FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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今回は超オリジナルストーリーです。原作のなんて無視です、はい。

まあ、今回は主人公レインの家ってどんなの?っていうコンセプトからです。

今回珍しく作者、奮発しまして10000文字です。前編後編システムなので、次回も

5000文字を軽々と越えて見せます。駄文な部分はスルーで、お読みください。

それでは、本編どうぞ!


危険な地下洞窟探索!! 前編

ある日のギルドにて

 

 

 

「そういえば、レインの家ってどんな感じなの?」

 

突然思い浮かんだことを呟くルーシィの一言。それが周囲で食事中だった何時もの5人と2匹にどよめきを走らせた。

 

「そういえば、わたしもレインさんの家知りませんでした」

 

ウェンディが今頃思い出したように呟き、どんな感じなのかな~?と考え始める。すると、同じように他のメンバーも口々に呟いた。

 

「そうだな、確かにわたしたちはレインの家の場所も一切知らされてなかったな」

 

「そういや、コイツ、色々秘密にしてるせいでよく知らなかったな」

 

「レイン、お前の家ってどんなだ?」

 

上から順にエルザ、グレイ、ナツが呟き、疑問に思ったメンバー全員がサンドイッチを食べていたレインを見た。

全員から見つめられたレインはだらだらと冷や汗を流しながら、苦笑いを溢し、残っていたサンドイッチの欠片をゴクンと飲み込むと、一息で飲み物を煽り、ふぅ~と息を吐いてから答えた。

 

「ふ、普通の家……だな。少しだけ広いが……」

 

「なんか誤魔化してるわよね? 言い方的に」

 

「うぐっ……」

 

シャルルの鋭い言葉に痛いところを突かれる。流石のレインも恐らく誤魔化せないと思っていたのにも理由があるのだが、少々ここで言うのも難だなと思っていた。

すると、ウェンディが興味を示したのか、珍しくワクワクした様子で訊ねてきた。

 

「レインさん、どんな感じなんですか?」

 

「うっ……、大体……60坪ぐらい」

 

「ろ、ろ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「60坪ッ!?」」」」」」」

 

「あ、うん……。だ、大体それぐらい…。結構森のなかにあるんだけどな。まあ、そのお陰で広かったし、土地とか……」

 

言いづらそうに答えるレイン。全員がオロオロとしつつ、土地の広さから地価を必死で計算していく。すると、いち早く計算し終えたルーシィが恐る恐る訊ねる。

 

「い、家入れて……も、もしかして……ご、5000万J?」

 

「「「「「「え……?」」」」」」

 

その値段に凍りつく一同。すると、レインが目を反らし、少し黙り混んでから答えた。

 

「え、えーっと……だ、大体……ろ、6000万Jかなぁ…?」

 

「「「「「「ろ、6000万J……」」」」」」

 

とんでもない額にギョッとし、青ざめるナツたち。すると、レインがあれ?という顔をしてから、平然と続ける。

 

「まあ……、《幽鬼の支配者(ファントムロード)》時代に仕事ばっかり行ってたしなぁ……、大体貯金は20億Jくらいか。いつも十年分の地価を纏めて払ってるしなぁ。そろそろ仕事で一気に稼がないとヤバイかなぁ……、まあ、一週間ギルドを留守にしたら行けるだろうな、多分」

 

「そ、そんなに持ってたんだ……レインさん…」

 

あまりの金額に唖然とするグレイとハッピー、シャルル、その向かいの席ではナツがどれくらいご飯が食べ続けられるかを考えていた。

当然いつもお金で困っている彼女――ルーシィに至っては目が死んでいる。毎月7万Jの家賃を払っている彼女にとって、6000万Jの地価や20億Jの貯金などあり得ない話――いや、天上のものなのだろう。

同じくエルザやウェンディも家賃10万Jのフェアリーヒルズに住んでいるのだが、こちらも同様であった。

 

「ん? なんか変か?」

 

「いやいや、変じゃないわけないでしょ……6000万Jって……」

 

「ま、森のなかだしなぁ。元々土地としては開拓してなかったヤツを一から開拓したし、市長さんからは地価3000万でいいよって言われたからな、いつもは大体……」

 

「言わなくていいわよ!! それ以上はやめてぇ!!」

 

「ん? そうか?」

 

漸く現実を受け止めた一同を見つつ、レインはそろそろ仕事でも行こうかなと思い、席を立とうとして……思い出した。

 

「あ、やべ。そろそろ家の掃除とかするか。結構薬とか作って使ってないしなぁ……。危険になる前に片付けるか」

 

そう独り言を呟くと、クエストボードに向かおうとしていた自身の方向を曲げ、ギルドから出ていった。

そんな彼の背中を見て……、ふと思い出した一同は口を揃えて席を立った。

 

「「「「「「よし、レイン(さん)の家に行こう!!」」」」」」

 

「あいさー!!」

 

「アンタたち、なんか元気ね、掃除でも手伝うつもりかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

 

「フンフ~ン、フフン~♪ さて、と。こういう狭いところはこれでも使うか」

 

リビングの床をモップで綺麗に掃除していたレインは床の細い溝を見てから、使い終わった歯ブラシ――洗剤つき――を手に取り、綺麗に掃除していく。

何処と無く楽しそうなレイン。そんな彼の姿をコソコソと見ている者たちがそこにはいた。

 

「(レインさん、なんだか楽しそうですね)」

 

「(だなぁ、アイツの普段のイメージと結構違うんだが……)」

 

「(そうね。――ってグレイ、服着なさいよ)」

 

「(にしてもよぉ、レインの家、デカすぎねぇ?)」

 

そうコソリと呟いたナツはキョロキョロと見渡した。廊下はかなり長く、一階だと言うのに部屋数はとてつもなく多い。それに加え、二階も存在していそうな構造になっており、外から見たときには屋上らしいところも見えていた。

よく今まで見つからなかったなと言えるほどの小さめの豪邸、それがレインの家だった。元々宿舎や借り部屋に住んでいるウェンディ、エルザ、ルーシィは見た途端に入るのが恐ろしくなった。普通ならば良くもまあ、買えたなぁと思えるような家に。

そんな中、レインがテキパキと行動し、床の溝掃除を終わらせると、天井からぶら下がっていたヒモのようなものをジーッと見る。

 

「(あ、あれ? み、皆さん、あんなヒモ、さっきありましたっけ?)」

 

「(いや、今まで見たことねぇぞ、あれ)」

 

「(な、なんか嫌な予感するんですけど……)」

 

「よいしょ」

 

ガコンとヒモを引っ張るレイン。

すると、ルーシィの予感を待っていたかのように一同が隠れていたリビングの入り口の後ろにある廊下の壁が前へと動き、彼らを部屋へと押し出した。

 

「うおおっ!?」

 

「なんだ、これぇ!?」

 

「やっぱりぃ!?」

 

「きゃっ!?」

 

「な、なんだこれは!?」

 

綺麗にリビングへと招待されたナツたち。そんな彼らが顔を上げると、そこには掃除用の服装に着替えていたレインが仁王立ちをして見ていた。

 

「あわわ……」

 

大慌てになるウェンディ。実質それも仕方ないことだ。ルーシィの場合は頻繁にあるが、これも立派な不法侵入。レインの機嫌次第で評議院に通報されても仕方のない行為だ。

すると、レインはいつもの口調で訊ねてきた。

 

「ん? お前ら、何してんだ? 遊びにきたのか?」

 

「「「「「「「「へ?」」」」」」」」

 

全員が間抜けな声を漏らし、首を傾げる。すると、そんな彼らが可笑しかったのか、レインはクスクスと笑う。

 

「あ、あれ? れ、レインさん、怒らないんですか?」

 

「ん? 別に? だってルーシィとか何時も主にナツとハッピーに不法侵入くらってるし、こんなんで通報とか可笑しいからなぁ。知り合いなら別に咎めたりしないさ――泥棒しに来たなら拘束してから説教するけどな」

 

最後の言葉でギョッとするウェンディ。しかし、あくまでも泥棒などに関する場合であるために安心した。そんな中、エルザが興味深そうに訊ねた。

 

「しかし、何故わたしたちがいることが分かったのだ? かなり気配を消していたのだが……」

 

「何て言うかな、気配感じたんだよ。暗殺者とかも余裕で気配で分かるしな、オレ。前に言った気がするが、オレは基本的に戦闘中、眼で見て戦うんじゃなくて、気配で動きを察知するからな。光の速度で襲ってくるヤツとか、瞬間移動してくるヤツとか、姿見消しているヤツとかには眼じゃ対応できないからな、それの修行代わりにいつも気配探ってるんだよ」

 

「なるほど……。――ということは、試しに背後から全員で襲っても……」

 

「ま、当然返り討ちだな。ちなみに全員数秒で簀巻きにする。ハッピーもシャルルも飛んで逃げても無駄だぞ、オレも飛べるから」

 

「だ、だよね……」

 

「…ホント、アンタ規格外ね」

 

笑えないレベルの話へと発展していく会話をどうにか塞き止め、ウェンディはリビングを一瞥した。すでに部屋は綺麗に掃除され、恐らく移動する予定だったのだろうと推測する。

そんな彼女を見て、レインはふと何かを思い付いたのか、リビングにあるキッチンの方からガサガサと何かを漁り、持ってきた。

 

「ま、全員のことを不問にする代わりに掃除手伝って貰うかな。ほい、ゴム手袋と三角巾、その他用具セット」

 

「そ、掃除すんのか……、このアホみたいに広い家をか…?」

 

グレイが苦笑いをしながら、訊ねるとレインは当たり前と言った顔で返し、威圧の意味を込めて、最後に「逃げたら明日、出会ったら瞬間に稽古つけてやるよ。もちろん、スパルタ式」と笑顔で答えると、一同は互いに顔を見合せ、ため息をつく。

当然そう言われれば、逃げる気力など一瞬で消滅する。仕方なく、ナツたちはレインの家の掃除をお手伝いすることとなった。

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

「それじゃ、ナツとグレ……やっぱナツとルーシィとエルザ3人は二階を。オレとグレイ、ウェンディは一階の掃除するか」

 

「気のせいか、さっきナツとグレイを言いかけて変更したわよね……」

 

「ん? 気のせいだろ。別に、二人一緒にしてたらマカロフさん涙目の賠償金請求ガンガン行こうぜスタイルレベルの破壊が起こるとか思ってないからな~」

 

「もう絶対、混ぜたら危険って言ってるみたいじゃないですか……」

 

苦笑するウェンディ。一方そう言われたナツとグレイがレインに飛びかかるが、即座にねじ伏せられ、動きを止めた。

 

「オレの家、結構壊れると高いから暴れるなよ~、もし壊れたらお前ら二人、明日から借金生活だぞ~、もちろん飯なんて食えると思うなよ?」

 

「「す、すみませんでした……」」

 

エルザレベルの謝罪を見せる二人を尻目に、レインは次々と説明していき、ナツたちを二階へと移動させると、漸く一息をつき、肩の力を少しだけ抜いた。

 

「それじゃ、オレたちも掃除再開するか。――あ、一階にはさっきのリビングの他に作った薬とかが大量に置いてある研究室的な部屋と倉庫があるから気を付けてくれ。大抵の薬の効力を覚えているが、年数経つと薬の効果が可笑しくなるし、落としたら何が起こるか分からないからな~」

 

「了解だ」

 

「は、はい!」

 

落とすなと言われ、少し緊張ぎみになるウェンディ。それを見たレインは頭のなかで思考を巡らせ、口を開いた。

 

「ウェンディ~」

 

「な、なんです……イタっ!?」

 

こっちを向いたウェンディの頭にすかさずチョップを軽く入れ、頭を押さえる彼女に告げる。

 

「別にそんなに緊張しなくていいからな。逆に緊張してると手が震えたりして余計にパニックになる。こう言うときはリラックスだ、リラックス」

 

「あ……うん!」

 

元気よく頷き、丁度良いくらいに緊張が解けたウェンディ。そんな二人を見て、グレイは微かに微笑んだ。

 

「(そういや、コイツら、兄妹みたいな関係だったな。いや、もう兄妹だろ、これ)」

 

「ん? グレイどうかしたか? もしかしてウェンディが気になったか? 別に気になるのは良いけどさ、恋人とか考えてるならオレを倒してからにしろよ」

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

「ちげーよ!! ってかお前、自分を倒していけとか何処の魔王だよ!! 親バカ過ぎんだろ!!――いや、兄バカ……あ、シスコンか…」

 

「あ、違うのか。なんだ、安心した。いやー、なんかウェンディが何処の馬の骨とも分からない男に好かれたらどうしようかと……。まあ、グレイは知り合いだけどな。――でも、オレを倒してから」

 

「た、多分それ、無理なんじゃね……。お前化け物クラスだろ、強さ」

 

「わ、わたしもそう思うよ……? お兄ちゃん」

 

「あ、そうか? ――っていうか、ウェンディ、またオレのこと“お兄ちゃん”……って」

 

「え…? …ぁ……」

 

真っ赤になったり、慌てたり、そんな表情豊かなウェンディと全力でツッコミを入れるグレイを見つつ、レインはセカセカと掃除を再開するべく先程言っていた研究室的な部屋がある場所へと向かっていく。

 

「さーてと。一応一直線なんだが、遅れるなよ~、部屋間違えると洒落にならないから」

 

「た、例えば何があんだよ、この家」

 

「ん~? そうだな、上から巨大な木槌が降り下ろされるトラップとか?」

 

「即死じゃねーか!! 怖すぎんだろ、この家!!」

 

「ふええ……」

 

木槌が降り下ろされるイメージをしたのか、ウェンディの目元に涙が溜まり始めたのか――というよりは既に涙目――、レインも少し自重しようと考える。

そんな会話を少し続けていると、レインが立ち止まり、右隣の扉を開いた。すると、少しだけ埃っぽい空気が廊下へと吐き出され、全員思わず咳き込む。

 

「そういや、前にここ開いたの、虹色の桜の花見以来だな」

 

「大体二ヶ月前でしょうか?」

 

「みてぇだな、結構埃っぽいなこの感じ」

 

「なんか結構嫌な予感するなぁ、気のせいか?」

 

「た、多分気のせいじゃないと思います…」

 

苦笑いをするウェンディ。確かにレイン自身も嫌な予感しかしていない。最悪の場合、何かの薬が割れたりして、中の薬剤が外気に触れ、一室ごとドカンッという場合もあり得なくはない。

 

――もちろん、爆薬系統の薬の話だ。レインはそういう危険物は作ってはいない。薬が年月のせいで可笑しくなっていなければ。

 

「結構棚とか木製だから、慎重に薬を避けてハタキで埃を取ってくれ。危ない薬がある棚は基本的に当たらせないから、安心しておいてくれ。――それでも薬が結構面白いヤツあるけどな」

 

「た、例えばどんな感じの薬があるんですか…?」

 

「一日中猫の耳と尻尾が生えて猫化する薬とか」

 

「なんだよ、それ!?」

 

「前に猫好きの依頼者のお婆さんから報酬として追加で貰ってな。猫の気持ちを味わいたい時に使えだってさ」

 

「そ、それ、得なんでしょうか…」

 

「いや、結構危ない気がする。猫の耳とか尻尾って敏感だろ? それが人間に増えるってことは……」

 

「あ、オレ、もう察したぜ、ぜってぇそんな目に遭いたくねぇ」

 

「だろうね、グレイの場合だったらジュビアに写真でも大量に撮られそうだな」

 

「お断りだ、そんなの」

 

「わ、わたしもそれは嫌かなぁ……」

 

「オレも同じく絶対嫌だな。それに今はフィーがいるから遊ばれるだろうし」

 

漸く猫化薬の話を終える三人。すると、ウェンディが訊ねてきた。

 

「そういえば、フィーちゃんは?」

 

「ああ、現在は預かり先にいる。まあ、結構フィー、落ち着き無い時あるからなぁ、仕方ない。――でも、大丈夫だろ。預かってくれた人物はフィーが気に入っている相手だしさ」

 

ウェンディにはその人物が理解できた。先日話して貰っていたことから推測するに、恐らくはレインの本当の妹であり、ギルドの初代マスターの元なのだろう。

それにしても不思議に思うのが、そのメイビスという人のことだった。レイン曰く、ギルドの紋章があれば見えるらしいのだが、フィーリはまだギルドの紋章をつけていない。

それなのに何故見えるのだろうかと思ったのだが、恐らく人狼であるために気配などに敏感で、そういうのを感じ取れるのかもしれない。

 

――と思ったのだが、なんだかレインもよくわからないらしく、フィーリに訊ねてみたところ、「普通に…見えるよ? ママ、妖精さんみたい…だから」と答えられている。

 

「(う、う~ん? フィーちゃんも特殊なのかなぁ……、なんだか滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)みたいだけど)」

 

「ウェンディ~、手元気を付けるんだぞ~。一応そこは治癒とかの薬の置場所だけどな~」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「(な、なんか変な声出てたけど、気にしないでおこう……)」

 

テキパキと掃除を済ませていくレインたち。多分上の方でも恐らくはちゃんと掃除をしていることだろう。まあ、上にはレインの自室とフィーリの部屋があり、他には依頼書の数々がしまわれている書類書の数々がある部屋だけだ。一応他は未だに空き室だが、時期に埋まってしまうだろう。

そんな中、レインはふと思い出した。

 

「屋上にある畑、今の時期、何を栽培してたかな…。確か……ただの野菜じゃなかった気がするんだが……」

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

一方その頃、ナツたち二階掃除チームは

 

 

 

「へぇ~、アイツ結構部屋スッキリしてるなぁ」

 

レインの自室へと入ったナツがキョロキョロと部屋の中を見渡す。基本的に青色に統一された室内には涼しさが感じられ、窓も少しだけ開けられていた。

部屋に置いてある机には昨年の家賃などの使用料が書かれた紙が置いてあり、かなり節約とかもしている様子が伺われた。

珍しくナツもレインが日頃から頑張っていることに関心していると、机の上にある棚に飾られていた写真立て二つを見つける。

 

「これ、ウェンディか。んでこれがレイン、それで……これドラゴンか…!?」

 

その写真には小さい頃のウェンディとレイン、それに優しげな表情の白銀のドラゴンが写っていた。恐らくこのドラゴンが二人のいう天竜グランディーネなのだろうが、どうやって撮影したのかの疑問になる。

しかし、その次にみた写真の方がもっと驚かざるを得ないものであった。

 

「なっ…!?」

 

そこには金髪の長い髪の少女と片眼に眼帯をつけている男、ラクサスにそっくりな金髪の男、少し暗めの緑色の髪をした男。

 

――そして、銀色の髪をしているレインの姿が写されていた。

 

さらにその背後には改築する前のギルドが写っており、写真の表に小さく日付が書かれていた。それを見て、ナツは驚愕する。

 

「X686年4月……今から98年と半年前じゃねぇか……どうなってんだ……これ」

 

一応写真立てを戻すが、流石のナツも信じられずにいた。そんな中、エルザやルーシィが感想を抱きながら、やってくる。

 

「それにしても広いな、ここは」

 

「だよね。こんな家、あんまり見たことなかったなぁ。――実家はこれより広いというより、お屋敷なんだけどね…」

 

「ん? ナツ、どうかしたのか?」

 

疑問になって訊ねるエルザ。しかし、ナツは下手な嘘で誤魔化してみるが、当然バレていた。しかし、エルザはプライベートを見たのだろうとナツを一発だけ殴る。

 

「他人の部屋のものを勝手に見るな、馬鹿者」

 

「す、すみませんでしたぁ…」

 

「レインの部屋も綺麗ね~。向こうのあの子の部屋も綺麗だったし」

 

「恐らくレインが教えているのだろう。アイツ、意外と家事も得意だったようだからな。ケーキもかなり絶品だった」

 

眼をキラキラと輝かせ、エルザは口許を歪ませて何らかの妄想に至る。恐らくは大量のケーキでも思い浮かべているのだろうが、触れないでおくのが利口と言うものだ。

ふと脳内に“触らぬ神に祟りなし”という言葉が上がったルーシィ。思えば、エルザとレインが何となく怖い時があると言うことと、何かに一生懸命なところ、何かのために必死になるところが似ているなぁを考えた。

 

「(そういえば、レインってウェンディのことになるとかなり必死な気がするなぁ……)」

 

そんなことを考えていると、先程まで静かだったナツが顔を上げ、鼻で匂いを嗅ぎ始めた。それからパァーと顔が明るくなり、何を考えているかを口にした。

 

「なんかスゲーいい匂いがするぞ!」

 

「え? そうなの?」

 

「ふむ、何の匂いだ? ナツ」

 

「野菜……か…? でも、野菜っぽいのに何か違う感じだ!」

 

そういうと、ナツは掃除道具を足元に置くや否や、即座に駆け出していった。そんな彼にため息をつくルーシィと怒りを見せるエルザ。

即座に彼女たちもナツを追いかけ、屋上へと繋がる階段を上っていく。上がり切ると、そこには野菜農園が広がっており、屋上から見る森の景色も綺麗なものだった。

こんなに高い場所ならば、きっと夕日も綺麗だろうと二人は思ったのだが、ナツをキョロキョロと探していると、彼が野菜農園の一角にあった野菜を見ていることに気がついた。

 

「ナツ~、流石に食べちゃダメだからね~」

 

「食べるんじゃないぞ~、ナツ」

 

「いいじゃねぇか、少しくらい。レインだってそれくらい許してくれるだろ」

 

そう言ってナツはその野菜にかぶり付き、シャクシャクと食べる。呆れ果てる二人。

 

――しかし、突然ナツが持っていた野菜を手から落とし、苦しみだした。

 

「ぐあああああ!?!? ぐるじぃぃぃ……、頭がイテェェェ!! ぐあああああ!!!」

 

「ナツ!?」

 

「どうしたんだ、ナツ!!」

 

二人が駆け寄ると、ナツは既に意識を失っており、顔が青ざめていた。その様子を見て、エルザは速やかに推測すると、口に出した。

 

「まさか……毒か!?」

 

「毒!? じゃ、じゃあ、急いでウェンディとレインのところに行かなくちゃ!」

 

ナツを抱え、ルーシィとエルザはすぐさま来た道――野菜農園の一角から二階へと降りる階段まで――を目指し、急ぎ足で向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

「――ということで、このザマなのか……。――というよりも、なんで勝手に野菜をこうも食べるのかな、コイツ。美味しい匂いがしたって言ってもなぁ……、少しは考えてから行動しろよ。もしこれが即死系統の毒物だったらどうする気だったんだ、バカナツ」

 

腕を組み、レインはため息をつきながら言った。実際悪いのはナツなのだが、何故毒物が栽培されていたのかは聞かなければならなかった。

それが気になったルーシィたち二人はすぐにレインに訊ねる。

 

「なぜ、毒物が栽培されていたのだ!?」

 

「いや、あれは毒物じゃないから」

 

「そ、それじゃあ、ナツがなんで苦しんでるの!?」

 

「……食った野菜ってさ。赤くて丸くて……それでヘタの部分に紫色のラベルがついてた野菜のエリアか?」

 

そう訊ねるレイン。実際ナツが食べてしまったそれを持ってきていた二人がそれを取りだし、確認すると確かに紫色のラベルがついていた。

 

「た、多分それだと思う……」

 

「はぁ……、全く。その野菜なんだが、収穫時期までは毒物のヤツなんだよ。毒である間は色んな薬作るための元になる便利なヤツ。ちなみにそれの毒は治癒魔法でも結構時間かかるんだよな……、一応解毒薬は作ってるんだけどな」

 

「じゃ、じゃあそれがあれば、ナツは治るの!?」

 

「ま、まあ…そうなんだけどなぁ…。それ毒を含んだ者にしか効かない上に、関係のないヤツが使ったりすると、逆に毒に陥る薬な訳で……。フィーがいるから地下に隠しておいたんだよ、それ」

 

「ち、地下ッ!? 地下なんてあるの、この家!?」

 

「まあ、当たり前だろ。上からは攻めづらいと考える泥棒がいる訳ならば、地下から来るだろ、パターン的に。――ってな訳で……地下にはもちろん、トラップがあるんだよなぁ」

 

「で、ですよね……」

 

お決まりなのかと諦めるウェンディ。流石の彼女とレインが共同で解毒に当たっても時間がかかりすぎるだろう。その上に彼らにも限界と言うものがある以上、休憩もいるわけだ。

そうなれば、当然数日はかかるだろう。――つまり、その間ずっとナツが苦しんでいる訳でもある。それを考えると気の毒だが、正直“因果応報”、“自業自得”であるためにどう声をかければいいか分からない。

すると、気になっていたことをグレイが訊ねてきた。

 

「取りに行くのが難しいんなら、作ればいいんじゃねぇか?」

 

「……あれ、作るのに数日はかかる。ちなみにそれの毒は命までは奪わないが、一週間経たせると、身体に麻痺症状を残す。つまり、手足が動かなくなるってパターンもある訳だ。仕方ないが、取りに行くしかないだろ。ついでに地下から“こんにちは”を図ろうとする泥棒共も次いでに蹂り――ゲフンゲフン、捕獲して評議院送りにする」

 

「アンタさっき、“蹂躙”って言いかけなかった?」

 

「そんなこと言った覚えはない。それで、どうする? 俺だけでもいいが、結構地下は広いし、何処に置いたか忘れたからなぁ……。帰り道だけは覚えているが」

 

レインがそういうと、一同はナツを見つめた。今は意識がないが、彼の顔色は悪い。死なないと分かっていても流石に苦しそうである。そう思うと、自然と全員の気持ちは定まった。

 

「行くわ、日頃ナツに助けてもらってるし」

 

「わたしも行かせて貰おう。注意し切れなかった責任もある」

 

「オレもコイツが苦しんでんの見続けるのは面白くないんでな」

 

「わたしも行きます。人数が多いほど時間の短縮出来そうですし、治癒魔法でみなさんの傷を治せます」

 

「……覚悟いいんだな? 即死トラップは無くとも、食らえばしばらく動けなくなるようなヤツしか配備してないぞ?」

 

そう最後の警告をするレイン。しかし、彼らの意志は揺るがなかった。全員が覚悟をした顔つきを見せると、不思議とレインは嬉しくなった。

 

「(メイビス。オレたちが望んだ家族(ギルド)の形はたった三代で作り上げられた。願いっていうのはやっぱり叶うものなんだな。本当に良かったな、メイビス)」

 

瞳を伏せ、胸のうちで呟くと、レインは目を開き、笑ってから号令をかける。

 

「それじゃ、地下洞窟探索、張り切って行ってみるか!!」

 

「「「「「「「おう(ええ)(はい)!!」」」」」」」

 

 




レイン「ま、意外と地下への入り口ってのはすぐそこにあってだな。実は階段の下にある」

――ガコンッ

ウェンディ「ど、どうなってるんですか……」

レイン「一応魔法でカラクリみたいな感覚で動かしてる。まあ、あまり使わないからな」

エルザ「ところで、トラップとはどんなものがあるのだ?」

レイン「横から木槌がドーン的な」

ルーシィ「(急に帰りたくなってきた……)」

ハッピー「ルーシィ~、武者震い?」

ルーシィ「違うわ!!」
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