FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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さぁ~て、本日は重大な発表が一つ。

前回次の話で終わりますって言いました。“あれは嘘だ”。

次回もありますんで、すいませんでしたー!



幻想曲 前編

《バトル・オブ・フェアリーテイル》の次の日 お昼頃にて

 

 

 

そこでは、一人の少年と一人の少女の幽霊がギルドの屋根で寝転んでいた。何故か珍しく、今日はお昼頃だというのに風が心地よく、涼しく快適だった。

先日の件からは1日が経過したが、マグノリアの街はいつもと差ほど変わってはいない。どうやら、空中に浮いていた“神鳴殿”は少年――レインがラクサスとの戦闘中に破壊されていたらしく、破壊したときに綺麗なものが空を舞ったことにより、花火か何かかと勘違いされたようだった。

まあ、もちろん、損害賠償は求められるに決まっている。今日もギルドにやってきた時には、現在のマスターたるマカロフ・ドレアーが顔面を蒼白にして貯まった紙切れを見ていた。

ちなみに隣に寝転んで今は微笑んでいる少女――初代ギルドマスターのメイビスにそのことを伝えてみたが、いきなり泣き始めたので慰めるはめとなった。

それはともかく、メイビスも今回の件を一部始終を見ていていたために報告の方は要らなさそうだが、どうやら報酬的なものをくれるらしい。

それをのんびり決めるためにここに二人で集まった……というわけである。まあ、日向ぼっこにはとてもギルドの屋根は向いているし、何より上の方などを確認する者などほぼいないだろう。そんなこんなでここが選ばれている。

 

何故、天狼島ではないのか?そう聞かれればそうなのだが、昨日はマグノリアまで来ていたメイビスがそのまま大人しく帰れる訳もないと判断し、仕方なく着いていこうと考えていたが、どうも昼御飯を持っていく約束を守れなかったことに腹を立てていたらしく、作ったばかりの晩御飯を要求された。

そのあと(ようや)く帰ってくれるんだろうなぁと思いながら食事後の片付けをしていたのだが……案の定、お腹が膨れたメイビスはそばにあったフカフカのソファーの上に寝転び、静かに寝息を立てていたと言うわけである。

その結果、天狼島に向かうよりもマグノリアの方で済ませてしまう方が得策であり、それほど手がかからないとのことになった。

まあ、久しぶりに見たがメイビスは相変わらず寝顔もあどけないものであったのだが、本人に言うと『子供じゃないです~!』などと言われてしまいそうな気がするので黙っておく。

それに久しぶりにマグノリアにやってきたとはいえ、この活気に懐かしさを感じているようでもあった。

やはりメイビスは静かなところよりも賑やかなところが似合っているらしい。まさにギルドのマスター(おさ)を務めるのには向いているようだ。

――と言うよりは向いていた。それでも……“アレ”はメイビスを蝕んでいった。

そして……メイビスは……

 

『――インさん? レインさん、どうかしましたか?』

 

「……いや、何でもないよ、メイビス」

 

不思議そうに首を傾げるメイビス、頭で考えていたことを悟られまいと、それを脳内で一時的に保存。及び消去する。

頭の中がクリーンになったことを確認してから、となりで足をバタバタ揺らしている彼女に今回の件での()()を頂くことを聞かせる。

 

「メイビス、例の話なんだけどさ。ボクと《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》との関係を聞きたい」

 

こう言うのにも理由がある。《バトル・オブ・フェアリーテイル》中に頭のなかに浮かび上がった断片的とはいえ、確実なヒントとなる記憶の欠片。

その中には《幽鬼の支配者(ファントム・ロード)》との抗争で壊されたギルドの初期姿が浮かんでいた。それも首から上や着ている服装はボヤけていたが、若干とは言わずとも聞き覚えのある声や雰囲気を感じていた。

多分レイン自身もなにかと関わっていたのだろう。メイビスたちとは色々な繋がりや参戦などで共にいたことがあるが、どういう関係だったかを覚えていない。

だからこそ、ここで尋ねることにしたのである。静かにメイビスは微笑むと、優しく告げる。

 

『レインさんはわたしやユーリ、ウォーロッドやプレヒトと同じ、《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》の創世記ギルドメンバーです。多分ですが、貴方がギルドの紋章を身体に着けようとしたときに弾かれませんでしたか?』

 

確かにそうだ。ギルドに入り直す……という感じになったが、入ったときに消えたギルドの紋章を再び身体に記そうとしたときには何故か弾かれてしまっている。その謎はどうやら昔の紋章が完全に消えていないと言うことからだろう。

しかし、身体の隅々まで確認したが、どこにも紋章は存在しなかったことを確認した上でだ。

そう思っているとレインの右手の手の甲に金色の淡い輝きを放つ紋章が姿を現す。それを不思議がって見ていると、クスクスとメイビスが笑うことに気がつき、彼女が隠させていたのだと今ごろになって気がついた自分が恥ずかしくなった。

 

『レインさん、ギルドへの復帰おめでとうございます……でいいんですよね?』

 

「……いやいや、聞かれても答えようがないよ?」

 

『そうですね、とにかく記憶の方は少しすっきりしましたか?』

 

「うん、どうも。それにしても……、なんで記憶と紋章が一時的に消える結果になったのかなぁ?」

 

『ですね、わたしも記憶の方はまったくです。あ、今のうちにありもしない記憶を植え付けるのも……』

 

「止めてくれ、やっぱり記憶通りで正しかったらボクはメイビスに散々遊ばれたことになるよね?」

 

やはりいつも通りな感じがする。先ほど思い出したに過ぎなくても手に入れた記憶との誤差などは全く感じないし、メイビスとの仲はいつも通りのように感じる。

他の忘れてしまっている記憶が完全に治った時にはどうなるかはわからないが、やはり安心して良さそうだ。そう思っていると、小さく可愛らしい音がメイビスのお腹から聞こえ、鳴らした当の本人はすでに顔が真っ赤になっていた。

 

「お腹空いたんだ、メイビス」

 

『うぅ~……一気に劣勢に…』

 

「……ふぅ、ま、丁度いいタイミングだし、夜にやる《幻想曲(ファンタジア)》があるから軽い食べ物でいいよね?」

 

『お任せします……お腹空きましたね~』

 

「はいはい、分かりましたよ、お姫様」

 

そうメイビスに言ったあと、レインは迷うことなくギルドの一番上の高い屋根から裏側の湖が見えるストリートへと飛び降りる。

その後ろ姿を見ながらメイビスは頬を膨らませ、ムスッとしながらも小さく呟く。

 

『相変わらず、ポロッと恥ずかしくなるセリフを簡単に言えますね、レインさんは……』

 

そう呟いたメイビスだが、自分の顔がほんのり赤くなっていることには気がつかなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、お昼間の食事を調達しに行ったレインは……

 

 

飛び交う火と氷の魔法。空中に一時の浮遊を得る机や椅子。同じく飛び交う怒号。暴れるギルドの者たち。カウンター席でちびちびと酒を(する)るマカロフ。

それを笑顔で見ているミラ。呆れながら二人を止めようとしてキレるエルザ。ひたすら「男!」と叫ぶエルフマン。酒を樽のまま飲み続けるカナ。

 

――結論を言えば、喧嘩の真っ只中であるギルドで食事を用意しようと考えていた。……と言っても、こうもうるさいと注文が届くだろうかという疑問の他に、時々飛んでくる魔法の無効化、または飛んでくる椅子や残骸などを片手で軽々と防がないといけないはめになっていた。というよりは、いつもニコニコしている元S級魔導士のミラが怒っているのか笑っているのかの区別がつかないことに嫌な予感を感じている。

聞いた話によれば、昨日の戦闘で何年かぶりの《接収(テイク・オーバー)》から“サタルソウル”を発動させたらしい。とてもゾッとする話である。

できれば、今怒っていないことを祈るしかない気がする。そんな中で、黙々と注文をミラに頼み、出来るまでの時間を待つ。

注文したのは安いながらも栄養価の高いサラダと美味しそうな熱々のヘルシーチキン――肉の時点でヘルシーとかよく言えたものだ――と、一時は酒を頼もうかと考えたが、昼間から飲んでいいのかと思い、途中で考えを改め、ドリンクを適当に2つ注文した。

それにしても賑やか過ぎる気がするが、あの少女――メイビスが願った夢の家族の形はここにあるんだなぁと思い、染々とガラではない感動を感じていたのだが……

 

「火竜の……咆哮ッ!!!」

 

「“氷の造形(アイス・メイク)”…砲撃(キャノン)ッ!!!」

 

火の滅竜魔法から放たれたブレスと氷の造形魔法から造り出された氷の砲弾が共に空中で激突し、散らばった火が一部の机や椅子を焦がし、散らばった氷の欠片は料理や机に穴を開けていった。

まあ、当然のことだが、それは注文中の料理や注文をしている最中の魔導士にも襲いかかって来るに決まっている。

 

「………」

 

無言のままに飛び交ってくる氷の欠片を手で弾き返すレイン。ミラも器用にひょいひょい避けて料理を続けてくれる。

しかしこれ以上暴れられると流石に迷惑だ。そう思い、レインは静かに席を立ち、喧嘩中の二人に声だけをかける。

 

「気が立ってるならボクが相手してやる。一度でも拳を当てられたら食事一回分なんでも奢ってやるよ。二人ともがやられたら食事二人分奢るでいいかな?」

 

「え……。本当か!?」

 

「へえ、美味しい話じゃねえか。おい、ナツ、休戦だ、アイツに一撃あたえるぞ!」

 

「おうよ! なんなら何度も殴ってやらぁ!」

 

「(………チョロ)」

 

見事美味しい話――完全に罠だと決まっているだろう話――に引っ掛かった二人を遠い目で見ていながら退屈な気持ちを沸かせるレイン。

もちろん、一瞬でカタをつけるつもりである。予想通りの角度、スピード、パターン通りに襲いかかってきた二人の頭をガシッと掴んで、勢いそのままに床へと叩きつける。

強烈な一撃を直撃で受けた二人は目を回し、その場にひっくり返ったままだ。とりあえず、二人から飛び出た財布から二人分の食事をそれぞれから一人分のJを取り、手を降ってカウンターへと戻る。

なんだかこういう生活が様になってきたような気がする。なんだか懐かしい……そう思えるほどに。丁度料理が完成していたミラに代金を渡し、料理を受け取ったあと……ごく普通にギルドの裏口から屋根へと順々に飛び乗っていく。

そんな中…、懐かしい光景――先程の情報で完全に思い出した――が頭のなかに再現される。

 

――ほら、レインさんも一緒に写真撮りましょうよ♪ ほ~ら、早く早く♪――

 

――分かった、分かったって。ホントにせっかちだなぁ、メイビスは…――

 

――むぅ……、わたしはせっかちじゃありませんよ。これでもどっしりと腰を据えるタイプなんですよ?――

 

――それで、足を滑らせて腰を打ち付けるオチが待ってるんじゃないのかな?――

 

――そ、そんな訳ないですよぉ。 べ、別にわたしはそんなにドン臭くなんか…――

 

――そういってギルドの資材運ぶときに転んだのは誰だっけ?――

 

――うぅ……。でも、そういって、レインさんは優しいですからね♪――

 

――お褒めに預かり光栄だよ、お姫様――

 

周りで笑い声をあげるのは当時のウォーロッドや闇に堕ちる頃のプレヒト、それに今のラクサスに似ているユーリと恥ずかしがりながらもギュッと服を掴んで笑うメイビス。

そして……当時のボク――レイン・アルバースト。当時の服装はどっちかと言えばメイビスに似てきた気がする。それに今と同じくらいに仲も良かった。

よくユーリに「メイビスとはどうなんだ?」的なちょっかいをかけられた気がする。別に真に受けた訳ではないが、少々笑ってやり過ごしたのを覚えている。

あの頃は、“天空の滅竜魔法”を覚えていなかったから、使い始めたばかりの“天体魔法”と“魔法解除(スペル・キャンセル)”、それに体術と剣術をベースに戦っていた気がする。

本当にすごく楽しかった……。思い出せた記憶が直接ボクへと伝えてくるほどに。微かに目尻に溢れる涙はその証拠だろう。

失われていた記憶でも、思い出した頭とそれに共鳴するかのように淡く輝く金色の紋章。すごく懐かしくて暖かいんだ……それが今のボクが言える正直な気持ちだ。

またあの頃に戻れたら……そう思えても戻ってはいけない。過去は過去であるからこそ価値があるんだと信じているから。

気がつけば、天辺で待ってくれていたメイビスがヨダレをダラリと垂らして食べ物に飢えていた。ああ、やっぱり彼女らしい。そう思いながら、クスリと笑い、ボクは彼女の側へと歩み寄る。幽霊と化しても彼女の身体はとても暖かく感じる。例え、それが偽りで合っても、失われた暖かさと優しさは記憶が補ってくれている。

そんな暖かさに静かに身を委ねれる日が来ればなぁ……そう思って…。

 

「お酒は今晩の《幻想曲(ファンタジア)》で飲むから我慢してよ? メイビス」

 

『うぅ……何十年ぶりなのにぃ……』

 

「ほっほ~う。なるほど、それなら今晩のお酒はボクがじっくり味わうから、安心して見てていいよ? メイビス」

 

『うぅ……わ、分かりました…我慢します…』

 

「偉い、偉い」

 

本当の意味で《妖精の尻尾(このギルド)》と彼女――メイビスに伝えたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ただいま!……と。

 

 

 





ほっほーう、オチがエンディングみたいになったけど終わらないよ!?

題名にもキチンと前編って書いてあるからね!?

一応、“冥府の門(タルタロス)”編までやるからね!?

ご期待あれ!
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