FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

15 / 80

えーっと、今回タグが増えてしまいそうな回です、はい。

まあ、暖かい目で見てください。



反転の輝き

まったく……なんでこうも面倒なことばかり起こるのだろうか?

六魔の一人を圧倒し、さっさと本陣叩きにいこうかと思えば、大切な妹のような存在たるウェンディが拐われる。

そんでもって気がつけば、ボクは暴走しており、その間の記憶が曖昧になりかかっている。

分かるのは結構なぐらいで暴れたのと、途中で自意識を取り戻したせいで不意討ち食らって崖の下にまっ逆さまということだけだ。

それどころか敵には逃げられてしまっているだろうという始末だ。本当に手を抜きすぎたような気がして、手を抜きすぎた自分に呆れ果ててしまいそうだと思うだけ。

それにしても先程からの違和感はなんなのだろうか?先程浮かび上がっていた誰かすら分からない少年が頭に時折ちらつく。

もしかしたら天狼島でその少年が喰らった謎の本。それが少年にもたらしたのはなんなのだろう……そんな疑問が込み上げるなかで、なんだか()()()()()()()()()気がする。

本当にもしかしてだが……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?……そう思ってしまうほどに。

 

「……一体、ボクは()()()()()()()()()()()()()()()()……!?」

 

確かにそうだ。メイビスと共に魔導士ギルド《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》を設立し、あの街を取り戻すためにあの未完成の魔法を発動させ、メイビスと同じく呪われた。それでもボクとメイビスはそれを知るまでは身体が成長しないことなんか気にせず、ただみんなと日々を歩んできたはずだ。

それでもメイビスと初めて会ったあの日までの記憶が全く無い……。

それ以降の記憶はあるというのに、それよりも前の……以前の記憶が欠片ほども残っていない……そんな空虚感にレインは苛まれた。

そんな中、聞き覚えのある声が頭――正確には心か何か――に響いてきた。

 

『レイン君、きこえてるかい!?』

 

なんだか聞き覚えのある声だった。しかし喉元まで出掛かっているのに出てこない。必死に思い出そうとしていると相手から名乗ってくれた。

 

『ぼくは《青い天馬(ブルーペガサス)》のヒビキだ。聞こえたら返事してくれ!』

 

「天馬の……ああ、聞こえてるよ」

 

『良かった、さっきナツ君も応答してくれたんだ。聞いてくれ! ナツ君がウェンディちゃんを発見し、救出した』

 

「え……ほ、本当なのか……」

 

あまりのことに声が掠れ、目尻が少しずつ熱くなってくる。大切な妹のような存在たるウェンディが連れ去られてから先程の悩みとともに自分を苦しめていたことの一つだったことが、仲間のナツによって救出されたと聞き、ウェンディが無事という事実がレインの嬉しさが込み上げさせた。

謂わば、レインにとってウェンディは“目に入れても痛くない”というレベルだ。完全にシスコンである。……いや違う、ただのシスコンではない。“ド”シスコンである。

別の言い方をすれば、極まったシスコンだろう……多分、きっと、おそらく……。

ジーンときていたレインに突然頭の上に謎のマークのようなアイコンが姿を現し、ロード中と示されていた。

すぐにロードは完了し、その直後頭の中にヒビキたちとの合流地点までの地図が表記される。

どうやらそこにナツもむかっているらしい。つまりウェンディがそこに現れるということだ。

それだけなのに……嬉しくて仕方がない。その高揚感が先程までの不安を打ち消してくれる。

しかし……

 

――■■■■、オレに■■を■■! ■■が!!――

 

「!?」

 

何かが胸の奥から甦ってくるかのように激しい痛みが沸き上がった。何かが自分の心臓を鷲掴みにし、何かを要求し続けているような感覚がレインを襲う。

どっと噴き出す脂汗が額から顎の辺りまで伝っていく。荒々しい呼吸が何回か続き、心臓が強く何度も大きな音をたてながら鼓動を鳴らしているのすら、聞こえるかのようにだ。

それに微かに感じる自分ではない誰かの存在……、必死に記憶がそれの正体を探しだそうとしているが、全く思い当たる場所が……

そう思ってから、あることが思い当たってしまった。先程から浮かんできた謎の少年と少女の記憶。最終的に少年が謎の本を喰らっていた記憶だ。

それに気がついてしまった途端……レインは何かに吸い込まれていくような感覚を感じた。抗っても抗えぬ力に吸い込まれ、消えてしまうような感覚に。

しばらくの間、レインの中で何かとレインが争いあっていたのかもしれないと思えるほどに彼は地面に転げ回り、苦しがっていた。

呻き声が一人寂しく森の中で響き、それから荒々しい呼吸が聞こえ、途絶える。

ゆっくりとノロノロ……いや、足がフラフラとしており、足元がおぼついていないようだったが、まっすぐに立ち上がるとともに、彼は口を開いた。

そして……言う。

 

「……やっと身体を返してもらったぞ……!! 化け物が……!!!」

 

そう言った彼の姿はいつもの彼ではなかった。いつもの銀色の髪の毛は淡い金色に輝いていて、瞳の色でさえ今は血のように紅い色を輝かせていた。

右手の甲の金色の紋章はさらに強く輝き、左手の甲にも見たことがない紋章が姿を現し、輝きを増していた。

そこに輝いていたのは遠の昔に闇ギルドによって消滅させられた天狼島にあったというギルド《赤い蜥蜴(レッドリザード)》だった。

その紋章を見てから彼は小さく鼻で笑ってから右手の紋章を優しく撫でる。なんだか懐かしい感覚がしたのか……それとも……。

そんななか、彼は眩しく輝く大空を眺めてから呟く。

 

「やっと……やっと約束、守れそうだ、()()()()。オレも約束を守りきったからな……」

 

いつもの彼らしかぬ一人称である「オレ」を使い、さらには雰囲気が完全に違う。そうすらも伺えそうな様子で彼は頭に浮かんだ地図に従い、合流ポイントへと向かい始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……揺らしすぎだろ、ナツ」

 

「ん? そうか? それよりも……起きてくれ、ウェンディ!!」

 

「どう考えても揺らしすぎだろ、ナツ。普通に肩をポンポンって」

 

「あ、あんた……本当にレインなの?」

 

「ん? お前こそ、誰だよ?」

 

「え……」

 

あのあと、“彼”はナツたちと合流し、ともにヒビキとルーシィの元へと辿り着いたのだが、手荒く起こすナツを咎めながらも、いつものレインならば怒るか、最悪ボコボコにしに行くようなことを黙認するかのような彼。

それを不思議に思ったルーシィが尋ねたが、彼は……ルーシィのことを覚えていなかった。……いや、元から知っていないような雰囲気の間違いだろう、きっと。

そんな彼にやっと不思議に思ったナツも尋ねた、すると……

 

「オレの名前はレイン、レイン・()()()()()()()だ。なんか可笑しいか?」

 

「えええ!!!」

 

「な、何言ってんだ、お前……」

 

驚きを隠せないルーシィはさておき、ナツは心底驚いていた。今までのレインとは全く雰囲気が違う上に、違う名前を言い放ったのだ。

いつもの彼ならば、ウェンディを真っ先に庇ったりするんではないのかと思えるぐらいに――と言っても、さっきの集合場所で見たことそのままなら――だが、今の彼はウェンディのことを一応気遣ってはいるが、いつも以上ではなかったし、“アルバースト”の姓を名乗らなかった。そんな今のレインに不思議がるナツとルーシィ、それを見ているヒビキ。

そんななか、小さな呻き声――というよりは弱々しい声が漏れたと言うべきか――が聞こえ、その場にいる者は反射的に振り向いた。

 

「……みなさん……? わたし……」

 

「ウェンディ!」

 

「ウェンディ、大丈夫?」

 

「ウェンディちゃん、怪我はないかい?」

 

「……………」

 

黙ったまま何も言わないレイン。それに不思議がったウェンディだが、咄嗟に全員と距離を取って泣き出す。

 

「ごめん…なさい…みなさん…わたし…ジェラールを…」

 

「ウェンディ…」

 

「ジェラールって…あの…!?」

 

“ジェラール”という名前に驚くルーシィとその他――ナツとレイン以外――だったが、静かにウェンディに近づいたレインにも驚いていた。

今のレインはいつものレインではないことはウェンディも悟っただろう。そんな彼が自ら……そう思っていた時、小さな声が聞こえた。

 

「ミスか何かおかしたなら後で謝ればいい。だが……、そのミス程度ぐらいなら取り返せ、今の瞬間にお前の力を貸して欲しがっているヤツがいるだろ、そっちを先にしたらどうだ?」

 

「え……あ、はい!!」

 

いつものレインとは違っていたが、何故かその時のウェンディには励まされたように感じた。それもいつもの彼よりも何だか……よりお兄ちゃんらしく見えたような気がして……。

それに気がつけていたのかどうかは定かではないが、ウェンディはせかせかと、苦しむエルザに近づくや否や手を(かざ)す。

すると、優しげな青白い光がエルザの上で輝き、徐々にその光はエルザの毒を駆逐していき、彼女の表情は少しずつだが強ばりが消えていっていた。

しばらくした頃には解毒が完全に終了し、ウェンディは額を軽く拭うとその場を立ってナツちちに知らせた。

 

「解毒は済みました。あの……すぐには起きないかもですけど……もう大丈夫だと思います」

 

「サンキューな、ウェンディ」

 

「うん、ありがとう、ウェンディ」

 

「確かに。これだったら大丈夫そうだ」

 

「近すぎ!!」

 

エルザの額にくっつきそうなぐらいに近づき、馬乗りしかかっていたヒビキにツッコミを入れるルーシィ。ナツもエルザが大丈夫だと分かると安心した様子を見せ、ウェンディも良かった…と胸を撫で下ろした。

すると、レインはウェンディのとなりに立つと、少しだけしゃがみ……

 

「よくやった。頑張ったな、ウェンディ」

 

「あ……は、はい……」

 

優しげな表情を浮かべ、治癒を施したウェンディの頭を撫で、褒める。それが少し恥ずかしかったのか……果てはいつものレインではないけれど、なんだがお兄ちゃんらしく見えたのか……そんなレインに撫でられたことにウェンディは少し頬を赤く紅潮させる。

何故か雰囲気は違うというのに、昔からこの人と過ごしてきたような……そんな雰囲気を感じる、そう思ったウェンディ。

そんなウェンディを見て、シャルルは少し「フン…」と言った顔をしていたが、何故かそんなウェンディに優しげな目を向けていた。

 

「さて…と。なんか聞きたそうだな、お前ら。答えるから質問どうぞ」

 

「そ、それじゃあ……ひ、一つだけ良いですか?」

 

ウェンディがまだ緊張か何かが溶けきれないのか固さが残っていたが、なんとか声を出してレインに尋ねる。

レインはそれに頷き、質問を催促した。

 

「あの……いつものお兄ちゃんですか?」

 

「あー……、なんて言えばいいか……。君知っているレインではないことは確かだ。だが、君のことは覚えている、なんだか不思議と違和感がない気がするよ」

 

「そう……ですか……。でも、なんでわたしのことを?」

 

「さあな、でも……もう一人のオレが大切に思ってたんだろうなぁ。まあ、それはそれでいいと思う。それにしても……この紋章はなんだ?」

 

レインは右手の甲にある金色の紋章をナツたちに向けて見せた。ウェンディやナツたちが首を傾げ、変な顔をするが、ここにいるレインには分からなかった。

 

「これ、なんだ?」

 

「お前…なに言ってんだ? 俺たちのギルド《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》の紋章だろうが」

 

「《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》? なんだ、それ。誰が建てたギルドだ?」

 

そう言ったレイン、しかし、突然レインは頭を押さえて呻き声を漏らした。記憶として浮かび上がり……脳内で形と化した。

 

――ほら、レインさんも一緒に写真撮りましょうよ♪ほ~ら、早く~♪――

 

――分かった、分かったって。ホントにせっかちだなぁ、メイビスは――

 

「う……ぁ……メイ…ビス……?」

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

「おい、大丈夫か、レイン!!」

 

「大丈夫、レイン!!」

 

「大丈夫かい、レイン君!!」

 

「……メイ…ビス…君なの…か……う…ぁ…頭…が…割れ…る……」

 

そう呟いた途端、レインは静かに倒れ付してしまった……。

その場にいるウェンディたちには謎を残して……。

 





えーっと、はい。前回に伏線張ってたのを回収しました。さて、次回は例の光が…!!

ってヤツです、まあ、執筆レベルを上げてがんばります、はい。

では、次回も読んでくれると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。