FAIRY TAIL 天空に煌めく魔導の息吹 作:天狼レイン
英語分からん。なのでサボろう。故に小説書こう。結果の投稿のテンプレです。
気になさらず。さて、今回は適当に繋ぎです。流してもらっても構いませんので。
それでは本編どうぞ。
P.S.
白猫で昨日追加されたばっかりなのに新タイプキャラ“エイジ”が単発で当たった。
あ、これ、今年の運使いきったわ………(涙)
ふと、俺は無意識のままに天井を見上げた。
ここ数日はいつも目にするボロボロの天井。どうみても廃墟よりマシと言う度合いだ。これが更に悪化、もしくは風化されたらあっという間に崩落するだろう。
けれど、不思議と天井は耐える。どんなにツラくとも、どんなに苦しくとも。
やはりこの世にある、あらゆる万象、理、総じて森羅万象と言うべき代物はどれもこれも“命”を持ち、それが続く限りはあらゆる困難に耐えねばならない。
人間だってそうだ。朝起きてご飯食べようとしたら貯蓄が無くて、それで腹ペコのまま過ごすやら何やらをする。そんな感じだ。突然仕事を辞めさせられたり、命にかかる事故に遭ったり。本当に碌でもないことだ。だから人間も何もかも、生き物全てはそれに慣れようとする。言わば、環境対応力のようなものだ。砂漠で過ごしていたら自然とその暮らしが気に入るのも、苦でもなくなるのもそれだろう。つまり、己が日常と化す訳だ。
となれば、今の俺の現在状況もそうである。時間が経つごとに慣れ、離れがたくなる。そんな日常で俺という存在を構築するピースの一つ。
けれど、日常には慣れることもあれば、慣れないこともある。
ちなみに俺の場合、この日常は馴れることがない。理由は単純明快。
いくら馴れてもアイツらは見事にその馴れを粉々にしてくる。いつもいつもそんなことの繰り返しだ。飽きることが嫌いだと語るヤツもここにくれば、少しは楽しめると思う。
俺もここにいる年数は結構長い方だ。それなのに馴れない。いや、馴れていたのに前述の如く砕かれたと言うべきだ。
まだ創成期の頃の方が馴れていたと思える。恐らく日常に飽きることが出来ないのは今の世代だろう。名を挙げればキリがないが、兎に角、ナツ、グレイ、エルザ。この三人は一度火がつくと周りなどお構い無く大暴れする。特にナツだ。
そう思うと、アイツが一番このギルドを変えたと言うべきか。まあ、確かにそうかもしれない。アイツは何処からでも喧嘩や厄介事、イベントや祭りをドンドン持ってくるヤツだ。
一種の商売人と言うことも言えなくはない。ただ極々一般的な商売人とは全く違うヤツだが。だってそうだろう? 極々一般的な商売人が“火の玉”になる訳もないし、大暴れすることも無かろう。故に特定するとすれば、“
結論を言えば、ここは飽きることがない。ただそれだけだ。それでも、楽しい。
だから俺はアイツらを――
――さて。
「日記に纏めるのはこれぐらいでいいか。昨日のぐらいは先に書けば良かったな。まさか、俺のいる場所を特定させるとは………」
第二ギルドと言うべき、このオンボロな酒場にある席の一角で、俺は机に置いた一冊の本を片手に取る。ズッシリとはしていないが、それでも本らしい分厚さ。
中を開けば、そこには文字がビッシリと。しかし、書かれた文章には纏まりもあり、それでいて違和感もない。自分でそう評価するのは気が引けるが、そういう感想を送られてきたのは仕方がないことだ。一体誰だ、俺なんかにファンレターを送ってきたヤツは。
などと愚痴ってみたが、また仕方がないことであることは分かっていた。それを一応覚悟した上で
ハッキリ言っておいた方が良いだろうから言っておこう。俺はこう見えても5年――いや、12年程前から気紛れで小説を書いている。その上、何故か出版されてしまったのだ。
ただ単に寄稿してみただけなのだが、それが人気のこと。だからやるしかなかった。不定期ながらも俺はそうやって書くことになった。だが、一応こういうのは契約関係のものだ。
なので出版側は俺の送った小説をただ本にするだけだった。訂正部分は自分で判断して直している。向こうからは不干渉と定めたからだ。
そんな契約は極々一般的なら出鱈目だの何だのですぐに契約が切れるはずなのだが、どうやら先方は逃がす気がないご様子で、結局仕方なく書いてきた訳だ。
だが、流石に7年も放棄してたことになる訳だ。そのため誰なのかと調べられてしまった。その結果先日向こうが家まで訊ねてきてしまったのだ。
と、なると7年間の停滞分を取り返さないといけないことになり、そういう訳で今に至る。
そのせいで日々の日記が書けなかった。一応これでも長いこと生きている身だ。
だから忘れたくない。その結果俺は日記をつけることにした。それが今まで続けられている。ちなみにあの封印されていた7年間も同様に日記をつけている。
「………ふぅ…」
一度ペンを机に置く。両手を天井に向けて、背伸びする。身体から鈍いボキボキという音が聞こえた。どうやら身体に負担がかかっていたらしい。気がつけば、朝っぱらから来ているというのに3時間近く時間が経っていた。
さて、そろそろ身体を動かしたくなる時間だ。今から何をしようか。
そう思い、席を立とうとした所で――
「パパ~♪ マスターから昇格了承して貰えたよ~」
――嬉しそうに駆け寄ってくる銀髪の獣少女が見えた。
「ん? ああ、成程。フィー、S級昇格おめでとう」
「うん♪ ありがと、パパ」
トテトテと側までやってきた獣少女の頭に手を置き、優しく撫でる。ふと頭頂部から飛び出ているような感じで出現している尖った狼耳を見る。
あまり意識しなかったが、7年前よりもこっちも大きくなっている。まあ、人間半分であっても生き物である以上は成長する。
しかし、思うのだ、時より。愛娘フィーは人間と狼のハーフだ。本来狼の寿命は大体15まで行けばかなりのものだとされている。故にフィーがいくつまで生きることが出来るのか、そう思ってしまうのだ、特にここ最近は。
もし50歳ぐらいで尽きてしまう命なら可愛そうに感じてしまうのだ。人生長くも険しい。だから、だからこそである。
少しでも長く生きていてほしいのが、親としてでも思うことなのだ。
なのだが――
「えへへ~」
――こんなに嬉しそうにし、それでいて自分に負担やら何やらがかかっていない今の状況から見るとそういうのは見受けられないのだ。
それで安心とは言えないが、それでも娘は元気でいられる。そう思わざるをえなくて、だから嬉しくもある。
まあ、それならば、それならばだ。俺が浮かない顔をして心配させるのは無礼であり、親として恥ずべきことなのだろう。故に――
「よし、丁度良いし、昇格おめでとうパーティーでも開くか!!」
「うんっ…♪」
狼耳や尻尾を動かしながら嬉しそうに微笑むフィー。愛娘ながら末恐ろしいものだ。未だに齢12歳ぐらいでこの実力を保持し、それでいて自らの歩むべき道を理解し、真っ直ぐ進もうとしている。悪魔と化す前の俺でもここまでは強くも無かったし、それでいて道など一つだけ。ただただ唯一無二の妹を――メイビスの元に帰るがため。ただそれだけの道しか無かった俺とは違っていた。
多分二十歳になる前には恐らく俺を越えているかもしれない。魔力だって、このギルドではすでにエルザを越えかけている。後は経験をしっかり積んで、足元を確保すれば大丈夫だ。
と、なれば、やはり修行というのも必要不可欠。経験を積むには実戦も必要ながら、試合という形で積むのが一番安全且つ効率が良い。
そう考えると、やはり修行は必要となるし、いつやるかも大切だ。出来れば、他のヤツらも連れていって序でに修行させておきたい。
などと思っていると、最弱ギルド兼オンボロ酒場の付近で何か騒がしい。どうせナツが誰かに喧嘩を売ったのだろうが、そうなるとやはりアイツは暇だということになる。
恐らくナツが暇ならルーシィやハッピーも暇だ。そうなると、当然ウェンディやシャルルも暇だろうし、今のところ仕事が少なすぎる状態でグレイやエルザがいない訳がない。
と、なるとやはり最強チーム?はギルドにいることになる。丁度良いことこの上ない。上手いこと言いくるめてウェンディとエクシード以外はフィーの修行の餌……ゲフンゲフン。
………兎に角動く的にでもなってもらおう。そこで嬉しそうにしながら、まだ書きかけの小説の原稿を読もうとしているフィーも最近動く的がないと言っていたようだし。
「さて。そろそろ皆のところ行くか、フィー」
「うん。ところでパパ」
「ん? どうした?」
「この小説に出てくるヒロインの子、何だかシャナに似てるね」
「そうか? ま、一番書きやすかった感じだったしな。結構見知った身だし、意外とシャナって
「ふ~ん…? パパって罪作りだね」
「へ?」
――◆――◇――
「おーおー、どうやら戯れは終わったのか~?」
わざとからかいながら俺はフィーを連れて、先程戦闘をしていたらしい庭に出た。
うわー、これは
どうせ馬鹿デカイ咆哮でもかましたのだろう。これまたよく見れば、マックスの髪が微かに焦げている。御愁傷様だ、マックス。それとよく生きてたな、流石は居残り組。
「あ、お兄ちゃん。執筆の方は終わったの?」
「ん? あー、あれな。いや、まだ、途中。こっちに来たのは休憩がてらと面白い話を持ってきてやったという所だ」
「あ? レインが面白い話? ぜってぇ、嫌な予感しかしねぇんだが」
「よしグレイ、そこに直れ。今なら楽に殺してやろう。首をスパッと一刀両断だ。料金は一回5万J」
「誰が直るか、やらねぇよッ!?!? しかも
よしグレイとの戯れは終了。これでヤツと遊ぶ日課は終わりだ。やはり毎日毎日からかっていると飽きてしまうな。ナツは単純かつ馬鹿だし、ルーシィはツッコミしかしないし、グレイは大体同じ反応だし、エルザは逆に迎え撃とうとするし。
やはりからかうとすれば――
「――ウェンディ、肩に虫」
「わひゃあああああ!?!?」
すぐさま飛び去り、肩に何もないのに追い出そうとしたり、手で払う義理の妹。うん、可愛い。なんか純粋で女の子らしくて、ギルドで一番普通な分類だ。
愛娘フィーでも時々女の子らしかぬ発言や行動を口にする。例えば、マカオやワカバが変なオッサントークをしている時、この獣少女は瞬時にハサミを彼らに見せる。
すると、彼らは黙り混み、急にギルドの端に逃げるのだ。恐らく男としての本能が瞬時に逃げることを選択させたのだ。
あとは女の子らしいアクセサリーなどの話をしている最中で、フィーは時折自分の手で捕まえて調理した動物の骨を隠し刀みたくアクセサリーにつけたら?と口にしていた。
安全面は確かに保証されるが、女の子としては保証されていない気がするのは俺だけではないはず。
さて、と。そろそろいい加減にウェンディに真実を伝えておこう。
「ウェンディ~」
「あ、あぅあぅ……」
どうやら精神的に疲れたらしい。まあ、オーバーリアクションは素晴らしかった。あとは少し落ち着いて考えてくれればノリもいい女の子になるだろう。
個人的にはそういう女の子ではなく、もっと女の子らしくて笑顔の多い子になってほしい。ハッキリ言えば、今のままで十分である。十分可愛いし、女の子らしい。
と、思っていると俺が言ったことで漸く気がついたウェンディがこちらに来て、ポカポカと小さな手で俺の胸を叩く。どうやらちょっと怒っているらしい。
「あー、うん、ごめんな? ウェンディがちょーっと油断していたと言いますか、可愛かったと言いますか……」
「うぅ~………。……ふぇ? かわ…い…かった? ――っ!?!?」
顔を真っ赤にして何やら「あぅあぅ」と未知の言語を話す義理の妹。どうやら羞恥で頭がオーバーヒートしたらしい。うん、やっぱりこちらも
褒められることになれていない。それも姿見同年代に近く、親しい人物に褒められるということに。なんだろう、何かに似ている気がする。
――あ、小動物だ。天狼島にいたリスのような何かと似ている。あれも結構撫でられたりすると時折恥ずかしいのか巣に戻ってしまうことが多々ある。
今度ウェンディを連れて、向こうで見せてあげよう。本人が気づくかは分からないが、それでもクスリとは笑うだろう。可愛いと言いながら。いや、十分君も可愛いのだが………。妹とかお世辞は抜きにして。
「話が逸れたが、本題だ。まずお前ら――全員弱くないか?」
ズンッと抉り込むような言葉が彼らの心中を穿つ。恐らくさっきのは結構精神的にも来ただろう。まあ、それを承知で言ったのだから、当然だ。傷つけるだけ傷つけて放置するほど、俺は無責任でもないし、ドSでもない。だから道を指し示す。
「と、なれば、分かるだろ? 兎に角お前ら天狼組の大半は7年間のスランプが特典みたく付いてる。ならば、それを削ぐほどの特訓、修行は覚悟の上と俺は思ってる。
だから丁度良いし、ウェンディとエクシード以外はフィーの修行の餌食………ゲフンゲフン。………動く的になってくれ。多分それでいくつか解消するだろ」
「「解消するか(しねぇよ)ッ!!!」」
素早く且つ一切の無駄無くナツとグレイがツッコミを入れる。よし、良い反応だ。成程、こっちは腐ってないらしい。そもそも腐ってはいないが。だって7年間凍結封印されてたし。
すると、視界の端でエルザが不適な笑みを浮かべながら口を開いた。
「ほう………。それは反撃してもいいということか?」
まあ、一理ある話だ。動く的とは言ったものの、反撃しては行けないだのどうこう言ったつもりはない。故に反撃は認めることができる。だってそれでは実戦の役には一切立たないからだ。片方は避けを身に付けても攻撃が儘ならなければ塵芥も同然。石ころと同等だ。
と、いう言葉を聞き、スイッチが入ったのか、フィーも不適な笑みをうっすら浮かべると、口を開いた。
「うん、いいよ。でもそれは反撃する
わざと一部を強調し、告げるフィーにエルザが眉をピクリと動かし反応する。おやおや、どうやら互いにライバル意識でも持ったのだろうか。
まあ、元よりエルザは素質だってある。しばらく修行すれば、フィーに近づくだろう。そうなれば、すぐに追い付くかもしれないし、逆に引き離されるかもしれない。
けれど、それこそがライバルというものだろう。あ~あ、俺もそういうライバルが欲しいものだ。ギルダーツとやり合えば確実に周辺が全壊するのは一目瞭然。
かと言ってエルザやラクサスはどうしてなのかは分からないが消化不良。フィーとやりあうのは不本意だし、それに戦い方が他とは異なってしまう。
確実に自らのうちで渦巻き続ける渇望が具現化してしまうまで行くだろう。そうなれば、周囲にどれほどの被害が出るか分からない。一度やり合った身で言えるのかは分からないが。
等々愚痴っていると、グレイが気になっていたことを訊ねてきた。
「んで、レイン。具体的に何処で修行するってんだ?」
「そうだなぁ。丁度“
「なんで海なんだ? レイン」
漸く体の調子が戻ったのか、起き上がるナツが俺に訊ねる。まあ、一番の理由はお前にあるのだが、気がついていないようだから説明しておこう。
「まずあれだ。ナツ、お前の魔法って“火”だろ?」
「お、おう…?」
「火の弱点って言うのは大概強烈な風やら怒濤に押し寄せる水流だったりする。もしそれが周囲全て、水で囲まれた場所なら“火”はほぼ出せない。けれど、出せれば、その分お前が強くなったことの証にもなる訳だ。弱点を乗り越えたんだからな。これの意味分かるよな?」
「え、えーっと……、つまりあれか? ギルダーツに最初はただボコボコにされてたけど、馴れたら少しは戦えるようになる…みたいな?」
「なんで疑問系ばかりか知らんが、まあ、そういうことだ。徹底的に弱点や足りない所を補い、尚且つ自分自身を磨き清めていく。基本修行っていうのはそういうもんだ。
ただただがむしゃらにひた向きにやれば強くなれるっていうのも強ち間違ってはいないが、効率が悪すぎる。そういうのは時間に余裕があるヤツか、
ピクリと反応するナツ、グレイ、エルザの三人。まあ、生粋の
他のメンバーもマカロフに仕方なく乗ることにしたし、乗る以上は全力を以て立ち向かうというヤツらもいた。例えば、年中真夏漢エルフマンとか。
今度余計な時に“漢ォォォ!!!”って叫んだら容赦無く地獄の片鱗を見せてやろう。静かになるなら少々の犠牲もやむを得ない。コラテラルダメージってヤツだ。必要最低限の犠牲、まあ、そういうことになる。要するに五月蝿いのが悪い。
と、ここである意見が浮上する。
「修行するのは良いけどよ、具体的に俺たちはどうする予定なんだ? 例えば、新しい魔法を覚えるとか、使えるようにするとかあるだろ?」
グレイがまず先制を切った。すぐさまそれを俺は叩き返す。
「自分的にまだ足りないと思った魔法から鍛えろ。それでも無いなら俺のところに来い。試験受けさせてやる。勿論、物理的だ」
微かに殺気を溢しながら告げるとグレイが少しだけ後ずさる。どうやら何を考え何をしようとしていたかを悟ったらしい。良い判断だ、俺でも多分そうするだろう。
突撃自爆または結果オーライにしようとするのはバカナツぐらいだ。アイツはどうして特攻したがるのかが全くもってよく分からない。
おい、炎竜王イグニール。ちゃんと育てたか? 変な方に教育していた訳じゃあるまいな?
「と、いう訳でだ。まずは俺に着いてこい。お前らにも悪い話じゃない所に行くから」
首を傾げ、困惑する彼らを背に俺は追随するように側にいるフィーをとことん可愛がりながら、先導していった。
妖精の名を冠する彼らなら誰もがほぼ知っているであろう、性格に難あり玄人薬剤師の元に。
――◆――◇――
「………なぁ、ナツ」
「………んだ? グレイ」
「………この道、ぜってぇ見覚えあんだが」
「………だな、俺も見覚えある」
先導する銀髪少年――俺の後ろの方で呟きあう二人。普段は仲が悪い二人だが、どうやら今から向かう場所を悟ったのか、何故か嫌な顔をしながら話していた。
「………ポーリュシカの婆さんのとこ…だよな?」
「………」
もはや返事をするのすら面倒になったのか、ナツは無言で頷く。グレイも確信を得たのか、溜め息をついている。
一方の俺はと言えば――
「――やっぱ、さ。そろそろ新しい登場人物を出すべきなのかなぁ~って気持ちはある訳だ。実際今の所で主人公とメインヒロインが共に戦線張ってる訳だが、そこに強い敵がドンっと現れて二人の行く手を阻む、的なヤツも悪くはないんだが……。三人はどう思う?」
「う~ん、そうね……。確かにメジャーだけど、そういうのはアリかも」
「ああ。しかし、逆に味方として出すのも悪くはないと思うぞ」
「ですね。私なら味方の方が心強いです」
「成程なぁ、やっぱ味方の方がいいか。後から味方パターンも悪くはないけど、それもいいな。後でどうするかでキャラがかなり目立つし」
素早く提供してもらった案や考えなどを常備しているメモにサラサラと書く。勿論、メモ帳事態は魔法で浮かせ、右手でペンを持つ。その上で左手でフィーを可愛がる。
ダメだな、これ。完全にフィーを手放すのが惜しくなってる。この間、フィーが気になる人がいることを明かしたがこれだと中々ケジメがつかずに変なことをしでかしてしまいそうだ。
例えば、とんでもない誤解をしてソイツの首をポーンとゴア表現みたく撥ね飛ばしたり。地獄の稽古――という名目の一人リンチをしたり、と。
つまり、ボコボコにしてしまいそうだと言いたい訳だ。その時に自分をキチンと押さえられるか、スゴく心配である。まあ、その時その時で頑張ってきたはずだから少しは安心できる……と思う。………多分という不確定なものでしかないが。
その後目的地に着くまで三人からの意見をメモ帳に書き記した。気かつけば、かなりのページがそういう類いで埋まっていたが、まだページは余っていた。
「ポーリュシカの婆さん~。俺だ、レイン・ヴァーミリオンだ。少し話があるだが、いいか?」
メモ帳をポケットにしまいながら先程までフィーを撫でていた手で軽くドアをノックする。
コンコンという良い音が響く。流石木製。今度家のドアを一時的に木製に変えてみるか。
すると、意外に反応早く住人たる婆さんは姿を見せた。
「………なんだい、あんたかい」
「ん? 俺じゃ悪いか? なんならマカロフ連れてこようか?」
「………」
「あ、うん、分かったから無言で
一応謝りながらからかう。うん、俺って挑戦者。時々こうやって遊び心で接しないと飽きられるからな、仕方がない。――うん? 今日の朝も誰かと戯れたような……。
確かウェンディとフィーと………誰だっけ?
すると、ポーリュシカは俺の内心を察したのか、更に機嫌を悪くし――
「帰れッ、私は人間が嫌いだよッ!!!」
箒を振り回し、追い払ってきた。すぐさま後ろで控えていたナツやルーシィ、グレイ、エルザ、ウェンディとエクシード二匹が退散する。
一方の俺とフィーに関しては――
「いや、俺、悪魔だし」
「私、半分狼だし」
「……………」
暫く静寂がその場を包み込み――無言の後に、ポーリュシカは箒をブンブン回して俺とフィーを家の前から追い払った。
「全く………。…………」
一度だけ家の中に戻ると、彼女は比較的近い場所に置いておいた紙の束に目を向けた。
一つは少女に。もう一つは――
それから数分後。今度は自ら彼らの元に不思議な何かに誘われ赴くことになろうとは、この時のポーリュシカには分かる由も無かった。
――◆――◇――
漆黒の帳に包まれた雲一つない夜空で。浮遊する物体。それは間違うことなく人の姿であり、どちらも幼く、大体15歳前に見えた。
一人は薄い紫色の長髪をリボンで纏め、片手に死神を連想させる大鎌を持つ少女。一つも殺気は出ていないものの誰にだって分かる程に異質さが滲み出ていた。
もう一人はと言えば、姿を隠すようにコートを羽織っており、顔は見えなかった。しかし、コートから出ている白くて長い長髪には何処か見覚えがあるようで、ないような。
ほんの僅かに見えるコートの裾から見える左足にはうっすらと輝く何かが見え、それは人ならざる何かだということを悟らせる。
「う~ん? やっぱり私のマスターは暫く向こうで様子を見るみたいですね~」
明るく、何処と無く無邪気さのある声音で薄紫色の長髪を持つ少女はニコニコと笑顔を振り撒く。当然その笑顔を見ているのはたった一人。
それに答えるように、コートを羽織る何者かも口を開いた。
「はい…そうですね……。出来れば、あんなことにならないようになってほしいです…」
もの寂しげに、淡々と告げる声音は少女のもの。それと同時に消失の後に感じる呆然としたものであり、喪失感と言うべき何かであった。それを聞き、少女は気軽に質問をする。
「
挑発染みた何かを感じ、ムッとするもコートの少女は答えた。
「はい…でも、今も戦ってます…。生き残っているみんなを助けるために…」
「成程~。流石はマスターですね~。人でも悪魔でも無くなった末の存在でありながらも、自らの力を他者のために使うべく奮い起つ。やはりあの人は“正義”を語る側の方なんですよね~、性質的な面では」
間違ってはいない。けれど、真に“正義”と言うならば、マスターと呼ばれる彼は既にこの世から去っている。悪魔であるが故にここまで存命したと言えるからだ。
しかし、彼は求めた。抗った。希望を失わないように、ただ自らの望む未来へ至ろうとした。けれど、彼は報われない。希望は輝きを薄れさせ、彼の心中に渦巻くのは混沌とした絶望の色合い一色。だから彼は絶望を誰よりも知っている。長く、且つ濃く彼は自らを呪ったし、絶望を繰り返し味わった。血ヘドを吐くような思いを何度もし、けれど、諦めずに立ち向かい、心どころか全てを砕かれ折られた。故に彼は私達から、こう呼ばれる。
誰よりも絶望を知り得て、それでも死ねぬ絶望の塊。――“絶望王”、と。
そして私達もまた各々が偽名を持ち、強く突出した大罪を持つ。
当然大鎌を持つ少女も偽名を持ち、大罪も持つ。私は兎に角人間のことが羨ましい。私だって人間
けれど、私は生まれてすぐに忌み子扱いされ、恨み辛みを抱えたまま育ってきた。だから人を憎むことや恨むこと、妬むこと以外に知らなかった。
なんでアイツはそんなに嬉しそうなんだろう? 妬ましい。
なんであの子は美味しそうにご飯を食べるのだろう? 妬ましい。
なんであれらは幸せそうなのだろう。私達みたいに恵まれない子がいるのに。妬ましい。
兎に角私は今も妬ましい。故に私の大罪は“嫉妬”。けれど、絶望王たるマスターは私を認める。私と境遇が同じだったのかは知らないけれど、それでも彼は私に親近感を湧かせていた。
また、私は本名を持たない。けれど、新しく賜った本名ならばあるし、偽名だってある。
だから――
「――やっぱり妬ましいですねぇ~。この街の人達の血を半分ぐらい吸っちゃいましょうか。そーですねー、今あっちにいる貴方の血を飲んでみたかったですし」
などとからかってみるのが楽しくなってきた。やはりコートを羽織っているせいでよく見えないが、ムッとした顔になったのは間違いない。
「ふふっ、冗談ですよぉ~。まあ、そんなことする暇もないですし、やる気もありませんから。どうせ吸うなら――豪快に、且つ相手の命を吸い殺すまでやりたいですからね」
クルリンと回転し、コートの少女に背を見せながら、薄紫色の長髪の少女はニカッと笑うと、少女の名を躊躇いなく呼んだ。
「それじゃあ、私達も貴方のいう未来にならないために準備しましょうか。なのでキチンと教えるところは教えてくださいね? ――ウェンディ・マーベルさん」
今回のキーワード?
・絶望王
・偽名
・ウェンディ・マーベル
・薄紫色の長髪を持つ少女
・嫉妬の大罪