FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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はい、今回はあれです。レインとメイビスのお酒回です。

メイビス好きな方で嫌な思いしたらすいません。思うままにメイビス書くので

至らない点があるかも。まあ、それでも良いという方はどうぞ!



幻想曲 後編

ギルド《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》が行う《幻想曲(ファンダシア)》まで、あと数分

 

開催されるストリートを両側から挟む家や店などの建物の屋上にて、一人の滅竜魔導士と一人のギルドマスターは足を宙に遊ばせ、ブラブラと揺らしている。

今はまだ静けさが保たれているこのストリートはあと数分で歓喜の声に包まれ、たちまち騒がしくなっていくだろう。

それもまた新鮮であり、懐かしさすらも感じさせてくれる大切な一時である。当然二人の間に備わっているのは上質なお酒のビンと“(さかずき)”だ。

いくら見た目が二人とも少年少女であろうと、すでに未成年ではない。かたや正体不明のS級魔導士、かたや歳を取らないギルドマスターの幽霊。

そんな端から見れば、異常とも言える二人はその場の雰囲気には馴染めそうに無さそうに見えて、かなり馴染んでいる。

周りには誰も居ないのが、普通だ。何故なら皆は下で行われるパレードのようなモノを楽しみにしているからだ。

聞けば、《蛇姫の鱗(ラミア・スケイル)》の何人かが来たり、以前にナツたちと関わった者たちも来るそうな。

本当に《妖精の尻尾(このギルド)》は騒がしい。それでいて、家族のような暖かさが備わっている。だからこそ、備わっていく。

家族のために命をかけてまで戦おうと言う強く曲がることのない意思力が。それこそが、となりに座る幽霊の少女――メイビスが望んだ家族(ギルド)の形だ。

ボク――レインもそれに協力した。ところどころ記憶が欠損していても、感じられる暖かさがそれを証明してくれている。

下を眺めれば、すでにパレードを聞き付けた者共が続々と集まり、両サイドに固まってパレードを楽しみにしている。

そういえば、色々と三代目ギルドマスターのマカロフには怒られた気がする。今回のパレードは、元から参加予定だったギルドのメンバーが何人か負傷していたので、怪我が軽いものや怪我のない者が強制参加なのだ。

当然レインにもそれが頼まれていたが、メイビスとの約束を重視したのでサボったと言う訳で怒られていた。まあ、強制参加させられると気分が悪くなるのは当然である。

そんなこんなでメイビスとの約束を守ることを選んだ。それを知っていたのか、果てはそれを見ていたのか……。

横にいる見た目幼き小さくも優しく気高い妖精はボクの着ているコートの端をギュッと掴んで微笑んでいる。正直、色々と危ない気がする。

評議院とかの法律で“未成年誘拐略取”とか無かっただろうかと考えてから、呆れて頭を切り替える。そういえば、メイビスはギルドの仲間以外には見えないだった。

それに今はレイン以外にメイビスが来ていることを知らないだろう。それならば、完全にメイビスは好き放題出来るわけである。

こういう時ほどハラハラすることはないだろう。……と言うよりは、メイビスは妙な酒癖は持ち合わせていないものの色々と“お姫様”的なところがある。

昨日の夜にもなんだか似たようなことがあったなぁ…と思い出して、ふと思い出した自分を咎めたくなる。

それはさておき、パレードが始まるらしい。それならば、これ以上待たせるといじけそうなメイビスが本当にいじけてしまうので、そろそろ“お楽しみ”といこう。

すぐに上質なお酒のビンを手に取り、瞬時に片手の親指の爪をドラゴンと同様の形へと変化させ、それでビンの封をしているコルクを指で弾き飛ばす。

ポンッという空気が圧縮から解放された音が二人の耳に届き、ビンの入り口からはお酒の独特な匂いが立ち込める。

静かに二人分の(さかずき)を手に取り、トクトクと酒を真っ白な盃へと流し、綺麗な月の光が浮かんだ酒の上で微かに反射する。

二人ともがそれを手に取ったあと、元気な声で盃を軽くぶつけて笑顔で言う。

 

「かんぱーい!」『かんぱーい!』

 

互いに盃の縁に口をつけ、静かに少量ずつ酒を含んで飲み込んでいく。じんわりと喉の奥を通る冷たいお酒の温度。それでいて慣れたこの味。懐かしさがやはり込み上げる。

別にコップで飲んでいる訳ではないのだが、「ぷはぁ~!」的なことをしてみたくもなる気がする。――と思っていたのもつかの間……

 

『ぷはぁ~♪ やっぱりお酒は美味しいですね、レインさん!』

 

「あ、うん。そ、そだね」

 

予想通りと言うよりはなんだか既視感(デジャヴ)の一言に尽きる。以前にもこんなことがあったなぁ……と染々思いながら美味しそうにお酒を飲んでいくメイビスを見て、クスリと笑う。別に二人とも酒には強いわけでもなく、弱いわけでもない。

どちらも変な酒癖は全くない。酔ってからはごく普通に眠る、それだけに過ぎない。別に“絡み酒”とかいう面倒きわまりないものでもないし、“泣き上戸”って訳でもない。“気が強くなって喧嘩早くなる”訳でもない。“テンションが高すぎる”訳でもないのだ。

まさにごく普通の二人である。それでいて二人は昔から気があっている。そんな二人であり、ともに同じ夢を浮かべ、目指した二人である。

でも端から見れば、兄妹(きょうだい)にも見えなくはない。レインがしっかりとした兄であり、甘えん坊な妹なのはメイビス。そんな風にも伺える。

そんなことには気すら付いていないだろうメイビスを見ながらチビチビとお酒を飲んでいくレイン。

 

「久しぶりに飲んだお酒の感想は?」

 

『美味しいですね~、お酒♪』

 

「すごくシンプルでストレートな感想をどうもアリガトウ。イヤー、このお酒を何年も熟成させた苦労は一瞬ダナァ(笑)」

 

『あれ?何年なんですか?このお酒』

 

「えーっと……多分100年以上経つね(笑) 丁度メイビスがギルドを設立した時に精製したお酒だから」

 

『それは嬉しいですね。ギルド創成から結構経ったのがよく伝わります』

 

「そだね。本当に長い気がして短いような……」

 

そういってからまた静かにお酒をグイッと飲み干す。空っぽになった盃とは違い、ビンにはまだまだお酒がたっぷり残っている。

同じく飲み終えたメイビスが微笑みながら盃をレインに渡し、『注いでください♪』と言う。無邪気な笑顔、それがメイビスのトレードマークといっても決して過言ではないだろう。

そう思いながらトクトクとお酒を注いでいく。となりでメイビスが『おっとと……』と手にもっても溢れないギリギリまで注がれたお酒を危なげなバランスで支える。

どうみても小さいお子さまである。そんなことをうっすらと考えながら自分の盃にもトクトクと注いでいく。

そしてまた静かにお酒をグイッと飲んでいく。ごくりと飲んでいく音が聞こえ、二人は互いにクスリと笑う。

この静寂さと暖かさは相変わらず二人の気持ちや考えを共有してくれるかけがえのないモノだ。一度お酒を飲むのを止め、再び話しかける。

 

「天狼島には慣れた? メイビス」

 

『それなりに楽しいですよ? でも時々はこんな風に騒がしくても良いですね♪』

 

「そだね。また来たくなったら連れて来てあげるよ、用事がなかったらね」

 

『ふふ、エスコートされているみたいです。わたしがお姫様なら……レインさんは王子様でしょうか? それも“白馬の”』

 

「ブブッ!?」

 

吹いた。せっかく飲んでいたお酒を綺麗に吹いてしまった。まさか、カウンターをお見舞いされるとは予想していなかった。

確かに髪の毛は銀色ではあるが、まさかそれを“白馬の王子様”として訳されるとは予想だにしていなかった。それを見通していたのか、メイビスはレインの視界の端で小さくガッツポーズを取る。やられたとしか言いようがない気がする。

そんな中だ。メイビスがレインの肩に寄りかかり、安らぎを求めるかのようにしてきたのは。

 

「メイビス?」

 

『少しだけです。寄りかかってみたくなりました……』

 

「分かった。好きにしていいよ」

 

『ふふ、分かりました』

 

予めメイビスには“ミルキーウェイ”の改良型をかけてある。実体化しているから暖かさは直にレインに伝わっている。頼りない身体、優しい手の感触。それが少しずつレインの心拍数を高めているが、冷静を保つ。

静かに眼を伏せ、メイビスはレインに話しかける。

 

『レインさん。あの時、貴方も()()を使いましたね。なんで使ったんですか?』

 

「苦しみは共有出来なければ理解できない。そう思ったから」

 

『でも、それでわたしは……』

 

「分かってるよ。でも、それも一つの可能性だと思うんだ、ボクは。“一なる魔法”、それはまさに“愛”である。ボクも“彼”も君もそれを理解した。ボクがもう一度君と巡り会えたのも、一種の宿命(さだめ)か運命の可能性だと思うんだ。失えば、何かを得る。何かを得れば、失う。その繰り返しだと思うんだ、人間って」

 

『そうですね……。それだからこそ、わたしも貴方も……』

 

「そだね。だからボクも君も“人間を愛さずにはいられない”」

 

『いくら拒まれても、いくら避けられても……。そう思えたんです、わたしも』

 

「本当に気が合うね、ボクたちは」

 

二人は静かに少しだけ距離を取り直して、盃を持ち直す。眼を伏せていたメイビスも眼を開き、静かに微笑むが、その目尻にはうっすらと涙が浮かんでいる。

レインは指し伸ばした右手の人差し指をメイビスの目元に這わせ、涙を拭い、微笑みかける。

少しだけ頬を赤らめながらメイビスはクスリと笑い、お酒の入った盃を口につけ、飲んでいく。レインもそれと同じく飲んでいき、ふぅ~と息を吐いたあとメイビスに尋ねる。

 

「メイビスは、“呪い”が解けて、それでも“不老不死”のままだったらどうするんだい?」

 

『わたしは、みんなの行き先を見守りたいです。もう二度と誰も悲しまないように、近くにいながら遠くで見届けてあげたい』

 

「はは、やっぱりメイビスらしいかな。メイビスには悲しい顔は似合わないよ、本当に」

 

『むぅ……、なんか口説いてますか?』

 

「へ? 口説く? なにそれ?」

 

『……忘れてください。(やっぱり鈍感です、レインさんは。あれですよ、“天然ジゴロ”、“朴念仁”)』

 

「(う、う~ん? なんか悪いことしたかなぁ?)」

 

本当にいつも通りな二人。片方は真剣に悩んでいそうな気がするのに対し、片方は相変わらずの鈍感ぷりを見せつける。

本当に別の意味で救われない男だと思うメイビス。似たような気持ちを昔に“彼”と共有したが、別の意味で目の前のレインはあれである。

そう思いながら、お酒をちびちびと飲んでいくメイビスだったが、流石にスピードを上げすぎたらしく……飲み終えた頃には――

 

『ひっく……あれ、酔っちゃいました…?』

 

「あー、やっぱりスピード早すぎたんじゃ……」

 

気がつかないうちに何度も注いでは飲んでいたためにメイビスの目元は赤く火照ったようになり、少し身体が暑くなっていた。

一方のレインはまだまだ涼しい顔をしており、逆にメイビスを心配そうに見ていた。やはり飲むスピードを無意識に早くしてしまっていたらしい。

少しだけだが、頭がポーッとし始めているメイビスは船をこぎそうになっている。そんな彼女を心配してレインは飲んでいるお酒を飲み干すと、空になりかけているお酒のビンに封を閉め直し、メイビスを自分に寄りかからせる。

 

「流石にスピード上げすぎだよ、メイビス」

 

『うぅ……やっちゃいました…ひっく…』

 

「ほら、後はゆっくりしていいから。今日くらいならベッド貸すよ?別に床で寝ても大丈夫だから」

 

『はい……。油断しすぎましたぁ……ひっく……』

 

静かに眼を閉じ、微睡みに身を任せるメイビスを抱き上げ、レインは静かにお酒のビンをしまいながら屋根をトントン拍子で渡っていく。

腕のなかで眠りに落ちていくメイビスを見ながら、レインはクスリと笑い、輝く月の光を背に浴び、滑走する。懐かしさに身を任せながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、レインは自分の家に到着し、真っ先にメイビスをベッドの中へと入れてやる。可愛らしい寝顔を見届け、静かにその場を去ろうとするが、何かがレインのコートの端を掴んで離さなかった。

振り返って見れば、うっすらとだが、メイビスが眼を開けており、赤くなった顔でレインを見つめながら静かに呟く。

 

『そばに……いてください……なんだか寂しくて……』

 

「……そっか。分かった、安心していいよ、そばにいるから」

 

『……はい……ありがとう……ござます……』

 

そう呟き終えるとメイビスは小さく寝息を立てながら、スヤスヤと眠っていった。そんなメイビスを見つめながらレインは小さく呟く。

 

「そばにいるよ、あの時から今まで。ずっと見守ってるから……」

 





はい、やばい。本来考えていたルートに進むだろうか?ww

ウェンディが霞んでしまう気がするなぁ……、まあ次回から“ニルヴァーナ”編ですんで。

それならに出番はあるかとwwまあ、コブラさんには犠牲になってもらおうかな?

レイン無双のwwとまあ、次回もご期待あれ!!!
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