FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
先にこっちを投稿しますんで、お許しください!!
あれは……何時の頃のことだっただろうか。
暑い暑い夏の日か。それとも寒い寒い冬の日だっただろうか。
思い出せない。思い出そうとすると頭に激痛が走る。何かで蓋をされているのか、それとも本当に記憶を失ってしまったのだろうか。
しかし、あの小さな少女の願いだけは今も忘れていない。小さな約束だったはずのソレは大きく変化し、自分が果たさなければならない宿命となった気がして……。
――お願い、聞いてくれる? 銀色の救世主のお兄ちゃん。――
――ん? どうかしたのか? この間助けたお嬢ちゃん。別にオレは救世主なんかじゃねぇよ。ただ助けたいと思ったから助けただけだし。たまたま助けた村にいたんだろ?それはお嬢ちゃんが運が良かったんじゃないか? ところで急にどうした?オレに何してほしいんだ?――
――うん……わたしのパパとママ、悪魔って生き物に殺されちゃったんだ……――
――そうか。ツラいな、それは――
――だからお願い。……もう誰も泣かないで済むように、悪魔を倒す力を作って!――
「(っ! なんだ、さっきの記憶。“銀色の救世主”? “悪魔を倒す力”? ……やっぱ、体内の悪魔を喰い殺したせいで、他人の記憶が混ざっちまったか? まあ、いいか。そろそろ片付けねぇとな、結構アイツら派手にやってるみたいだし)」
血のように紅くなった瞳を暗闇の中で輝かせ、コートを纏う淡い金色の髪の少年は目の前で自分に猛攻撃を仕掛けてくる敵の姿を確認し、その動きを読んだ上での行動を取り続ける。
目と鼻の先を掠める白銀の剣。それが空を切ると同時にその剣からはとんでもない威力の暴風が放たれ、それか城内の廊下の壁を抉っていく。
「さっきからちょこまかと逃げやがってェェェ!!!」
「うるさいっての! ――ってかお前しつこすぎるだろうが!!」
自分の全く同じ見た目――血のように紅い瞳ではないが――の敵は舌打ちをしつつ、少年へと斬りかかってくる。またもや目と鼻の先を掠め、次は金色の剣から雷撃が放たれた。
まるで嵐の如き動きで被害を広げていくその敵は、この世界ではすでに指名手配された、もう一人の自分。この世界――エドラスでその異名を轟かせる殺人鬼。
その名はレイン・ソードブレイカー。恐らく捕まれば、死刑待ったなしの凶悪人だ。
それと反するように、その指名手配の敵と戦うのは、あちらの世界――アースランドの魔導士の少年。フィオーレ王国にその名を轟かせる魔導士ギルド《
元人間であり、現在は悪魔の身体であるその少年の名は
――レイン・ヴァーミリオン。旧名はレイン・アルバーストだが、彼はかつての《妖精の尻尾》創成期時代からのメンバーであり、初代マスターである《妖精軍師》メイビス・ヴァーミリオンの兄である。
そんな立場が反し、性格も、口調も、経歴も違う見た目も声音も同じ少年たち。どちらも目指す目標失いし者だが、生きることへの喜びは負けてはいない。
ただ本当に大きく違うと言うのならば……、彼らの中には譲れない決意があると言えよう。
片や殺人鬼であるレイン・ソードブレイカー。片や記憶を失いし、最強の魔導士でありレイン・ヴァーミリオン。
その二人にも譲れない願いがある。想いがある。守りたいものがある。
「てめえなんぞに負けれるかよォ!! オレはスラムにいる餓鬼共の命を背負ってんだからなァァァ!!!」
そう叫び、ソードブレイカーは両手に持つ二刀の剣を闇雲に振るうが、次の瞬間、その振るい方が変化し、軌道が完全に読めなくなる。
「ぐぅっ……!?」
一応両手に己の天空の滅竜魔法を纏わせているとは言え、所詮は腕に過ぎない。当然魔法にヒビが入り、隙が出来れば、その腕は切断されよう。
だが、ヴァーミリオンの少年も負けるつもりは一切ない。微かに腕から吹き出した鮮血を他人事のように見てから、即座に武器ごと相手を蹴り上げ、距離を取り直す。
「ああ、そうかい!! そうだな、確かに故郷にいるヤツらは助けてやりたいのは分かるさ!! だがな……」
その瞬間、次はヴァーミリオンの身体が靄のように消え、彼の拳が対峙していた少年の腹へと突き刺さる。
「ぐほぁっ……!?」
「オレに故郷はもう無い!! ――だが守るべき
彼にも守りたいヤツがいる。謂わば成り行きで仲間となったが、彼にとって《妖精の尻尾》はもはや大切な仲間であり、家族でもある。
まだまだ冒険は大した数はしていない。それでも彼らと一緒に戦い、共に歩んだ。それだけで彼の人としては長すぎるはずの人生に予想だにしなかった軌跡が描かれた。すでに彼がこの世に生を受けてから100年は経つ。
それでもこんなに騒がしく、楽しく、日々が本当は退屈じゃない日は無かった。仕事していても楽しくはない。そう彼は言った。
――だが、確かに強者とは戦えない。だから身体は鈍るだろう。それでも、これほど騒がしくて楽しいところは無かった。
かつて、メイビスが願ったギルドの形はここにある。夢に描いた願いと希望、優しさ、家族の形はここにある。
だからこそ……
「オレは負けられねぇ!! 全員でアースランドに帰って見せる!!」
抉り込むような彼の拳はさらに強く、敵である少年の腹へと捩じ込まれ、バネがその形を戻そうとするように腹へと拳を突き入れられた少年は吹き飛んだ。
「がはっ……!?」
何枚も一緒に廊下の壁を突き破っていき、漸くその勢いを殺すと、少年はフラフラとした足取りでこちらへと向かって戻ってきた。
血が彼の口から垂れる。全身はすでに青アザや傷で覆われている。
しかし、彼の目は死んでいない。まだ戦える、そう言わんばかりに強く輝いている。全く同じとは言えずとも、彼もレインであることには代わり無い。
守りたいと願ったのは同じだ。人である以上は本気で笑えるだろう。今、血のように紅い眼をしている
「(……………お前は笑えるんだな。人間であるから、本気でちゃんと笑えるんだな。少しずつ感情が失われていく、オレと違って)」
心の中で呟いたヴァーミリオン。そんな彼の目は寂しそうで、何処か悔しそうでもあった。そんな彼に満身創痍だったはずのもう一人の彼は勢いよく、右手に握る白銀の剣を降り下ろした。
「《
漆黒の暴風はたちまちヴァーミリオンを包み込み、その猛烈なる暴風の鎌鼬で切り裂いていく。着ていた服に切り傷が入り、コートの一部は破られ、淡い金色の髪の一部は切り落とされた。彼の身体にも切り傷が次々と入っていく。鮮血が漆黒の暴風に煽られ、何処かへと舞い上がっていく。
「チィッ……!! “天竜の
負けじとヴァーミリオンも左手を凪ぎ払うことで生成した純白の暴風を彼へと放ち、同じ呑み込ませた。互いに同じような魔法で傷つく少年たち。
その暴風が互いに過ぎ去る頃には、お互い身体から鮮血を流し、ほぼ同じタイミングで血を吐いた。
「ゲホッ、ゲホッ……(時々舌噛んで自意識保たねぇと、前回みたいな失態措かしちまうな、面倒くさすぎるだろ)」
「ガハッ、ガハッ……(思ったよりあの野郎、やりやがる。武器の残存魔力量が先に底尽きるな、こりゃあよォ。洒落になってねぇぜ、向こうの魔導士ってヤツらは!)」
互いに弱点を持つ二人。しかし、どちらも倒れる気配は一切無かった。ただ守りたいから立つ、負けたくないから立つ。そう言わんばかりだ。
笑えない、そう言われても仕方の無い破壊の数々。所々に穿たれた大穴は二人がぶつかり合った証拠。所々に風穴を開けられた城内は彼らが互いに吹き飛ばしあった証拠。
それら全てが彼らの勇ましくも激しく、常人には立ち寄らせない戦いであることを証明する。
それこそがお互い、異名を轟かせ合う者同士の殺し合いと言うものなのだろうか。
「そろそろ決めないとな、仲間の為にも……」
「こっちのセリフだ、この野郎。オレがてめえの首をここで叩き斬って、絶望をもたらしてやるよ。ついでに王国軍も全員殲滅してやらァ…!!」
「ハハッ、上等……!!」
お互い、もう一度距離を取り直し、気を込めるように静かに息を吐く。つかの間の沈黙が二人を覆い、ほんの僅か王城は静けさを取り戻した。
だが、次の瞬間から再び両者は接近し、斬りかかった。ヴァーミリオンは風を纏った手刀――いや、天空から作り出した刃、天刃と言うべきか――で斬りかかり、ソードブレイカーは残った魔力全てを注ぎ込んで魔法武器を容赦なく振るった。
ぶつかる度に空気が震え、衝撃で回りの壁やら柱が吹き飛ぶ。落ちてくる天井も衝撃波で粉砕され、二人を邪魔するものは次第に減っていく。
――カキンッ、ガンッ、ギギィッ
刃同士が触れあい、火花が散る。もちろん、ヴァーミリオンは素手である。しかし、魔法のお陰が怪我は案の定負わない。しかし、それも長続きはしないだろう。
そんな中、大きく距離を取ったソードブレイカーは両手の剣を同時に降り下ろし、ありったけの残り魔力を一撃に集束させ、放った。
「喰らいやがれ、《
漆黒の暴風と空より招来せし雷撃の合体魔法。不完全であれど、あれは……
「ここで《
本来ならば、二人一組で放つ大技。元よりソレの習得は仲が良いや、息がピッタリでは完成しない。最悪生涯を懸けても完成しないケースも存在するのだが、彼は残存魔力を上手いこと組み合わせたのか、恐らく外れれば大爆発を起こしても仕方ないレベルのものを放って見せた。
それが意味するのは、当然彼が真の意味で強者であることだった。恐らくアースランド生まれならば、魔法を巧みに扱う剣士に成れただろう。
――いや、ここだったからこそ彼はここまで強くなれたのだろう。
それならば、ヴァーミリオン――レインもまた、本気でやらなければならない。今使える魔法で、あれを吹き飛ばすのは至難の技。
ニルヴァーナを掻き消したアレならば、勝てるだろうが魔力の減少が洒落にはならないレベルであることは承知している。
「(クソッ、どうすればいいんだ……。なんとか回避するか!? ――いや、大爆発に巻き込まれ兼ねない。なら、前で爆発を……いや、無理か……。どうすれば……)」
焦るレイン。すぐそばに近づいてくる巨大な漆黒の天雷。少しずつ近づいてくるソレの圧倒的な威力の余波がレインに迫り来る。
次々と廊下の床や壁、柱や中庭を抉っていく。予想通りならば、あと数十秒で直撃するだろう距離に来た――その時だった。
『聖譜を使え……』
「……!?」
自分の意識に流れ込んできた謎の声。何処か聞き覚えがある気がするというのに、思い出せない声。懐かしくもあると言うのに、何故か寂しさを感じさせるその声。
それがレインの中で響く。その声に誘導されるように、彼は無意識に右手は人差し指と中指と親指を立て、左手は人差し指と小指を立てた謎の印を結んでいた。
それをゆっくりと円を空中に描くように回し、最後に手首同時を合わせ、静かにレインは呟いた。全身からはとてつもない魔力が漏れだし、その言霊は瞬時に世界を白へと染めた。
「
――◆――◇――
「……負けちまったか。魔法武器も折れ、挙げ句の果てには身体がしばらく動かせねぇ。あの変な武器も回収されちまったしな」
ソードブレイカーは抉れた廊下の上――実際はすでに土の上なのだが――で仰向けに倒れていた。見た目的にはさっきの魔法による外傷は全くない。
しかし、身体が
「(そろそろ潮時みてェだな。齢15歳で死ぬ……ってのもどういうモンだよ、マジで。次はもっとマシな何かに生まれ変われるかってとこか)」
そう心中で愚痴りながら、ソードブレイカーは身体を起こされ、王国軍の兵士たちに連れ出される。ため息をつきつつ、彼は自分の目の前から去っていった“もう一人のレイン”を思い出す。
「(“恐らくこの世界の魔力が消えるのも時間の問題だろうな。さっきのはたまたま勝てたようなモンだ、お前の勝ちでいいさ。まあ……お前は多分処刑されるかもしれねぇ。
それでもお前が殺されず、生きていたんなら……その時は今度は人を守る道を選んでみたらどうだ? 意外と楽しくて仕方なくなるぜ?”……か。――まあ、その時が来ればな)」
そして静かにレイン・ソードブレイカーは目を閉じ、連れていかれるままとなった。
はい、伏線を張りたくなったので張ります(笑)
まあ、それはさておき。SAOはちゃんと投稿します。ご安心を。
それと最近駄文になりかけている気がしてきました。また今度リハビリに移りたいです。
――受験勉強しながらですけどwwあとテスト勉強(血涙)
テスト終われば投稿ペース戻せるだけ戻そうと思います。それでは次回~!