FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹   作:天狼レイン

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はい、ナツたちが来るまでの時間稼ぎしたりしまーす、レインがww

まあ、ゆっくりしていってねー



浮かび上がる断片

見事ビックスローを瞬殺したレインなのだが、どうしても気になることが増えてきてしまっていた。そういえば、先程から幻聴かなぁと思えていたはずの声が頻繁に聞こえる気がしたのだ。そう、あの見た目は幼い子供の少女のことである。

 

『お……、レ…ン……ん…』

 

「(き、きっと気のせいだよな…うん、気のせいだよね…。メイビスがここまで来てしまってるなんてことあるわけないよね…うん、多分、だ、大丈夫だよね? あ、あれ? き、気のせいかなぁ…さっきから幻聴が頻繁に聞こえるなぁ…、耳を医者に見てもらわないと行けないかなぁ…。…いや、絶対に気のせいだよね…うん、絶対に気のせいだよね…)」

 

必死に現実逃避を図ろうとするレインに対して、メイビスらしき人物?の声は次第に近づいていく。途切れ途切れに聞こえていた声も、とうとう鮮明さを増していく中で、レインの現実逃避は完全に終止符を撃たれる。

 

『もう、レインさん。わたしを無視しないでください』

 

「………うん、もう諦めた…。…なんで来てるの? メイビス」

 

『暇だったので…来ちゃいました♪』

 

元気一杯な子供の声がレインの耳に届いた途端に脳内でソレがリピートをかけた音楽の如く、連続で木霊していく。ヤマビコをしているような気分になる現状で、ついにレインが項垂れる。次に口を開いたときには、ただ一つだけ、小さく弱々しい呟きが流れるのみ。

 

「……もう、やだ……S級依頼受けれなくなる……」

 

『そうなんですか? なら、今度のS級試験に参加しましょうよー♪』

 

「(駄目だ、これ。返したら返される…うん、もう無限ループって決まってたんだね…)」

 

小さく胸のうちで自分のことを完全に諦めるレインと違い、メイビスは周りの損傷具合のほうが、特に気になっているらしく、ギルドにかかる損害賠償金のほうに大慌てしていた。

流石は初代ギルドマスター。一番気になるのは損害賠償金と仲間たちの心配らしい。――と言ってもレインのことは気にしてくれていなかった模様だったが…。

次第に周りの損傷具合を見終わった途端に予想される金額に身体が震え、目元には透明の液体が溜まり始める。多分、涙だろう。ギルドのことで悲しむのはメイビスらしい。

――が、泣きたいのはこっちである。S級依頼というレインにとっては数少ない楽しみと言う名の暇潰しが完全に潰されかけている上に、マカロフに怒鳴られるようなことが起こっている現状を受け止めるのにレインは精一杯なのだ。なのにその前に泣かれると流石に困る。

あー、なんか今日一日戦ったのはさっきの一回だけなのにどっと疲れが込み上げてくる気がするのは何故だろうか?そんな中で、レインは自分のことを放棄することを選択し、メイビスの方を優先することにした。

長いことメイビスとともにいたことで育った長年の勘がそう告げていると信じて…。

 

「メイビス、とりあえず泣く前にやることやろうか…」

 

『ぐすん……』

 

「とりあえず、ラクサスの場所ぐらいならメイビス、今すぐに推測出来るよね? この状況で彼が一番潜伏していると思われる場所、思い付く?」

 

正直賭けに過ぎない。メイビスがマグノリアに来たのは今日で何十年間ぶりである。それに比べ、時代は遅くも早くも移り変わるものだ。メイビスが初代のギルドマスターを務めていた頃と比べれば、明らかに街は賑わい、活気付き、繁栄しており、外観や建物の並びすらも変化しているはずだ。それなのにレインは、敢えてラクサスという男がどこにいるかをメイビスに尋ねているのだ。もっとも推測という確率とも言えるものでしかないが。

しかし、レインは賭ける価値があると判断した。それも確証足る自信がメイビスには存在するのだと知っていたからである。

かつての彼女は僅かな情報だけで戦線を勝利へと導く作戦を乱立し、その中から人一倍成功率の高いものを選出し、磨きをかけ、成功率を100%へと近づけ、仲間たちと達成せしめる最強にして最高の軍師。《妖精軍師》と呼ばれた彼女のことを信頼してこその頼みを他の何よりも信じて僅かな時間でも大切な一時をこの幼き姿の少女に賭けたのだ。

すぐさま飛び去り、周りの風景を見渡すメイビス。5秒も立たずに、彼女は石造りのストリートにいたレインの横に降り立ち、脳内でレインがいつもしてくれる話を元に確率を導き出していく。降りてくる前にゆっくりと閉めていた目蓋を今度は少しずつ開けていき、緑色の綺麗な瞳でラクサスと言う人間の姿を捉えていく。

少ない情報から膨らまされるのは、その人がいま何を考えているかということ。それから膨らんでいくのは、この『バトル・オブ・フェアリーテイル(祭り)』を観戦している場所には何処が優秀かの計算。次に起こりうることを予測し、先ほどの二人の“雷神衆”の配置から何処に隠れているかを考え出していく。

少しずつ……少しずつ……、小さな予想でしかなかったものがどんどん大きく膨らんでいき、確固たる答えへと変貌していく。脳内で浮かび上がる確率が、どんどん上昇していき、限りなく100%という確実へと近づいていき……、メイビスはクスリと笑ってレインを見つめ、予測された確率の結晶を話す。

 

『見つけました。多分カルディア大聖堂だと思われます』

 

「流石は《妖精軍師》のメイビスだね。安心して向かえる気がするよ、実は証拠っぽいものが思い付かなくてね。あとは任せて……、身内たるギルドのケリはボクがつける…!」

 

『期待してますよ、レインさん。――いえ、()()()()()()()()さん♪』

 

「はは、それはグランディーネといたときの名前だよ、メイビス。今も()()()もボクはレイン・アルバーストだよ」

 

二人は互いに意味深長な言葉を話しながらも、笑顔を振り撒き、一時の別れを告げる。ただレインは、この『バトル・オブ・フェアリーテイル(迷惑極まりない祭り)』を終わらせるために。メイビスは彼がいつも通りにしているのを楽しみにするために。

ただ一つの楽しみを互いに分かち合い、そばにいたからこそ理解しているのだ、二人は。

そんな中でメイビスと別れて数分が経った頃、レインは突然顔をしかめる。頭に響いてくるような鈍痛はまるで頭痛のようだが、何かが語りかけてくるような感覚を感じた。

浮かび上がってくる景色は、優しい日が照っていて温かく、それでいて眩しすぎるほどに明るく楽しくしている人々の笑顔。そこの真ん中で笑顔を振り撒き、自らも笑って楽しんでいる少女のいる建物の景色。

 

 ――ほら、■■■さんも一緒に■■撮りましょうよ♪ほ~ら、早く早く♪――

 

 ――分かった、分かったって。ホントにせっかちだなぁ、■■■■は…――

 

「誰……なんだ……、ボクを呼んでいるのは……うぅ……頭がかち割れ……そうだ……」

 

映った懐かしいはずの記憶に戸惑いを覚えながらも、失われた記憶の情報を必死に伝え出してくる頭の過剰駆動。その過剰駆動による軋みと痛みがレインの意識を削り取っていくが、彼はそれを耐え続ける。痛みは全身を貫くように刺さり、さらには脳内で全身にトゲを生やした何かが暴れ狂っているような軋みに無意識に巨大な魔力を漏らしてしまう。

それに気がつき、魔力を抑えるも、痛みも軋みも止むことはない。ただ続けて記憶の一部を思い出させようとする。

 

 ――まったく…、オレも巻き込むのは止してくれよ、■■■■――

 

 ――えー、別にいいじゃないですかぁ…。■■■さんも一緒に頑張りましょうよ♪――

 

徐々に浮かび上がっていく、自分を呼ぶ声の主の姿は何処か見覚えがあるというのに、思い出せない。いつもいつも自分を引っ張り回して、様々なことをに巻き込まされて、それなのに楽しくて楽しくて仕方がなかった、あの時の自分の喜び。自分が何者だったかさえ、別にどうでも良さげに考えていただろう頃の姿。今のように迷いが一瞬でも感じられるような自分ではない、昔の自分。それが羨ましくて恨めしくて……でも、届かないという悔しさが身を貫く感覚。それが苦しい……、ぎゅっと胸の中で心臓を捕まれている感覚が……。

 

 ――わたしのこと信じてくれるの?――

 

 ――はは、何を言ってるんだが。健気で真面目で優しい君を疑う理由がないからな――

 

これは……天狼島なのか?そんな疑問が次々に浮かび上がっては消えていく。痛々しいほどの不可視の杭がレインの身体を貫き、抉り取り、断末魔のような叫びを放つ何かが足にしがみつく感覚が背筋を凍らせる中で、彼は必死に自分の存在を掴んで、懐かしいはずだった記憶の海から引き上げる。

 

「……はぁ……はぁ……、今のは一体……」

 

荒い息づかいが自分自身にも聞こえる中で、ひたすら呼吸を整えることを先決する。吸い込む酸素の量にも気を付けながら、確実に呼吸を整えていき、吹き出した汗を拭う。

未だに痛みがジーンと残るが、対して戦闘中の阻害になるわけでもなさそうだった。……が、やはり断片的とはいえ、あの記憶はなんなのかが分からなかった。

過去の自分であることは理解したが、いつの時の自分か。それに何故記憶がないのかという理由が掴めなかったからだ。

けれど、分かったことがある。自分自身が何かに所属していた、(ある)いは何者かと共に行動をともにしていたのだということだ。

それが唯一でもあれば、最高の収穫でもあるということとして踏ん切りをつけ、レインは目の前のことに集中することを選ぶ。

しかし……

 

「なんだ、あれ? ……ラクリマに、雷の紋章? ……神鳴殿!?」

 

空中に浮かぶ無数の物体の正体を知っていたレインは、焦りが募っていく。以前“魔導を覗き、得る力”を使用して調べたことがあったが、めんどうなことに“生体リンク魔法”が使用されていることを突き止めていた。あれでは、“壊す”ということは危険な行為にしかならない。

与えた分のダメージが比例して返ってくる以上は、力加減を誤ればとんでもないダメージが返ってくるということだし、それに結構硬いはずなので、弱い攻撃では壊せないだろう。

今頃メイビスが予測していた事態と違っているからと言う理由で泣いてしまっていたら、物凄く怖い。

毎度毎度、あやす…コホン…もとい慰めることをし続けているコッチの身で言えば、結構しんどいし、色々と疲れが溜まる。《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》に入ってからは、依頼の受注数を減らしてはいるが、メイビスのところに行ってから次に行く期間が短くなったこともあり、前よりもキツイ気がしているのは気のせいではない。

せっかくの収穫祭もこの通りの大乱闘状態である。休める場所は何処かに存在してくれるのだろうかなぁ……と思いながらカルディア大聖堂へと向かう。

そんな中で大聖堂の方向で巨大な爆風と爆発音が轟くことに気がつき、向かう速度を早めていく。嫌な予感がする、そんな気がしていたのだが……予想通りの結果が待ち受けているとは思っても見なかった。

そこにいたのはやる気満々の今回の事件の首謀者ラクサスと、《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》1の謎の魔導士と言われるミストガンが対決していたのだ。

普段ならば、ワクワクしながら観戦するのだが、流石にのんびり観戦する暇はあるまいと思い、ミストガンの隣に並び立つ。マスク越しで彼が小さく呟くのも聞こえる。

 

「……なんのつもりだ?」

 

「気にしないでいいさ、ボクはただいい加減に鬱陶しいと思っただけだしね」

 

「ほう…、お前がビックスローを倒したヤツでいいんだな?」

 

ちっとは興味を示してくれたらしいラクサスに小さく口元を動かして、ニヤリと笑うレイン。

そのとなりではミストガンが次なる魔法の準備を見えないようにしている。

 

「名乗っておくのが礼儀っぽいし、名乗るよ。S級魔導士《天空の刀剣》こと、レイン・アルバースト。元《幽鬼(ファントム)》メンバーと言っておく」

 

「あのギルドの隠し玉か。少しは楽しめるんだろうなぁ?」

 

「もちろん、期待してどうぞ。別にエルザクラスだと舐めて掛かってきてもいいよ。でも、言っておくことが一つほどあるから、よく聞いておいた方がいいよ……」

 

そう言った途端にレインの姿が二人の視界から掻き消える。ミストガンが深く被った帽子とマフラーをマスクのようにしているところに出来ている隙間から目を見開いて驚く。

ラクサスも必死で視界から消えたレインを探すが、見当たらない。それどころか、気配すらも感じないほどにだ。

警戒を一瞬だけ緩めるラクサス。しかし、一瞬でも緩めてはいけなかったのだ。その緩めた一瞬、ラクサスの眼下にはとびっきりのしてやったと言わんばかりのドヤ顔みたいな顔があり、レインの右手には凄まじい魔力が込められた鉄拳。

ラクサスが迎撃しようとするが、間に合わないその隙にレインは告げる。

 

「時にはよ、下の方を見て確認したほうがいいぜ? ソイツを地獄に引きずり落とそうと企んでいるヤツが今にでもアンタを潰そうとするからなァ!!!」

 

性格すらが豹変したレインの無慈悲な“天竜の鉄拳”は、ラクサスの顎に突き刺さり、強烈な風の息吹とともに彼はカルディア大聖堂の天井に叩きつけられる。

なんとかその後、着地したもののラクサスの目はすでに本気になりかかっており、レインは意地悪くラクサスを挑発する。

 

「来いよ、仕付けてやる。大きく成りすぎたその鼻を軽々とへし折ってやるよ、ラクサス!」

 

静かな大聖堂の中でラクサスの怒号と、レインの挑発は木霊を繰り返していった……。そう、あの二人が来るまで……。

 




はい、殴っちゃいましたwwごめんなさい、つい手が滑ってしまったんですよ、手がww

ま、まあ許してヒヤシンス(>_<)

許してくれるわけないかwwホント、ごめんなさいm(__)m

まあ、次回は少し……おっといけないネタバレしそうだったww
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