

そうでした、そもそも「わたし」の具合をどうして神原さんが知っているのでしょう。

 

『うん?』

 

神原さんが「わたし」の顔を見ながら首を傾げます。

 

『いくら千石ちゃんの頼みでも、阿良々木ハーレムの一員である千石ちゃんに、毒牙(どくが)をかけるというのはなー、敬愛(けいあい)する阿良々木先輩への冒涜(ぼうとく)となってしまうのだ、済まないが辞退(じたい)させてもらうぞ』

 

いったい、「わたし」の表情から何を読み取ったというのでしょうか、頼んでもいないことを勝手に辞退されてしまいました。

 

それに、「暦さん」と「忍さん」を毒牙にかけたのは、「わたし」の方なんですよね。

 

『おっと言い忘れていたのだが、私が一も二も無くここへ駆け付けたのはだな、大恩ある阿良々木先輩の妹御(いもうとご)の月火ちゃんに頼まれたからなのだ』

 

登場と同時に聞きたかったです、聞いたとしてもこの状況を変えることが出来たとも思えませんが。

 

『ごめんなさい、その・ららちゃんは勘違いをしていたというか…、わたしはそんなに具合が悪くなかったんですけど、神原さんにまでご迷惑(めいわく)を掛けてしまって…』

 

「ららちゃん」駄目だよー、関係のない人まで巻き込んじゃー。

 

我慢(がまん)をするという行為は、私は嫌いではないぞ、でも人に心配をさせないようにと我慢をしているのだろうが、その我慢は第三者にはよく見えるものなのだ、差し伸べられた手を(にぎ)らないというのは良くない、辛いことを我慢する行為と、自分の(から)に閉じ(こも)って、手を差し伸べた相手を寄せ付けない行為を、混同させては駄目だ』

 

胸に刺さりました…、痛いなー。

 

「わたし」はまだまだ人との間に壁を作っているのだと気付かされます。

 

『ありがとうございます、本当は心細かった…』

 

あれ、なんだかとっても胸が苦しくて…、涙が溢れる…。

 

『話してごらん、なんでも相談に乗るよ』

 

大きいなー、無限に広がる草原のように…

 

この人は、差し伸べた手を決して引っ込めたりしないんだろうな…

 

満面の笑みを(たた)えたまま、相手が握り返してくるまでずっと、その場で待っていてくれる…

 

「暦さん」は、こんな素敵な人を奴隷(どれい)のように(あつか)うなんて、ちょっと幻滅(げんめつ)です。

 

『こほん、でもアレだ、相談に乗るとは言ったが、阿良々木先輩専用のメス奴隷の座は(ゆず)れないぞ』

 

小さいなー…

 

あまりある才能の発揮(はっき)する場所が、「暦さん」のメス奴隷だなんて…

 

『プッ…プハハハハハハ…もう、だれもそんな相談しませんよ』

 

泣いたり笑ったりでもう滅茶苦茶(めちゃくちゃ)です、でも胸につかえていたものが取れました。

 

『神原さん、わたしまた怪異(かいい)に会ってしまったかもしれません』

 

素直に相談することにしました。

 

『そういうことなら場所を変えよう、是非(ぜひ)とも私の家に連れ帰って、布団の中で(むつ)まじく語り合いたいのだが、好いかな』

 

どうしてなのでしょう、神原さんにはとても感謝しているのですが。

 

『お断りします』

 

「わたし」にしては珍しく、断言できました。

 

『残念だがしかたがない、月火ちゃんとも合流しなければいけないし、ここからだと阿良々木先輩の家の方が近いからな、断腸(だんちょう)の思いでその意見に(したが)うこととしよう』

 

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