FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
今回はすぐに次の話が浮かんだので投稿しました。
ちなみに今回の話は次回への繋ぎです。それとギルダーツが駆けつけるまでの時間稼ぎ
でもあります。まあ、こんな駄作かもしれない作品を読んでくれる方々に感謝の念
を送り続ける日々を過ごします。
「………、寝てる間に何があった、これ?」
寝ていたいという欲望を強引に捩じ伏せ、意識を完全に引き起こした銀髪の少年――レイン。彼は確か、夕暮れが来るより前に一度眠りについたのだが、起きてみれば、外は雨が降っているわ、目の前に捕縛して放置していたスパイがいるわ、と理解が追い付かない状態に陥っている。首を傾げ、状況を整理しようと思うが、どれほど寝ていたのかが分からない以上、予測すら出来ない。
「……ウェンディ。オレ、どれくらい寝てた?」
「えーっと……、大体2時間くらい…かもです」
「……で、オレが寝ている2時間にこれほどの出来事が起こったと?」
すっかりとまではいかない自身の身体の調子を確認しつつ、レインは岩陰で何やらゴソゴソしているウェンディの返答を待つ。
雨が降っているというこの状況、恐らくウェンディは着替えているのだろう。流石に何度も質問して困らせるのも悪いと感じたのだろうレインは少しだけ考えを纏めようと黙り混む。
「(闇ギルド《
まったく、誰が企画したものなんだよ、これ……。――そもそも偶然だったな、今回のは)」
少し話が逸れながらも、なんとか結論を出し、レインは胸のうちで答えを唱えるように呟いた。
「(何かが起こる前触れ……、“一つの時代の終わりを告げる境界”ってとこか……。過去にも何度か、そういうのが起こってるみたいだしな……)」
取り戻した記憶の欠片を利用し、今までよりも結論に筋が通ってきたことに喜びを感じたが、それどころではないと自分を戒める。
だが、そんな彼にも未だに解けない疑問がさらにキツく残ってしまっていた。
「(オレの正体…か。取り込んだ悪魔の話が本当ならオレは400年前の人間……、それでいてウェンディと出会っている……。恐らくウェンディと出会ったのはメイビスが居なくなってから……――いや、待てよ。……もしかしたら、メイビスと出会う前にウェンディと会っている可能性も否定出来ないな。記憶喪失の原因が何か分かれば………)」
「――あの…、レインさん?」
突然呼び掛けてきた者は意外にも結構近くにいた。それも隣にいたということに。それに気がつくと、思わず後ろに退いてしまうレインだったが、声の主が誰かを知った途端、少しため息が漏れた。
「――ウェンディ、突然は止めてくれ、結構ビックリしたから」
「ごめんなさい。でも、レインさん、何回声をかけても反応が無くて……」
「…あーー……ナルホド…」
確かに先程は周りが見えなくなるほどに熟慮しようとしていた所だ。お陰で途中で考えていたものをすっかり忘れてしまったが、まあ、色々と助かったことには代わりない。
あのまま、ずっと考えて続けていると最悪置いていかれるなどという場合もあったからだ。そう思うと、流石は我が妹と言いたくなるほどに。
――あくまでレインがシスコンだからであるが……。
「……ジーっ……」
「ど、どうか…したんですか?」
「いや、なんかウェンディって“くの一”って感じの服装も似合うんだなぁ~と。ちなみに別大陸にいる女の忍者のことな?」
「ふぇ…!? ……え……その……ありが…とう……」
顔をレインから背けるウェンディの横顔が結構赤いのが気のせいなら良いのだが、どうやら気のせいではないことを知らせる存在――周囲にいたルーシィやドランバルトの眼が痛い。
マカロフはどうやら眠っているようだが、恐らく怪我がかなりのものであったのだろうと、簡単に推測し、レインは外を眺めた。
あまり天狼島に立ち寄る時に見なかった悪天候。なんだか新鮮で……不気味な雰囲気に、思わずレインも苦笑いしか出来ない。
もしS級魔導士昇格試験が明日ならば……と思わざるを得ない状況だが、これはこれで経験が積めるなと思う、軽く
今、この間にもレインは空気を微量に取り込み、自身の体力回復と魔力回復を続けている。同じく定期的に全員の眼を盗み、《天体魔法》にある“星々の恩恵”を発動したりと、実際の所は念のために備え、自分の治療を続けている訳でもあり、未だに戦い足りないと叫ぶ欲望が渦巻いていることに内心では失笑している。
「……そう言えば、ナツ。何処かに走っていった…って聞いたが、探し物は見つかったのか? 例えば……、メイビスの墓とか」
「ん? んなモン探してねぇー。ゼレフってヤツ見つけた。――けど、変なヤツに邪魔されて……」
「今に至るという訳です」
何故かクルリと一回転をし、ナツの説明をバッサリとカットするハッピー。流石にナツとしても、説明をカットされるのは気に食わないだろう。
それも正直なところ、ゼレフ見つけたという事実の後から今までのことが全く分からない。かの《妖精軍師》メイビスの兄であるレインと言えど、情報量の少なさには勝てそうにない。
思わずため息が何回か漏れるのだが、そんな彼らに一匹の空飛ぶ猫がやってきた。
――ウェンディの相棒猫シャルルだ。さっきまで偵察でもしていたのだろう。
「シャルル、どうだったんだ?」
「途中でギルドのキャンプを見つけたわ。そこに大体のみんなはいるみたい。でも、ガジルやエルフマン、ミラたちが重傷みたいよ」
「ミラさんまで……」
ルーシィが信じられなさそうな顔をしたが、まあそれも仕方がないと言える気がする。“煉獄の七卷属”のメンバーは基本的に四六時中戦闘でもしている者たちだ。
しかし、ミラは数年前に魔導士を止めてしまっている。“サタンソウル”も、いつぞやのはた迷惑な祭りで久しぶりに使ったものに過ぎない。
――となれば、武があるのは敵の方である。それに加え、今のミラは仲間を失うことを極端に恐れているために、多分全力が出せないのかもしれない。
などとレインの中で考えが纏まり、それを一旦何処かに沈める。今は敗北の理由など考えている場合ではない。
「――で、肝心の敵は何処だ?」
「向こう側の海岸ね。船が一隻止まってたわ」
「なるほどね……。そこ叩き潰せば終わるか。生憎こっちは基地無いしな……」
簡単に言って見せるレインにポカーンと口を開けたままの一同。不思議そうな雰囲気で首を傾げるレインだが、異常なのは自分だと理解し、黙っておこうと思った所に……
「オモシレェ! オレはレインと同意見だ!」
少し左肩に違和感が残ってはいるが、対して気にならないレベルだ。それに加え、身体にあった切り傷は全部塞がっている。戦おうと思えば、戦える状態にある。
それに“アイツ”には同じ仲間だった者として、妹メイビスの信頼を裏切った敵としてのケジメをつけなければならないとレインも思っている。
正直ナツと同意見と言うよりは、さっきの発言は彼を見習ったモノとも言えるものだ。本人は気がついていないのだが……。
「ま、叩き潰すにせよ、一旦オレたちは態勢を整えないとな。キャンプを逆にやられたら、話にならないし」
そう言いながら、レインはまだまだふらつく足で立ち上がり、外の方を見る。立ち上がったのを見たウェンディたちが焦り、ふらつく彼を支える。
「まだ動いちゃダメです、レインさん!!」
「そうよ、アンタ、それでも重傷だった方なのよ!?」
「――そんなこと言われても、オレはやらなきゃならないことが生憎沢山あってね。まずはメイビスの所に行かなきゃならないんだ……!」
その言葉を聞き、ウェンディとシャルルは理解した。事情を知っているから、そう言われればそれで終わりだが、彼女たちはそれだけの理由には入り切らない存在だった。
何年間――いや、何十年間も抱え込んできた孤独と自分の正体を知る存在、弱みを決して見せようとしないレインが漏らした微かなモノを知っている者たちなのだ。
だからこそ……、レインのやりたいことの大きさ――規模が予想できる。
「取りに行かないといけないモノがあるんだ……、オレには。アイツらやメイビスがどれほど信じていたかを示すために……」
ゆっくりと両足に力を込め、レインは自分の足で身体をふらつかせずに立ち上がる。まだ安心は出来るか分からないが、それでも彼からは何かを胸に秘めていることが理解できた。
そんな彼に感化されたのか、ウェンディも決心し、口を開く。
「――なら、わたしも連れていってください」
「ウェンディ!?」
シャルルが驚く。いくらレインが一緒とは言え、彼は負傷者である。そんな時に“煉獄の七卷属”などに当たれば、無事でいられるか分からないかもしれないのだ。
それを口にし、ウェンディを説得しようとするが、彼女はそれを聞かない。さらに決心を強くし、レインに着いていくことを諦めない。
「連れていってください、お願いします、レインさん」
「………、今のオレじゃ、どれくらい守れるか分からないぞ、それでも…いいのか?」
「はい!」
ウェンディは力強く頷く。それを見て、ナツもまた立ち上がり、言った。
「なら、途中まではオレも行く。それならレインでも守りきれるんじゃねえか?」
「……まったく、アンタたちのこと見てられないわ。わたしも行く」
同じようにルーシィも立ち、外へと向かう。雨が降る中で彼らが少しずつ前へと進む。それを見たシャルルやハッピーも腹を括ったのか、彼らに着いていく。
そんな彼らの背後から、ドランバルトが叫んだ。
「君たちは自分の置かれている状況を理解しているのか!!」
「――ああ。理解しているさ。だがな……」
少し身体に違和感の残るレインだったが、力強く底冷えするような鋭い眼でドランバルトを見据え、堂々と宣言する。
「
だから先に言っておく……、評議院がなんだ、魔法界がなんだ。オレはオレの守るべきものを守りたい、それだけだ。そっちが“エーテリオン”でも撃つなら好きにしろ。そん時は、オレがそれを倍にして跳ね返してやるよ、それが嫌なら時間を稼げ」
静けさの中に――まだ一人で飛ぶことすら叶わぬ妖精の中に、一頭の竜がいたのは言うまでもない。妖精の成長を見守る者がそこにはいたことを
その心の強さは“聖十大魔道”だからと言えるのだろうか。否、それ以上に彼は人間の持つ経験を遥かに凌駕している。ただそれだけだ、それだけでしかない。
けれど……、
だからこそ、
ただ彼は全てを背負い、彼らの涙を拭うだけ。それが彼に込められた名前の由来なのだから。
――◆――◇――
ドランバルトと別れたレインたちは、マカロフを背負うナツを先頭に進んでいく。レインは念のためにウェンディの前を走っている。
何か異変があれば、彼女がストップをかけられるようにと。それを言われるまでもなく、感じていたレインは杞憂で終わると思いながら、走る。
だが、そんな彼らの前に……一人の男が姿を見せた。
身体からはとんでもない威圧感が発せられ、彼のいるところだけ雨がとてつもなく降り注ぐ。まるでそこに引き寄せられているかのように。そんな彼に畏怖を少しながら感じたナツたち。
レインの眼はかなり冷たく、冷酷な何かが滲み出そうになっていた。
見覚えがいるのか、無いのかはさておき。
その男はギリギリナツたちに届く大きさの声で呟いた。
「飛べるかな……、いいや、まだ飛べないな」
それが彼らに届いた途端、彼らに強烈な重力がのし掛かる。
「ぐおっ!?」
「きゃっ!?」
「なに…これっ…」
「身体が……」
「じゅ…重力……」
地面までもが沈んでいき、彼らの身体に強く重力がのし掛かり続ける。痛みを含んだ声が周囲から聞こえる。そう…
「……………」
無言でただ一人、
「……? 何故立てる…? お前は飛べないはず……」
「…悪いな、オレは常に魔力を漏らしている訳じゃない。元はこれでも戦いなんて満更だったんだがな……、結局守るために力は必要だったと思えるよ、今も」
高重力がさらにレインにだけのし掛かるが、それでも彼は這わない。ただ立っている。一歩ずつ、ゆっくりと歩いていく。その男の元に。
ゆっくりとした足取りはやがて速くなっていき、最後には重力に押し潰された地面すらをも走り、蹴り、その男の目と鼻の先にまで接近した。
「なに…!? 飛べ……」
「そんなに飛びたいのか? だが、悪いな。生憎、空を飛んで良いのは……
それを言い終わると同時に、雷鳴が空から墜ちるように……、
「天竜王の天鱗!!」
その一撃は、ありとあらゆる猛者をも黙らせる。
そーいや、皆さんはクリスマスをどう過ごされますか?
え? 私ですか? それは当然……塾です。あー、畜生! なんで休ませてくれないんだ!
という感覚です。来てほしいような来てほしくないような感覚にとらわれています。
まあ、ゆっくりしていきましょう。次回は前書き通りギルダーツが来るまでの
レインVSブルーノートです。それでは次回~♪
P.S.
認めよう、フロッシュは可愛い。ローグの気持ちも分からなくはない。
それでも私はウェンディが好きだ。