FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
今回は閑話休題的な……奴です、はい。
まあ、前回登場したオリキャラのフィーリとウェンディの話です。
P.S.
作者の執筆スキルは平均より下かも……(笑)
魔導士ギルド《
今日はいつもとは違う意味で騒がしかった。いつもならば、確定で喧嘩または言い合いなどが始まったりするのが普通であり、騒がしいのは騒がしいのである。
しかし、今日は別のことで騒がしいのである。その理由はと言うと……
「――ってな訳だ。別に誘拐とかしてきた訳じゃねえぞ」
「がう」
この二人がその理由である。
いつも通り朝起きてからギルドに向かっていたレインだったが、後ろから着いてくる小さな何かに気がつき、確認してみればこの少女――正確には狼のような耳とフサフサの尻尾をもつ少女だが――が着いてきており、どう誘導しても着いてきたので諦めたのだ。
結局ギルドまで着いてきて、レインは現在説明を求められているのである。
「えーっと……、お兄ちゃん? この子の名前聞いていいですか?」
「ああ、一応“フィーリ”って名前らしい。下の名前無いみたいだったから“ムーン”ってのを昨日つけたところ」
「へぇ、フィーリちゃんって言うんですね、人狼なんですか?」
「そうみたいだ。嗅覚はオレ以上に効くわ、聴覚もオレ以上、素早さもオレ以上だ。色々と大変だった」
「がう」
「そんでまぁ……、少し困っててなぁ。離れようとしないんだよなぁ、コイツ」
フィーリの頭に手を置き、撫でながら呟く。撫でられたことに喜び、尻尾をジタバタ動かしている。ウェンディもそんな少女を見て、少し驚いてからレインの悩みの理由を理解した。
「ところで、フィーリちゃんは言葉が話せるんですか?」
「一応。少しだけ教えておいたんだが……」
「パパ」
「は?」
「レイン……パパ」
「お、お兄ちゃん……。ふぃ、フィーリちゃんに……」
「誤解を招くような言い方するな!! 別に名前着けたらなついたんだよ」
レインは片手で頭を掻きながらため息をつく。一方のフィーリはレインの今着ているコートにスリスリしていた。
ところが、急にウェンディの方をジーっと見始めた。
「え……あわわわわ……」
怒らせてしまったのかと慌てるウェンディ。しかし、フィーリは予想しなかった行動を取った。少しずつウェンディに近づき、思わず尻餅をついたウェンディの上に乗り掛かり、顔の方へと近づいていく。
少しずつ涙目になっていくウェンディ。すると
――ペロッ
顔を近づけたフィーリはウェンディの頬を下で嘗めると、彼女の顔を覚えるようにジーっと見てから呟いた。
「ウェンディ……お姉ちゃん」
「え……えええええ!!!???」
「あー、やっぱそうなったか……」
それを察していたのかレインはため息をつきながら、ウェンディを見る。おおよそのことだが、恐らくレインの近くに数多くいたウェンディには自分の匂い――ドラゴンの鼻ですら効き分けられないほどの微量な匂い――があったのか、それを感じとり、見た目的にも姉妹だと勘違いしたのかもしれない。勘違いした要素にフィーリの髪が淡い青色のためだろうとレインは思う。
ふとそんなことを考えていると、ナツが近くにやって来てフィーリに近づいた。
「よろしくな、フィー……」
――ガブッ
挨拶をしようとするナツが差し出した右手に噛みついた。噛みつかれたナツも驚き、急いでフィーリから離れた。
少々ナツの手から血が出るが、フィーリはガルルルルッ!!!と言いながら彼を睨んだ。
「……言い忘れてたけど、フィーリは一定の人間相手にしか興味、またはなつかないらしい。ウェンディは多分……たまたまだろうな」
「いててて……」
「だ、大丈夫ですか、ナツさん?」
「くそっ、ぶっ飛ばす!!」
「な、ナツさん!?」
流石に怒ったのか、ナツがフィーリに向かって“火竜の鉄拳”を放ったが、少女は軽々と避けて見せ、ナツの背中に取りつく。
すると……
「がうがうがう!!」
「なんだ? ぐおおおおおお!!??」
フィーリの身体が金色に輝くと同時にナツにとんでもない高圧電流が流れ出した。感電したナツは真っ黒焦げになり、煙を吐きながら倒れ伏す。
一方のフィーリはなんとも無さそうにし、すぐにレインの元に駆け戻り、彼に甘える。その光景に誰もが驚いていたが、レインはめんどくさいそうにしながら説明した。
「えーっとな。まずさっきのは“雷狼の
「あ、あのナツが一撃だと…!?」
驚愕したグレイをチラッとフィーリは見るが、直ぐに顔を背け、次はウェンディの側に駆け寄ると甘えようとしてきた。
よくまだ訳がわからなかったが、試しに頭を撫でてみると、フィーリの髪は意外にサラサラで隣に生えている獣耳を触りたいと言う気持ちに駆られそうになった。
ウェンディが少し楽しそうにしていると、となりに来ていたシャルルは少し不服そうにしていたが、今は近づくべきではないと感じたらしく、距離をとっていた。
「まあ、そんな訳でフィーリをどうしようか考えてたんだが……。ウェンディに任せるか」
「え? ちょ、ちょっと待ってよ、お兄ちゃん!!」
「そ、そうよ、ウェンディにこの子がなんとか出来ると思ってるの!?」
シャルルが反対する。しかし、レインはフィーリが確実にウェンディになついていることに気がつくと、ため息をつきながらも告げた。
「多分、オレが世話なんかしてたら変なことなるだろ。第一、オレは男だ。昨日だって大変だったんだぞ? それに比べれば、ウェンディは女の子。同性だし、大丈夫だ。見たところなついてるんだから、変なことしないはずだしな」
「そ、そう言われても……」
「クゥ~ン」
「や、やっぱりどう見ても狼みたいね」
鳴き方も狼であるフィーリにシャルルはどうしようもなく、少し黙り混むことにした。流石にナツを一撃で仕留めたこの少女をどうにか出来るとは判断できなかったらしい。
すると、ウェンディは決心したのか……
「わ、分かりました。フィーリちゃんはわたしが責任もって面倒見てみます。時々手伝ってくれますよね、お兄ちゃん」
「ああ、まあ週に3回ぐらいなら手伝えるだろ」
「本当に大丈夫なのか? ウェンディ」
最後にそう訊ねるエルザにウェンディは頷く。また同じようにフィーリがエルザをチラッと見たのだが、やはり気に食わないのか、すぐに興味を無くしていた。
その後、レインと共にフィーリにギルドのメンバーを紹介したりなどしてみたのだが、結局なついたのはレインとウェンディだけ。――実際はメイビスにもなついていたのだが…。
その日は仕事を選ばず、二人と一匹かがりでフィーリに言葉を教えることに専念した。
そしてその夜……
「今日は少し疲れたかも……。シャルル、先にお風呂入ってて」
「分かったわ、アンタもその子と入るときは気を付けなさいよ?」
「うん、分かってる」
フェアリーヒルズにあるウェンディの自室では、お風呂へと向かったシャルルを除けば、現在はウェンディとフィーリだけとなっていた。
そのフィーリはすでにウトウトと船を漕いでおり、恐らくもう眠たいのだろう。よくよく見れば、少女の服装はレインが使っていたと言うコートとボロボロのズボン、胸の辺りに巻いたサラシだけとなっている。
レイン曰く、どんな服装をなんとか着せたとしても気に入らないのかすぐに破く、または脱いでしまうらしい。
特に胸の辺りにはサラシ以外の何も気に入らないのか、シャツ数枚破いてしまったようだ。最低限の格好があれらしい。
他に何か出来ないかなぁ~と考えるウェンディ。しかし、気がつけばあっと言う間に時間が過ぎてしまっていて、シャルルがお風呂場から出てきて着替え終わっていた。
「そろそろアンタもその子と一緒に入りなさい、わたしは先に寝ておくわ。色々と大変そうだしね」
「うん、気遣ってくれてありがとう、シャルル」
「気にしなくていいわ」
そう言うと、シャルルはベッドに入ると、すぐに寝息を静かにたてながら眠ってしまった。シャルルの気遣いに何度も感謝しながらウェンディはフィーリを起こすと、二人でお風呂に入ることにした。
熱いお湯の出るシャワーが格別に気持ちのいいものだと感じるウェンディ。しかし、フィーリは身体に触れる水滴に気持ち悪そうにしてから逃げようとするが、ウェンディがなんとか動きを止めさせ、大人しくさせる。
少し汚れた身体を洗うために、一応頭にシャンプーハットを被らせ、シャカシャカと洗っていく。頭を洗ってもらうのは気持ちいいらしく大人するフィーリ。
「気持ちいい?」
「がう♪」
「ふふ、良かった~」
洗っている側であるウェンディも気分が良くなる。すると、あることに気がついた。頭を洗っているときにも避けていたのだが、この狼のような耳は洗う必要がありそうだが、触っていいのかということだった。
流石にウェンディもどうすればいいのか分からなくなり、フィーリに訊ねることにした。
「この耳、触ることになるけど……いいかな?」
「……がう」
「手早く済ませるね」
そう言うと、ウェンディは泡のついた両手で優しくフィーリの耳を洗っていく。すると……
「ふあ……んっ……がぅ……んっ……」
急にフィーリが発する声が弱々しくなり、身体がガクガクと震えだした。どうやら敏感な部分らしい。そう判断するとウェンディはさっきよりも早く終わらせようと洗っていく。
しかし、フィーリの震えはさっきよりも激しくなり、ついには……
「……んぁっ……」
「だ、大丈夫!?」
「……が…ぅ……」
身体が痙攣したのか、フィーリは身体が言うことを聞かないのか、ウェンディの身体に寄りかかる。心配するウェンディにフィーリは少しだけ目を閉じ、スヤスヤと寝息を立て始める。
その後なんとかフィーリの身体を洗い、シャワーで流し終えるとウェンディは自分の分の着替えを済ませ、フィーリの着替えをどうしようか悩んでいた。
「う~ん……、どうしたらいいのかなぁ……」
レインの話によると、着替えさせようにも服を後から破いてしまう可能性もあるため、簡単に着替えさせられなかった。
そうやって悩んでいると、フィーリが目を覚ます。それからウェンディの格好をチラッと見ると、彼女の服が入った引き出しを嗅覚で見つけ、その中からいくつか服を選んだ。
どれもウェンディが今着ている服と似ており、サイズも着ている服と同サイズだった。
「え、えーっと……」
「パジャマ…着る…どれに…したら…いい……?」
途切れ途切れだが、フィーリは言葉を話すとウェンディの持っていた服から選んだ何種類かの服装を指差した。
そんなフィーリにウェンディは素直な気持ちで訊ねてみた。
「どの色がいいの?」
「……これ」
フィーリが指差したのはウェンディが今着ている優しめ色合いをしたピンクのパジャマだった。それを確認すると、ウェンディはフィーリにその服を着せていく。
やはりサイズがフィーリにとっては大きめなのか、簡単に着替え終わり、獣耳の少女は身体を動かしながら服の感覚を感じ始めた。
「それでいいの?」
「がう」
どうやら気に入ったらしく、フィーリはすぐにフカフカで気持ちの良さそうなベッドを見つけると、そこにダイブする。
やはり眠たいらしい。時間的にはまだまだ余裕があるのだが、ウェンディも今日は疲れていたのか眠たくなってきていた。
掛け布団を広げ、フィーリと共にベッドに入ると、部屋の電気を消した。――のだが、真っ暗闇の中でフィーリの眼がうっすらと光を放っていることに驚き、少しだけ明かりをつけることにした。
「おやすみ、フィーリちゃん」
「お…や…す…み…?」
「うん」
「おやすみ、お姉ちゃん……」
新たに言葉を覚えながら、フィーリはスヤスヤと寝息を立てていった。そんな少し変わった妹が出来たような感じにウェンディも嬉しそうにしながら、同じように寝息を立てていくのだった……。
一方その頃、レインはというと……
「……ウェンディ、大丈夫なのか、今頃」
着替え終わったレインもまた、少しの間自分の判断が正しかったのか、それに加え、預けたフィーリがウェンディに何か悪いことをしていないかと気になっていた。
まあ、自分で預けておいて今頃不安になるのも色々と可笑しいことなのだが、結構フィーリが夜中に動き回ることがあったためにそこが特に不安になっていたのである。
「……まあ、多分大丈夫…だと思う。ウェンディ、結構しっかりしていると最近思えるから」
と、ここ最近の彼女がしっかりしていると判断し、レインもベッドに入り、寝息を立てることにしたのだった…。
その次の日、ウェンディが少々寝不足になってしまったとは知らないまま……。
如何でしたか?
ちなみに察している人はわかると思いますが、フィーリは後々重要な役割につきます。
まあ、楽しみにしていてくださいな。