FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
久しぶりですね、みなさん。現在ショックな作者です。
楽しんでプレイしていた“英雄伝説”シリーズの最新作たる《閃の軌跡》のサブヒロイン
のような立場だったクレア・リーヴェルトの声優をやっていた方が3日ほど前に
亡くなっていたそうです。ご冥福をお祈りします…。
突然の暗い話すいません。本編をどうぞ
木霊する断末魔の如き叫び声。放たれる旧式のような魔法は少年の振るう天剣によって無効化され、純白の竜鱗はその魔法の属性に合った色へと変貌していく。
ある者は襲いかかった末に、凪ぎ払われ、ある者は自ら放った魔法が少年により放たれ、倍以上のダメージを負った。
時々飛んでくる椅子や机は少年によって蹴り飛ばされ、または逆に返されるばかり。次々と戦闘不能となった者たちの山が誕生し、一つできる旅に少年がため息をついて、た何度も忠告する。それなのに彼らは攻撃を止めない。しかし、攻撃は全く通じない。
少年は自らの魔法を碌に使えない状況にあるというのに、彼らは傷一つすらつけられない。一番強そうに見えていた金髪の女性の鞭ですら当たらず、逆に返され、隙だらけの腹に蹴りを見舞われる。当然、襲われて抵抗しない者がいる訳もなく、少年もまた抵抗する。
覚えのない罪を叫ばれ、覚えのない異名を告げられ、殺気満ちた彼らの眼を受け続ける。だが、少年は殺られる訳にもいかない。
大切な仲間たちを助けるために遥々、この世界にやって来たと言えよう。だからこそ、目的を果たし、二度と勝手な真似をしないと敵が誓うまでは蹂躙する。そう決めていた。
だからこそ、少年――レイン・ヴァーミリオンは天剣なる愛刀を振るった。
――◆――◇――
「な? さっきから言っただろ。オレには勝てないって」
「う、嘘…だろ……。このギルドの最強メンバーが傷一つ……つけられないなんて…」
ボロボロになったエドラスの《
その上に、彼は魔法を自ら率先して使うことが少ない。念のためにここ最近は仕事の依頼を受けた時にも魔法を使うようになったが、自分の所属するアースランドの《妖精の尻尾》に入る前はずっと、この“天剣グランディーネ・リトライ”だけで戦ってきた。
だからこそ、剣術の心得がある。そして、これは誰にもレインが言っていなかったことだが、そもそもこの少年はS級試験を
だからこそ、魔法が如何に封じられようと、如何に制限されようとレインには全くもって関係はない。ただ剣を振るうだけの戦いなど馴れている。
かつての《妖精の尻尾》創世記時代は魔法はあくまでレインが剣術では無理と判断した時にのみ、使用していた。だから、魔法に依存していない。
戦い方など、数十種類用意し、それら全てをこなせる腕を持つ。それこそがレインというS級魔導士の真の強さであり、彼が剣士であるということと証明なのだ。
そんな彼の強さに呆然とし、あんぐりと口を開けたままになっているナツたち。床に這いつくばるエドラスの魔導士たちを見下ろしながら、レインは小さくため息をつき、もう一度警告する。
「あのな、オレはお前らの言う殺人鬼じゃない。“九十九斬り”なんて異名も渾名も貰った覚えもないし、刀をじゃらじゃら持ってるわけでもない。オレが持ってるのはコレ一本のみだ。頼むから急に攻撃仕掛けてこないでくれ」
「………それ、本当の話か?」
ボロボロながらもエドラスのルーシィが立ち上がり、武器を持ちつつも、レインに訊ねた。未だに殺意に満ちている眼をしているが、それは別に構わない。
レインが伝えたいのは“自分が敵じゃない”ということだけだ。だから、一度だけ首を縦に小さく振って首肯した。
すると、彼女はプッ…と笑い、武器をしまうと、口を開いた。
「いやー、ホント悪かったなぁ~。あの時のヤバいヤツかと思ってカッとなっちまった」
「ん? その感じだと会ったことあるのか?
「そうそう、こっちのお前…に……え?」
キョトンとした顔を見せ、ルーシィの笑っていた顔が固まった。まあ、普通驚かれて当然な話である。そんな中、ナツやウェンディがレインの側によると、説明を開始した。
「まず、オレたちはアースランドっていうもう一つの世界から来たんだ」
「ここと同じ《妖精の尻尾》のみなさんを探しに」
「多分だが、王国のヤツらが仲間たちを拐ったってところだ。そんな訳で、最近大きなラクリマの話とか聞いてないか?」
そうレインが切り出すと、後ろの方にいたエドラスの魔導士が口を開いて答えた。
「そういや、王国の頭上に巨大なラクリマ島が浮いてるって話聞いたぞ」
「多分、それのことなんじゃねぇか?」
「ふむふむ、なるほどな。つまり仲間たちはそこか。とりあえず、情報ありがとう。ま、聞くだけじゃ悪いから次は答えるわ。プライバシー以外ならなんでもいいぞー」
そう言うと、同じく後ろにいた青髪の女性が前へと歩み出て、訊ねてきた。その容姿は何処か知っている少女を思い当たらさせ……
「あ、エドラスのウェンディだ。身長あって…胸あるのか…」
「うぅ……」
少々呆然とするレインとションボリするウェンディ。すると、エドラスの彼女が聞いてきた。
「さっきの貴方、物凄い強かったけど、何者なの?」
「ん? ああ、それか。えーっと、簡単に言えば……あれ? そういや、こっちの世界にS級魔導士制度あるのか?」
「一応あるけど?」
「んじゃ、答えるわ。オレはアースランドのS級魔導士の一人、レイン・ヴァーミリオンだ。ま、今頃だけど宜しくな」
「あれ? レインお前、アルバーストじゃねぇのか?」
「……ナツ、過去のことを思っちゃダメだよ…」
「そんなに古くねぇだろ!?」
「まあまあ…」
レインが真顔でナツを“コイツ大丈夫か?”という眼で見ると、それにカッと来たらしきナツが飛びかかろうとするが、ウェンディがなんとか宥める。
その光景に、後ろにいたエドラスの紳士的な雰囲気を放つワカバとマカオが訊ねてきた。
「ところで、そこのお二人さん」
マカオが声をかけたのは、レインとウェンディ。それに続いてワカバが口を開いた。
「二人はどんな関係なんですかい?」
「ん? 関係?」
「え、えーっと……」
少々言いづらそうなウェンディ。しかし、レインはいつもと変わらない表情で答えた。
「兄妹」
「きょ、兄妹!?!?」
驚愕するエドラスの魔導士たち。流石のエドラスのウェンディも度肝を抜かれた様子を見せる。すると、レインが付け加えた。
「……みたいな関係」
「そっちかい!!!」
全員のツッコミを受けることになったが、まあいいだろう。すると、マカオが続きを訊ねた。
「なるほど。二人は兄妹のような関係と?」
「そうそう。オレは一人さ迷ってた時に、ウェンディと出会って拾われたってとこ。実質、ウェンディの方が姉なんだろうけどなぁ~、本人が妹ポジっぽい」
「そ、そういう訳じゃ……」
「――と本人は言ってるが、ちょっと前までオレのことを“お兄ちゃん”と呼んでくれていたりする」
その途端、回りから「おお~!!」という歓声が上がるも、ウェンディは顔を真っ赤にして見悶えていた。恥ずかしい話をバラされた人のようになっている。
まあ、妹が兄に甘えるのは仕方のないことだ。逆に言えば、特権でもある。言ってしまえば、ウェンディはまだ子供である。大人なら恥ずかしい話でも、子供であるならば、恥ずかしすぎる訳でもない。ちょっと恥ずかしいかな…という程度で済む。
逆に考えれば、大の大人が急に兄妹のように慕った相手に“お兄ちゃん”やら”お姉ちゃん“やら言ってしまえば、それは羞恥しかない恥ずかしさが込み上げ続ける地獄のような時間となるだろう。そう考えれば、今のことは大したことではない。
「ま、そんな訳だ。他に聞きたいことはあるかー?」
「そ、それじゃあ、一つ聞いていいかな?」
前の方からやって来たのはとんでもなく着込んでいるエドラスのグレイ。見ているだけでも暑苦しい。こっちのジュビアが嫌がる理由がわかる気がする。
すると、エドラスのグレイが質問してきた。
「あっちのオレとジュビアちゃんってどんな感じなのかな?」
「ああ、簡単には言う。あっちのお前はパンツ一丁でいるときが多い。逆に言えば、寒いの平気」
「ほ、ホントなのか!?」
「うん、ホントホント。んで、ついでに言えば、そっちのジュビアと違って向こうのジュビアはグレイ様LOVEって状態。こっちと違って露出している部分は少ない。暖かそうな格好をしてる。じめじめしている時もある」
「そうなの? 向こうのグレイはこんなに暑苦しくないのね」
「まあな。逆にパンツ一丁だぞ、パンツ一丁。全裸でも大丈夫そうな気がするな。まあ、捕まるだろうけど」
ふとそんなことを染々と呟く。そう言えば、ラクリマにされる瞬間まで服を着ていなかったなんてことはないよな?という疑問がレインの中で沸き上がる。
ウェンディを追いかけた時に確か彼は服を何故か脱いでいた気がする。流石に途中着直しているとは思うが、流石に…。
そんなことを考えていると、続いてエドラスのルーシィが戦闘中に気になっていたことを訊ねてきた。
「そういやさ。お前、凪ぎ払ったりする時、なんでその子がいる場所以外にあたしらを吹き飛ばしてたの? そっちのナツのいるところやエクシードみたいな猫がいるところにはバンバン吹き飛ばしてたのに」
「ブブッ…!?」
たまたまエドラスのミラが持ってきてくれていた水入りコップを口に流し込んでいる最中のレインが思わぬ不意討ちに飲んでいた水を吹き出した。
続いてゲホッ、ゲホッと咳き込み、顔をあげると頭のなかがぐちゃぐちゃになったような顔を全員に晒し、呆然としていた。が……
「は……? はあああああ!?!?!?」
ビックリ仰天と言わんばかりの大声をあげ、固まった。その光景に全員が「え? なにその反応?」という顔をしていたが、ニヤリと笑ったルーシィたち――お供にマカオとワカバを連れて――がレインに詰め寄った。
「もしかしてお前……、あの子に何か特別な何か抱いてたりしてる?」
「……………」
「貴方さんも罪深いですなぁ」
「……………」
「兄と妹の禁断の“あれ”ですかい?」
最後のワカバの言葉。それを聞いた途端、レインから強烈な殺気が漏れ出すと共に、なにも持っていないはずの右腕を降り下ろしただけで、突然床が凹み、ヒビがピキピキと入り出す。なんとも信じがたい光景を目の当たりにした彼ら。すると、レインは座っていた椅子から立ち上がると、瞳を紅く輝かせ、宣言した。
「次挑発してみろ……、次は問答無用で
「す、すいません……」
三人同時に勢いよく頭を下げ、謝罪を始める。しかし、少しばかり遠くにいたウェンディはそれに気づくこともなく、こちらの世界のことを単独で聞いていた。
そんな中、ナツてかが少々騒がしくなったりとしたのだが、やっと落ち着いたレインが気になるモノと人を見つけた。
何やら複雑な機器を調整するのは、ウェンディよりも薄い青髪の少女、レインが最初にギルドで仲良くなった人物だった。
「こっちのお前も色々と得意分野に特化してるんだな」
「な!? び、ビックリしたじゃない。――で、アンタ、さっきの。何か用?」
「いやな、あっちのレビィが文字系統に詳しかったのと同じように、こっちのレビィが機械系統に強いんだなぁ…って思っただけさ。……そうだな、強気なところからして頼りになりそうだな、頑張れよ」
そう言うと、レインはレビィから離れていく。彼が別の方へと向かったあと、レビィは小さく愚痴った。
「なによ、アイツ……。なんか前から知っていても可笑しくない感じした……。……“頑張れ”か、言われなくても分かってるわよ……」
そう呟くレビィの顔は何故か、小さく微笑んでおり、少々頬が赤かったような気がした。そんな時だった。突然誰かがギルドの中へと駆け込んできた。
「や、ヤベェぞ! “妖精狩り”が来てやがる! オレたちの居場所がバレたんだ!!」
その言葉の意味はレインたちには理解できなかった。だが、回りの慌ただしい様子で彼らは自分たちがこれからどうなってしまうのかを少しだけ予測してしまった……。
さて、次回から本格的にレインたちは動き始めます。
天剣を片手に猛威を振るうレインの雄姿を期待していてください!