なでこ☆フォックス【狐物語】   作:TAINZ

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なでこ☆フォックス -9-

『月火ちゃんからのメールでは、助け求む、撫子、七百一中、保健室、取り乱し、というものであったのだが、残念ながら私のスピードを持ってしても、千石ちゃんが見悶えるシーンには間に合わなかった、役に立たず申し訳ない』

 

ギリギリでした、「わたし」が保険医を探していたら、神原さんは有無を言わせずに学校内へと入っていたのでしょう。

 

『だが月火ちゃん、そのままおめおめと逃げ帰ったとあっては、私の沽券(こけん)に関わるからな、安心してくれ、千石ちゃんは私の腕の中へと保護(ほご)したぞ』

 

大衆の面前でお姫様だっこされました。

 

『やっぱり駿河さんにSOSメールを送ったのが正解でした、同じ内容のメールを、お兄ちゃんとかれんちゃんにも送ったのに、ぜんっぜん返信がこないんだよねー、プラチナむかつく』

 

久々に聞きました、「ららちゃん」のプラチナむかつく、もう封印(ふういん)したのだと思っていました。

 

『それは良い判断だったな、実は私が千石ちゃんを保護した時のことだが、高校生である私が珍しかったのであろう、多数の生徒が私達に視線を集めていたのだ』

 

原因はお姫様だっこです、神原さん。

 

『視線を集めることにはさほど抵抗は無いのだが、ある方向からの視線に違和感を感じてな』

 

それは初耳です、「わたし」は全員からの視線が痛かったので、特別に誰かというのはありませんでしたから。

 

『気になる方角を、なるべく意識しないように眺めたのだ、そこにはサッカー部員らしき少年が練習もせずにたたずんでいたよ、私にとってはスポーツ少年というジャンルなど、言うまでもなくドストライクで有るのだが、正直なところ寒気がした、粘着質(ねんちゃくしつ)(から)み付くような眼差しは、人というよりも…、まるで爬虫類(はちゅうるい)のようだったよ』

 

まったく気が付きませんでした、それで神原さんは「わたし」(かば)おうとして、お姫様抱っこをしたのでしょうか?

 

『だが、今にして思うと、私が千石ちゃんを抱っこしたことへの嫉妬(しっと)だったのかもしれないな』

 

神原さんは、そう言いながら笑顔を向けますが、抱っこが先だったのですね、でも男の子からそんな視線を向けられる理由が「わたし」には思いあたりません。

 

『プラチナむかつくー! それって宣戦布告(せんせんふこく)だよねー、駿河さんにってのも有るけど、なでこちゃんに眼付けるっていうのはさ【堕天使と小悪魔☆ツインズ】に対しての挑戦ってことでしょう、上等じゃない爬虫類ぐらい()らってやらー』

 

「ららちゃん」の目は、まるで猛禽類(もうきんるい)の様です、背筋がゾクゾクっと震えました。

 

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