FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
さて、そろそろエドラスですよ、エドラス!!
オリキャラ用意してるんで楽しみにしててくださいな。
「ふああ……、とりあえずウェンディ。フィーリ……フィーとの生活には慣れたか?」
「うん、昨日もいっぱいお話ししました。すごくレインさんのこと、話してましたよ?」
「あー、やっぱり? まあ、確かに子供とかは親の話をよく話すよなぁ…。フィーも例外じゃないってことか」
「そうみたいね、意外にこの子、知能は人間よりも良いのかもしれないわ。ハーフなだけあって」
ギルドにある酒場の一角、そこのテーブルに座り、話をするレインとウェンディ。レインの隣では小さな身体を丸めるようにフィーリが眠っている。
すっかりギルドの雰囲気にも慣れたのか、安心してスヤスヤと安眠を貪っていた。やはり見た感じだと未だに5歳くらいだろう、この獣耳の少女は身体の成長を促すように睡眠を多く必要としていた。
今日もまた、レインの持っていた満月の描かれたコートを上から被っている。どうやら、今のフィーリにとっては大切なものらしい。
ウェンディにフィーリを預けてから数日が経つが、彼女もこの少女との生活に慣れ、楽しんでいるようだ。
ウェンディの相棒でもあるシャルルにも少しだけ心が開くようにもなったらしく、この間は少しだけ話もしたのだと言う。
それに加え、言葉も色々と覚えてきたようでもある。それでも、無口なところは相変わらずのようだ。
ちなみにフィーリの要望で、レインとウェンディ(あとメイビス)には“フィー”と呼んでほしいと言っていたらしく、本人の前で言ってみた時、嬉しそうに尻尾を振っていた。
「結構ウェンディに甘えてるみたいだな。オレが居なくても寂しくなさそうだし」
「あ、でも、昨日の夜。フィーちゃんはレインさんとまた一緒に寝てみたいって言ってましたよ?」
「………、マジか……。正直理性を削りにいくような行動起こすからハラハラするんだが…」
「ま、まあ、最近はすごく大人しかったですよ?」
「……なら、いいんだけどなぁ……。久しぶりだからってはっちゃけられたりすると……」
「だ、大丈夫じゃないですか? た、多分……」
「なんだか雲行き怪しくなりそうね…」
シャルルに痛いところを突かれながらも、一旦話題を変えるために頼んでいた飲み物を一口だけ飲むと、“とある話”を始めた。
「……最近、交代でフィーと一緒に1日過ごしてただろ?」
「あ、そうですね。わたしが仕事の時にはレインさんがフィーちゃんを預かってましたね」
「最近、仕事先とかの情報を暇潰しに集めていると、結構不安になってなぁ……。なんか、闇ギルド――強いて言えば、“
「……………」
レインが恥ずかしげに言っているところを見て、思わずウェンディは驚きのあまり、声が出ずに固まっていたが、少しするとクスクスと笑った。
「な、なんか変なこと言ったか?」
「い、いえ……。えーっと…、なんだか今もあの頃も変わってませんね、ふふ…。しんぱいしてくれてありがとう、お兄ちゃん」
「あ、うん……。どういたしまして…?」
中々お礼を言われた機会が少ないのか、レインは返答がうまく返せなかったが、それでも嬉しそうだった。そんな兄、レインの姿を見ているとホッとするウェンディに、シャルルが生暖かい目で見守っていた。
向こうからこっちの様子を見ていたらしき、ルーシィとハッピーがこっちまで来るや否や、二人揃って「どぅえきてるぅ~♪」と言った時には顔を真っ赤にしたウェンディがルーシィに「違います~!!」と反論し、レインは即座にハッピーをギルドの木の床に埋め――いや、めり込ませたと言うべきか……――ちょっかいをかけた青猫は目を回した。
そんな時だった。
急にマグノリアの街全域にほとんどのギルドのメンバーを含め、街の住人たちなら聞き覚えのある鐘の音が鳴り響いた。
その音を聞いたギルドのメンバーはみんな口を揃えて、こう言った。
「ギルダーツが帰ってきた!!!」
その多くの声の中、一番喜びを感じていそうな声はナツから発せられていた。レインも聞き覚えがある。
ナツはギルダーツとは親子のように親しく、よく戦いを申し込んではコテンパンにやられ、ボロボロになっていたらしい。
まあ、大人と子供以前に、レインがその光景を見ていたならば、こう言うだろう。
――子竜と巨竜の戯れあいだと。
それはさておき、ギルドの入り口から聞こえる街のアナウンスは確実にいつもとは違う雰囲気を持ちながらだった。
『マグノリアをギルダーツシフトに変更します。町民の皆様は各自、所定の位置に移動してください。繰り返します――』
そのアナウンスを聞いた途端、あれが来るんだなと思うメンバーたち。アナウンスの音に目が覚めたフィーリやウェンディ、ルーシィは恐らくこれから起こることを知らないだろう。
実はと言うと、レインはこれから起こることを把握済みだ。調べものの際に、ギルドに保管されていた魔導士リスト、その魔導士が出した損害賠償の数々、それから使用する魔法。
その中でも、ギルダーツには特例が出ていた。
彼が使う魔法は超上位破壊魔法の一つである、《
指定した物体――その範囲は広く、魔法や人間もできるらしい――を粉々にし、バラバラにすることが出来る。
人間にした場合はその対象の人間をバラバラにする――つまり、小さな対象が大量に生まれ、それら全ては意思を持っている。簡単に言えば、対象の人間の小人の大量生産だと考えればいい。
そんな彼が使うこの魔法、使い方にさえ気を付ければ、なんということもない。使い方に気を付ければ……だ。
ギルダーツはよく、ボーッとする癖があるらしく、その際に無意識に建物などを粉砕してしまう。そのせいか、ナツまでとは行かないが、結構彼も損害賠償が多いらしい。
さて、それを知らないウェンディとフィーリ、ルーシィたちは何がなんだか分かっていないようだが、説明はしておくべきだと思い、レインは簡単に説明する。
「ギルダーツ・クライヴ。このギルド最強の男と呼ばれる魔導士でな、三年前に100年間達成されなかった100年クエストに出掛けている。今帰ってきているってことは大体3年かかったけど、クリアしたんじゃないか?」
「そ、そんなに凄い人が……。どんな人なのかなぁ、シャルル」
「そうね、意外と怖い人だったりして」
「えええ!!??」
シャルルの冗談を鵜呑みにしたウェンディが少し怖がるのだが、彼女の前にさっきまで寝ていたフィーリが立ち、いつもとは違う真剣な顔つきと雰囲気を纏わせて、「お姉ちゃん……わたし……守る」と呟いている。
まあ、確かにウェンディと同格だろうフィーリは元より身体能力もずば抜けている。言ってしまえば、正直ウェンディよりも強いだろう。
街の方からすごい物音がする中、その音がやっと止まった。
すると、少しずつレインにも分かるぐらいにギルダーツの魔力が感じ取れる距離内に入った。
多分もうすぐでこのギルドへと入ってくるだろう。少しだけ彼が変なことをしないか、注意を向けながら彼を待つ。
すると、ギルドの入り口に立つ一人の男が見え、ゆっくりと顔つきも分かるようになっていく。少しずつギルドの中へと入ってくるギルダーツ。
その彼がついに口を開いた。――のだが……
「お嬢さん、このあたりに《
迎えに言ったミラに向かってこう訊ねる始末だった。
ミラはクスリと笑いながら、ギルダーツに伝えた。
「ここよ。それにわたし、ミラジェーン」
「ミラ?お前、随分変わったなぁ! それにギルド新しくしたのかよ」
まあ、確かに間違えても仕方ない。ギルドのメンバーの顔写真を拝んだが、三年前のミラはもっとガラが悪く、結構露出も多い格好をしており、今とは似ても似付かなかった。
多分レインがギルダーツと同じ立場なら同じことを言っていただろう。
すると、待っていましたとばかりにナツがギルダーツに向かって急襲するのだが……
「ギルダーツ!! 勝負だああああ!!!」
「あぁ、ナツ。あとでな」
そう言うと、片手でナツを掴むとお手玉のようにクルクルと回転させてから天井に適当に放り投げた。
一瞬で倒されるナツに、驚愕して声が出ないルーシィとウェンディ。そんな彼女らは一旦さておき、ギルダーツはマカロフの元まで行くとクエスト報告を行った。
「――で、ギルダーツ。どうだったのじゃ?」
マカロフのその問いに、ギルダーツは笑いながら答えた。
「いやぁ、わりぃ、無理だったわ」
その途端、ギルドのメンバーたちは驚愕する。彼らが知るなかでギルダーツは最強の魔導士である。恐らく、このフィオーレ広しと言えど、彼以上の魔導士はいないだろう。
そのギルダーツが失敗したとなると、100年クエストは……
「実質的不可能……ってとこか。なぁ、ギルダーツ」
「ん? おお、レインじゃねぇか。久しぶりだなぁ、あれ、お前さん。確か《
「ああ、バカ間抜け油断しすぎのジョゼの阿呆がここに戦争吹っ掛けたのに、返り討ちにあって消滅だ。笑えてくるぜ、ホント。ちなみにオレは参加してないけどな」
「まあ、お前さんいたら、いくらナツやエルザたちがいても勝てねぇだろ。俺よりも
そうギルダーツが笑いながら言った途端、ギルドが一度静まり返った。
すると、すぐそのあとに……
「ええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」
という驚愕の声が上がった。そう、近くにギルダーツよりも強い魔導士が存在していたのだ。
それに加え、さっきギルダーツよりも強い魔導士は知らないと信じていたものも多いはずだ。それを覆す発言であったのだ、さっきのギルダーツの言葉は。
すると、レインは気恥ずかしそうにしながら答えた。
「そう言うなよ、ギルダーツ。別にオレだって色々とギリギリだったって。実質、今のオレは
「謙遜するなって、お前さんも。あ、そうだ、今度酒に付き合ってくれるか? いい土産話があるでなぁ」
「ああ、嗜む程度で相手するさ。――ちょーっと妹の目が……な?」
「ん? ああ、お前さんの言ってたウェンディちゃんって子か? どの子だ?」
「ああ、後ろにいる青くて長い髪の少女。変なことしたら即座に埋めるからな」
レインの忠告を聞き届け、ギルダーツはウェンディに近づき、腰を落とすと緊張を解させるために一度笑ってみせ、それから話しかけた。
「新入りか?」
「あ、はい。ウェンディ・マーベルです、よろしくお願いします!!」
「ほー、おい、レイン。いい子だな、お前の妹」
「礼儀正しいからな、元より。あー、それとそろそろ離れないと
レインがそう呟き終わると同時にギルダーツがいた場所に何かが墜落するような勢いで迫った。少しほど砂煙をあげる中、後ろに下がったギルダーツは「あ、危ねぇ…」とだけ呟いた。さきほどギルダーツがいた場所には一人の獣耳の少女が四つん這いで警戒体制を張りながら、淡い青色の髪の毛を逆立てさせ、目を赤くして威圧していた。
その光景に流石のギルダーツも驚いたのか、興味深そうにしながらレインに訊ねた。
「レイン、あの子は?」
「フィーリ・ムーン。一応オレの娘的な立場。拾い子で、人間と狼のハーフ。すでにナツを不意打ちなれど一撃KOの実績あり」
「そ、そんな子も入ったのか、このギルド……」
「いや、まだ加入してない。けど、古代魔法使えるからな、油断すると焼きたてのチキンか何かにされるから注意」
そう付け加えると、フィーリにレインは「落ち着け」とだけ言うと、一旦フィーリの側に寄ると、頭を撫でて落ち着かせた。
その最中もギルダーツは興味深そうにフィーリを見ながら、ギルドの内装を見ていた。一旦見終わったのか、彼は自分の家のある方向――ギルドの入り口ではなく、石レンガで出来た壁――に向かって歩きだし、壁を粉砕してから家へと向かっていった。
ギルドを出る途中、ギルダーツはこう言っていた。
――少しほど時間をくれ、レイン。俺ン
そう言い残したギルダーツ。しかし、レインはある疑問を抱えていた。彼の歩き方、動き方、匂いの中に金属のような固さがあったのだ。
まるで身体の一部が金属か何かになったような……。そんな疑問に駆られながら、レインはナツと共にギルダーツの後を追っていくのだった……。
さて、前編後編システムではないんですが、次回もギルダーツの話です。
まあ、許してヒヤシンス