FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
さーて、エドラスです。まあ、次から本気出します(笑)
途中で端折ったらすみませんね、ホント。
「あー、ダメだ、全然資料無いな、このギルドの書庫も」
相変わらずの書庫漁りをするレインはそう愚痴りながら、いくつもの本を纏めて読みながら呟いた。
すでに彼がこのギルドの書庫の主とも言える存在になってから長らく本を取って読んでは片付けての繰り返しをし、結果今回読んでいる分でこのギルド――《妖精の尻尾》に贈与された、または保存されている資料、及び本は全て読み明かされたことになった。
それほどまでにレインが調べているのは以前名前だけ知ることが出来た悪魔“ERA”、さらに数十年前に1ヶ月間のみ活動し、あらゆるモンスター、あらゆる悪魔、あらゆる闇ギルドの魔導師を圧倒し、人々に希望をもたらしたとされる“白魔導師”のことである。
ゼレフ書の悪魔――“エーテリアス”を作った黒魔導師ゼレフと反する存在であり、数々の魔法の構築、完成、立証を達成し、人々が魔法を日常で使うための基礎までも製作した“白魔導師”の存在は今でも語り継がれるほどの伝説級の昔話と成り得ている。
きっと恐らくだが、レインが使用している魔法の一部、“天体魔法”、“天空の造形魔法”、“魔法解除”、“拘束系統の魔法”も彼が造り出したものだろうとレインは推測していた。
だからこそ、その魔法がどこまでの規模であるのか、また限界はどこまでなのかを知りたかったのである。
もちろん、知るために“聖十大魔道”の資格を取ったのであり、それを利用して評議院の持つ膨大かつ大規模な魔法の研究施設や書庫を調べ回ったのだが……
「結局どこにも無いんだよなぁ……。今度はちょっと遠いが、“魔導図書館”まで行かないと行けなさそうだなぁ……はぁ……」
途方もなく可能性があるかどうかさえも薄い、探すにも調べるにも一苦労な“魔導図書館”に行く羽目になる自分の末路に心底呆れてしまいそうな状態に陥るレイン。
とにかく、さっき取ってきていた本を即座に戻すと、一旦ギルドの酒場に戻ることにする。書庫の扉を開け、身を酒場へと乗り出した時、ギルドの出口 兼 入り口たる方へと向かっていくウェンディの姿を見て、「ん?」と不思議そうに思った。
先ほど出ていったウェンディは明らかに何かを追いかけるような雰囲気であったのだ。何かあったのか…と思ったレインは彼女の行った方を向いていたルーシィに話を聞くことにした。
「ウェンディ、どこに行ったんだ?」
「あ、レイン。それがね、シャルルが少しハッピーに冷たかったの。そしたら、シャルルがそれに出ちゃって……、そのあとをハッピーも着いていったの」
「それで、その二匹を心配したウェンディがさらに外へ出た訳か。相変わらず、優しいなぁ、ウェンディは」
「またアンタ、完全にお兄ちゃんって雰囲気出してたわよ?」
「マジか……。そろそろ慣れないとなぁ……。どうしてこうもウェンディを心配したりすると、そういう他人が見たら兄オーラ出すんだろうなぁ……」
そう染々と呟くと、レインとルーシィの後方からエルフマンが現れ……
「流石はレインだ。それでこそ
と叫んだためにレインは即座にエルフマンをギルドの床に埋める――いや、右手の拳で即座に叩きつけて黙らせた。
「お前は何でも間でも、
「よ、容赦ないのね…、レイン」
「容赦したら面白くないだろ、言いたいことは素直に言う。そっちの方が仲直りしたときの後味がスッキリする。まあ、やりすぎも注意だ、修復不可能な喧騒になったら洒落にならんし」
そう言うと、レインはルーシィたちと別れ、ギルドの外へと出た。空は気がつけば、暗雲が立ち込めており、今にも雨が降ってしまいそうだった。
天空の滅竜魔法特有の空間察知能力を使用して空気の流れを読んでも、そろそろ雨が降るのは確定だとわかる。
「……雨か。仕方ない、微弱な“天竜の羽衣”でも纏っておくか」
すぐさま自身の身体に空気の防壁を張り巡らせ、雨に濡れないようにしながらレインは外へと走り出す。
その頃だった、雨が降りだしたのは……。
雨が降りだしてからしばらくした頃、レインは雨が降るマグノリアの街でウェンディたちを探し回っていた。
流石に遠くまでいってはいないだろうが、実際のところ少々不安である。いくら魔導師ギルドがこの街にたくさんあり、さらには評議院が近くの街にいるとはいえ、路地裏などの警備が甘いところには当然悪い人という者共はいる。
そんなヤツらにウェンディが拐われたり……などと考えるとより一層レインは青ざめ、急がざるを得ないのである。
やはり、口調や性格などが大きく変わろうとも、妹思いで心配症――言ってしまえばシスコンであることには代わりないレイン。
他のことには勘が良くとも、こういうことに気がつかないのは鈍感なのか、天然なのか……、そう思わざるを得ないのであろうこの男は。
そんな時、レインは向こうからやってくる何者かに気がつき、一応警戒体勢を取った。いつでも攻撃ができるよう、動きやすい構えを取って……。
すると、向こうからやってきたのは一人の青年だった。それもレインが以前話をした人物、ギルドの中で一番素性が分からないS級魔導師として知られるミストガンである。
「ん? ミストガンか、また例のヤツ止めに行ってたのか?」
「ああ……、今回は失敗だ……。急いでギルドの仲間たちに伝えられないか…?」
「……無理だな、今からしても多分ほとんと無理だ。それはともかく……お前、ウェンディ知らないか?」
そう言うと、ミストガンは誰にでもわかるほどに反応した。
「ウェンディ……!? あの子が、ギルドに入ったのか!?」
「ん? ああ、オレが誘った。――やっぱりにお前だったんだな、ウェンディを助けてくれたのは」
そう呟くとミストガンは小さく首を縦に振った後、「助けたと言えるのかどうかは分からないが……」と付け加えた。
確かにウェンディの話を聞いたところ、途中で彼女を置いていったのだから守っていたとは言いづらく、助けたとも言いづらい状況である。
しかし、レインは敢えてこうしたかった。
「な……!?」
レイン行動に驚愕するミストガン。そんな彼の前でレインは頭を下げ、姿勢を正して……
「妹を……、妹を助けてくれてありがとう。オレがウェンディと再会出来たのも貴方のお陰だ、感謝する」
いつになく真剣で真面目な雰囲気でレインはそうお礼を告げた。事実、レインは前よりウェンディが言っていたジェラール――つまりミストガンには恩がある、そう認識していた。
だからこそ、形のない礼であれど、感謝は伝えたかったのだ。
「……君に頭を下げられるとは思っていなかった」
「はは、そうか? 大事なことにはちゃんと頭を下げる、当たり前だろ? まあ、妹を――ウェンディを助けてくれたことはオレにとったら一生返せないほどの貸しに近いからな。ホント、助かったよ」
その時だった。向こうからこっちに向かって走ってくる少女とその少女が抱えた白猫が目に入ったのは。
「あ、ウェンディ、探したぞ?」
「れ、レインさん。こんな雨のなか、わたしを?」
「だってウェンディが傘ないまま、追いかけていったところ見たからな、まあ、ちょーっと待っててくれ。すぐに防壁で雨を遮るから」
そう言うと、レインはウェンディの肩に手をおくとすぐさま防壁――天竜の羽衣を発動させ、雨粒を防いだ。
雨粒が当たらなくなったことに驚きつつも、ウェンディは少しだけ肩の力を抜くと、レインのそびにいたマント姿の青年に気がついた。
目元しか見えない顔、怪しげな服装。どれもウェンディは知らない格好。だが、彼が後ろに携える杖の一本だけは見覚えがあった。
それと同時にミストガンもウェンディに訊ねた。
「ウェンディ…なのか?」
「え……」
聞き覚えのある声、懐かしく、いつかまた会いたいと願った人の声。
それを聞いた途端、その青年が誰だかもわかった。自然とその人の名前は口から出たのである。涙が溢れ、ウェンディは叫ぶかのように彼の名前を言った。
「ジェラール…なの…!?」
「……ああ。君がこのギルドに入っていたことは彼から聞いたところだ。会いに行けなくてすまない…」
「まったく…、命の恩人じゃなかったら、ウェンディ泣かせたところで即埋めるところだっての。…まあ、良かったな、ウェンディ」
「…はい……グスッ……」
泣きじゃくるウェンディを慰めながら、レインはミストガンに訊ねた。思えば、さきほど彼はこう言った。
――今回は失敗した、と。
その意味が表すのは……
「…超亜空間魔法アニマ、この上にあるのか?」
「…アニ…マ? アニマって確か……」
「ああ、この上だ…。大きすぎて…防げなかった…、早く二人とも…離れるんだ…この街か……ら……」
その途端、ミストガンは膝から崩れ、倒れそうになった。どうやら魔力の消耗の他にも身体的にも疲れが溜まっていたのかもしれない。
しかし、それを聞いた途端、ウェンディは踵を返してギルドへと向かってしまった。レインやミストガン、シャルルの制止を振り切って。
すぐさまレインは石造りのストリートに足がめり込むくらい、強く、強く踏みつけた。踏みつけた後に返ってくるだろう強力なバネの如き反発力を利用して、レインはウェンディを追いかける。
少し距離が離れていたせいか、中々ウェンディに肉薄するほどまでに近づけない。そのまま、ギルドの前まで来てしまい……
「っ!? ウェンディ、戻れ!! 上からとんでもないのか来るぞ!!」
「え……」
その直後、上から途方もない衝撃と共に光が押し寄せた。反射的に目を閉じてしまうような閃光と共に、ギルドや街の建物が消え去っていく。
「きゃあぁぁっ!?」
「くっ!? ウェンディ!!」
衝撃によって吹き飛ばされたウェンディをレインはなんとか捕まえ、その場で衝撃などから耐えるが、そこまで迫っていた光にそのまま呑まれていった。
気がつけば、そこには何もなかった。
始めてきたら間違いなく迷ってしまいそうなマグノリアの大きな街は全く見当たらなく、目の前にあったはずのうるさく騒がしく、それでいて元気が有り余っている魔導師たちの巣窟たるギルドの姿さえも。
全てが何もない真っ白な世界、そう思えるほどにマグノリアの街は消滅した。衝撃で少々頭がフラフラするが、すぐに本調子を取り戻す。
その際に自分が助けられただろうウェンディの姿が見え、安心する。どうやらウェンディも大丈夫だったようだ。
その直後にウェンディも目を覚まし、レインに抱えられていたことに気がつき、顔を真っ赤にしながらも自力で立った。
「れ、レインさん。ギルドのみんなは…?」
「多分、呑み込まれたかもな。何故かオレたちは助かったみたいだ。オレたちより離れているはずの街が消えているところからして」
「そん…な……」
「確かにこれは酷いな、何もない。街もギルドも住人も」
そう呟きながら、レインは歯を噛みしめ、悔しげに叫んだ。
「冗談じゃねぇぞ、
「エドラス……?」
レインの叫んだ言葉に不思議そうな顔をしながらウェンディも辺りをもう一度見渡した。本当に誰もいない。そう思うと、自然に涙が溢れそうに……
その時だった。ウェンディの横の地面がひび割れ、何かが蠢き始めた。驚き、すぐに後ろへ下がるウェンディの前に立ち、レインはソレを怪しげに見た。
敵ならすぐに叩き潰す、そう頭に刷り込みながら。すると、そこからは見覚えのある桜髪の魔導師が姿を現した。
そう、彼だ。――滅竜魔導師のナツ・ドラグニル。
「ナツか」
「ナツさん!?」
「び、ビックリしたなぁ、おい……。――ってレインにウェンディか!」
この感じ、レインは即座に理解した。彼は状況を理解していない。恐らく寝ていたんだろう。そう思うや否や、面倒になる前に状況説明をすることにした。
「とりあえず、あれだ。ギルドとマグノリアの街がアニマって魔法で吸い込まれた、以上」
「か、簡単にしすぎじゃ……」
「……レイン、お前、頭打ったんじゃねえのか?」
ナツがレインを重病患者のような目で言った途端、彼はまた地面に埋められた。流石に事実を述べたが、理解されていないことに腹が立ったのだろう。
――いや、それ以前に「頭大丈夫?」的な顔をされたのだ、怒って当然である。なんとかレインを落ち着かせながらウェンディはすぐさま埋められたナツを掘り起こし、周りを見せた。
その光景を見て、流石のナツも信じたらしく、レインたち三人はある共通点に気がついた。
「
「それじゃあ、わたしとレインさん、ナツさんとガジルさんだけなんですか!?」
「ガジルも何処かに埋まってるんじゃねぇか。まあ、今はそれよりも……」
「何が起こったか……それが先じゃない?」
ナツがその先を言おうとしたその時、三人ではない声が割り込んできた。しかし、その声は聞き覚えがあり、ウェンディは真っ先に声の主を言い当てた。
「シャルル、無事だったんだね!!」
「ええ、そうね」
不機嫌そうな顔をしながらシャルルが周りを見渡しながら寄ってくる。どうやら彼女も無事だったらしい。
その直後、ハッピーも姿を現した。つまり……、生き残っている――と言っていいのかは不明だが――のは、レイン、ウェンディ、ナツ、ハッピー、シャルル、この三人と二匹だと言うことだった。
「なるほどなぁ…。ホントにあったのか、エドラスって世界は」
「ええ、そうよ、この世界とは別の世界がね」
レインとシャルルの話に着いてこられないまま、ウェンディとナツ、ハッピーは現実を突きつけられる。
そして……レインたちはもうひとつの世界のことを知ることとなったのだった……。
次回はエドラスに突撃……とあと少し追加ですね。
それとフィーリはどこいったの?って思った人います?
えーっとですね、天狼島です。まあ、エドラス編では恐らく終了まで登場しません、はい。