FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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前回少し大丈夫か、この二人?的な雰囲気を出したレインとウェンディ。

そんな二人の仲を修復し、さらに兄妹としての絆を高める回です。

どうか生暖かい目で読んでください。

P.S.

作者は文章力が本当にありません。許してください。



第四章 天竜覚醒 約束果たす瞬間
兄妹の絆


あの宴から数日、レインはウェンディと距離を置いていた。当然理由など明確だ。

ずっと隠してきた秘密、その一端を彼女に話したからだ。それも普通ならば、化け物扱いされても仕方のない話だった。

 

――オレ、大体120歳付近なんだ――

 

その言葉が如何に彼女を傷つけるか、レインにはわかっていたはずだった。薄々感じて、理解し、隠していた方が良かったのではないかと思えるぐらいに。

しかし、偶然とは言え、話さなければならなくなった。その時にどうしてああも……隠し続けてしまったのだろうと思った。

掠れた声で反芻するように呟いたウェンディ。数秒後から溢れ出た……彼女の涙。当然だ、どう取り繕うと、どう言い訳しようと……レインは彼女を弄んでいたことに代わりはない。

本当の兄のように慕っていてくれた彼女のことを裏切っていたのと一切代わりないことをしてしまったのだ。

 

泣いて、そのまま何処かに行ってしまった彼女を追いかけるべきではなかったのだろうか。追いかけて、ちゃんと謝るべきだったのではないのか。

それは何故かギルドでの宴を途中帰宅してからすぐに気がついた。どうしてすぐに気がつけなかったのだろう。

レインはそれを悔やんだ。その悔しさが彼の失われていた記憶の一端を甦らせた。

 

 

 

――お兄ちゃん、どうしたの?――

 

――え、あ、うん。なんでもない――

 

――嘘ついた?――

 

――え……、バレてた? やっぱり?――

 

――もう……。私の前で嘘付かないでね、お兄ちゃん――

 

――えー、……分かった。ウェンディの前では嘘を付かないよ、きっと――

 

 

 

破ってしまった。いくら子供の時の小さな口約束とは言えど。レインが嘘を付かないと誓った相手に嘘を付いたことはいくらどう成ろうと変わることはない。

嘘を付けば、不思議と付いた者の胸の奥に何かが刺さるように、それは刺さるごとに嘘を付くことに躊躇いが無くなる。

 

相手を殺めることだって同じだ。

初めて人を殺めた時には基本的に恐怖と罪悪感で潰されそうになる。

しかし……、回数を重ねれば、重ねるほどに相手を殺めることに躊躇いが一切無くなる。嘘も殺人も……躊躇いを失うところでは全く同じだ。

 

それなのに……嘘を付いてしまった。キチンと彼女の前で謝れなかった。小さな約束さえも破ってしまった。

 

どれだけウェンディを傷つけてしまったのだろう。

 

どれだけ自分にも苦しいことをしてしまったのだろう。

 

それがレインの心に数日間、突き刺さり続けた。

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

気がつけば、あの日がやって来ていた。

 

そう、フィーリの提案による三人+一匹のお出かけの日が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………(気まずいな……、この雰囲気。ウェンディも何か言いたげなんだけどな…)」

 

視線をずらし、回りを見渡すと同じように視線をずらしているウェンディを見かける。さっきからそれの繰り返しである。

切っ掛けがあれば、何か話し合える気がするが、上手くその切っ掛けがやって来ない。珍しくフィーリが両者の間にいるために話し合おうにも、あの話は知れば色々と厄介事に巻き込まれかねないものだ。

どうしてそれをウェンディに話してしまったのかは今でもよくわからない。だが、これ以上話を広げてしまうのもどうかと思えた。

そんな中、フィーリが口を開いた。

 

「ここ……なんて言うの…?」

 

「…ワース樹海。以前はここで“六魔将軍”と連合軍で戦った場所だ。ウェンディと再会したのはここだったな」

 

「そうですね。わたしもレインさんと会えました。それに《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》に来る理由になった場所。久しぶりな気がする」

 

「そうね。確かにここで色々あってから、あの騒がしいギルドに入ったわ」

 

シャルルの皮肉混じりの追加を聞き、フィーリは回りを見渡した。所々、木が倒れたらしい跡と、涼しい風が吹いているこの場所に彼女は嬉しそうに耳を動かした。

 

「気に入ったのか?」

 

「がう」

 

「そうか、それなら来た甲斐があったな」

 

そう言い締めるとレインは心のうちで自分を責め立てた。

 

「(なんでここで終わらせたんだ、オレぇぇぇ!!)」

 

その一方、ウェンディも同様に心のうちで自分を責め立てていた。

 

「(ま、また話すことが無くなっちゃったぁ……、ど、どうしたら……)」

 

そう互いに自分を責め合い、それから全く同じタイミングでため息をつく二人。そんな二人に首を傾げるフィーリと、二人に呆れるシャルル。

すると、またもや良いタイミングでフィーリが訊ねてきた。

 

「パパとお姉ちゃんは……、一緒に戦ったの…?」

 

「(フィー、ナイスタイミング!!)」「(フィーちゃん、ありがとう!!)」

 

内心で彼女にお礼を言いつつ、二人は話を長く保つために言う言葉を考える。そんな二人を見ていたシャルルが突然口を開いていった。

 

「ええ、そうね。ウェンディは回復を、レインは基本的に“ニルヴァーナ”っていう危険な魔法本体の攻撃打ち消しとかをしていたわ」

 

「(シャルル、全部言うなァ!!)」「(シャルル~!!)」

 

「(フッ……、早くしないからいけないのよ? この子、待つの苦手そうだし)」

 

シャルルによる介入で又しても話すことを失う二人。再びため息をついたのだが、やはりフィーリは何故ため息をついているのかが分からず、首を傾げ続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから同じようなやり取りを続け、気がつけば《化猫の宿(ケットシェルター)》跡地までやって来ていた。

丁度お昼がやって来ており、話すチャンスが増えるはずだったのだが、お互いに話そうとして顔を会わせては黙り混み、中々に話すことが出来なかった。

食べ終われば、フィーリが跡地の付近で好きなだけ走り回り――未だに四つん這いで走る癖が治っていないのか、四つん這いで駆け回っていた――ヒラヒラと舞う蝶などに興味津々になり、それを追いかけるのを、ただ二人と一匹は見ていた。

すると、シャルルが“ちょっと回ってくるわ”と言い残し、何処かに消えてしまうと、さっきより一層話しづらくなってしまった。

 

「……………」

 

「……………」

 

再び黙り混んでしまう。話しかけようとしても、どうしてか話しかけづらい。上手く言葉が思い付かず、少しだけ話せても話が続かなかった。

元より僅かしか無かった話をすぐに終わらせてしまったために、二人は再び話すことが出来なくなってしまった。

 

「……………」

 

「……………」

 

 

 

「(何から話せば良いんだろ(良いのかなぁ)……)」

 

結局それが頭のなかでぐるぐると周回する。思い付かないのではなく、話そうとしても上手く話せず、話しても上手く続かない状況。

ため息をつくのは同じタイミングだと言うのに、話が続かない二人。そんな中、走り回っていたフィーリが戻ってくる。

 

「……んぅ……眠た…く…なってきたぁ……」

 

フラフラとした足取りで二人の前にやって来ると、勢いよくバタンと前に倒れようとする。そんな危なげなフィーリをレインとウェンディは受け止め、横に寝かせた。

 

「……すー……すー………」

 

「気持ち良く寝てるな…」

 

「そうですね…」

 

互いにフィーリを見ながら一言呟いて、ハッと気づいた。しかし、それからは話しやすく感じた。まるでフィーリが二人が話しやすいようになる状況を作ってくれたみたいに。

 

「ウェンディ…」

 

「あ……はい」

 

漸く相手の名前を呼ぶことが出来た。その状況を幾度となく、レインは待っていた。後は……伝えたかったことを話すだけだ。そう思い、勢いに乗りつつ、話を続ける。

 

「嘘……付いてごめんな」

 

「いえ…、あまり…気にしてませんよ?」

 

「……なんて言うかさ。少し怖かったんだ、オレ」

 

「え……?」

 

その時から、レインの表情に寂しさと後悔が混ざっていった。そんな彼の横顔を見ながら、ウェンディはその話を聞いていく。

 

「自分が人じゃない存在で、しかも悪魔なんてさ……。普通なら口が裂けても言えないだろう? それに……せっかく慕ってくれた妹にまで、嫌われたくなったんだろうな……やっぱ」

 

「…ぁ…………」

 

「悪い、変なこと言ったな。気にしないでくれ。別にウェンディがさ、オレのことが怖いや、恐ろしい、他にも嫌いだとか思ったら言ってくれ。オレは元々このギルドにいるのも、メイビスから頼まれただけに過ぎないんだしさ。また一人で放浪の旅にでも出て……」

 

「本気で言ってるんですか……!」

 

その声にピシャリとレインは黙ってしまった。初めて聞いた彼女の怒気の混ざった声。その声に、レインは思わず黙り混むしかなかった。

するとそんなレインに我慢できなかったのか、ウェンディが立ち上がり、彼の前で叫んだ。

 

「本気で……、わたしがそう言っただけでギルドを止めるんですか? ふざけないでください!! レインさんは……、お兄ちゃんはギルドに思い入れが無いんですか!!」

 

「……………」

 

「なんで……、なんでそんなこと言うんですか!! わたしがこのギルドにいることが出来たのも、お兄ちゃん誘ってくれたからですよ!! それを今さら仇で返すようなことは言いたくありません!!」

 

「……そういうウェンディは、悪魔が怖くないのか? どれほど悪魔って生き物が、恐ろしいか、怖いか、強いか、それを分かって言っているのか!!」

 

「……っ!?」

 

優勢だったウェンディがレインの怒気で涙目になり、言葉を呑み込んだ。言おうとしていたことを瞬時に縛り付けられ、言えなくされたみたいに。

しかし、彼女は“ある想い”と共にその呪縛を引き千切った。

 

「わたしは……、わたしは……!! 唯一無二のお兄ちゃんを怖がったり、憎んだり、恐れたりしたくなんかないよ!!」

 

「……!?」

 

さしものレインも彼女のこの反論には対抗出来なかった。いくら自分が悪魔だったとは言え、ウェンディにとって自分は“兄”のような存在。

育て親だった天竜グランディーネがいない今では、唯一の家族である。誰がなんと言おうと、レインはウェンディの“兄”であったことに偽りはない。

 

「グランディーネもお兄ちゃんも居なくなっちゃったけど……、戻ってきてくれた……。お兄ちゃんは……、またわたしと居てくれた。それだけで十分だよ……、お兄ちゃんは……いつもわたしを守ってくれた。それだけで……わたしは………」

 

ついに我慢が出来なくなったのか、ウェンディは泣き崩れながら、レインに寄りかかる。彼女の小さな手が彼の胸を何度も叩いたが、徐々に弱々しくなり……、最後には彼女の泣き声しか聞こえなくなった。

そんな彼女をレインは強く抱き締め、ひっそり涙を頬へと流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……落ち着いたか?」

 

「……うん」

 

レインの優しい声が、ウェンディの小さく空いた心の穴に響く。何か吐き出してしまったようで、なんだか落ち着かない。

そんな彼女の様子を察したのか、レインはジーっと見つめてから左手でチョップを入れた。

 

「いたっ……」

 

「何時までもクヨクヨしない。ま、クヨクヨしてたのにオレも入るけどな。――でも、ウェンディは少々暗くなりやすいとこを治すこと優先」

 

「うぅ……」

 

少し落ち込むウェンディ。レインは彼女のその様子を見て、大丈夫そうだと感じると、少し懐かしそうな口調で、話し始めた。

 

「オレ、8歳の時に闇ギルドに拉致されてな」

 

「闇ギルドに…?」

 

「ああ。でも、“魔法”を見て、覚えるこの力。“魔導を見る力”のお陰で、魔法を覚えて闇ギルドを一人で壊滅させたんだ」

 

「ひ、一人で…!?」

 

「なんか遠い過去のようだけどさ。――それで、14歳の頃に、父さんと母さんが所属しているギルドがある“天狼島”に帰ってきたんだ。でも、父さんと母さんは亡くなってた」

 

「そう…だったんですか…」

 

「でもさ、妹が……――メイビスが生きててさ。スゴく嬉しくて……、だから何としても守りたいって思ったんだ。結局兄だってこと打ち明けたのは“六魔将軍”との抗争の後なんだけどさ。そんな時……、ギルドが闇ギルドに襲われ、壊滅した」

 

「か、壊滅……」

 

「当然他のメンバーは皆殺しにされて……、オレはメイビスを逃がすために囮になった。まあ、メイビスは逃がすことができた。――けど、オレは心臓に何本も槍や剣を刺され、死にかけてた」

 

「………その時、なんですか?」

 

「ああ。その時、たまたま空から――多分天狼樹に引っ掛かってたんだろうけど、ゼレフ書の悪魔が封じ込められていた本が落ちてきた。それをおれは無我夢中で無理矢理食べた」

 

「え……、お腹壊さなかったんですか……?」

 

「あ、うん、覚えてない。悪魔にまあ、乗っ取られて、今のオレの意識をほとんど失った。その代わり、オレは生き延びた」

 

「それが……今のお兄ちゃん?」

 

「まあ、そうかもな。ただオレは兄として何も出来なかった自分が不甲斐なかった。だから……メイビスのために生きていたかった、それだけかな」

 

そう言うと、レインは立ち上がった。背中にフィーリを軽々と背負い、ウェンディを立たせて。一度だけ深呼吸をし、再び口を開く。

 

「正直なところ……、今のオレがあるのはウェンディのお陰かな」

 

「え? どうしてですか?」

 

「だってさ。昔、ウェンディが記憶喪失だったオレが風邪を引いて熱を出した時、怪我をしてまで薬草とか取ってきてくれただろ? 丁度グランディーネがいない時間に」

 

「あ……」

 

「すぐに良くなったけど、ウェンディは怪我の治療もしないから、すぐに体調悪くなって、病気になった……、覚えてるか?」

 

「あ……はい。確か…その時……」

 

「一度だけ自分のこと言うときに“オレ”って言った。あの時に、ほとんど自我が失われてたオレは息を吹き返した。本当に……感謝してもし切れないくらい、オレは嬉しかった。もう一度、メイビスに会いに行けることと……」

 

そう言いながら、レインは空いていた手でウェンディの頭を撫でる。赤くなる彼女の顔を見ながら、彼は言い切った。

 

「こんな優しい(ウェンディ)に会えたことが、何よりも嬉しかったんだ」

 

「…ぁ…………」

 

彼のいつも以上に優しく、嬉しそうな笑顔。それを見て、ウェンディもまた嬉しくなり、笑った。

 

「うん、ありがとう、お兄ちゃん」

 

嬉しそうなウェンディ。そんな彼女にレインは訊ねた。当たり前そうで、少しだけ当たり前じゃなさそうなことを訊ねて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレの大切な……、優しい妹でいてくれるか? ウェンディ」

 

 

 

 

 

その問いに彼女は小さく、それでいて元気よく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 





シャルル「仲直りしたようね」

ウェンディ「しゃ、シャルル!? い、いつから見てたの!?」

シャルル「最初からよ。結構アンタも言うこと言うじゃない」

ウェンディ「…ぁ…ぁぁ……」カアア…←顔が赤くなる

レイン「ん? ちょっと待てよ? ってことはオレの過去や正体も聞いてたのか?」

シャルル「まあね。まあ、別に私、言いふらすつもりないし」

レイン「やっぱ、シャルルは大人だな。どこぞの青猫(ハッピー)とは格が違う」

シャルル「当然よ」
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