FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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早速なんですが、今回。

前回との繋がりはほぼないです。完全にギルダーツの活躍なんてありません。

ギルダーツファンの方、本当にすみません。一応大魔闘演武編からレインまたは

作者視点ではなく、他キャラの視点にしようと思っています。

一度この話をギルダーツ視点にしたんですが、上手く行きませんでした。

まあ、それは勉強してなんとかしますので、本当にすみません。

――ところで、読者の方々はFAIRY TAIL ZEROを読みましたか?

レンタルでも借りられるようになっているので、ぜひアニメが放映され、それを見る

前に軽く読んでカットされたシーンや変えられているシーンを探してみてください。

結構楽しいですよ? あと作者にオリキャラの案を下さると助かります。

あと3人が未決定なんで沢山の案が欲しいんですよ。それも読者の方々からです。

知り合いからは色々と案を貰っていますが、今のところ作者が率先して「これだ!」と

言うのが中々にありません。それと、元ネタキャラがある場合はそれの記載も

お願いします。あ、でも作者。受験勉強とかあるので、映画とかのキャラは控えて

ください。スターウォーズとか結構時間長いんで。――というより作者見たことが無いです。

いや、これ本当にマジな話です。学生だからとかじゃなくて、綺麗に家族が見ている時間に

塾とかで居ないんで(笑)

まあ、そんな訳で無知な作者にご協力お願いします。

それと本編をどうぞ。今回はレインとメイビス回です。



思い出す出会い

天狼島 メイビス墓へと至る道にて

 

 

 

一人の少年が苦しげな呼吸を繰り返しながら、そこを一歩ずつ進んでいた。彼の綺麗な銀髪は微かな青みを帯び、彼の瞳はいつも通りの茶色混ざりの黒を見せる。

右手は洞窟の壁に置かれ、左手は自身の胸を押さえており、左手の甲には滴る鮮血が光で紅く怪しげに輝いていた。

何度か少年は立ち止まり、その度に血を口から吐く。止血が済んでいないために、彼の身体からは血が次々に失われていた。

歴戦を潜り抜け、過去に様々な冒険をしてきた流石の彼も、由々しき事態と漸く認識を改め、自身の胸を押さえる左手に魔力を集束させる。

淡い緑色の輝きが胸を覆い、その光の心地よさが少しずつ彼の表情に残った苦痛な顔つきを和らげる。漸く張り詰めていた息を吐き、少年はドスンと腰を下ろした。

 

「――ったく、色々と面倒事ばかりだな、ホント」

 

ツラさを感じさせないその声。先程までの彼の様子とは駆け離れた“それ”に誰かが居たのならば、驚くことだろう。

傷はどうしたのだ?と聞きたくなるのも分かる話だ。だが、彼の胸元にあった深い傷は形や跡を残すことなく、完全に()()していた。

あり得ない。そう言えばそうかもしれない。実質彼の使える魔法では完全に治癒するものはない。“天空の滅竜魔法”でさえ、傷を完全には癒し切れない。体力を回復させるものであるそれでは、傷痕残さずには出来ない。――しかし、彼はその魔法の正体を小さく呟いていた。

 

「《聖譜(テスタメント)》――絶対にして、ほぼ全てを叶える最強の魔法。“白”と“黒”、“光”と“闇”。その両方を兼ね備え、本来魔法の中枢に存在せし存在。かの黒魔導士ゼレフに対抗せんとし、“白魔導士”が創り出した魔導の深淵に最も近き魔法。

――何故それがオレに使えるんだ?」

 

疑問のままに彼は呟く。以前エドラスでも、この魔法のほんの一部、1%にすら満たないものを使用したが、今回使ったのはその魔法でもなかった。

“傷を癒す”――その根本を揺るがす魔法、《創成(クリエイション)》。元々あった部分の損傷を癒すのではなく、その組織が壊れていた、または失われていたということすらをも()()させる魔法。

それ故に“創成”。創り出し、それを成す。それが“白魔導士”が考えていたものだ。その魔法の異常さに流石の少年――レインも驚きを隠せなかった。

 

これ程の力があったのに、何故“白魔導士”は歴史から消えていったのだろうか?

 

何故こんな魔法を残し、それを自分が知っているのか? 

 

“魔導を見る力”に何故これが認識出来なかったのかと思ったのだ。認識できないのに何故知っている、何故使うことができる。それが疑問で仕方がなかった。

自分の存在――細胞レベルで埋め込まれた記憶の残滓なのか。はてまた、奴隷にされていた一年間の間、思い出せない何十年の間に無理矢理覚えさせられたのか。

それは彼には分からない。だが、ただ今はそのことに感謝を正直に述べた。あの深手を一瞬にして無かったことにしてくれたのだから。

 

「全く……、昔の魔導士はどうしてこうも常識外れというか、なんというか……。それにしても、こんな魔法があるなら死んだ人間も蘇生出来そうな気がするんだがな……、やっぱ禁忌に触れたくはなかったんだろうな」

 

染々と呟くと、レインは再び立ち上がり、今度は右手を壁に当てることなく、歩き出す。少しずつ、少しずつ暗かった洞窟の先が明るくなっていき、眩しい光が彼の目に届く。

滅竜魔導士故に視力が――彼はその滅竜魔導士の中でも視力が大きく段違い――優れすぎているために、眩しい光に目が潰れそうになった。

なんとかそれを堪え、彼は一歩を踏み出す。パッと周囲の暗さが消え去り、明るい空間が姿を現す。そこにあるのは、メイビスの墓。その回りには天狼島に来ているギルドメンバーが宴会をしても狭くはない大きさがあり、その空間に降り注ぐはずの雨は直前で霧散する。

“結界”、そう言い表すのが正しい何かがそこには張られている。――と言っても、これをあった本人には何の驚きも生じない。

そんな彼の目の前に墓の後ろから少女が姿を現した。淡い金髪の長髪に、いつもの白をメインとした服装、裸足、何もかもを見通す洞察力のある瞳。

紛れもなく、彼女は初代ギルドマスター、《妖精軍師》メイビス・ヴァーミリオン。

 

そして――

 

 

 

 

 

――ここにいるレインのもう一人の血の繋がった大切な妹だ。

 

 

 

 

 

「メイビス、ごめんな、この島でこんな大暴れして」

 

『いえいえ、構いませんよ。わたしも少し不注意だったと思います。まさかゼレフが来ていたとは思っていませんでした』

 

「――ああ、本当に予想外だったよ、オレも」

 

『思い……出したんですか?』

 

彼女の澄んだ緑色の瞳がレインを見据える。彼はその目を見て、苦笑しつつ、本当のことを述べた。こう言う時のメイビスは決して騙すことが出来ない。それは身をもって体感している。

実際聞くところによれば、ユーリは初対面ですぐにウソを見抜かれたと言っていた。彼らに言える言葉と言えば、ただ一つ。

 

そこが君たちの運命の分岐点だった。それだけである。

 

実際メイビスにとっても彼ら――ユーリ、ウォーロッド、プレヒトに出会ったのが運命の分岐点だった。レインもそうだ。彼らがあの日敗走し、あの場所に来ていなければ、レインも運命も変わらなかっただろう。

 

「ああ。全部じゃないけど、大体思い出した。まだメイビスが“ああなってしまった直後”から再びこの地で会う日までの記憶が思い出せないけどな」

 

『そうなんですか……。――さて、そろそろ本題を聞かせてくれませんか、兄さん』

 

二人の間に緊張感が訪れる。いつになく、彼女は静かに、ただ頭をフル回転させ、かつての異名の如く鋭い“答え”を探そうとする。

同じ血を流すレインもまた、同様に頭をフル回転させる。――と同時に口を開いた。

 

「ここに置いておいた“あれ”を回収しに来た。オレたちの記念の品々を」

 

『――“あれ”ですね。分かりました。それと、この島に保存していた魔力、持っていきますか?』

 

「ああ、全部じゃないけど、8割は持っていく。――それと今回、もしかすると、“妖精の球(フェアリー・スフィア)”を使わないといけなくなる可能性がある。

一つの時代に終わりを告げるアイツが来るかもしれない」

 

『……アクノロギアですか』

 

「ああ、オレは家族(なかま)を守る。そのために、彼らにその魔法をかけるかもしれない。かけた時、一緒に解除を手伝ってもらえるか?」

 

少しの不安が胸に(よぎ)る。過った理由も、実際ここにいるメイビスには魔力がほとんどないに等しい。本体は別の場所に眠っている。島の魔力を使えば、短縮が出来るかもしれないが、それでもこの天狼島の魔力の大半はレインの魔力だ。ここで8割回収されれば、魔力量が著しく下がる。その状態でも、手伝って貰えるだろうかという疑問が込み上げたからだ。

すると、メイビスはキョトンとし、ボーッと考えてからクスクスと笑い始めた。

 

「え……なんで笑うんだ…そこで…」

 

『ふふ……い、いえ…その…。…はぁ……』

 

「…た、ため息?」

 

『兄さん』

 

「はい!?」

 

ピシャリとした声がかけられ、突然のことでレインは変な声を漏らす。少しムスッとした顔をしたメイビスが少しずつレインに近づいていく。

何か怒らせることでもしたのかと頭のなかで記憶をまさぐるレインだったが、急に何かが触れた感覚を感じた。

懐かしい感覚。この世に生を受けて、自分の意識を持った年頃に母親に抱き締めてもらった感覚と酷似するそれにレインは思わず苦笑した。

 

「メイビス、なんか母さんみたいだな」

 

『そ、そうですか? ……ってそんなことよりもです! ――こういう時ぐらい、兄さんらしく、小さなお願い事ぐらいしてください。兄妹で無くても、わたしたちは家族(なかま)です。忘れましたか? わたしは“頼ってください”とあの時、ちゃんと告げましたよ?』

 

記憶の中に残る小さなもの。かつて、荒廃したマグノリアを建て直すことと帰る場所を前提に創られたギルド《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》。その日、マスターとなったメイビスが告げたこと。

 

『わたしは、このギルドを和を重んじる家族のようなギルドにしたいです。仲間とは言葉だけのものではありません。仲間とは心、無条件で信じられる相手。

どうかわたしを頼ってください、わたしもいつかきっとあなたを頼る事があるでしょう』

 

『苦しい時も悲しい時もわたしが隣に着いています、あなたは決して一人じゃない。

空に輝く星々は希望の数。肌に触れる風は明日への予感。さあ、歩みましょう、妖精たちの(うた)に合わせて……』

 

その言葉がかつての偽りのレインにヒビを入れた。彼が生命の重さに気がつく始まりとなった。今のレインが――小さかったメイビスを守り、その命を散らそうとした彼に引き戻す一つ目の(かぎ)となった。

その言葉が胸のなかで光輝き、その暖かさがレインを変えていく。ERAとの戦いで心が揺らぎかけた弱い彼は少しずつ薄れ行き、メイビスが抱いた願いを継ぐ者としての器を造り出す。

白銀色の髪は金色の輝きが点滅し、彼の瞳に緑色の輝きを蘇らせる。

ゆっくりと自分という存在を構築し直し、レインはいつの間にか閉じていた瞳を開いた。彼の容姿は一切変わっていない。

変わったのは彼の心の持ち方。変わったのは揺らぐことのない強く頑丈な信念。もう一度、あの頃の彼らしく、それでいて彼ではない存在へと。

レインは昇華する。時代を見守り、家族(彼ら)を守る存在へと。音色(こころ)を響かせ、(ねがい)を叶え、人々の不運(なみだ)を拭い去る。

そんな存在へと、彼は自身を変えていく。大切な妹に支えられ、大事な記憶(思い出)という自分という存在の欠片を組み合わせて。

 

「――ああ、オレの自分勝手なお願いを手伝ってくれ、メイビス」

 

『はい♪ わたしに出来るなら』

 

胸に抱いた想いを。それを優しく抱き締めてくれるメイビスを。少年は願った。いつかメイビスが再び笑顔でこの世界で過ごせるように、と。

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

 

「――ところで、メイビス。いつまでオレを抱き締めてるんだ?」

 

『あれ? あ、そうでしたね。すっかり忘れてました』

 

漸く気がついたメイビスはレインの身体に回した両手を離すと、小悪魔っぽくニヒヒと笑う。少し恥ずかしさで顔が赤いが、嬉しさも少しあるのだろう。ふとそう受け取ったレインだったが、何故メイビスの暖かさが直に伝わったのかが不思議になり、訊ねる。

 

「それと、なんでメイビスは軽く実体化してるんだ?」

 

『確か、お酒を飲む前に兄さんがわたしに“ミルキーウェイ”を使用していませんでしたか? 多分その効果が残ってたりして』

 

「成程な。まあ、持続時間も伸びたみたいだな、やっぱり」

 

『あ、それと、兄さんが言うだろうと思って先に“これ”を準備していました』

 

少し墓の方へと戻り、その後ろからゴソゴソと何かを漁った後、メイビスが両手一杯の品々を持ってきた。小さな球体型の爆弾や鎖に繋がれた刃。小さいながら命が詰まった植物の種。

それと同じく球体型のラクリマ。それらをレインはメイビスからちゃんと受け取った。

 

「ありがとう、メイビス。全部残ってたんだな」

 

『ふふ~ん♪ これでもわたし管理はお手の物なんですよ~♪』

 

「――とか言って、昔大切な書類の一つを無くしたの誰だっけなぁ~?」

 

『ち、違いますよ!? あ、あれは夜遅くに片付けてて、一緒に書類と寝ちゃっただけです!!』

 

「どうして一緒に寝るんだが……。もしメイビス寝つきが悪かったら、書類ぐちゃぐちゃだったし……」

 

『け、結局大丈夫だったじゃないですか……』

 

「女子の部屋に入るっていう男子に取ったらキツイことを任されたのオレなんだけど……」

 

『う、うぅ………』

 

シュン…と落ち込むメイビス。少しからかい過ぎたかなと思ったレインは彼女の頭にいつもの癖で手を置き、優しく撫でる。

すぐに元気になる彼女を見て、彼はニッと笑う。かつては親友、悪友、大切な仲間として接した二人。今の二人は兄妹でありながら、何処かその枠に当てはまらない場所にいて……。

そんな二人の耳に小さな爆発が聞こえた。爆発したその方向はギルドのキャンプがある方を向いている。

 

「さて、最終決戦ってところかな」

 

『そうですね。――兄さん、大切な家族(なかまたち)を守ってあげてください』

 

「ああ、それがオレに出来ることだしな。任せてくれ」

 

受け取った道具を瞬時に割った空間にしまい、彼はメイビスに背を向け、歩き出す。洞窟に戻る直前に一度だけ振り返り、レインは約束する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが終わったら、今度はみんなでワイワイ騒ぎながらお酒でも飲もう、メイビス」

 

 

 

 

 

 

そう言った彼の顔は幸福と嬉しさに包まれていた。

 

 




メイビス「さて、わたしも準備しないといけませんね~」

一旦後ろに下がり、自分の墓に背中を預ける。

メイビス「それにしても思い出したって言ってましたね、兄さん。やっぱりギルドでの
     ことを覚えてそうですね。えーっと……」

脳内で懐かしい記憶の数々を駆け巡らせるメイビス。そのなかで“ある一件”を思い出し、顔を真っ赤にした。

メイビス「…ぁ………っ!?」

身悶えし、地面に転がり回る。

メイビス「わ、わたし…と、とんでもないことを…してました……」

後悔先に立たず。その言葉を思い出し、肩を落としたのは言うまでもない。
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