FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
さて、今回は前回の謎伏線回収しまーす。
これでしばらくは伏線回収は……た、多分ないかな?
真っ白でなにもない世界。そんな世界にオレはいた。果てしなく続く真っ白でなにもない世界にはオレ以外の存在がいるとは思えなかった。
――いや、気配というものが感じられなかった。ここには自分しかいないのだと、そう教えられるよりも先に本能的に理解した。
そんな中、オレの目の前に真っ黒な塊が出現した。塊……いや、あれは一冊のボロボロになった本だ。そう思った途端、その黒き本は形を変え、人のような形を作り始めた。
みるみるそれは見覚えのある形を作っていき……、小さな自分と身長が変わらない少女の姿を作り出し、閉じていた目蓋を開け、笑った。
『どうかしましたか? レインさん』
「てめぇ、メイビスの姿を今すぐに止めろ。その身体ごと滅ぼすぞ…!!」
そうレインが目の前にいるメイビスの身体をした何かに威嚇すると、相手はクスリと笑ってみせ、それからすぐに声の質を変えて話す。
『ふふ、そうかい? 君にそれが出来るのかい? レイン。君にとってこの少女は言わば……』
そう“何か”がいいかけたところでレインはとんでもないスピードで光速移動し、メイビスの身体をしたソイツの左脇腹に拳をぶつけ、吹き飛ばした。
ソイツはヨロヨロとしながらも、すぐに立ち上がり、吹き飛ばされた左脇腹をサスサスと撫でながら、クスリと笑い、次の瞬間にはそこは回復していた。
傷や抉られた場所など無かったように、綺麗サッパリと。
『痛いじゃないか? まさか堂々と殴りに来るとはねぇ、感心したよ』
「てめぇが変なこと言おうとしたからな。口封じしようとしただけだ」
『ふふ、そうかい? いやぁ、こちらとしたら君の隠し事を暴露してあげようとしただけさ。秘密と言うのはバレたら、そこで役目を終え、価値を無くすものだからねぇ』
「悪趣味なヤツだな、てめぇ。オレから身体を奪った上に別の人格を構成しやがって……。好き放題してくれたな」
『そう言っても、実はあのウェンディって娘には特別な何かを抱き、隠してるんじゃないのかな? まるで昔のメイビ……』
「黙れ!!」
『おやおや、どうやら君の
「ふざけたことを言いやがって、てめぇに頼ったオレが馬鹿みたいだ!!」
そう言ってレインはすぐさまソイツに背を向けて歩き始めた。しかし、ソイツはレインに向かってこう言う。
『そうかい? 頼らなかったら君……
死んだたよ? あの場所で大切な約束一つ叶えることすら出来ずに……ね?』
「チッ……」
レインは鬱陶しそうな雰囲気を醸し出しながら舌打ちする。確かにそうだ、あそこでアレを喰らってなければ、今頃は天狼島の地面――森林などの苗床――になっていたかもしれない。――いや、なっていただろう。アレからすでに100年経っているのだ。事実、あの場で死んでしまっていれば、ここまで延命されることなど無かっただろう。
そう思うと、少々反論出来なくてイライラする。『助けてもらって、それは無いだろう?』と言われ、言い伏せられるだけだ。
「……それで、何のようだ」
『簡単さ。このまま身体を貰おうと思ってね、今度は二度と出てこられないようにさ♪』
「本当に悪趣味だな、てめぇらは」
『おいおい、人聞きが悪いなぁ~、契約でもするかのように近づいてきたのは君だろ? 人間の癖してさ』
「そう言って……オレがいなけりゃ、ボロ雑巾の如く燃え尽きてたヤツがよく言うぜ。なぁ……
『……よく調べたね、そのこと』
オレがこのことを知ったのは結構前のことになる。ある場所にて、オレはゼレフ書最凶の悪魔ENDが創造され、造り出された場所での痕跡全てをもう一人の人格として目の前の悪魔に作られたオレを通して見ていた。
そこには数々のゼレフ書の悪魔や何かしらの研究成果が散らばっており、しまいには《Rシステム》や《エクリプス》のことが書かれた書物すらをも見つけた。
そして、その情報は今日までオレは覚え続け、今の瞬間に使うための切り札として温存していた。その中の一つが、先程のことだ。
「一言言わせて貰えば、お前もその程度だったって訳だ」
『なにを言う、我はその程度なんかでは……』
「言っておくが、オレがずっと大人しくしてた訳じゃない。オレが一旦身体を取り戻した理由、分かるか?」
そう言った途端、真っ白な世界に突然無数のヒビが入っていく。空からは眩しすぎるほどの金色の輝き、地面からは目を奪われてしまいそうなくらいに澄んだ上に綺麗すぎるほどの蒼色が木漏れ日のように輝き始めていた。
その光たちはたちまち目の前にいる悪魔を苦しめ、次々に光の鎖として繋いでいく。動きを奪われ、身体に深々と刺さりに刺さった鎖は悪魔に精神的苦痛と意識阻害をもたらしていく。
『き……さま……我を……我をどう……する気だ……』
「簡単だ、喰い殺してやる。オレの身体で好き勝手やる
『止せ……やめろぉ……我は……我はッ……我はッ!!!』
「失せろ、お前なんかに用はない。オレは一人の魔導士だ」
その瞬間、繋がれた悪魔の首筋からは鮮血が止めどなく
しばらくした後、目の前にいた悪魔は完全に姿を消し、真っ白な世界はとうとう消滅しようとしていた。だが、後ろに立つ何者かの気配に気がつき、振り返る。
すると、そこにはもう一人の悪魔によって作られた人格であるレインがそこにいた。だが、彼は何故か笑って両手を広げていた。
あれは、受け入れようとしているようにも見えた。しかし、それは……
「オレのセリフだよ、バカ野郎が……フッ、いいさ、受け入れてやる。もう一人のオレだろうと、所詮はオレだ。オレはオレでいる、だからお前もオレだ、来い」
『……………』
もう一人のレインは何も言わなかった。けれど、何故か笑っていた。それはまるでやっと帰ってこれる……そんな雰囲気を醸し出しているようにも見えて……。
そう思っていると、ソイツはオレに触れた途端消えていった。だが、レインは確かに感じた。もう一人のレインが重なり、交わり、一つの存在へと戻っていった感覚を。
そうして……レインは目を覚ました。
「お兄ちゃん!!」
「レイン!!」
「レイン、大丈夫!?」
「レイン君、無事かい!?」
まったく、目覚めた早々に手洗い。そう思いながら、オレは目を覚ます。ああ、やっと戻ってこれた、そんな感覚が実感を早めてくれる。
大きな欠伸をしてから、左手の甲で目元を擦り、眠気を飛ばす。気がつけば、そこには紋章はなく、右手の甲にある《妖精の尻尾》の紋章が金色に輝いていた。
真っ先にウェンディが涙を流しながら抱きついてくる。柔らかい身体つきが突然のしかるのを感じ、少々驚くが暖かい彼女の身体は現実ということを再認識させやすくしてくれる。
そう思いながら、兄貴らしく優しげにウェンディの頭を撫でてやる。撫でながら、静かにウェンディへとオレは呟いた。
「ああ、ただいま……ウェンディ」
『……う…ぅ…レイン……お兄ちゃん……』
「(声の音程的なものがオレとは違う感じがするなぁ……。これも元通りになったからか?)」
そう思っていると、ナツが「ムム…」と言った顔をしているのに気がつく。そういえば、さっき変なことを言ってしまった後だったような気がする。
なのでオレは真っ先に誤解を解くことを選んだ。
「あー、さっきのは気にするな。思い出した、少々崖から落ちた時に頭か何か打ったみたいだな。誤解招いたなら悪かった、すまない」
「あ、いや、そういう訳じゃないんだけどなぁ……。お前、本当にレインか?」
「ん? いや、レインだろ。レイン・ヴァーミリオン。なんか違うか?」
「やっぱり……」
そう呟くルーシィによく分からないような目を向けるレイン。確かにオレはレイン・ヴァーミリオンだ。それ以外の誰でもない、そう思っている。
すると、ルーシィは言葉を続けた。
「だってアンタ、レイン・
「は……? ……あ、そういうことか」
オレは一人納得した。もう一人のオレの名前が『レイン・アルバースト』なのだと。そして、もう一人のオレ、つまり今のオレでもあり、昔のオレでもある訳だが、レインという人物は現在悪魔なのだと理解した。多分アホみたいな回復力は悪魔のものだろう。
それに加え、滅竜魔法まで使える。これは悪魔のオレが今まで培ってきた過去の産物なのだろう。そう思うと、気が楽にはなりそうにもないが、その時の記憶は今ならある。
そう思い、オレはすぐに答え直す。
「悪い、ちょっと記憶が混雑してたみたいだな。もう大丈夫だ、確かにオレはレイン・アルバーストだ」
「ん? なら、いいか」
「やっと安心できた。ヒビキ、そろそろわたしたちも……」
そうルーシィが言ったその時だった。向こう側の空が突然輝き、真っ白な光の柱が地面から上空へと貫く。それに絡み付くかのように回りからは黒い光が収束し、次々と異常事態をもたらしていく。記憶通りならば、これは《ニルヴァーナ》の
それが分かった途端、まずは周りの状況を確認することを先決した。今のところは何もない。誰も変な様子は……そう思っていると、少し後ろに移動していたウェンディの様子が可笑しかった。耳を済ませて彼女の様子を伺って見れば……
「わたしのせいだ……わたしが……わたしがジェラールを……ジェラールを治したから……わたしがジェラールを……」
どうやら自分を貶めているように聞こえた。これは確か……《ニルヴァーナ》の善悪反転に関わる行為だ。それを理解するよりも早く、オレはウェンディの両肩を強く握り、ウェンディに叫んでいた。
「ウェンディのせいじゃない!!!」
その声に驚いたウェンディは「え?」という声を漏らし、顔を上げた。その目には涙が目尻に溜まっており、浮かなく悲しい顔をしていた。それに同じく気がついていたヒビキはもう少しでウェンディに魔法を放ってしまうところだった。
それを確認するや否や、オレはウェンディに言い聞かせた。
「ウェンディ、よく考えるんだ!! 君は間違ったことはしていない」
「で、でも……わたしはのせいで……」
「そんな風に考えるな!!」
「ひゃ、ひゃい!!!」
突然叫ばれたことに驚き、変な声が出るウェンディだが、目の前にいるレインに自然と目が向いていたことには気がついていなかった。
「君は……オレの妹分は、
「あ……」
「オレにとったらな、目の前で相手の命が危ない時に、ソイツが如何に悪者でも、クソ野郎でも、例えそれが犯罪者だったとしてもだ!! 命を見捨てるようなヤツの方がもっと最悪だ、ソイツの方が大罪人だ!! 分かるか、ウェンディ? 君はただ自分の良心に従って相手を助けただけに過ぎないんだ!!」
「た、確かに、そ、そうですけど……わたしが……」
「確かに助けてしまったのは犯罪者だ。それなら今度はオレがソイツを倒して、君の目の前に引きずりだして土下座でもさせて謝らせる!! 恩を仇で返したことを後悔させてやる!! だから君はその時に相手になんでも好きなことを言ってやればいいんだ!! 大丈夫だ、オレはお前の兄貴分だ、ウェンディのせいなんかにはさせないさ。だから安心しろ、な?」
そう言って、オレはウェンディの目元に右手の人差し指を触れさせ、目尻に浮かんだ涙をその指で拭った。その行動が恥ずかしかったのか、ウェンディは顔を赤くしていたが、それでもさっきまでの悲しく自分を
どこからか、「フュ~♪」という口笛の音が聞こえた気がしたが、あとでなんとかすればいいやと放置する。
それはさておき、目の前にいるウェンディの表情は何かに吹っ切れたような顔をしていて……いつもの可愛らしいウェンディらしい様子に戻っていた。
もう心配はいらないな……そう思い、先に立ち上がってオレはウェンディの目の前に右手を差し伸べた。
すると、ウェンディは嬉しそうにしてから小さな手でオレの手を握り返し、立ち上がった。もう目の前の少女は記憶にある泣き虫よりは強くなれている、そう思えた……。
はい、前のレイン同様、天然ジゴロというか、朴念仁らしさは無くなってませんね(笑)
まあ、変な伏線は《ニルヴァーナ編》終了後ぐらいに回収しましょう!!
では、次回も読んでいただければ嬉しいです。
P.S. 最近連続投稿が続いてますが、これが続く訳ではありません。学校あるので(笑)
というか、今年受験生でした(笑)勉強頑張ってみます、はい(笑)