いじめ?俺には関係無いな   作:超P

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いじめ?……………普通に不幸なしょうねんのお話ですねこれ。


ま、いじめも入ってくるんですがね?
それは後になります。やっぱ家庭環境が悪いのもいじめを受ける理由の一つではありますから。
それと小学生とあれば喧嘩の理由なんてものはないんです。
単純に気に入らないとか、些細な事で問題にしてしまうのです。



怖いですよね…………。


俺は友達を失った。

 

 

誕生日

 

 

リビング

 

 

「誕生日おめでとう!真也!」

 

「お兄ちゃんおめでとー!」

 

「真也?お誕生日、おめでとうね」

 

「え、えへへ」

 

「ほーら見てみろ!前から欲しがってたゲーム機だ!」

 

「わあっ………ありがとう!父さん!」

 

「お兄ちゃん!これあげる!」

 

「四つ葉のクローバー!すごいや!ありがとう咲!」

 

「はいこれ。宗介さんと二人で買ったのよ?」

 

「自転車だぁ!」

 

「よかったなぁ真也」

 

「…………うん」

 

「お、おい。大丈夫か?」

 

「…………父さん!」

 

「どうした?」

 

「………お兄ちゃんとお祖父ちゃんは?」

 

「……………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

家の付近の公園

 

 

「……………」

 

「………………達也」

 

「………うわっ、爺さん!…………何してるんですか、今日真也の誕生日ですよ?早く家に戻ってください」

 

「…………お誕生日おめでとう」

 

「そいつはどうも。早く戻って下さいよ」

 

「……………何か欲しい物はあるか?」

 

「…………強いて言うならコーヒーを」

 

「………そんな物でいいのか?」

 

「十分ですから。本当に早く戻って下さいよ………」

 

 

宗介は近くの自販機でブラックを二本買って一本を達也に渡す。

 

 

「…………これを」スッ

 

「……………これは?」

 

「………ブックカバーだ」

 

「俺は」

 

「儂はもう受け取らん」

 

「…………………いがいに卑怯ですね」

 

「なんとでも言え。お前はこうでもしないと何も受け取らん」

 

「……………ありがとうございます」(本当に優しい人だ………本当にあの人の父親なのか?)

 

「……………真也は自転車を貰っている筈だ」

 

「そうですか」

 

「…………欲しくならないのか?」

 

「今の所魅力は感じませんね」

 

「…………そうか」

 

「…………そろそろ真也の所へ行ってください」

 

「…………お前は?」

 

「俺にはここでブランコに乗る義務がありましてね」

 

「………………戻るぞ」

 

「ダメです」

 

「………あそこはお前の家だ」

 

「あそこは父の家です」

 

「お前の居場所が無くなってしまうではないか」

 

「元から俺の居場所はありません」

 

「……………戻るまで儂は帰らんぞ」

 

「…………はぁ、……………好きにしてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始業式

 

 

「………(今日から2年………てか今日の給食なんだろ)」

 

「………ねぇ」

 

(面倒事を避ける方法、話しかけられているのは自分ではないと思い込む)

 

「………聞こえてないのかな?」

 

(一貫してシカト)

 

「…………むぅ」

 

(新しい人脈は新たな誤解と面倒ごとを生み出す事になる。したがって俺は必要最低限の人脈も作らない。………………この考えはある意味革命的だな)

 

「話しかけてるんだけどな………」

 

「…………」

 

「てい」手刀 どすっ

 

「モルスァ」(変な声が出てしまった)

 

「なんなんだいその反応は………」

 

(人の首にいい斬れ味の手刀かましといてよく言えるなこいつ)

 

「誰だ?知り合いなら覚えてると思うが…………悪いが記憶に無い」

 

「知らないのも無理はないさ、今初めて会ったからね。と言うわけで初めまして、僕は佐藤亜利沙というんだ」

 

「そうか、俺は名乗るほどの者じゃない。それじゃ」

 

「………?時代劇の真似事かな?だとすればその使い方は正しくはないね。それと自己紹介をされたら自己紹介を返すのが常識だよ?」

 

「自己紹介を返さない無礼者には関わらないのが常識だぞ?」

 

「…………面白いね君は」

 

「俺が言える事ではないがお前本当に小2か?」

 

「僕が聞きたいよ。家庭内暴力を当然のように受け入れる小学生なんて信じられない」

 

「!」

 

「その体の傷、一人で誤魔化すには無理があるんじゃ無いかな?」

 

「…………………だとしたら?」

 

「僕はね?君とこれから仲良くしたいと思っているんだ。協力できないかな?」

 

「…………分かった」

 

「じゃあ名前を教えてくれないかな?」

 

「どうせもう知ってるんだろ?」

 

「知っているかどうかは問題では無いよ。自己紹介とはそのプロセス自体が重要だからね」

 

「自己紹介とは自身の情報の上部を述べる行為だ。すでに知っている相手に知っている事を話す行為に生産性が見出せない」

 

「生産性の無い物などこの世にいくらでも存在するよ」

 

「…………面倒な話し方をするやつだ………如月達也だ。これからよろしく」

 

「よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育

 

 

「はーい!去年と同じように二人組を作ってねー!」

 

「達也、僕と組まないかい?」

 

「………(他のやつだと傷を見られる可能性があるな)そうだな」

 

「ね、ねぇ!亜利沙!私と組まない?」

 

「?すまない。僕は達也と組むんだ」

 

「へ、へー。そうなんだー。じゃ、じゃあいいわ。またね!」

 

「………さて、準備体操からだね」

 

「…………(……面倒な事にならなきゃいいけど)だな」

 

(………亜利沙ちゃんとが良かったのに!…………ていうかあいつ、去年蓮歌を泣かしたやつじゃない……ひょっとして亜利沙ちゃんも泣かす気⁉︎)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌週

 

 

『如月達也は変態』 『如月達也は泥棒』 『如月達也に触れると病気になる』

 

 

「なんだこれは…………」

 

「いじめの初期段階だろうな。机に掘られてたり、他のクラスに見えないだけマシだ。黒板だからすぐに消せるしな」

 

「………達也、君はどうしてそんなに冷静でいられるんだい?君の名誉に傷が付いているんだよ?」

 

「直接的な被害が無いからな。それにこの程度で傷がつくような名誉ならいらない」

 

「…………そうか、君はそういう人間だったね」

 

「あぁ。だから特に問題はない(今の所はな)」

 

(…………だが僕は親友が虐められて冷静でいられるほど大人じゃない)

 

 

 

 

「あっ、……………見てあれ」ヒソヒソ

 

「…………うわ、あれ本当なの?」ヒソヒソ

 

 

 

 

「………………」ギロッ

 

「女の子を睨みつける行為に価値は無いぞ?それともあれか?気になる輩でも見つけたか?」

 

「僕は今二つの理由でとても不愉快だよ」

 

「落ち着け、アホらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プール開き

 

 

(さて………腹部の傷は誤魔化しづらいな)

 

「この水着を着ればいい」つ【水着】

 

「…………言うまでもなく用意してくれているとはな」

 

「君の一番近くにいるんだよ?分からなくてどうするのさ」

 

「にしてもスウェットタイプか。確かに上も着るからばれないけど………俺一人でこれは目立つな」

 

「君の分だけ持ってくると思うかい?」

 

「その言い方から察するにお前自身の分もあるんだな?」

 

「まぁね、僕は女性用だけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プールサイド

 

 

「とは言ったものの。…………傷は大丈夫かい?」

 

「肋骨がまだ治りきってないな」

 

「………あれかな?君は痛覚を遮断する事ができるのかな?」

 

「まさか。我慢して耐えてるだけさ」

 

「屈強な戦士でも肋骨を折ったまま泳ごうとは思はないよ」

 

「折れてるのは2〜3本だからな。特に問題はない」

 

(〜〜!また亜利沙ちゃんと⁉︎………あんなに仲良さそうに!亜利沙ちゃん……!今助けてあげるからね!亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん亜利沙ちゃん)

 

 

 

 

 

 

 

 

プール終わり

 

 

 

「先生〜!」

 

「あらどうしたの?雲雀ちゃん」

 

「私のパンツが無いのー!」

 

「えっ?本当に?」

 

「うん!」

 

 

 

 

男子更衣室 壁 女子更衣室

 

 

「で、どうだった?なんとか耐え切れたかい?」

 

「今の所はな………後で痛みが来るかもしれないが」

 

「洒落にならない冗談はよしてくれ」

 

「あぁ、悪かっ…………」

 

「………どうした?」

 

「………………はぁ」

 

 

【パンツ】

 

 

「何かあったのか?」

 

「…………やれやれ」

 

「何かあったのかい?」

 

「…………私怨か」

 

「?ねえ、どうかしたの?」

 

「何でもない」

 

「先生を呼ぼうか?」

 

「いらん。余計な心配はせんでいい」

 

「んー?あれ?達也ーなんだそのパンツー?」ひょい

 

「うわー!こいつ女のパンツなんか持ってるぞー!」

 

「せんせーに言ってやれ!」たったったっ

 

「……………違うよね?」

 

「ご想像にお任せするさ」

 

「なら想像した事を言おう。僕は君の持っていたと言う女性用の下着は誰かが仕組んだ物だと思っている」

 

「例えどんな想像をしようが最終的に判断を下すのは世間だ。この場合はクラスメイトと先生方だがな」

 

「……………僕は君の味方だ」

 

「いらん」

 

「どうして?」

 

「頼む」

 

「…………………頼むほどなのかい?」

 

「あぁ」

 

(僕は君の味方でいる事も駄目なのかい…………?)

 

 

自己犠牲の末に平和を望む姿勢

それはとても歪んでいて、正しさなんて微塵も感じない。

でもそんな姿はヒーローにしかできないんだ。

そんな君の隣で君を支えたい

そんな思いを抱く事さえ、君は頼むほどに拒否するのかい?

 

 

 

五時限目

 

 

「今日、雲雀ちゃんの下着が盗まれました」

 

「………」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「知っている人は手をあげてください」

 

「せんせー、達也だよ!」

 

「さっき持ってたもんなー」

 

「そうなんだろ達也!」

 

「…………………おう」

 

(…………そんな⁉︎否定しないなんて⁉︎)

 

「……………達也君?先生怒らないから正直に言いなさい」

 

「何をですか?」

 

「雲雀ちゃんの下着、盗ったわね?」

 

「………はい」(えっ?俺もうさっきそう言ったよな?)

 

「…………いい加減にしなさい!」

 

「何をしたのか分かってるの⁉︎」

 

「大体あなたはーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

「……………(つぎに貴女は、『この事はお父さんに言いつけますからね!』という)」

 

 

 

 

 

 

「この事はお父さんに言いつけますからね!」

 

「はい」

 

(……………………こんな事って!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

如月家

 

 

「なぁ………お前ももう2年生だよなぁ」

 

「………そうですね」

 

「俺もな?いつまでも痛めつけるのは飽きるんだ」

 

(狂ってる………………殴らないなら精神的に追い詰める気か?)

 

「だから趣向を変える事にしたんだ♪」

 

(……………………まさか)

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃじゃーん!今回は薬物でーす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「やっぱりって顔だなぁ………つまんね」

 

「…………うっ(内面は強化してない………副作用は面倒だな)」

 

「おっwwwビビってる?wwwwねぇwwねぇwwビビってるwwww?」

 

「…………どこで手に入れたんですか」

 

「合法に決まってんだろーがバーカwwwwww」

 

「…………」

 

「ちょっと後輩に薬出しもらってなぁ…………鬱になったって事でwww」

 

「それは犯罪ですよ………」

 

「……………うるせーなー」

 

(くるっ!)

 

「オメーは考えなくていーんだよッ!」プスッ

 

(………入ってくる!)ドクドク

 

「これさー?なーんか脈拍を上げるやつらしくてさー?」

 

「⁉︎」

 

 

 

 

 

「規定量以上はやばいらしいんだよねぇwww」

 

 

 

 

 

 

 

5分後

 

 

「」ガタ、ガタ、ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!

 

「うっわぁ……………痙攣きめぇwwwやばwww」

 

「」ブルブルブルブルブルブルブル

 

「あ、後で心拍数跳ね上げるのも使うから死ぬなよ?」

 

「」ブルブルブルブルブルブルブルブル、プッツーン! ガクン!

 

「あ、落ちた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

通学路にて

 

 

「達也!どうしたんだその内出血は!?」

 

「佐藤………今日は休むと言ってくれ」

 

「病院に行くよ!君…………そのままじゃいつか死んでしまう!」

 

「」ガクン

 

「達也!達也!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院 亜利沙の父の勤務先

 

 

「パパ!達也は⁉︎」

 

「………亜利沙、あの子はどういう生活をしてる?」

 

「た、多分……………DVを受けてる……」

 

「DVか。…………そんな生ぬるいものか………?」

 

「どういう事?それより達也は⁉︎」

 

「驚異的な回復力だよ………それにしても異常だ………………(身体中に焦げ付いた後、注射痕、鞭打ちの跡、青痣、骨折の跡傷、切り傷、刺し傷、火傷の跡、………ありとあらゆる拷問の跡のようなものがある……DVなんてもんじゃない)」

 

「やっぱり…………!」

 

「………生きてるのが奇跡だよ。内出血もほぼ止まりつつある。まるでサイボーグだ。心身ともにあり得ない強度だよ」

 

「…………………………僕では助けられないの?」ポロッ

 

 

 

 

 

(………………………危険だ、亜利沙と関わらせないほうがいいな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

「やはりもう起きてたね」

 

「………………佐藤が連れてきたんですか」(この憐れむような煙たがるような表情、おそらく佐藤の血縁者、そして俺のような患者を何人も見てきている)

 

「僕は亜利沙の父親でね、ここの院長も勤めてある。1人ぐらい入院させる権限ぐらいは持ってる」

 

「…………帰ります」

 

「待ってくれ」

 

「なんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「もう、亜利沙に関わるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい。分かりました」(当然だな。頭のおかしい親を持っている子供の側に我が子を近づけようとは思わない、そしてなにより)

 

「………………驚かないんだな」

 

「えぇ、当然でしょう?」

 

「……………死にそうな時は来てもいい」

 

「分かりました」

 

「………………………」

 

「大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不祥事は無かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

「これは俺の妄想ですが…………俺に使われた薬物、ここで誰かが流してたんじゃないかなと、思ってます」

 

「………………謝罪する」

 

「いえ、その人物を解雇して頂いたら結構です」

 

「……………あれならもう既にクビにした。君には血圧を下げる薬、血止め、痛み止め、解熱剤、その他、包帯や傷薬を渡しておく」

 

「どうも」

 

「……………置き場所は?」

 

「あります」

 

「その都度、必要な物は取りに来い。手術も無償で引き受ける。保険は適用されないがな」

 

「…………………分かってます。ここには薬を個人的に使った医者なんていなかった。俺は亜利沙なんて知らない。あなたはタダの親切な医者なだけ」

 

「もう行け」

 

「言われなくとも」

 

 

 

 

 

こうして達也は友を失った。

 

 




………友達ができると思いますか?

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