FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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前回のあらすじ

作戦後もレインがウェンディに会いに行くことを誓い、その後ナツがドラゴンフォース発動。連行軍VS六魔将軍の最終決戦を開始した。

今回は結構な巨大伏線張ります。多分、冥府の門とかで回収するかな?



希望の輝き

X■■■年 ■■月■■日 現在冥府の門(タルタロス)所有地ヘルズ・コア付近

 

 

 

そこには一人の黒髪の少年がいた。そのとなりには見知らぬ少年らしき何かもいた。しかし、その者の身体は竜のような鱗が突きだし、飛び出し、乱反射の輝きを見せている。

血のように紅く染まっている眼、額から突き出した二本の竜の角、背中には畳まれている大きな白銀の翼膜、強靭な竜のような両足、同じく強靭な竜のような両腕。

まさしくそれは竜人の如き姿だった。しかし、彼は竜ではない。それと同時に人間でもない。事実、彼は悪魔である。正真正銘の悪魔を喰らい、その身を悪魔へと昇華させ、竜の力を手にした人間を超越せし、謎の存在。

ただならぬ存在たる彼、何でも間でも破壊し、滅亡させ、破滅をもたらす邪神の如き存在ではあるが、彼は元々の自意識とは違う意識を持っていた。

喰らった悪魔の意識ではなく、もとの自分の意識でもなく、あるギルドにいた頃の意識でもない、新たな人格。ただ命令に従う存在であった。

だからこそ、目の前にいる少年に付き従う。彼ならば、自分を有効に生かしてくれると思ったのだろう。最初は少年も無視をした。

しまいには邪神のような彼を殺そうともした。だが、生命を奪うことは出来なかった。“生”と“死”を司る神、アンクセラム。その神に呪われた少年の力が目の前の彼には効かなかった。少年はいつかの矛盾を思い出す。またあれが発動し、今度は自分がああなるのかと。そうならば、ぜひともそうなりたかっただろう。軽く400年近くも死ねなかったのだ。そろそろ死んでしまいたかったはずだ。

人間は殺せない自分。だからこそ、人外の存在たる悪魔を創成した。だが、どれも自分を崇拝するものにしかならない。最後に産み出した悪魔はどうなったかは知らない。

だが、それはあと。それ以前に目の前の彼をどうするかだと少年は思った。

ただ命令を待つだけの彼、そんな彼に少年は命じた。“世界を見て、破滅させるべきか、そうしないかということを判断しろ”と。

そうして彼はその命にしたがった。いつしか彼はある悪魔と同格の存在となっていた。最凶最悪の悪魔たるENDと対をなす存在。

“時代の創成と世界の破滅をもたらす神なる存在”、最強最悪の悪魔、その名は……

 

 

 

 

 

“時代”という名を持つ悪魔、“ERA”。

 

 

 

 

評議院会場と同じ名でありながらも彼はもっと力があり、その世における審判。判決(ジャッジ)を降すのはあくまで彼だと他の悪魔たちは呟く。

伝説の黒魔導士ゼレフが認める矛盾すらをも砕く神に近しき悪魔。本来の姿は人間の身体でありながら、判決を降す姿は竜人の如く、破滅をもたらす姿は邪神の如く、光も闇も彼の目の前では“一”に過ぎなかった。

どんな存在にも等しき破滅をもたらす。それこそが彼であった。しかし……、彼の意識は煙の如く霞行き、そして消滅した。

重たくのし掛かる重荷が彼を耐えられなくしたのか、あるいはそれが彼にとっての終わりだったのか……。

それを知るものはいない。それを知ろうとする者もいない。それを知れば、その者の心と身体は蹂躙さえ、等しきな破滅の戦火に苛まれ、霧のように霞んで消える。

悪魔たちもそれを畏れ、知ることを止める。知ることを止めるどころか、彼の存在をも忘れ去ってしまう。だが、かつて空を支配し、地を黙らせた竜たちの一部は忘れなかった。

彼が再び目覚める時が来ると感じたからだ。

いつか彼が元より持っていた自意識を取り戻し、今度は自分の守りたいもののためにその力を振るってくれると信じて、あの竜は記憶すらをも失いし彼に新たな滅竜の魔を授ける。

そして彼は本当の意味での強者と化し、己に課された運命を喰い千切るだろう。

まるでそれは、かの“竜王祭”の延長線上に存在するかのように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、X784年 年月不明 六魔将軍壊滅作戦 ニルヴァーナ内部にて

 

 

 

そこには一人の少女と一匹の猫が目の前にある大きなラクリマの前に立っていた。そのラクリマは破壊しても残りのラクリマが存在する限り、時間はかかるものの復活してしまうものだ。だからこそ、同時に全てを破壊しないといけない。だが……、その少女には破壊系の魔法は存在しなかった。しかし……

 

「集中よ、ウェンディ」

 

「うん、分かってる……」

 

眼を閉じ、回りの魔力や空気の流れを感じ、空間を認識するウェンディ。大きな魔力の流れ、それを感じとりながら、自分が今するべきことへと集中する。

さきほど、声を大にして自分を育てた天竜グランディーネへと懇願したウェンディ。それを聞いていたのかは分からないが、自信のようなものは確実に少女に宿っている。

そんな中だ、ウェンディはあることに気がつく。

 

「(なんでかな? いつもより空気の流れや魔力が感じ取りやすい気がする……。なんだか不思議な感覚……)」

 

今まで感じたことのない微力な魔力の流れや繊細さを要するようなものまでも感じられるようになっている。それが何故、今になって感じ取れるのかが分からずじまいではあったが、それは確実にウェンディにさらなる自信と思いを増幅させる。

自然とだが、空間の認識が強くなり、針積めた空気の流れもまるで自分の一部のようにも感じるという感覚はウェンディにある疑問をもたらす。

 

「(なんで急にこんなに分かるのかな? わたし、こんなに魔力を感じられたかな?)」

 

集中する意識とは別の意識は不思議な今の感覚の理由を脳内で詮索し始めていく。今日の朝から今までの時間の間、自分に何らかの異常があったのではないか?……と。

そうやって自分の記憶を探っているうちに、あることを思い出す。ここに来る前に兄のように慕ってきた存在であるレインに額をくっつけられたことを。

一瞬そっちの方に意識がよって顔が真っ赤になりかけたが、なんとか耐え、ある結論を考え付いた。それはレインがあの時に圧縮した魔力の一部をウェンディに託したのではないかと言うことだ。その圧縮した魔力はウェンディが何かをする時にそれを援護するようにしてあったのではないか?……と。

そう思うと、自分の側に兄レインが居てくれているような気がして……。そんな安心感がウェンディを励まし、彼女は強く……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、どうしたどうしたぁ!! ドラゴンの力って言うのはそんなもんか!?」

 

白髪に赤い目を持つ軍服の男性――六魔将軍ギルドマスター、コードネーム“ゼロ”にひたすら蹴り飛ばされる桜髪の少年――ナツ。

先程までは獅子奮迅の動きを見せ、ゼロと渡り合っていた彼だが、いつの間にか圧倒させ続けていた。先程の殴りあいで恐らく動きが鈍ってしまったのだろうが、ゼロにとっては関係ない。動けなくなろうが、肉体さえあれば、蹂躙の対象だ。

だからこそ、好きなだけいたぶって、好きなだけ破壊という蹂躙を続ける。それだけを楽しむだけだ。これを見れば、確かに“ブレイン”のコードネームを持つ彼本来の人格が封印しておきたかった理由がわかると言うものだ。

正直なところを言えば、どうみてもゾッとする残虐さでもある。だが、ナツはそれに耐えようと頑張っている。それもそうだ、彼を倒し、ラクリマを破壊しなければ、ニルヴァーナは止まらない。そうなれば、ウェンディたちのギルド《化猫の宿(ケットシェルター)》が最悪の終わりを迎える羽目になる。ギルドの仲間同士で殺しあい、潰しあい、殺意だけの感情に囚われ、自分以外の人間が滅ぶまで殺しを続けてしまう終わりに。

だからこそ、ナツは負けてはならない。自分を信じてくれているだろう仲間たちとの約束を守るためにも。何よりも仲間のためにも……と。

自分をあっさりと凌駕し、自分が倒す予定だったラクサスでさえも、レインは簡単に圧倒し、ギルドの敵――ギルドに反旗を翻す者共――を駆逐するかのように返り討ちにしてみせた。

そんな彼がニルヴァーナの発射がギルドを襲うあの瞬間、その身を呈して魔法を相殺し、防いで見せた。そのせいで彼は大怪我を負ってしまったのだ。

今の状況で彼以上の実力をもつ人物はいない。エルザだって負傷している。それに六つ同時に破壊しなければならないのだ。だからこそ、倒れることは出来ない。

いつかのレインはこうナツに言って見せた。

 

――ん? ギルドっていう家族のためになら“国”でも、“悪魔”でも、“竜”でも……例え、“世界”でも倒してみたらいいんじゃないか? そうしたらガラッと見る世界がわかると思うよ――

 

そんな彼の言葉にナツは恥ずかしながら同じ思いを得た。だから……いや、だからこそでもある。今は立ち上がらなければならない。

今のナツにとって家族はギルドの仲間たちだ。例え、それが別のギルドだろうと一緒に戦った者はすでに仲間も同然だ。

ここでともに戦い、ともに同じ敵を倒してきた仲間だ。そんなヤツらに救われた仲間だってナツのギルドには存在する。

その感謝の思いと、裏切れないという強い責任感、数多くの仲間たちの思いはナツへと集束し、大きな原動力にする。

 

「ほう……、まだ立てるのか?」

 

「……ああ。オレは負けるわけにはいかねえ……」

 

「たった一人で、一国の軍隊と同格のオレが倒せると思ったか!?」

 

「一人じゃねえ!! オレの身体の中にはみんなの……、みんなの想いが巡ってるんだ!! オレたちはお前を倒す!!」

 

そう宣言するナツ。そんなナツにゼロは不適な笑みを浮かべ……笑った。

 

「そうか……。なら、貴様には最高の無をくれてやろう」

 

今までとは格の違う強大な魔力を練り、それを発動せんとするゼロを前に、ナツは叫びながら己の全てをかけて放つ。

金色の炎の輝きはナツを包み込み、その魔力を増幅させ、今まで以上の力を引き出していく。

 

「滅竜奥義!! 紅蓮爆連刃!!!」

 

両手に強力な炎を纏わせ、その威力を全身へと伝わらせ、ナツはゼロへと強襲する。

だが……

 

「我が前にて歴史は終わる……」

 

円を描くように両手を回しながらゼロはそう呟く。

 

「無の創世記が幕を開ける……」

 

円を描いた両手は一ヶ所に集い……放たれた。

 

「ジェネシス・ゼロ!!!」

 

どす黒い緑色の輝きは突如、悶え、叫び、苦しみの声をあげる亡者へと変貌し、ゼロの回りから数を増やしていく。

 

「開け、鬼哭の門!! 無の旅人よ、その者の魂を……、記憶を……、存在を食い尽くせ!!!」

 

ゼロの命によって金色の炎を纏ったナツへと襲来する亡者たち。動揺の色を見せたナツ。

 

「消えろ、ゼロの名の元に!!!」

 

その瞬間、ナツは亡者たちに包まれていく。叫び、もがくナツだが、それは儚く、その足掻きは意味を成さなかった。次々とナツは亡者たちの流れに包まれていき……そして、光なき無の世界へと引きずり込まれてしまった……。

それを見ていたゼロは最後に呟く。

 

「これでお前も、無の世界の住人だ。終わったな…」

 

 

 

 

 

 

暗く、輝きの光さえも存在しない無の世界。ただ一人、ナツはその中で漂うだけだった。

 

「何も見えねえ……。力が入らねえ……。畜生……」

 

そう呟くナツ。そんななか、突如彼の前に見覚えのある暖かな輝きが姿を現す。聞こえてくる懐かしの声。それはかつてナツを育てた炎竜王イグニールの物だった……のだが。

ガツンっ!!

という音とともにその輝きは何処かに飛ばされてしまった。あまりのことに固まるナツ。しかし、目の前にいたのは……

 

「お前、何してんだ? なに呑気に寝てんだ? 昼寝か? 今、夜だぞ、夜。多分深夜だ、寝るなら寝るでベッドで寝ろ、身体痛めるぞ、バカナツ」

 

どうみてもレインだった。だが、おかしい。彼は確か大怪我を負ってしまったはずだ。そんな疑問を思っていると、レインらしき何かは言う。

 

「一応お前にもオレの魔力を忍ばせてたんだよ、最初に出会った時にな」

 

咄嗟にナツは投げ飛ばされた時のことを思い出す。それをみたレインはニヤリと笑い、話を続けた。

 

「――んで、お前はここで独り、無の世界の住人になるのか? お前はイグニールの息子だろ。そんなんじゃ、炎竜王の名に傷がつくぜ?」

 

「んだと、レイン!!」

 

「噛みつく力はあるのか。なら、ささっと立て。せっかくお前に期待したオレの妹を泣かせるなよ、バカナツが」

 

そう好き勝手に言うや否や……レインの魔力は何処かに消えてしまった。だが、確実にナツの中にはある思いが目覚める。

それは……

 

「覚えてろよぉ、レイン!! ぜってぇ、ボコボコにしてやる!!」

 

そう叫ぶとナツはイグニールへの送る最高の一撃を見舞うために、無の世界に金色の輝きを放ち出した。

その輝きはナツを閉じ込めていた亡者たちをも焼き殺し、ついには無の世界に亀裂を入れ、吹き飛ばす。外にいたゼロはその光景に目を疑っだが、その瞬間に戦慄する。

吹き荒れるような金色の爆炎。ナツの叫びは、ドラゴンと同等の咆哮と化し、踏み出された足はドラゴンの強靭な足を思わせた。

ナツそのものが別の大きな存在へと変化するような感覚に見舞われたゼロ。突然襲い来るナツの頭突きに耐えられず、宙を舞う。

そして……

 

「全魔力解放……!!」

 

ナツが持つ最強の滅竜奥義が今、放たれる。

 

「滅竜奥義!! 不知火型……!!」

 

金色の爆炎は不知火の如く、点滅を繰り返し、紅き爆炎へと変貌していく。その巨大な炎の渦はナツを包み込み、紅き爆炎はナツへと伝わると同時に金色の爆炎と紅き爆炎の要り混ざる強大な炎の竜巻へと変化した。

 

「紅蓮鳳凰劍!!!」

 

全身を燃え上がらせ、まるで強大な剣の如く突き刺さるナツの突進。それはドラゴンが飛翔を始めるが如く……天へと昇っていった。

 

「ぐおおおおお!!??」

 

「うおおおおお!!!」

 

ゼロの断末魔、それを飲み込むようなナツの咆哮。そして……突き破られていくニルヴァーナの階層はついにラクリマの部屋へと到達し、ナツの最後の大技はラクリマを吹き飛ばした。

 

 

 

 

同じく一方の仲間たちは……

 

氷の造形(アイス・メイク)、“砲撃(キャノン)”!!!」

 

「モオオオオ!!!」「「いっけえええ!!!」」

 

「ハァ!!!」

 

「煌めき、無限大ー!!!」

 

そして……ウェンディも

 

「(みんなのためにも、絶対に…!!!)」

 

その想いとともにウェンディは身体の中にある魔力を一点に集中し、溜め込んでいく。口のなかに溜まっていく風たち。それを的確に……ラクリマへと放つ。

そんななか……、ウェンディは誰かに背中を押されたような感覚を味わった。トンっと押され、誰かが「いけ、ウェンディ!!!」とでも言っているかのように……。

それに答えたのか、ウェンディは勢いのまま放つ。

 

「天竜の……咆哮!!!」

 

撃ち出されたようなブレスはそのまま、固いラクリマへと直撃し、みるみる亀裂を広がらせ……砕き伏せた。

見事、ラクリマを破壊したウェンディとシャルルは感動に声を震わせ、お互いに嬉しさを共有した。そんな少女が感じた謎の後押し……ウェンディにはそれが誰だか分かっていた。

 

「(最後まで、応援してくれたんだ……、お兄ちゃん!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、レインの方はというと……

 

 

 

両手を組み、頷きながら崩れ行くニルヴァーナを眺める。だが、レインもまだ最後の一撃を見舞っていない。だから……

 

「さぁて……、とっととぶっ壊してやるか!!」

 

そう叫ぶとともにレインの左手は見たことのない紋章を浮かび上がらせ、それは強く鼓動を打つかのように光を増させる。

赤い輝きは彼の魔力に反応し、次の瞬間には金色の紋章の輝きへと変化する。それとともに、レインは左手を前へと突きだし……、叫んだ。

 

「集え、妖精に導かれし光の河よ!! 照らせ、邪なる牙を滅するために!!」

 

集束された光の輝きは目の前にあるニルヴァーナの中心に狙いを定めるようにロックオンされていく。

そして……レインは強く唱える、メイビスとの盟約によって手にした最強の妖精三大魔法の一つ、彼女が管轄する一点集中の超攻撃型の一撃を。

 

妖精の輝き(フェアリーグリッター)!!!」

 

太陽と月、さらには星の光を集め、凝縮した破壊の閃光は対象たるニルヴァーナの中心を外すことなく、破壊し尽くす。

その威力に少々ドン引きしそうになるレインだったが、彼は少しだけクスリと笑い、こんな魔法を管轄しているメイビスに感心しそうになる。

 

「(まったく……本当にお前も……)」

 

そう心のなかで言うや否や……レインは六番ラクリマがあると思われる場所へと空中を地面を蹴り飛ばすように駆け出した。

心配すぎて離れるのに悩むくらいの(ウェンディ)を助けるために……。

 





さて、次回はアニメや原作コミックス題名で言えば、「たった一人のためのギルド」です。

まあ、ニルヴァーナ編最後なんで頑張ります、引き続き。

それ終わったらしばらくはあれです、オリジナルストーリー的な……あれです。

それもちゃっちゃっと終わらせて、エドラス行くんでご安心を♪
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