ロストロギア、レリック。その性質は高エネルギーを帯びる“超高エネルギー結晶体”であることが判明している。その為外部から大きな魔力を浴びると爆発する恐れがあるので取り扱いには注意。見つけしだい封印するべし。
それを集めているのがジェイル・スカリエッティとその阻止と回収をしている機動六課。
なんやけどー、や。それは全部明かしてなくてただロストロギア関係の問題専門部隊という名目で設立されとるからそのことのみに限定して部隊員にも説明せなあかんのよなぁ……
だから隊長格3名が全員オーバーSランク、副隊長もそれぞれS-とAAA+と過剰ともいえる戦力に疑問を持つもんもおるわけで。ナナシくんにはどこかの世界でも滅ぼすの? って言われたし……むしろそれを阻止するための部隊なんやけどね。
とツヴァイがフヨフヨと飛んでやってきた。
「はやてちゃん! 機動六課みんな揃いました!」
「ん、ほな行こか」
六課始動や……私としてはナナシくんやアリシアちゃんの方が要注意やし、六課に入ってほしかったんやけどなぁ……二人とも局員ですらないし。六課に入ることになったスバルとティアナの魔導師Bランク昇級試験のときに、ちょちっと権力でチョチョーイとして二人にも一緒に見てもらったんやけど。
あわよくば二人にもCかDランクあたりを受けてもらって、魔導師の民間協力という形で六課でデバイス関連の仕事をしてもらおうとか思ってた。
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「ほほー、ターゲットのなかにも狙ったらダメなのとかあるんだね。なんでかな?」
「あれだ、両手あげて降伏してる犯罪者だろ。構わん撃ち抜け!」
「あかんから。あれは人質とかにとられてるとき誤射せんようにってことであるんやで」
実際今画面に映ってるティアナも綺麗に避けて撃ってる。現在の陸士のなかでは少ない執務官である兄に習ったという射撃の精密さは伊達やないな。
隣でアリシアちゃんが私とフォーチュンドロップだと、むしろ人質だけ撃っちゃいそうとか言ってるけどどういうことなんや……補正的なアレってなんやの、知らんよ。
「二人は魔導師ランクの昇格試験とか受けてみいひん?」
「はやて、いくら豚をおだてても木は登れないんだぞ?」
真顔で言いおるな……たしかに魔力保有量は低いしハッキリ言ってまうと今試験を受けてるスバルとティアナよりも弱い。けどあのなのはちゃんやフェイトちゃんと模擬戦を重ねてるだけあって力はついてると思うし、反則スレスレやけどリインをユニゾンデバイスとして連れて受ければ受かるんちゃうかな。
「あー、それは姉の意地だよ。妹のお願いを断れるわけないっていう……」
「それに10年近くやってるけど白星なしだぞ? 俺たちの弱さは――」
「伊達じゃないよ!」
「なんでドヤ顔とキメ顔しとるんや……でも勝ちはないにしてもあの二人相手に姉の意地でもなんでも折れずに模擬戦を続けられてるなら一縷の望みはありそうやで?」
実際勝てもせんのに約10年間模擬戦を受け続けるのはある意味すごいと思う。姉の意地ダヨーとか断れないプレッシャーがだな、とか聞こえるけどそこは気にせん。
「なのはとフェイトたちが攻撃に90、防御に10割り振ってるなら俺たちは逃げと撹乱に10割り振ってやってるからなー、それなりには時間稼げるさ」
「二人合わせて20だよ」
「待ち待ち、残り二人の90はどこいったんや?」
「私たちとフェイトたちの元々の力の差だね。形無しの自由系ならそこそこ耐えれるかもだけど、ルールありきだとカトンボみたいに落とされるのがオチだよ!」
それに10年近くやってるお陰で多少なのはちゃんとフェイトちゃんの癖が読めるようになったのも“そこそこ”もつ理由らしい。やから裏を返せば初見の相手だと瞬殺される可能性も低くないとか。
画面ではスバルが拳にはめるリボルバーナックルが敵モニュメントを砕く。あ、そういやアリシアちゃんが作ったやつやったっけ?
「そうだよ、いやー実際に使ってもらってるの見ると感動するよ。あれはクイントさんのデバイスを基本としたやつで」
「当時まだ小さかったクイントさんちの娘さんたちが使いやすいよう癖をなくしました、名称が一緒なのは娘さんたちの希望で正式名称にだけver2と付いてる以上!」
「もっと喋らせろぉぉぉ!」
「うっせー! アリシアはデバイスのこととなると話がなげぇんだよ!」
ナナシくんナイスブロックや。アリシアちゃんはデバイスのこととなると話が長いうえに私じゃ半分も理解できんからなぁ……ツヴァイを造るときは大変やった。
ポカポカと殴られてるナナシくん横目に画面を見ると……あー、ティアナが足捻ってもうたみたいやな。制限時間はギリギリ、たぶんまともにやってたら間に合わへん。それにスバルのとる行動としては一人でいくのが一番ベター、やけどそうはせえへんはずや。
ティアナとは仲の良い言わば親友やって情報もあるし性格的に見捨てていくことはない。さて、ここからどうするかなんやけど……
「二人はこういうときどう対処する?」
「「ギブアップ」」
息揃いすぎやし真顔で即答かいな。間違ってはないんやけど出来れば対処方法を考えてみてほしい。ときたま奇抜なことをするんやし何かこういうときにもなにかないんか。
「んー、ないな」
「ないね。私たちの場合たぶんここで既に魔力枯渇寸前だろうし……」
「足捻らなくてもギブしてるかもしれんっていうレベルだぜ」
「なんでこういうとこだけ冷静に判断してるんよ……」
まぁ、たしかに二人やと正攻法でいくとここまで来れるかすら怪しいねんけど。魔力保有者のなかではぶっちぎりの最下層をいってるんやし、でもいつもこないに冷静に判断することは少ないのに急にまともな判断して何でや?
「なのはたちと模擬戦をしてるとな『あ、これ無理』『終わった……』っていう感覚だけ育ってな……」
「魔力は悲しいほど育たないのにね……」
「なんや……ごめん」
諦めどころの察知と逃げ足のみは磨かれたらしい。危機察知やないあたり涙が止まらん。
「危機察知だったらまだ幾分マシだったんだろうけどそんなニュータイプなシックスセンスなんざあるわきゃねぇ!」
「そういうのはもっと主人公してる皆に任せるよ、私たちは裏でこそこそするタイプだから! そもそも昇格以前にランク持ちじゃないし」
「あれ、ランクEって言うてへんかった?」
結構前にリインからやったか魔力も魔導師ランクもEやって聞いててんけど。私と合わせてミソッカストリオですってちょっと楽しそうやった。
「それはアースラで測らしてもらっただけで魔導師ランクの試験は受けたことないんだよな、必要もないし」
「デバイスマイスターの昇格試験があれば受けるんだけど……マイスターが昇格したら何になるのかな?」
「もうゴッドとかじゃないか? デバイスゴッド、うわ頭悪そうだ」
「発想を変えよう。名称の前にスーパーって着けてスーパーデバイスマイスター……うわ、やっぱり頭悪そうだ!?」
真デバイスマイスターとかデバイスマイスター改でええんちゃうかな。いやいやそうじゃなくてやな、この二人と話すと話が常に脱線して進まん気がする。元々はなんの話しとったっけか……ああ、魔導師ランクの取得をせんかって話やったな。
「あ、スバルたちが無茶してる……ディ、ディバインバスター!?」
「はぁ!? なんで、あれってなのは専用の砲撃じゃないのか!?」
「あー、なのはちゃんのやつのアレンジみたいなもんやな。憧れてるみたいで自己流でつくったみたいや、ナナシくんかてクイックバスター撃つやん」
「あんなの鼬っ屁みたいなもんだよ」
ナナシくん曰くクイックバスターは
「いや、犯罪者がチビるくらいええやん」
「まぁいいんだけど…………スカさん強く生きろ」
「ん、なんて?」
「なんでもないよ。にしてもなんでなのはに憧れてディバインバスター撃つようになっちゃったのやら……」
あー、それはあれやね。空港の大火災のときになのはちゃんに助けられて、そのときディバインバスターで天井撃ち抜いて脱出したらしいから……それが印象に残っとったんやろ。
ナナシくんたちも偶々とはいえ、あんとき一人子ども助けてくれてたんよなぁ。
「死ぬかと思った、むしろ私たちが助けてほしかった」
「紫っ子元気にしてるかねぇ」
「え、連絡先とか教えてへんの?」
「会ってないしな、一回見舞いに来てもらったみたいだけど寝てたし」
「そのあとは退院予定日より早くサヨナラしたから会わずじまいだよ」
「ま、怪我もなかったらしいしいいだろ」
いやな、一応助けられた側としてはお礼とか言いたいんやと思うねんけど……というか陸の武装隊に勤めてる人の娘さんやったはずやしニアミスが続いとったんやろうな。特にナナシくんはよう陸とか行ってるみたいやのに私たちの闇の書事件といいニアミスの多い男やと思う。
「さて、画面ではスバルがティアナを背負って全力でローラぶん回してゴール向かってんだけど……あれ止まれんの?」
「無理やな」
「だろうな」
タイムアップギリギリでゴールと同時にツヴァイとなのはちゃんが張った衝撃吸収系の魔法に景気良く突っ込んでく二人。んー、実力はええとこいってるんやけどちょっとばかし危険行為が目立つっちゅうとこか。
「……あ、せや! それで二人は受けてみいひん? あって邪魔になるもんでもないやろうし物は試しっことでどうや?」
「めんどっちーしパス!」
「あって邪魔にもならないけど得するものでもなさそうだしね! むしろ持ってることで部隊とかに呼ばれたら目も当てられない……!」
危険察知やなくてただ損得勘定しとるだけなんやろうけど、こう……思うように動いてくれへんなぁ。私も権力的な意味での上を目指してるし腹の読み合いとかそこそこ自信あるのに、この二人は全部本音のようにみえて稀にちゃう感じがする。
ナナシくんの出身聞いたときにもこう言われた。
『次元の海をどんぶらこっこ、神様に流されやって来ました。次元太郎です』
冗談口調やなくて真面目や。どうせいと? 真顔で言うもんやからネタとしても拾いにくいし苦笑いでしか返せんかった……不覚や。
「まぁ必要になったら取るけどね、フェイトに『お姉ちゃんお願い!』とか言われたらもう取るしかないし」
「俺は取らないけどな」
「絶対巻き込んでやる」
「バリアー」
「貫通攻撃! せい!」
「小学生かい、って普通に殴った!?」
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結局そのまま誘いきれんかったんよな。フェイトちゃんに頼んだらいけたんかもしれんけど、フェイトちゃんも顔に出るからなぁ。シスコンなアリシアちゃんはともかくナナシくんには私が頼んだってバレそうやし……
ま、今は新しい部隊、六課の皆に挨拶しよか。春の日差しが云々かんぬんな――
皆の顔を見渡すと真剣な顔して聞いとる。ええなぁ、この頃腹の探り合いばっかでこういうんは新鮮、いやなんかレジアス中将は目に見えて疲労しとったんやけど。六課のことも勝手にやっとれ! って感じで一番の障害と思っとったのに肩透かしやった。
「まぁ、長話も嫌やろうしこんくらいで終わっとこか……ちなみに社内恋愛は自由やけど十分に相手は選びいや!」
色んな意味で会場が沸き立っとるけどホンマにテスタロッサ家の妹さんとかに告るなら覚悟決めときや! 私がフェイトちゃんの胸揉むんも命がけやし! それでも揉むんやけどな! むしろプレシアさんのも揉んでみたいんや……!
「なんか、はやてちゃんの顔が少し弛んでるの……」
「すまねぇ、なんかうちのはやてがすまねぇ……」
はい、そこのなのはちゃんとヴィータ静かに!
ここまで読んでくださった方に感謝を。
なんとなくはやて視点に。作者も関西圏なのでいけるとタカを括ったのが間違い。
正直はやての関西弁の度合いが難しかった、関西弁と一括りにいっても何種類かあるし子狸はどこなのか……違和感がなければ幸いです。
六課始動、六課にいつもの二人は見当たりません。