FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
それにしても小説投稿者として時折思うのですが、そろそろレインのイメージ画像
ほしいですねー。――まあ、作者の絵のセンスなんて皆無です。
仕方ないですね、ホントこればかりは。
「…ぅ……ん……、あれ…? ここ何処なのかな…?」
見知らぬ場所で青い長髪の少女、ウェンディは目を覚ました。回りを見渡したが、直前まで記憶にあった洞窟の光景ではなく、何処かの石部屋のようにも伺えた。
今思えば、床が少しヒンヤリと冷たく、ウェンディの両足は拘束用の鎖と足枷によって動きを封じられていた。
よくよく見れば、両手も同様にだ。身体につけられていた謎の物体は無くなっていたが、両手は手錠のようなもので縛られ、完全に動くことが許されない状況に陥っている。
エドラスで魔法が使えない以上は、この手錠も足枷も壊すことは愚か、外すことも不可能である。監禁状態なのか、そうふと思ったウェンディだったが、同じ石部屋の中で、一人の少年が石の固く冷たい壁に寄りかかり、スヤスヤと寝息を立てていた。
「(お兄ちゃんじゃ、ないんだ……)」
確かにそこで眠っている少年の容姿は今でも心の内では“兄”のように慕っている少年の同じ姿であり、声音も同じだった。
しかし、実質の中身は違った。彼のように優しく、でも時々口が悪かったりする、そんな癖がある彼ではなく、そこにいるのは冷徹で人殺しを営み、すでに指名手配された少年だ。
スヤスヤと眠る彼の横には大量の武器――エドラスでの魔法が使える武器がわんさか積まれており、それら全ては恐らく奪ったものだろう。
その中にはウェンディが先程まで持ち歩いていた筒型の空気魔法を放つ武器までもがあった。恐らく不自由ではあるが、動かすことが僅かながらできる両手があるために、武器があると逃げられる可能性があると想定したからだろう。
確かに残存量の魔力を全て使用すれば、手錠と足枷破壊の序でに逃走――但し、吹き飛ばされるが――が可能かもしれない。
この世界には元より人間が魔力を持っていないため、魔封石の手錠も足枷も存在していないだろう。そうなれば、魔法でこの手錠などは壊せる。
しかし……
「(足枷もあるし、距離だってある。それにあの人がそこにいるから……無理かなぁ…)」
チラッと向こうの魔法武器を見たが、すぐに残念そうに肩を落とす。確かに足枷が無ければ、向こうには行けただろう。――だが、流石にあれほどの実力を持つ少年が気配に気がつかない訳がない……となればだ。実質脱出は不可能であると言えるだろう。
しかし、そこで諦めるほどウェンディも柔ではない。師匠兼兄のような存在であるレインには常日頃から修行及び特訓をつけて貰い、精神的に強くもなった。
多少のことで諦める根性は持ち合わせていないだろう。それに色々と弱点も減ってきた。余談ではあるが、レインの努力もあり、少しは本来の梅干しも大丈夫になってきた。
――まだまだ一口より先は遠そうではあるが。
それに仲間を助けると誓ったのだ、彼女も。それに彼女を姉として慕う少女が帰りを待ってくれていると思えば、ウェンディもただ何もしなう訳には行かないだろう。
どうにかして逃げる術を考えなければ……、ふとそんなことを考えた時、急に地面がズシンという衝撃と共に微か――よりは強めに――ながらだが、揺れた。
そのお陰か、なんという強運なのかは知らないが、筒型の空気魔法武器――つまりウェンディの使っていた武器がコロコロと転がりつつ、近くの壁際にまで転がってきたのだ。
「(…………え、えーっと………、さ、流石に驚いちゃった気が………)」
あまりの偶然にウェンディは苦笑する。まあ、転がっても仕方の無いような形はしていた。それに加え、目の前の少年は適当にソレを置いていたのだ。つまり、念のため……という予想外にも備えた行動を取っていなかったのである。
――さらに少年は微かながらの揺れのせいか、ただの寝不足だったせいか、全く起きる気配が無かった。つまり……
「(脱出のチャンスが来たんだ。わたしだってやるときはやるんだ!)」
そう心の中で呟き、ウェンディは少しずつ身体を傾け、ソレを取ろうとする。足枷があるために、思うように動けないが、少しずつ指先がソレに触れ、漸く取ることが出来た。
「(やった! あとはこれを起動すれば……)」
ゆっくりとバレないように動き、両手でソレを抱え直し、ゆっくりと魔法武器を駆動させるためのギミックを稼働しようとしたその時。
――スパンっ!
硬質な音がウェンディの目の前で一線され、ソレが叩き落とされた。
「……え?」
目の前で輝くのは刃物。それも魔法武器だった。すぐさま顔を上げると、そこには先程まで眠っていたはずの少年が起きており、彼はソレを手に取ると、向こうへと向かってから、魔法をウェンディとは関係のない方向で使用し、その残存量の魔力を使い切らせた。
「……ぁ…………」
目の前で希望が絶たれた。それも監視者たる少年が起きた状態でだ。少年は未だに眠たそうにしていながらも、腰から抜いた一本の刀を肩に起き、片手でウェンディの魔法武器を彼女へと返す。
「……ま、寝てたら逃げるのも予想通りか」
「…まさか……、わざと寝てたんですか…?」
「う~ん? 違うな、眠かったから寝た、それだけだ。――んでお嬢ちゃん、逃げる気満々だったなぁ~、まあ、さっきの揺れで起きてた訳だから一部始終知っていたんだけどな」
「……………」
黙り混んだウェンディ。確かに今手元にあるソレは魔力切れでもう使えないものだ。そうなると、向こうにある魔法武器が頼りだが、彼がいる以上無理だろう。
それにあれが魔力があるとは限らない。奪った武器を使い続け、廃棄予定のものだったりするかもしれないからだ。
すると、少年は何かに気がつき、座り込むと、ウェンディの服からはみ出ていた写真に目が行き、サッとソレを取って確認した。
「か、返してください!!」
「………これが向こうのオレか。なるほどな、確かに雰囲気違うな。ん? なんだ、この武器。……良いこと思い付いたな、これならオモシレェ」
そう言うと、写真をウェンディへと返し、足枷を外す。突然のことに目を丸くするウェンディだったが、次の瞬間手錠にロープのようなものを取り付けられ、「立ち上がれ」と言われる。
仕方がないので、それに従うと、少年はウェンディを連れ、外へと向かっていく。
――◆――◇ー―
「ぐあああぁぁぁぁぁ!!!」
響き渡るナツの絶叫。王都にある西の塔の地下、そこでは捕らえられたナツが手錠と足枷で縛られ、謎の石板を背に、目の前にある怪しい男に魔力を吸いとられていた。
その男が持つ怪しげな装置は、ナツの魔力を吸うたびに貯蔵されていく。時々吸引はとめられるが、止められてもその男は怪しげな笑いを浮かべるだけ。
再び魔力が吸いとられていく。そんな中、その男――エドラス王国の幕僚長たるバイロは「ぐしゅしゅ」という怪しげな笑いをしたあと、愚痴った。
「もう一人の
「ぐあああぁぁぁぁぁ…!! ぐぅっ…、ウェンディは何処に行ったんだ……ぐぁっ……」
「どうやら指名手配されているレインによるものだと言われておりますが、貴方には関係ないお話ですね」
「ぐあああぁぁぁぁぁ!!!」
もしここにウェンディが居たならば、ナツは身体を休める時間がほんのすこしでもあっただろう。しかし、彼はそんなことを望まない。
仲間を差し出すくらいなら、死んだ方がマシだと思っているからだろう。そうなれば、彼には魔力を奪われる苦しみが強くなってしまう一方だが、彼は諦めていない。
必ず、仲間が助けに来てくれるはずだと信じて。
そんな時だった。突然塔がグラグラと揺れる。それも先程起こった震動などとは比較にならないほどだ。そんな中、突如彼らがいる階層の壁に光がほんの僅かながら差し込んだ。
決して差し込むはずがない、そう思っていたバイロには信じられなかっただろう。すると、さらにヒビは巨大化する。
「な、なんだ!?」
「何が起こっているのだ!?」
驚愕するバイロ。そして……ナツが望んだその時はやってきた。
――ドガアアアアン!!!
崩れ落ちるような轟音が轟き、壁が崩壊すると、その中から淡い金髪のうちの一房だけが青い髪を持つ少年が突入してきた。
見覚えのある白銀のコート。相変わらずの長ズボンに背中に背負った純白の竜鱗煌めく刀剣。
「なるほどな。まあ、突撃したには良い規模か。しばらくなら混乱招けるだろうし」
そんな不謹慎かもしれないことを普通に言いつつ、襲撃者はニヤリと笑い、ナツを見た。すると、彼は挑発するように告げた。
「バカナツ、何してんだ。まさかとは思うが、捕まって魔力取られてる……とか言うなよ?――まあ、どう見ても捕まってるし、魔力奪われるけどな」
「レイン!!」
ナツの嬉しそうな声が響き、襲撃者の少年――S級魔導士のレイン・ヴァーミリオンは彼の元へと飛翔し、着陸を果たす。
「ほほ~う。意外と趣味悪い石板だな。どうみても
「んなこと言ってねぇで、助けろよ!?」
「なら放置一択だな。あとそれよりな、バカナツ。――ウェンディを何処に置いてきたんだ、てめぇ?」
完全にキレている、そう言っても過言ではないぐらいの般若顔。眉間にシワが寄り、イライラしているのか、目が本気である。
流石のナツもビビった――いや、怖かったのか、小声になりかけていた。
「まあ、いい。あとでウェンディが無事じゃなかったら、お前地面に埋める。――いや、埋めるじゃ生温いか。切り刻んでフィーのご飯にするか」
「な、なんだそれ!?」
「いやな、流石にナツのままだったら気を向けてくれないだろ? 肉へ……コホン、ご飯になら気を向いてくれるかなぁ~と」
「オレ殺されてんだろ!?」
「……まあ、気にすんな。……えーっと」
後ろを振り向き、襲撃者のレインを見ていたバイロ。その後ろにある装置。先程から外で言われている“コードETD”。その単語がレインの頭のなかで結び付き、彼は答えを告げた。
「それ、竜鎖砲ってヤツのエネルギーを回収する装置か?」
「な、なぜソレを!?」
「いやいや、パターン的にだ。まあ、“竜鎖砲”ってのは……さっき王城の中で暴れ回った時に偶然聞いた名前でな。それにナツとウェンディが関係あるって聞いたから」
そういうと、レインはジーっとそれを眺めてから悪魔のような笑みを浮かべ、前へと歩み出ると、地面を蹴り飛ばすに瞬間的なダッシュをかけると、背中に背負った刀剣を同時に抜刀。
勢いと速度を演算するかのように、破壊力が増したその一撃を、バイロの後ろにある機械へとぶつけた。メシャッという音が聞こえ、そのまま身体を回転させる勢いで右足に魔力を貯め、放った。
「天竜の砕牙!!」
勢いよく蹴り出された一撃に、その機械は通路の両側にある深い谷のような方向へと飛んでいき、そのまま落下していった。
「ふぅ~、掃除終了ってところか」
「………れ、レイン、お前、さっきの魔法だよな?」
「おお、ここに向かう最中にミストガンに出会ってな。これ貰ったんだよ」
そう言いながら、レインはナツの手錠や足枷を難なく叩き割り、彼を解放した。レインが持っていたのは赤い錠剤の入った薬。
それを見て、首を傾げるナツ。それを見て、レインはため息をつきつつ、流れ作業でバイロを一撃で沈め、通路の床で寝かせた。
「これはエクスボールって言うらしくてさ。エドラスで魔法が使えるようになる薬だ。ま、ナツは魔法使えないと普通の人間だしなぁ~、ほれ」
そう言ってレインは錠剤一つを取りだし、ナツに渡す。文句を言いつつも、彼はそれを飲み、一息つくと言った。
「ありがとな、レイン」
「ま、どういたしましてってところだな。――ここにウェンディが居れば、もっと良かったんだが……。いた場合はさっきのバイロは確実に心をへし折ってたけど」
そんなことを平気で口にすると、レインは刀剣を背中に担ぎ直し、背伸びをしてからやる気を入れるかのように自分の頬を叩く。
「よっしゃ! そろそろ始めるとするか! 散々やってくれた分はここでキッチリ返してやろうぜ!! さぁて……反撃開始だ!!!」
さて、そういえば皆さんはFAIRY TAILの話では何編が好きですか?
私は“天狼島”編と“大魔闘演武”編です。プレヒトもといハデスとの死闘は感動しました。
それとあれですねー、ナツとガジルがギリギリの対決してたヤツです、
あれは涙腺結構来ましたね、泣きませんでしたが。――ウェンディが襲われた時には
怒りが込めあげたような覚えがありました(笑)
まあ、そこも自身の手で書かないといけないんですよねー、耐えます(笑)