いじめ?俺には関係無いな   作:超P

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さて、読者の皆さんは『いじめ』という物を知っていますか?

作者は知っています。
小学校の時に誰々ちゃんが誰々君を好きー、だとかいうネタでからかいます。
からかいは感染し、クラス全体に出回る時はすでに遅し。
もう対象の子は泣いています。ついでに囃し立てた子は怒られて泣いています。

………作者は隅っこで本を読んでいたので関係はありませんでしたが。


ま、誰でも見た事、聞いた事、関わった事があるであろういじめ、の現場にこういう子がいたらという設定で書き殴って行きます。




最初に言っておきます。
この作品は胸糞です。そして文才無き作者が全力で頑張った結果がこれです。




書き直し始めました。9月12日現在


どうやら俺は周りとは少し違うらしい。

ある所に一人の男の子が生まれました

 

 

その子は望まれて生まれた子ではありませんでした

一人の男が浮気相手との間に作ってしまった、生まれるべきではなかった子供なのです

父親が知らない場所で知らない間に、母親が『たった一人で』産んだのです

 

 

付き添いの人も医者も、父親すらいない孤独な状況の中

母親は長い我慢の末ようやく我が子を抱きしめる事ができました

母親は心の底から神様に感謝をしました

 

この子を無事に生ませてくれてありがとう

 

長い間大切にしてきたお腹の子は今、やっとの思いで外の世界へ出てきてくれたのです

母親はそんな我が子に対して微笑みながら言いました

 

お母さん「生まれてきてくれて、ありがとう」

 

ですが母親は分かっていました

この子がこれからとても辛い目に合うという事を

 

この子の支えになってくれる場所は無く

この子の助けになってくれる人はおらず

孤独は常に付き纏い

苦悩は決して消え去らない

 

それでも母親は最低な我儘を我が子に言います

それは我が子へ愛を注ぐと同時に、何かの呪いのようにも聞こえました

 

 

どうか、優しい子になりますように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツイてない

 

浩太(何でだ何でだ何デダ⁉︎ たった一回遊んだだけの女が何で孕む⁉︎……しかもガキだけ残して死ぬとか………意味わかんねーよ!!?)

 

浩太は激しく後悔していた。

 

新婚生活に飽きていた。

だから新婚旅行の後、すぐに”前から関係を持っていた”女を抱いた。

それだけ。

それがこんな事になるなんて。

 

浩太「俺が何したってんだよ!…………こんなの、絶対に分かれる羽目にになるじゃねーか………」

 

激しく髪を掻き毟り、苛立ちをなんとか掻き消そうとする。

だが嘆いても嘆いても事実は変わらない。

浩太の目の前には名も知らぬ我が子がいた。

この子を頼みますなんて、心底ふざけてるとしか思えない手紙と共に。

 

浩太「お前なんて…………お前なんて…………生まれてこなけりゃ良かった…………」

 

精一杯の恨み言。

母親と違い、一切の愛の無い言葉は赤子の心によく突き刺さる。

 

 

子供というものは不思議な力を持っているもので、今は分からなくとも理解できてしまうのだ。

この人は自分を好きじゃない。この人の中には怒りと後悔しかない。

 

 

(なぜこの人は僕を嫌っているの?なぜ母さんのように愛してくれないの?)

 

 

意味がわからない。どうして自分を愛してくれないのか?

お母さんは自分を愛してくれた。とても暖かかった。なのに。

 

 

どうしてこの人はこんなにも冷たいのだろう?

 

 

こんなにも高度な悩みも、赤ん坊は言葉にできないだけで心に抱えているのだ。

人の心は生まれたばかりの頃、透明な色をしている。

世間の荒波に飲まれ、人のイザコザに揉まれ、少しずつ黒くなっていくのだ。

だがこの赤ん坊は違う。

生まれたばかりの身で、父親から受ける愛情の代わりに大きな悪意を受け取ってしまったのだ。

 

そんな事が三ヶ月続いた。

そして苦悩の末、赤ん坊は親からの愛を諦めた。

壊れかけの赤ん坊は一つの悟りを開くと共に、完全に壊れてしまった。

 

 

 

 

1999年 8月15日

 

自宅にて如月浩太の愛人の子、如月達也(きさらぎたつや)、2時4分誕生。

× × 病院にて如月浩太の妻の子、如月真也(きさらぎしんや)、2時5分誕生。

またこの時『如月達也の母親』の様子が急変し、帰らぬ人となる。

 

2000年 6月18日

 

× ×病院にて如月家の長女、如月咲(きさらぎさき)、13時47分誕生。

 

2004年 4月16日

 

隠し子如月達也の存在が如月浩太の妻の耳に入り、同日離婚。

 

 

2004年 5月1日

 

如月達也が如月家での生活を始める。

 

 

 

 

 

 

幼稚園

 

その日は達也達三人が初めて幼稚園に通う日だった。

浩太は真也と咲を抱きかかえ、歩いて幼稚園の園長先生のところまで挨拶に向かった。そして受け持ちの先生の所へ三人を預けに行った。

 

先生「それでは、真也君と咲ちゃん、それと達也君をお預かりしますねー」(あら、この子だけ服が汚れてるわね?まるで泥水に転んだみたいな汚れ方………)

 

その先生は露骨に汚れた達也を避けた。

達也もそれを分かったのだろう。 ”これ以上不快にさせないように” この先生には何があっても近づくないと決めた。

 

浩太「では、よろしくお願いします」

 

先生「はい、では三人をお預かりしますね」(考えすぎよね。流石に独りで歩いてくるような年齢じゃないもの)

 

真也「パパー」

 

咲「ぱぱー」

 

達也「……………(服の汚れ………落とさないと変に思われるか?帰るまでになんとかしないと……くそっ、流石に3キロを歩いて通うと足が保たないな………)」

 

浩太「ははっ、じゃあ後でね」(帰ってきてまだ汚れてたら殴るか………)

 

 

浩太は真也と咲の額にキスをし、急いで仕事へと向かう。

達也には目もくれなかった。

浩太がいなくなった後園長は、子供達に聞こえないように担任の先生に小さな声で話す。

 

 

園長「………先生、ちょっとお話が」

 

先生「えっ?はい分かりました」

 

真也「?」

 

咲「?」

 

達也「……………」(あの女の人………あの職業にむいてないな)

 

 

 

 

 

物陰

 

園長「達也君なんだけどね?ちょっと訳ありで………あの子、どうやら隠し子みたいなの………」

 

先生「そうなんですか?………優しくしてあげたほうがいいんでしょうか?」(隠し子………面倒な子ね)

 

園長「あの子、父親から疎まれてるらしくてね?あまり関わらないほうがいいわ」

 

先生「えっ、そんな」(それであの子が泣き出したら迷惑じゃない)

 

園長「面倒事はごめんだからね……分かったら行って頂戴」

 

先生「………はい」(ま、知らないふりしてればいいか。汚い子は嫌いだし)

 

 

 

それから先生は達也の近くにいるのを避けた。

園長先生から言われたこともあったが、そもそも達也の最初に来ていた服を見た時の第一印象から汚らしい下品な子だと決めつけていた。

 

 

先生「はーい、みんなー?今日はひらがなを書いてみようねー?」

 

園児「ひらがなー?」

 

園児「なにそれー?」

 

園児「僕知ってるよ!こーゆーのでしょ!」かえる?

 

園児「わー!ひろしくんすごーい!」

 

園児(やっぱりまだ5歳ね………”る”の字が反対だわ)

 

真也「ふんふふーん」かえる

 

先生「まぁ!真也君は書くのが上手ね!」

 

真也「へっへーん!」

 

先生(真也君は他の子とはレベルが違うはね………父親から仕込まれてるのかしら?…んっ?………⁉︎なにこの子……!)

 

先生(漢字で蛙を⁉︎しかも殆ど大人と変わらない……!な、何なのこの子………不気味だわ………)

 

先生「た、達也君?今日はひらがなを書くのよ?」

 

達也「……………」(かえる、なら既に書いてる………別に残りの時間に漢字を練習していても問題はないだろ…)

 

先生「だからね?こっちの紙にちゃんとかえる、って書きましょう?」

 

達也「書いてるだろ?」

 

先生「えっ?」

 

 

 

 

達也「振り仮名。書いてるだろ」じとっ

 

 

 

 

先生「………!」ぞくっ

 

先生(この子………!こ、怖い!死んだような眼をしてる………!)

 

先生「せ、先生はちょっと他の子を見てくるねー?」

 

達也「いいよ。来なくて」(そこまで)

 

先生「えっ?」

 

 

 

 

達也「もう来なくていい?嫌だろ?俺の所は」

(そこまで露骨に嫌がられると不快だ)

 

 

 

 

 

先生「そ、そんな事」

 

達也「先生、俺はですね?嫌な事は嫌だと言える人間になりたいんですよ」

 

先生「な、何を言ってるの?」

 

達也「これは俺の想像ですが………先生は俺を避けている。意識的であれ無意識的であれ自分を避けている人には近づいてほしくない。お互い損しかしないんですから。だからもしそうなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

達也「俺から離れてくれません?」(面倒はごめんだ………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生「⁉︎」

 

達也「聞こえましたよね?こんな屁理屈を並べて授業を受けないガキ、嫌でしょ?できる事なら離れていただきたい。早急に」

 

先生「……………先生、行くわね」

 

達也「ご自由に」

 

達也(………………なんとなく分かった、他人を嫌うという事が)

 

 

それ以来、先生は達也君の近くに寄らなくなった。

真也君は周りの子よりもよく勉強が出来た。運動もできて人気者だった。

咲ちゃんは可愛い女の子だった。男の子が少し苦手だけど女の子とはよく遊ぶようになり、真也君と同じく人気者になった。

 

 

 

みんな、達也君が遊んでいる所を見なかった。

 

 

 

ただずっと。

自分の席で本を読んでいるだけだった。

 

運動会の時は教室で。文化祭の日はトイレの個室で。給食の時はパンだけ食べてどこかへ消えた。

卒園の日まで。

 

 

 

 

 

 

卒園式

 

 

園長「皆さんはこれから小学校に入ります。頑張って偉い大人になってください。」

 

園児共『『園長先生!ありがとーございまーした!』』

 

先生「後で皆さんには先生からのメッセージが書いてある連絡帳を返しますね!家に帰ってから、見てくださいね?」

 

園児共『『はーい!』』

 

達也(荷物は後でゴミになるな……………捨てるか)

 

担任はその日、涙を零しながら園児達を見送った。

だがその時見てしまった。

 

 

 

 

つまらないという顔で連絡帳を丸めてゴミ箱に捨てた、如月達也の姿を。

 

 

 

 

担任は自分のした行動は棚に上げ、達也の行動を信じられないという目で見た。

そしていつしか子供を信用できなくなり幼稚園をやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲「ぱぱー!」

 

真也「おとーさーん!」

 

達也「………ただいま」(今日から食事が減るな………小学校、確か本で見た情報だと給食が出るらしいな。となると………一ヶ月ぐらいは水とつくしと………あとは野菜でも育てるか)

 

浩太「おかえりなさい!真也!咲!」

 

咲「ぱぱー?達也お兄ちゃんもいるよー?」

 

真也「そうだよー?おとーさん?忘れちゃ、めっ!」

 

浩太「………あははー、ごめんね?おかえり達也」

 

達也「部屋行ってるから」スタスタスタ

 

真也「おにーちゃーん!後であそぼーね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

小学校入学 一週間前

 

 

真也「ぱぱ!ランドセル見に行こう!」

 

浩太「いいぞー!好きな色のを選べよ!」

 

真也「あっ、待って!お兄ちゃん!ランドセル見に行こう!」

 

浩太「……………達也っ!早く来い!」

 

真也「ヒッ、ぱぱ?………怖いよ」

 

浩太「あぁ!ごめんね真也?怖かったな?…………達也ー」

 

達也「どうしたんだ?」スタスタ

 

浩太「………ランドセルを買いに行くぞ」

 

達也「………黒でいい」

 

真也「えっ?」

 

 

 

 

 

達也「黒色のでいい」(出かける必要はない。無駄に父さんをイラつかせることはない)

 

 

 

 

 

真也「えー?青にしようよ!カッコいいよ!」

 

浩太「……黒だな?」

 

達也「えぇ」

 

浩太「わかった。咲ー!買い物行こう!」

 

咲「えー………咲、お兄ちゃんと家にいるー」

 

浩太「ご飯食べに行こうな?」

 

咲「行く!お兄ちゃん!行こっ?」

 

達也「面倒だ」

 

咲「えー?」

 

浩太「ほら、達也はいいんだ。行くぞ?」

 

達也(二人と出掛けたいという思いが分かる………行かなくて正解だったな)

 

 

 

 

 

 

 

 

達也は幼稚園生活の間、一度も泣いたことがない。

 




トラウマがでてくる可能性あります。

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