FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
さて、次でエドラスは終わりたいところです。
え?勉強はどうしたんですかって?ハッハッハッハ……(涙)
『聖譜を使え』
その声に身を委ねてしまったかのようにレインはその魔法を放った。とてつもない白銀の閃光が辺りを埋め尽くし、気がつけば、目の前にいた彼は地面に倒れ、動けなくなっていた。
それを見て、何故かレインは懐かしさを感じ、見覚えのないはずの光景を重ねた。目の前で倒れ、謝罪を請い続ける犯罪者のような人殺しの男。
背後にはその男によって家族を殺された者たちの悲痛な叫び、そいつわ殺してほしいという懇願の叫び、あとは野次馬共の不謹慎な叫び声。
レイン・ヴァーミリオンにはそんな記憶はない。記憶損失のうちの一つなのかもしれないが、全く思い出す気配はない。
やはりあの悪魔が持っていた記憶の欠片なのだろうか。それとも魔導に接触することで得られた誰かの記憶なのだろうか。
分からない。レインにはそれが何なのか、それが何だったのかが分からない。
ただ、理解出来たのが……そのあとその男を殺さなかったと言うことだけだった。逆に縛り上げ、“正当で正しき罰を与えよ”と呟いた“白銀の救世主”のことだけだ。
それほどまでに伝説の“白魔導士”の男は全ての人間を平等と見なし、正しき審判を下すだけだった。かつて世界を無差別に裁いた最強最悪のゼレフ書の悪魔“ERA”とは違って。
彼はその際に人々に守るための力を授けた。誰かを傷つけるためではなく、守るために。だから人々はある大いなる恩恵を受けた。
今の世でも必要不可欠と言えるだろう、魔の法律――“魔法”を。
それにより、人々の暮らしは急速に発展した。たった数年でかの大きな街マグノリアに劣らないほどの街が次々と誕生した。
気がつけば、その“白魔導士”は伝説となっていた。あらゆる“魔法の祖”であり、世界から拒まれ続けた“黒魔導士”ゼレフとは違うことで。
未来は彼が描き、導き、広げてくれたと口々に云うものもいた。それも彼がいなかったら無かったことだからであろう。
――しかし、突如彼は歴史の中から姿を消した。いや、彼が神隠しにあったかのように。
それは新たな時代の夜明けだったのかもしれない。光の魔導士たちが人々を救い続ける世界が生まれる前の前兆だったのかもしれない。
彼は……それを知っていたのだろうか。それは誰も知るよしもないことだったが。
――◆――◇――
「……はぁ。面倒な記憶が出てきたなぁ、ホント。オレ自身の記憶が戻るなら良いんだけどなぁ……これは酷い、ホント。まあ、気になっていたことが少し分かっただけ得なんだろうけど」
そう言いながら、レインは誰もいなくなった王城内を駆け回った。気がつけば、城内を全部見終わったとも言えるほど周回していたのかもしれない。
――まあ、イチイチ確認していなかった彼の責任でもあるのだが。
そんな中、レインはある爆発音を耳にする。それもかなり大きい。その爆撃のような大爆発、それは何処かの浮き島から出ているように見えた。
「……ナツ、ガジル、ウェンディ。こういう時は大体この三人か…。ちょっと急いでみないとな」
そう呟くと、レインは両足に魔力を集束させ、一気に放つ。強烈な風が彼の足から吹き出し、まるでブースターのような役割を持たせると、そのまま彼は王城を飛び出す。
空にはすでに何もない。先程まで聞こえていた喧騒が聞こえない。飛び立てば、小さく見える地面にたくさんの人と魔法の光が点滅するように輝いている。
本当の意味での最終決戦。それがこの世界――エドラスで行われている。それはこの騒動の終わりを告げようとしているのと同時に、新たな時代の夜明けを意味していそうな気がした。
――だが、レインは無意識に呟いていた。
「下らない。何が“永遠の魔力”だ。アースランドには“永遠の魔力”はない、ただ人が魔力を持ち、それを回復する術を持っているだけだ。ただそれだけだ。
それをあの王は勘違いしているのか……? 魔導士にも魔法を放てる限度がある。一度魔力が切れれば、魔導士もただの人だ。それを理解していないのか?」
そう呟き、レインは空を見上げ、空気の流れを感じ始めた。次々に自分の回りへ風たちが集束する。集まり、交わり、流れを作る。
先程の戦いで失われた魔力が少しずつだが、回復する。しかし、それもエドラスであるためか、微量でしかない。
この世界とあの世界の違いなのだろう。だが、それがどうしたというのだ。そう彼は思う。魔力が無いから戦いになる、それならまだ規模は小さいだろう。
しかし、アースランドでは違う。強力な魔力があるから争いが存在してしまうのだ。結局、人間も悪魔も何もかも……争わずには要られない存在なのだ。
狭間にいるレインはそれを悟った。同じように“白魔導士”の男もそう感じたのかもしれない。だからこそ……
「失わなくていいように戦わなければならないんだ。戦ってしまうのなら、失うものが少なくていいように……」
そしてレインは飛翔する。今、戦っている滅竜魔導士の
「ハッハッハッハー!! この“ドロマ・アニム”が有る限り、王の力は絶対なのだ!!」
エドラス国王ファウストは黒銀の装甲を持つ竜を思わせる機械に乗り、そう宣言した。彼のも乗るソレの回りに浮き島を浮かせていた魔力や他の何かからの魔力が集束され、さらにその力を増している。時間が経つほどに黒銀の機械――“ドロマ・アニム”の破壊は困難になっていく。
しかし、ナツたちは立ち上がれなかった。全身に傷を作り、ボロボロの身で地面に倒れている。最初の猛攻が嘘のように、今の彼らは弱々しい。
魔力が尽きそうになっているのと同じく、身体にもダメージが大きいせいだろう。さらに追撃とばかりに“ドロマ・アニム”は手に持った槍を振りかざし、魔力の爆発を彼らに浴びせる。
「があああああ!?!?」
「きゃああああ!?!?」
「ぐおおおおお!?!?」
吹き飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられる。苦しむ彼ら、それを見てファウストは高笑いを溢し、さらに魔力を集め始める。
「いい加減敗けを認めよ!! そうすれば、お前たちの待遇を少し考えてやらなくはないぞ?」
「ぐぅ……!?」
立ち上がろうとするナツ。それを見て、ファウストは高笑いをやめ、また叫んだ。
「まだ立ち上がるか!! ならば、屈するまで痛め付けるのみ!!」
再びナツに魔力の爆発が襲いかかる。
「ぐあああああああ!?!?」
「ナツさん!!」
「《
ウェンディとガジルの声。しかし、爆発音がその声がナツへと届くのを拒むように掻き消す。彼女の悲痛な叫びが木霊するも、ファウストは残酷にも高笑いを上げつつ、攻撃をし続ける。
「地に墜ちよ、ドラゴン!! フハハハハハ!!!」
だが……
――ズバン!! ピシッ!! ドガッ!!
その音がここにいる者たちに届くと同時に“ドロマ・アニム”の左腕が地面へと落ち、爆散した。強烈な爆発に流石の“ドロマ・アニム”も態勢を崩す。
「なにぃ!? “ドロマ・アニム”の左腕が壊されただと!?」
高笑いを続けていたはずのファウストの驚愕の声が響き、爆発した左腕が落ちた辺りから煙の中に人影が現れる。
少しずつ煙が晴れ、漸く全てが晴れると、そこにいた人物が誰なのかが明らかとなった。その姿、淡い金髪の髪を持ち、白銀のコートを羽織った少年はニヤリと笑って三人を見た。
その笑顔、その姿、やりかねないような行動。それが意味する誰か、それはナツたちがよく知っていた人物だった。
「レイン!!」
「お兄ちゃん!!」
「てめえだったのか!!」
三人のほぼ同時の声。それを聞いてその少年は笑い声と同時に答えた。
「おう。いやー、なんていうか、壮観だな、こいつは。三人とも結構ボロボロなことはあとで聞くことにするか。――んで、試しに左腕を吹き飛ばして見たんだが……、滅竜魔法に弱くね、こいつの装甲」
あまりにも能天気な声がその場に広がり、レインは三人の前に立つ。漸く態勢を取り戻したらしいファウスト兼“ドロマ・アニム”はその少年を見て、言った。
「貴様、何者だ!! この私に逆らうのか!!」
「黙れよ、
「な、なんだとぉ!!」
「だからさぁ……――
その威圧感のある声に“ドロマ・アニム”を操る国王は無意識に後退りした。突然自分が見ていた少年の輪郭がボヤけ、気がつけば“竜”そのもののような姿に変わっていた。
人間が古代から持つ“原始的恐怖”。それが国王ファウストに襲いかかる。気がつけば、手が震え、高笑いが出来ない。
そんな様子を確認したらしき、レインは三人を立ち上がらせ、魔法を放った。
「《天体魔法》“
突然三人の足元に魔法陣が出現し、彼らを呑み込む。あまりの眩しさに彼らは目を瞑ったが、次の瞬間、再び視界が元に戻る。
「今のはなんだったんだ……?」
ガジルの疑問が浮かび上がり、ナツも訳が分からなさそうに首を傾げた。しかし、ウェンディだけは異変に気がついた。
「身体の傷が……無くなってる!?」
「な……!?」
漸く気がついたナツとガジル。それを見て、レインはため息をついたあとに答えた。
「ちょっとした応急措置だ、無茶は出来ねぇぞ。さて、と。ちょっと肩に手をおくぞ、ウェンディ」
そう言って彼女の肩に手を置き、レインは目を瞑った。突然のことに驚き、何故か顔を赤くするウェンディ。しかし、急に力が沸いてくることに気がついた。
「フーッ、ま、こんなとこか」
「あ、あの? さっきのは?」
「ちょっとオレの魔力を譲渡した。あ、それと試したいことがあってな。――ま、そのためにナツ、ガジル。あれの動き、しばらく止められるか?」
レインの挑発的な言い方。それに反応した彼ら。嫌がるんじゃないかと思っていたのだが、思いの外、彼らは単純だった。
「オモシレェ、やってやるぜ、レイン」
「別にオレだけでもいいんだけどなあー。コイツいらねぇし」
「んだと、サラマンダー!!」
「んだよ、ガジル!!」
喧嘩を始める二人。そこへ待ちくたびれたのかファウストが奇襲を仕掛けてきた。
「一人増えようが、この“ドロマ・アニム”は絶対!! ひれ伏せえええええ!!!」
「チッ、あとで決着つけてやらぁ、ガジル!!」
「こっちのセリフだ、サラマンダー!!」
ナツとガジルはほぼ同じタイミングで走り出す。先ほどのやられっぷりとは違い、魔力の爆発の全てを避けて見える。まるで最初の猛攻が甦るかのようだった。
そんな中、レインはウェンディの横に立つと、口を開いた。
「ウェンディ。あの装甲、見えるか?」
「あ、はい。えーっとあそこの分厚い装甲ですよね?」
「ああ、恐らくあそこには搭乗者がいる。――ってことはあそこ以外は脆い訳だ。そこに全力をぶつけるぞ」
「はい! ――でも、わたしの咆哮じゃ……」
「ま、それは帰ってから他の技を覚える次いでにやればいいさ。――そんな訳で、面白い提案がここにあるんだが……乗ってみるか?」
「……、はい! みんなで帰るためです。やって見せます!」
ウェンディの真剣な表情を見て、レインはクスリと笑ってから答えた。
「了解、それじゃ、オレが一気に走り出すから、背後から全力の咆哮を放てるか?」
「え……でも、それじゃあ、お兄ちゃんが……」
心配そうな顔をし、躊躇うような雰囲気を出す。そんな彼女にレインは思わず、大笑いをしてしまった。
「ハハハハッ!! いやー、ウェンディ、心配しすぎだって。別にオレ、さっきの戦いも潜り抜けてきたんだぜ? 今頃くたばる要素が見当たらないんだけどなぁ~?」
「……分かりました。――でも、怪我しないでください」
「OK。それじゃ、撃てって言ったら咆哮頼む」
打ち合わせを済ませ、レインたちはナツたちの方を確認し、指示を出した。
「ナツ! ガジル! ソイツの動きを封じられるか?」
「おうよ!!」
「言われるまでもねぇ!!」
レインの指示に応じ、ナツたちはお互いの技――火竜の鉄拳と鉄竜棍――で“ドロマ・アニム”の強靭な足に穴を穿ち、さらに足の関節部分に猛攻撃を仕掛ける。
「ぬおおおおっ!?!?」
ファウストの声が黒銀のソレから放たれ、それを見越したレインが走り出した。後ろにいるのは彼の妹分の少女――ウェンディ。
彼女に心配はいらないと悟っていたレインは躊躇いなく、叫んだ。
「ウェンディ、今だ、“撃て”!!」
「はい! 天竜の……」
勢いよく空気を吸い込み、魔法へと変換し、全身全霊を懸けた一撃として放った。
「咆哮ー!!!」
背後から迫り来る咆哮。それを気配で察し、レインは地面を蹴り、それに身を委ねた。猛烈な風に吹き飛ばされるかと思えば、逆にそれを利用し、更なる加速を実現させ、レインはなにもないはずの腰に両手を抜き手のように構えた。
「それじゃ、行こうか!!」
その掛け声がかけられた途端、レインの両手には風が集束し、二刀の風の剣が姿を現す。それを手に取り、抜刀の構えを空中で取ると共に、自身の魔法でさらに加速をかけ、“ドロマ・アニム”へと肉薄する。
すれ違う瞬間に抜刀し、勢いよく黒銀の右腕、頭部、両足を七回斬り裂き、中心部だけを蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた中心部からはファウストが勢いよく投げ出され、レインは空中を駆けた後、ゆっくりと自身の速度を落とすべく、地面に足をつけ、ブレーキをかけ、止まった。
振り返り、Vサインを仲間たちに見せると正面にあったはずの“ドロマ・アニム”が光を放って大爆発し、向こうに見えたナツたちに笑って見せる。
「上手いこと行ったな。ま、ちょっと初級クラスだけど“
まあ、ウェンディがもっと本格的に攻撃魔法覚えたら、さらに良くなりそうだな~と」
エドラス王国史上、禁式と定められし兵器“ドロマ・アニム”。ここに消滅する。
ついにアニメの方も最終局面ですねー。メイビス出てきましたよ、メイビス(^^ゞ
いやー、漫画の展開にも期待です!! あ、こっちの展開にも期待してくれたら嬉しいです。
そんな訳でリハビリがてらの話でしたが、どうでしたか?
感想あれば、送ってくれると助かります。それでは次回~♪