FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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今回は色々と疲れました。まあ、文字数云々もありますが、何度もセリフを書き間違え

たりして、原作通りで行こうとした所を何度もやり直しました。

結局諦めて原作読んだり、アニメ見たりとしました。まあ、パクりすぎないように

注意してます。さて、それでは作者のことに構わず、小説をどうぞ!!

P.S.
作者、なけなしのお金で原作50刊限定版、51刊限定版、そしてZEROを購入しました。

お財布結構寒いです(涙)

そういえば、前日クリスマスでしたね。まあ、私は“苦シミマス”でしたけど。

というよりも、ぶっちゃけてしまいますが……。

リア充? サンタ? なにそれ美味しいの? というか、リア充は爆発しろっていう

リア充爆殺委員会とか理事会が展開されてないの? へ? 討ち漏らし?

んなモン、そっちで裁き切れよ、知るか、リア充がなんだよ。――という感じです、私は。

え? そういう私はどうなんですかって? 大丈夫、クリボッチじゃないです。

だって塾の面子がいますしお寿司。一人じゃないです、志を共にする同志がいるので。

別にリア充爆殺とか言ってる人とかどうでもいいです。でも、リア充も尚更どうでも

いいです。とりあえず、ハッキリ言いましょう。メリークリスマス。

とりあえず、皆さん、一緒に十字架にかかった方のことでも脳裏に浮かべてケーキ

食べましょう。そうすれば、きっと来年も同じことが起きます。

永劫輪廻ですね、分かります。――と言う訳で、繰り返し小説の方をどうぞ。



希望の雨

その時、絶望に打たれたはずの少年たちに一筋の雷閃が走った。

彼らの前に立ったのは、かつての家族(なかま)。金髪の髪にその身に纏う雷。その姿を見間違うことはなかった。彼の名はラクサス。ラクサス・ドレアー。

ナツたちの仲間であり、ギルドマスターマカロフの孫。もう一人のS級の滅竜魔導士。ギルドから破門された彼が、敗北間際のナツたちの前に姿を現した。

誰もが自身の目を疑っただろう。しかし、彼から感じさせる威圧感と彼ならやってくれるという安心は紛い物ではなかった。

ギルドを襲撃した敵の親玉、ハデス。彼はラクサスに何かと重ねたようだったが、彼は怒りを込めた一撃を容赦なく叩き込んだ。

圧倒的な力を誇るハデスと互角に戦うラクサスの姿はナツたちの不安を取り除くものだった。

 

だが、ラクサスでもハデスを倒すことは出来なかった。ハデスが放った天照百式によるダメージは彼の動きを鈍らせるほどまでに。

避けることさえ、不可能な状況でラクサスは不適に笑い、ナツに己の魔力すべてを分け与えた。落雷がナツを襲ったように見えたその光景。

倒れたラクサスが何かを呟いた後、ゆっくりとナツは立ち上がった。ギルドの思いを背負って。ラクサスの思いも背負って。

 

 

 

 

 

 

立ち上がった彼――ナツの魔力は、普段の彼を遥かに凌ぐとてつもない魔力を秘めていた。熱き炎を纏いし身体には新たに雷を纏い、その姿はまるで炎と雷が融合を果たしているように見えるほどだった。

 

「雷を食べちゃったの……?」

 

「炎と雷の融合…」

 

「雷炎竜……」

 

上から順にルーシィ、グレイ、ウェンディが告げていく。とてつもない魔力に仲間である彼らも微かながらに恐れが生まれる。

それほどまでに感じたことのない魔力がナツから感じさせていた。そんな彼らの中で、一人だけ驚き以外に既視感を感じていた。

 

「エーテリオンを食べた時と同じ……」

 

エルザは呟いた。彼女の脳裏に浮かんだのは、楽園の塔でジェラールとの一騎討ちの際にエーテリオンを食らうナツの姿。

その姿はまるで荒ぶる竜の如く。正気を持たない竜のようにナツの力は巨大化、少しの攻撃で周りを吹き飛ばしていた。

その光景を目の当たりにしているエルザだからこそ、比較できるのだろう。だが、今の彼は反動の大きく大暴走のような有り様だったあの時とは違っていた。

ちゃんと自分らしい自我を持ち、それでいて圧倒的な魔力を備えている。エルザには――いや、仲間たちにはそんな風に見えていた。

 

「うおおォォォォ!!!」

 

「うぼぁ!?」

 

雄叫びを上げ、ナツは一瞬で距離があったハデスとの間を埋め切り、力一杯に込めた右腕を彼の顔面へとぶつけた。吹き出す炎がさらにハデスを押していく。

 

「らァッ!!!」

 

吹き飛ばし、再度強烈な攻撃――火竜の鉤爪と酷似するそれをハデスの脳天に直撃させ、一瞬のうちに彼を火だるまにするナツ。

しかし、流石闇ギルドの一角、前回の“六魔将軍(オラシオン・セイス)”をも越える“悪魔の心臓(グリモア・ハート)”のギルドマスターハデスは火だるまと化した自らに喝を入れるかのように、炎を消し飛ばす。

だが、炎を消し飛ばした彼の身に突然の落雷が墜ち、感電を起こす。

 

「ぐああああああ!?!?」

 

「炎の打撃に雷の追加攻撃!?」

 

「スゴい…!!」

 

あれほどまでに圧倒していたハデスに対し、優勢のまま連続で攻撃をし続けるナツの姿に、そこにいる仲間たちは感嘆の声を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

 

“悪魔の心臓”の所有する戦艦内にて

 

 

 

たった一人、ゆっくりとした足取りで銀髪の少年は歩いていた。彼が歩んできた道のりには数々の敵が倒れているが、誰も無傷で命に危険が及んでいる訳でもなかった。

ゆっくりと、ゆっくりと。彼は目的の場所を目指して迷うことなく進んでいく。曲がり角があっても、それに騙されることなく、彼はただ歩く。

元からその場所を知っているかのように。元からここで過ごしてきたように。

 

「成程な。確かに警備は厳重。――だが、やっぱ人間である以上は、睡眠欲に耐えられる訳がねぇよな。ま、これもアイツを叩くための布石だし、ちゃんとしておかないとな」

 

呟く彼の周りには小さな空気の塊が浮遊しており、その中には微量の粉が含まれていた。よくよく見れば、倒れている者たちの顔付近には小さな粉が少しでも付着している。

まるでそれを吸い込んでしまったかのように。彼の手には小さな袋が握られている。その袋の中身など、現状況からでも推測できるように――睡眠薬一択だった。

日頃から薬などを扱うことがある彼には睡眠薬を作ることや持ち運ぶことなど造作もない。彼は自分の特殊な身体のことを誰にも話さずに何十年も生きている。

だが、この一年で知られた――いや、まだ少数だが彼は話している。だからこそ、正体や隠してきたことなども今なら気にしないで済む。

すでに覚悟は決まった。この一年で全てのケリをつけることも決めている。トラブルさえなければ、この一年――いや、もう一年で……。

 

「――フッ、今は考えなくていいか……。オレは自分の役目を果たし切ればいい。大切な家族を守りきれれば、それでいい。あとは上手くやってくれる、“コードETD”はアイツに任せたらいいんだ。だから……」

 

少年――レインは小さく微笑む。しかし、次の瞬間には底冷えするような覇気を放ち、目の前からやってくる警備員の闇ギルドの者共を気絶させる。

まるで屍を踏み越えていくように、彼は進んでいき、再び口を開く頃には、彼の声音は低く、暗いものだった。

 

「――オレは妖精を守らなければならない。悪魔の時代は何れ……いや、すぐに終わりを告げる。オレという悪魔にも“終焉(ピリオド)”を打たなければならないんだ。

だから……それまでにオレを越えてくれ、()()()()()

 

ゆっくりと歩み、少年は瞳を一度だけ伏せる。瞳の奥に輝く小さな記憶。目の前で笑顔を溢し、記憶喪失の自らの手を取ってくれた優しい彼女の姿。それだけが――いや、それも含めてレインは願う。

 

――彼女(ウェンディ)に明るい未来(あした)がありますように。

 

そのことだけが漸く欲望を取り戻した少年の二つの望みの一つだった。願われている本人が知る知らぬを問わず……。

 

 

 

 

 

 

 ――◆――◇――

 

 

 

 

 

所変わって“悪魔の心臓”が所有する戦艦の上層フロアにて

 

 

 

戦いは更なる衝突を起こしていた。先程の優勢変わらずしてナツは猛攻撃をハデスへと与えていく。一瞬のうちに距離を詰め、彼は雄叫びを上げながら攻撃をまた一撃と加えていく。

彼の炎と雷を纏った右腕が殺到する。

 

「オレたちのギルドを傷つけやがって…!!!」

 

「うごォっ!?」

 

その一撃がハデスを大きく後退りさせる。だが、それで止まる(ナツ)ではない。さらにもう一撃を叩き込む。

ボールの如く吹き飛ぶハデス。吹き飛んだハデスの勢いがフロアの地面を次々と抉っていく。ボロボロになっていく床が誰の目からでも分かるぐらいに。

 

「お前はァ!!!」

 

両手に巨大な煌炎を掲げ、その炎にも強烈な落雷の力を集束させる。漸く起き上がったハデスはそれを見て目を丸くする。

あまりにも大きく強烈な一撃が目の前にまで迫っているとならば、誰だってそうなるだろう。しかし、彼は止めない。仲間を傷つけられた。ただそれだけであって、それこそが彼にとってはツラく、苦しいことだから。

勢いよく両手を降り下ろし、巨大な落雷纏いし煌炎をハデスへと殺到させる。

 

「消えろぉぉぉォォ!!!!」

 

“雷炎竜の撃鉄”――その言葉が似合うその一撃が戦艦の側面の壁に亀裂を走らせ、大爆発が呑まれたハデスを包み込む。

一度距離を置いたナツ。彼の両腕に突如巻き付いた魔法の鎖。その発生源は大爆発を起こした煌炎の上から出た何かからだった。

 

「ハハッ!! 両腕を塞いだぞォ!!!」

 

高笑いを溢し、ハデスは勝ったと言わんばかりに自信満々の様子を見せた。だが、ナツはそれを力任せに引き千切った。

 

「ふんがァ!!」

 

「なっ……!?」

 

鎖を引き千切っても、ナツは止まらない。何かを吸い込む動作をし、彼は次々に炎を口の中へと溜め込んでいく。同時に彼へと集まるのは落雷。

その圧倒的な魔力の奔流が驚愕するハデスに(ほとばし)る。

 

「雷炎竜の……」

 

溜め込まれた炎と落雷が一斉に解き放たれた。

 

「咆哮ォォ!!!」

 

とてつもない勢いで放たれた咆哮はハデスを糸も容易く呑み込み、戦艦の側壁をも吹き飛ばす。吹き飛ばされたのは戦艦の側壁だけではない。天狼島の地形の一部をもその咆哮は貫き、抉り取っていく。破壊された規模はどれくらいだなど考える暇などなく、距離を開けて周囲にいた仲間たちまでもがその風圧に吹き飛ばされる。

 

「うおおお!?」

 

「きゃあああ!?」

 

ただ一人エルザだけが耐えるその中。漸く咆哮が消滅した頃には、呑まれたハデスは大の字に倒れ付し、その強烈なブレスを放ったナツはボロボロだった。

 

「……ぁ……………」

 

「…ぁ…………」

 

誰も声が出ない。それほどまでの一撃。それほどまでの光景。

 

「……勝ったんだ……私たち……」

 

ルーシィが呟く。その時、誰もが心の底から喜びが込み上げる。だが、魔力を使い果たした彼はユラユラと揺れ、背後に出来た大穴に吸い込まれるように落ちようとしていた。

その穴に身を委ねていくナツを見て、ルーシィはすかさず飛び込み、落ち行く彼の手を取った。

 

「…ナツッ!!」

 

「……た…、助かった……。…へへ…もう魔力がねぇや……」

 

その声は何処となく、嬉しさに満ちていた。

 

 

 

 

 

 

――◆――◇――

 

 

 

 

 

再び所変わって、“悪魔の心臓”が所有する戦艦の動力源にて

 

 

 

「――よし、これで完璧。誰も気がつかねぇだろ。まさか動力源の心臓の裏側、そこに爆発の大きな爆弾が3()()()セットされてるなんてな」

 

ゆっくりと降り立ち、レインは汗を拭う動作をすると、張り詰めていた息を吐いた。慎重な作業だった分、あとの見返りは期待できる。あとは何も余計なことをするヤツがいなければ…というところだ。ゆっくりと息を吸うと、彼は堂々と入り口の扉を開け放つ。

しかし、そこには警備兵など全くいない。そこにいるのは倒れ、眠っている者たちのみだ。その者たちをジーッと見たあと、彼は小さく彼らの肩を叩いた。

少しばかりの反応がある。その反応を確認したあと、すぐさま彼は距離を取っていく。一応警備を起こしておかないと変に調べられる可能性があったからだ。

警備兵の前に姿は見せていない。だから、ただの睡眠不足だと思われるだけで済む。彼らがゆっくりと起き上がるのを陰で見たあと、漸くレインは肩の力を抜き、上に上がる階段、もしくは何かを探す。今度は仲間たちを助ける番だと判断して。

 

「さて、と。ユーリ……、お前の爆弾はアイツを止めるために使わせてもらうよ。きっと届く、最後は元のアイツに戻ってくれる、オレはそう信じているから。

――だが、戻るまではケジメをつけさせてもらわないとな。メイビスの願いを裏切った罰だ、その身に刻め、プレヒト・ゲイボルグ……」

 

その声は誰にも伝わることはなかった。だが、その言葉はかつての戦友、かつての盟友たる少年の心を決定付けた。妖精は弱い、だが結束すれば強い。

けれど、裏切り者には容赦はない。そうやって家族を守ってきた。その決まりを決めた時にいたのならば、覚悟ぐらいは出来ているだろう。

だからこそ、少年はゆっくりと進んでいく。

 

裏切り者の彼を罰するために。

 

罪のない人々を滅ぼした彼を終わらせるために。

 

彼の叶わぬ夢を潰すために。

 

そして少年は畳んでいた巨なる白き翼を大きく広げた。

 

 

 

 

 

 

――◆――◇――

 

 

 

 

 

勝利に満ちた笑顔を溢す彼ら。その彼らがいる場所の向こう側で、再び悪魔は目を覚ます。

 

「大した若造共だ」

 

その声に誰もが驚き、震えた。何故なら、もう立てない、もう動かないと思っていたからだ。それほどまでに先程の猛攻撃は激しく、凄まじいものだったはずだ。

だが、ハデスはゆっくとだが立ち上がった。

 

「マカロフめ……、まったく恐ろしいガキ共を育てたものだ」

 

「そんな……」

 

ウェンディがあり得ないといった様子で声を漏らした。

 

「私がここまでやられたのは何十年ぶりか……」

 

発せられたのは邪気。その邪気に全員の身体が萎縮する。

 

「っ!?」

 

「嘘だろっ!?」

 

立ち上がったハデスを見て、グレイが声を漏らした。あれほどの外傷を受けて立てる者など彼らは見たことがなかった。――いや、たった一人だけいる。

彼らの仲間であり、最強の滅竜魔導士の彼だ。ニルヴァーナの魔法を吹き飛ばした彼と酷似するハデスの姿は恐ろしかった。

 

「このまま片付けてやるのは容易いことだが、楽しませてもらった礼をせねばな……」

 

「あの攻撃が効かなかっただとっ!?」

 

ハデスの変わらぬ言い回し。それは彼がまだまだ口調が変わるほどまでに追い詰められてはいないという証だった。

そんな中、ハデスは右手で自分の塞がれた右目に置かれた眼帯に目を当て、それを退けていく。少しずつ怪しげな何かが姿を現していく。

 

「《悪魔の眼》、開眼…!!」

 

一気に放たれた巨大な魔力と邪気。それらは一瞬でナツたちに恐怖を甦らせる。すでに満身創痍な彼らに告げる更なる絶望が迫っていく。

 

「うぬらには特別に見せて新是よう……」

 

ゆっくりと顕になっていくそれは赤く怪しげに輝く眼だった。

 

「魔導の深淵を……」

 

さらに高まる強大な魔力。それが彼らの心を打ち砕くように。

 

「ここからはうぬらの想像を越える領域」

 

「バカな……」

 

「こんなの…あり得ない……」

 

「こんな魔力は感じたことがない!?」

 

「まだ増殖していく!?」

 

そして、悪魔(ハデス)は宣言する。

 

「終わりだ、《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》!!」

 

 

 

 

 

 

「魔導の深淵……?」

 

「なんという魔力だ……」

 

「……ぁ………ぁ………」

 

「ナツ、しっかりして…! お願い…!」

 

「かっ……かはっ……身体が………」

 

立ち上がろうとするナツだが、魔力の消耗とダメージがそれを阻む。ルーシィたちに迫る狂気の魔力がさらに強くなっていく。

 

「魔の道を進むとは、深き闇の底へと沈むこと」

 

ハデスは何かを語りだす。しかし、それが今の彼らに分かるものなのかは分からない。

 

「その先に見つけたるや深淵に輝く……“一なる魔法”!!

あと少し……、あと少しで“一なる魔法”に辿り着く。だが、その“あと少し”が深い。その深さを埋めるものこそ“大魔法世界”…!! ゼレフのいる世界…!!

今宵、ゼレフの覚醒と共に世界は変わる。そして、私はいよいよ手に入れるのだ、“一なる魔法”を!!」

 

ハデスが語るのは“ある一つの話の一説”。しかし、それを知る者などここには誰一人――いや、たった一人だけ存在した。ルーシィだ。

 

「“一なる魔法”?」

 

「(やっぱりこの話、どこかで……――ママ?)」

 

他の者たちとは違い、彼女だけには覚えがあった。それを最後まで覚えているかはともかく。

すると、ハデスは両手を掲げ、奇妙な構えを取り始めた。

 

「うぬらは行けぬ。大魔法世界には。うぬらには足りぬ、深淵へと進む覚悟が!!」

 

「なんだ、あの構えは……!?」

 

構えが完全に定まると共に、ハデスは一気に魔力を放つ。かのゼレフが記したとされる魔導書の一節にある魔法――いや、裏魔法を。

 

「ゼレフ書第四章十二節より…裏魔法、“天罰(ネメシス)”!!」

 

次の瞬間、辺りは一気に暗くなり、瓦礫からは次々と怪しげな何かが蠢き、生まれていく。まるでそこから次々に召喚させているかのように。

悪魔と呼ぶに相応しきそれが次々と誕生し、気味が悪い咆哮をあげていく。まるで産声をあげているかのように。

 

「瓦礫から化け物を作ってるのか…!?」

 

「ひっ……ぁ……ぅ……」

 

「深淵の魔力を以てすれば、土塊から悪魔をも生成できる…!! 悪魔の踊り子にして、天の裁判官。これぞ裏魔法!!」

 

ハデスの周囲に蠢き、産声をあげていく悪魔たち。その魔力は……絶望的なほどに強大だった。それをいち早く察知したエルザは青ざめていた。

 

「一体一体が何て絶望的な魔力の塊……、ありえん」

 

「怖い……怖い……怖い……、助けて……お兄ちゃん………」

 

ウェンディは両手で顔を覆い、恐怖に打ち負かされそうになっていた。

 

「(私が恐怖で震えている……)」

 

「(なにビビってんだ、オレは……!? 畜生……!!)」

 

「(怖くて……もうダメ……、誰か私たちに…勇気を……!!)」

 

強大すぎる魔力と敵を前にして、彼らは震え、立ち向かうことすらできなかった。

次第に全員が絶望に心を折られていく。完全に心が折れてしまう、その時だった。

 

――お前らの望みを、願いを言え。

 

「っ!?」

 

その声が響いた。懐かしくて優しくて、何処か儚い声。しかし、それは知っている。ここにいる全員が知っている声音だ。

 

――お前ら、何が欲しいんだ? 力か? 希望か? 明日か?

 

「……た……」

 

――何が欲しいんだ? お前らは。

 

「……した…」

 

――欲しいものを…本気で答えろ、妖精たち。望みを答えるんだ

 

絶望に心が折られかけた全員がその問いに対して、声を揃え、叫んだ。

 

明日(あした)が欲しい!!!」

 

その声は静かに木霊した。謎の行動にハデスは首を傾げかけた、その時。聞き覚えのある声が彼らに届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上等…!! その願い、オレが叶えてやるよ、“未来へと歩む者(妖精)たち”!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬の輝きが圧倒的な魔力を誇り、全員を絶望へと墜としていた悪魔たちを葬り去った。その刹那の輝きが彼らの希望を照らし出す。

(そら)から降り注ぐ希望の閃光(あめ)。悪魔たちが断末魔を上げ、次々と消滅していく。消え去って、消え去って、土塊すら破壊していく。

終わりを告げない殲滅の光が彼らの希望を作り出していく。暗く輝きを失っていた空間が元の色を取り戻していく。

目の前に暖かい光が差し伸べられていく。希望がすぐそこにまでやってくる。目尻から溢れ続けた雫は自然と止まっていく。

 

「なにごとだ……、“天罰(ネメシス)”が…破れているだと……!?」

 

「――何が“天罰”だ。笑えるよ、そんなモン。審判者無くて、裁判官が存在するものかよ」

 

一閃の輝きが迸り、ハデスの背後へと降り立った。反射的に振り返ったハデスの頬を狙い、重く硬く、とてつもない魔力の籠った一撃が彼をも殴り飛ばす。

吹き飛ぶ彼の姿に誰もが信じられないだろう。誰もが目を疑っただろう。その光景を見て、ナツたちは驚くしか出来ない。

 

「まったく……、なんてみっともない顔してんだ、お前ら」

 

ゆっくりと砂煙が晴れていく。

 

「まずは涙を拭け、ガチガチになった肩の力を軽く抜け、そして笑え」

 

砂煙が徐々に晴れ、完全にその者――彼らに希望をもたらした者の姿が明らかとなる。

 

「忘れたか、オレはお前らの希望だ。本当に明日が欲しいと望めば、オレはどんな状況でも駆けつけてやる、安心して笑え!! オレは……どんな逆境をもぶっ壊してやるさ!!」

 

彼は――“妖精の尻尾最強の滅竜魔導士”は天高く、雄叫びを上げる。力強く、彼は笑いながら、仲間たちに希望の雨を降らせていく。

原点――(レイ)という名ではなく、悲しみを知り、優しくできる者として名付けられた彼が、仲間たちに希望を降らせる。

 

 

 

 

 

 

「――みんなで帰るぞ、仲間たちが待つギルドに!!!」

 

 

 

 

 

「「「「「レイン(お兄ちゃん)!!!」」」」」

 

 

 

レイン・ヴァーミリオンは絶望を払い除け、希望の光を照らし出す。

 

 

 




【重要事項】

現在オリキャラ募集をしております。

沢山の案を待っております。集まり次第、活動募集にあげたいです。

前回の活動募集でいくつかの外伝をやるといいましたが、このままの作者の投稿スピード

だとそれを書き終わると、大魔闘演武編にそのまま行きそうなので、そろそろ

募集期間が迫ってきています。恐らくこのままだと、知り合いと現在の募集案から

ギリギリ通るものを選んでなんとか継ぎはぎ状態で出してしまいそうです。

いい案がありましたら、お願いします。最悪、作者の無知な頭でなんとかします。

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