FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
はい、今回の投稿で三日間休み貰いまーす。ってな訳です、はい。身体を悪くしました。
今日の朝から体調悪いです、とりあえず休暇をゆっくりします。
しばらく学校も無茶しないようにしないとなぁ……。
チェンジリング、再び
覚えているだろうか?
かつて《
それにより、発動した身体と精神を入れ替える魔法は30分経つと戻ったり戻らなかったりとあやふやではあるが、それによって様々な魔導士たちに悪夢とトラウマを残していった物だ。
一度はあのS級魔導士であり、“
結局は全員が戻れたわけだが、今回はその《チェンジリング》が再び悪夢を見せる、そんなお話である。
六魔将軍壊滅作戦その後、数日後の《妖精の尻尾》の書庫では……
「……ったく、こんなに散らかしてたのか、誰だ、こんなことしたヤツ……」
「ごめんなさい、お兄ちゃ……レインさん。わたしのお手伝いなんて」
そこでは一人の少年と少女が色々な本などが仕舞われている書庫にて、書類整理のようなことをしていた。
青く長い髪を持つ少女――ウェンディ・マーベルは《
誘ったのはもちろん、目の前にいる金色の髪にウェンディと同じ青い髪が一房ある少年――現在S級魔導士内にて最強かと謳われる少年であるレイン・アルバーストである。
――と言っても、本人は名乗るときにレイン・ヴァーミリオンと名乗るのだが、これはこれで理由があるためである。
それはさておき、そんなS級魔導士の少年レインが何故、ウェンディの手伝いをしているのかと言うと……
「別に天狼島ぐらい行っても悪くないだろ……」
例の如く、またもや天狼島に事実上の不法侵入により、クエストを受けることを制限されてしまったのだ。それでS級以上のクエストが受けられないために、他の依頼を探したのだが、しっくり来るものがなく、妹のような存在であるウェンディの手伝いをしているわけだ。
「別にわたしのお手伝いなんて大丈夫ですよ? わたしだってこれぐらい出来ます」
「あー、それに関しては心配してないさ。でもなぁ……、時々変なもの混ぜてたりするんだよなぁ……、マカロフさん」
筋が通ってはいるが、内心は2割だけである。ほぼ8割はウェンディを心配してのことである。少しの間であっても、ウェンディと暮らしていたことがある分、彼女がどれくらいドジなのかぐらいは把握している。こんなところで梯子から落ちられたら、洒落にならないと思ったのだ。あくまでそれが本音であるが、それを本人が知ると傷ついてしまいそうで黙っておく。
それとなのだが、ウェンディが何故、レインのことをいつもの“お兄ちゃん”ではなく、“レインさん”とさん付けしているのかと言うと……
「別に今まで通りでいいんだけどなぁ……」
「いえ、そんな訳にはいきません。わたしだってそろそろお兄ちゃ……レインさんに頼りっぱなしは出来ないです。(本当は強くなってお兄ちゃんや皆さんの背中を守れるぐらいに……)」
「まあ、それも成長だし、そうするか。どうしてもって時は頼ってくれ、助けるからさ」
片手に書類や本を持ちながら、ウェンディにそう言うレイン。そんなレインに無意識に憧れているのではないかとは思えるほどのウェンディは、少し嬉しそうにしながら整理を続ける。
ギルドに入ったばかりのウェンディにマスターであるマカロフから言い渡されたのは、小さな依頼とギルドでの環境に馴れることだった。
そのために、ギルドの中にある施設やら何やらを知るために、書庫の整理を任されている。ちなみに現在シャルルの方は、ルーシィやエルザたちと共に別の依頼らしい。
レインが居れば、危ないことには巻き込まれても無事だと踏んだのだろう。確かにボディーガードよりも強固な壁がここにいるのだ。おそろく並の魔導士……いや、並のS級魔導士だろうと、普通に圧倒し、追い払うような実力の化け物であるためだろう。
本人は大したことはしてないといつも遠慮ぎみなのだが……。
「ウェンディ、その本はちょっと上の方のヤツじゃないか?」
「あ、はい。えーっと……」
握っていた本の位置を覚えていたらしいレインは素早くウェンディに指示を回し、本を次々と整理し終えていく。そんなレインに影響されたのか、ウェンディも大体覚えてきた。
それとここ最近なのだが、レインは時々ウェンディが時間ある時に、魔法の練習の相手になっている。ついこの間は、覚えたばかりの“天竜の咆哮”を繰り返し練習していた。
それが終わったあとの休憩時にレインが出すデザートのショートケーキが美味しく、時々エルザが反応するのだが……
「正直、エルザがあれほどだとは予想してなかったなぁ……」
「あはは……、確かに結構食べてましたね……」
少ししか用意してなかったために、エルザが不服げに別のケーキを買ってきたりしていたのだ。思わず、レインも目を丸くするほどに。
レイン自身もあまり料理の経験がなかったはずなのだが、もう一人の自分が料理得意だったのだろうと推測している。
そんな時だった。ウェンディが整理のために本を一冊引いて、入れ換えようとした時、一枚の紙がヒラヒラと宙を舞って落ちていくのが、目に見えた。
それに気がついたウェンディとレインはそれぞれ梯子から降り、その紙を拾い上げる。
「ウェンディ、それは?」
「なにかの依頼書でしょうか? えーっと……なんですか? これ」
ウェンディはよくわからない文字が書かれたその依頼書をレインに渡す。それ受けとるとレインは首をかしげるが、そのあとに「何処かで見たことがあるような……」と呟いた。
結構喉元まで出掛かっているのだが、中々思い出せない。そう思っていると、ウェンディがその依頼書を見てからあるところを見て、言った。
「ここ読めそうです、えーっと……ウゴ・トゥル・ラス・チ・ボカラニ……」
そうウェンディが言った瞬間、レインはある悪夢の一端を思いだし、咄嗟にウェンディがそれを詠唱するのを止めようとした。――が、結局間に合わず、ウェンディが最後の言葉を読み上げてしまった。
すると、その場にいたレインとウェンディが虹色の光に包まれていく。咄嗟に叫ぼうとしたが、突然の変な感覚のせいで喋ることが出来なかった。
そうして、虹色の光が消え去ると、ウェンディは呟いた。
「さっきのなんだったんでしょう?」
そう言いながら、レインのいる方向へと振り返る。だが、そこには誰もいない。逆の方向へと振り返ってみれば、そこには
「あれ? わたし?」
「……ウェンディ、読んじまったのか……」
レインは呟くが、実際に呟いたのはウェンディ。それに気がつくと、ウェンディはみるみる内にビックリ仰天と言ったような顔をして、叫びそうになる。
――が、目の前にいるウェンディ(多分レイン)が憤怒の炎をあげているような見えたので、そっちに驚き、声が結局出なかった。
しかし、それは一端鎮火され、レインはウェンディに告げた。
「多分、オレたち入れ替わったと思う……。さっきの依頼書、前に悪夢をもたらした《チェンジリング》だ……」
「え、えーっと、それはつまり……わたしがレインさんの身体で……。レインさんがわたしの身体ってことですか……?」
「おそらく……、今視線がいつもより低い。それと体重が軽く感じる……。いつもより少し軽めな気がする」
「わ、わたしの方は……視線が高くて……、少し身体が重たいです……。えーっと、鏡ありました?」
「これ? はい、ウェンディ……」
レインが一応置いておいた机の上にあった鏡をウェンディに手渡す。急いで鏡を見るや、ウェンディは固まり、呆然として無言になる。
どこからどう見ても、鏡に映っている自分の姿は、金色の髪を持つコート姿の少年。逆にレインはと言えば、緑色に着色された民族衣装のような服装の青く長い髪を持つ少女だ。
レインは面倒くさげに頭を掻こうとしたが、手触りのいい髪を触って少し驚く。
「ウェンディ、髪にも気を使ってるんだな」
「そ、そんな場合じゃないですよぉ!!!」
「だよなぁ…。確か、使える魔法が中途半端に……あれ?」
そう言っていると、レインは適当に左手に魔力を集めて、即座に“天竜の鉄拳”を用意しようとしてみる。すると、何故か普通に使用できるほど、形がしっかりしており、安定していた。
「……なるほど。オレとウェンディの魔法は同じ“天空の滅竜魔法”。大きな違いは無いし、あったとしても“動”と“静”。攻撃型が治癒型か……って話だ。今、ウェンディは攻撃魔法覚え始めたから、ほぼ差なんてない。……ってことだから普通に使えるってことじゃないか?」
「なるほどです。じゃあ、わたしも使えたりしますか?」
「多分。“天竜の咆哮”とか使えると思うなぁ。――はさておき、そろそろマカロフさんに詰問しないと行けなさそうだな」
「あわわわわ……」
大慌てになるウェンディ。――と言っても慌てているのはレインの身体。逆に今にも怒ってしまいそうなレインはウェンディの身体でメラメラと燃え上がりそうになっている。
なんとも正反対のような光景だ。――実際正反対なのだが、中身と外見が……。
ギルドにある酒場のカウンター席に座る一人の老人。その老人こそが、このギルドの三代目マスターなのだが、普段はごく普通のお爺ちゃんにしか見えない。
杖を片手にお酒をグビクビと飲み、プハァ~と言う姿は見慣れている者たちが多いはず。それはさておき、そんなマカロフの近くにいるウェイトレスの女性、ミラジェーン。みんなからはミラと呼ばれている彼女はいつも通りに皿を洗ったり、注文をさばいたりしている。
そんな彼らの近くで食事をしているのが、最強チームと呼ばれているメンバーの一人、ナツとグレイ、ルーシィとエルザ、ハッピーだ。それと今回はシャルルもいた。
ナツはいつも通りに肉やら野菜やらを手当たり次第に口のなかへと詰め込んでいく。グレイは軽めにサンドイッチやらの食事を取り、ハッピーは魚を頂いていた。シャルルはナツやハッピーに呆れながらドリンクを飲み、エルザはケーキを、ルーシィはパスタか何かを食べていた。
「そういや、ガツガツ……、レインとウェンディ、ガツガツ……、は何処に行ったんだ?」
「アンタねえ、食べるか喋るか、どっちかにしなさいよ……」
「ウェンディはレインと一緒に書庫の整理よ、あの子張り切ってたわ」
「なるほど、ウェンディも兄のようなレインと一緒なのは嬉しいのだな」
「まあ、レインもそれで暇潰せてるんだからいいんじゃないのか? 無駄に強いから、飽き飽きしてそうだったしな」
「今度は、ガツガツ……、ぜってえー、ガツガツ……、かぁーつ!!」
相変わらず食べながら喋るナツに注意するルーシィ、それに気にせず、魚を食べるハッピー。こちらも見慣れている者が多いだろう。
そんな中、書庫の方から出てきたレインとウェンディを見て、シャルルが声をかけようとするが、様子がおかしいことに気がついた。
ウェンディがマカロフの元に辿り着くや否や、突然……
胸ぐらを掴んだ。
「「「「「え……?」」」」」」
思わず状況分からないナツたちがそれぞれポロッと口から何かを溢したりするが、一番驚くべきことはマカロフの胸ぐらを掴んだウェンディだ。
あんなにピュアで優しく健気な子が……と思った途端、近くにいたレインが泣き始める。
「うぅ……なんでこんなことにぃ……」
その泣き方はウェンディそのもので、しゃがんだまま涙をポロポロと溢していた。一方のウェンディはというと……
「マカロフさん、アンタ、なんであれを処理してないんだ!!!」
「どうえええええええ!!!???」
完全に酔いが冷め、びっくりするマカロフ。高々と持ち上げられ、ジタバタジタバタともがく。掴んだまま、持ち上げているウェンディの眼は途方もなく怖く、まさにキレた時のレインそのものだった。
それに気がついたエルザは青ざめた後に、ある結論を口にする。
「…ま、まさか……、《チェンジリング》なのか……?」
「「「「ちぇ、《チェンジリング》って確か……あの時の……」」」」
ナツたちはあの時の悪夢を思いだし、それぞれで呻いた。30分経ってしまった時の絶望、その後戻れた時に感じたその魔法への恐怖感。
それが一気に四人(猫一匹を含む)に甦る。他にも食事や依頼を選んでいた魔導士たちもそれぞれで嫌な顔をし、後退りをする。
すると、ウェンディ(中身レイン)が手を離し、ドシンと腰を打ったマカロフの前に依頼書を出して、詰問した。結構目が本気だ、教えなければ殺す的なあれだ。
「マカロフさん……、まさかとは思うが、これ。本のしおりとかにしてないよなぁ?」
「し、しておら………、……………」
黙り混んだ。マカロフは黙り混んだ。どうやら思い当たることがあるようで……。
「やっぱり、なんかの魔導書読んでるときにしおりにしたな?」
「しゅ、
「マスターぁぁぁ……」
と悲鳴のような声を出すレイン(中身ウェンディ)。座り込んだレインのそばにより、慰めようとするウェンディ(中身レイン)。完全に二人は入れ替わっていると分かるや否や、シャルルは二人に駆け寄り、先に告げる。
「アンタ」
「ん?」
「妹だからってウェンディの身体に触らないようにね」
「それぐらいのデリカシーは当然ある。……というより、妹に変なことした時点で兄貴失格だろ……」
「お兄ちゃぁん……わたし、どうしたらぁ……」
「泣くな、泣くな。まずは出来ることからすればいいんだ、ウェンディ」
そこに駆け寄ってくるナツたち。それぞれが状況を完全には飲み込み切れてはいないが、どうやら大体は分かったらしい。
「えーっと、そっちがレインで……、こっちがウェンディ?」
「ああ」
「はい……」
「んで、今んところ、レインとウェンディの二人だけが入れ替わってるのか……」
「だな」
「そうです…、多分…」
「ところで、魔法はやっぱり中途半端なの?」
「いや、元々同じ魔法だからな。普通にオレもウェンディも使える」
「わたしも天竜の咆哮使えました……」
「あれ? ということは何処かに撃ってきたの?」
「はい、さっきお兄ちゃんが外で軽く試すって、湖のほうに」
「なるほどな、それで先ほど湖の方から変な音がしたのか…」
などとそれぞれ尋ねてくるナツたち。それはともかく、ウェンディ(中身レイン)はすぐにマカロフを捕まえ、みんなの目の前に出すと、軽く一睨みする。
普段は怒るだろうが、今の状況の原因はマカロフにあるので本人は縮み上がる。まあ、それも仕方ないことだ。まさかしおりのように危険物を処理せずに扱ってしまっていたのだから。
さて、それはともかく……
「これどうにかしないと洒落にならなくないか?」
「そうね、アンタがウェンディのままだと変だし」
「こ、これって解けるんですよね、ルーシィさん……」
「う、うん……。前は30分とか言われたせいで凄く焦ったけど……、なんとか解ける。レビィちゃんがいないけど……」
そう言うルーシィ。確かにレビィは今日の朝にシャドウギアのメンバーと依頼に出掛けてしまっている。そうなると、術式とかで詳しいフリードしか他にはいない。
だが……
「フリードも今日は雷神衆で依頼に出掛けたばかりだな、――ってことは詳しいヤツがいねぇな、今日は」
「そ、そんなぁ……」
「マジか……。ってことは自力しかないよなぁ……。これ使うか」
そう言うとウェンディ(中身レイン)がレイン(中身ウェンディ)のコートに手を突っ込み、すぐさま眼鏡のようなものを取り出す。
レビィが以前この件のときに使っていた“風詠みの眼鏡”だ。しかし、色を別のものにしているのか、ベースのフレームが青色である。
「それってレビィちゃんと同じ“風詠みの眼鏡”!?」
「――って言っても最新型のヤツだ。確か……32倍速だったか」
「は、早ッ!? んなもんあったのかよ!!!」
「ああ、直接企業の方に買いにいったからな、普通にあった」
「そりゃそうよね、作ってる側はまだ出品や前なんだし」
「そ、それはともかく、それがあったらこの魔法をなんとか出来るんですか!?」
「まあ、読んで意味を理解すればな。経験者たちが前にレビィが言っていた解くときの呪文忘れたせいでこんな目にあってるんだけどなぁ? あと、マカロフさんがしおりなんかにしようとして依頼書畳んでしまうから」
「しゅ、
そう言うと、ウェンディ(中身レイン)はそれをかけるとすぐに椅子に座り、書庫から前もって出しておいた古代語の文書を読み漁っていく。
全員がその場でゴクリと喉を震わせ、呼吸を忘れるぐらいにその場を見守っていく。
――だが、結局それほどまでに詳しくないために、ウェンディ(中身レイン)が断念する。しかし、その際にウェンディ(中身レイン)はあることを思い出した。
基本的な魔法が使える今の状態なら、レイン(中身ウェンディ)が“
それを言った途端……回りにいたナツたちとウェンディ、マカロフは声を揃えて……
「「「「「「「「あ、その手があった……」」」」」」」」
その後、無事に《チェンジリング》が記された依頼書は焼却処分されたらしい……。
はい、最後のオチ酷くね?って思いました? 色々と書いてて楽しかったんですが、
あのままだと前編後編の二つになりそうでした。スイマセン、色々と身体も限界でした。
ゆっくり休みます、みなさんもお体に気をつけてください。