「あー言うの良いよね。」
デート中、ふと目にした光景。公園で補助輪なしの自転車を父親に後ろを支えて貰いながら、転けそうになりながらも必死に漕いでいた。
銀子が、目を細めて言った。子供好きな銀子は、デートするといつも親子連れを見ていた。
銀子とは、幼馴染みで俺が遠くの高校を受験するとき銀子も同じ高校を受験した。
その学校は、少しおバカで有名なとこで銀子は頭いいのになんでだろうと思ってたら告白された。
あとで聞いたら、幼いときから好きだったらしい。俺も、気がなかった訳じゃない。
俺達は、自然に付き合うことになった。他の連中には、バカにされたけどな。
「今度、釣りに連れてって。」
「はぁ?お前、釣りに興味なかったんじゃ……?」
「そうなんだけど、この間釣り番組見てさ楽しそうだったから……」
俺は、以前近藤さんたちと釣りに行って思いの外ハマってしまった。この所、銀子にも行こうと誘っていたが“興味ない”の一言で終わっていたのだが急な銀子の誘い、行かないわけないでしょ。
「わかった。日曜日にでも行こうか。」
「うん。」
日曜日にデート。今からでもワクワクする。俺は、どこに連れて行こうかネットで検索した。
湖にしようか?アイツ、潮風嫌いって言ってたしな。ベタベタするから嫌らしい。
穴場と書かれた1つの湖がヒットした。
ここだな。アイツの分の竿も用意して……。
「へぇ~誰もいないね。」
「穴場らしいからな。」
手解きして、釣り始める。ほぼ入れ食い状態であっという間にバケツがいっぱいになる。
「すごい。いっぱい!」
はしゃいで喜ぶ銀子が眩しく思えた。
「ほんとに穴場だったんだ。また、行こうね。」
魚をリリースして帰っているとき、銀子が楽しそうに言う。
楽しかったのは、最初のうちだったのか卒業が近づくにつれて口数が減っていった。それでも、お互いに“別れよう”って言わなかったのはまだ愛してたから。
卒業して、社会人になっても付き合い続けていたがある日突然妊娠したと言われた。
嬉しかった。“産んで欲しい”というと銀子は顔を染めて頷いた。
お互い親にも挨拶を済ませて、結婚式をいつにしようかと話していた時“別れよう”と言われた。
流産したらしい。銀子は泣くばかりで、“気にするな”という俺の声は聞こえてないみたいだった。
「マ~マ~。」
トシが、満面の笑みで微笑んでくる。私の産んだ天使。
「散歩にでも行く?」
彼の提案をのみ、日曜のよく晴れた日私たちは出掛けた。
ある場所に行くと、嗅ぎ馴れたタバコの匂いに目が釘つけになった。
駐車場で補助輪なしの自転車を、転けそうになりながらも必死に漕いでいる少年がいた。それを、タバコを呑みながら見ている土方がいた。
「銀次、帰ろうか?」
「も~う?」
「午後から仕事だって言ったろ。そろそろ行かないと……。ママも待ってるし。銀次の好きなオムライス作ってるって言ってたろ。」
「うん!!」
土方も、こちらに気づき自分の子供を呼び寄せる。楽しそうな家族の会話。
「行こう。銀子。」
彼が、私を呼ぶ。土方とすれ違うとき、トシが土方の服を摘まんだ。
「何ヵ月ですか?」
土方が、他人行儀で訊いてくる。
「もうすぐ1歳です。」
笑顔で言えてるかなぁ?“土方ありがと”心の中で呟いた。
完
お互い別の人と結婚して子供産まれて……だけどお互いに忘れられずに互いの名前を子供につけてる。みたいなキュンと出来たかなぁ?
わかんない人は歌詞を検索してください。曲名とタイトル一緒なので……