東方美影伝   作:苦楽

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一応これで本投稿とします。

誤字、脱字、不適切な表現、表現以前の問題などありましたら、お気軽にご指摘下さい。


異変解決して霧雨魔理沙修行に励み、博麗霊夢一時の安息を得ること

「うおりゃあ!」

 

 気合いと共に霧雨魔理沙は箒の軌道を強引にねじ曲げた。身体に掛かる遠心力と慣性によって悲鳴を上げる身体を無視して、地面すれすれから急上昇して木々の間を乱れ飛ぶ弾幕を躱す。頭から血が下がって視界が暗くなる、ここは勘だけが頼りだ。

 

「光符『ルミネスストライク』!」

 

 囮兼目眩ましの弾幕を放つと共に右にターン。追い打ちの通常弾。居た。大木の影からこちらに向けて盾と剣を構えて突進してくるが、真っ向勝負は望むところだ。

 

「狗符『レイビーズバイト』!」

 

「彗星『ブレイジングスター』!」

 

 押し寄せる狼の顎と駆け抜ける彗星が交錯した。

 

「今日はしてやられたな」

 

「これで二勝五敗か、まだ大分負け越してるなあ」

 

 対戦相手の犬走椛と共に、滝の側で喉を潤す。空は既に高さを増し、木々の葉も色づき始めているが、弾幕ごっこで火照った身体には冷たい水が心地良い。

 

 先日の紅霧異変での調査時に弾幕を交えた犬走椛とは、なんとなく意気投合してこうして一緒に弾幕ごっこの訓練をする間柄になった。共に倒したい目標が居るということ、相手のスタイルが目標のスタイルと通じるところがあるということで、最近は良く弾幕を交えている。

 

「二人とも精が出るねえ」

 

「にとりか」

 

「にとりも元気そうで何よりだ」

 

 滝壺から顔を出した知り合いに椛に続いて軽く挨拶して、椛の方に向き直る。

 

「今日はありがとな、また付き合ってくれ」

 

「ああ、こちらこそいい訓練になった。次は何時にする? 明日は一日非番だから付き合えるが……」

 

 有り難い申し出だが、片手を上げて謝絶する。

 

「悪いな、明日は紅魔館に行くんで付き合えないんだ」

 

「そうか、頑張れよ」

 

 ニッと笑う椛に笑い返す。

 

「今度こそ、パチュリーにむきゅーと言わせてやるさ」

 

 傍らで処置無し、とでも言うように首を振るにとりを無視するように、拳を突き出してみせる。

 

「そっちこそ、私が言うのもなんだが幽香は私より数段手強いぜ」

 

「言われるまでもない」

 

 笑顔で椛と拳を合わせる。そのまま箒に跨がって飛び上がりながら、明日の対戦のことを考える。人里での仕事のために、パチュリーが相手してくれるのはここしばらくは週に一度と決められてしまった。勝てば好きな本を借りて行って良い、という破格の条件を突きつけられているだけに断りづらい話なのだ。

 椛との対戦を振り返る。木々の間を縫っての弾幕は、図書館での対戦を想定したものだ。椛の目とそれによる障害物をものともしない正確な弾幕は、パチュリーの精緻な弾幕を想定するには十分な相手だった。

 

 しかし……

 

「やっぱり、弾幕はパワーだよな」

 

 そう、今の魔理沙のスペルカードはパチュリー相手では威力が足りないのだ。先程の狗符「レイビーズバイト」は彗星「ブレイジングスター」で抜けた。おそらく、恋符「マスタースパーク」でもなんとかなるだろう。

 それに対して、パチュリーの殆どの弾幕は今の魔理沙のスペルカードでは突破出来ないだけの威力を秘めているのだ。

 

「まったく、どれだけバケモノなんだ」思わず毒づいてしまう。

 

 高速の詠唱、緻密な魔術構成、顕現した魔力の密度、パチュリー・ノーレッジはどれをとっても超一流の術者だった。

 

「それでいて力も強いんだから詐欺だよな」

 

 正面からの魔理沙の箒による突進を軽々と片手で受け止められた時には思わず目を疑った。そのパチュリーが、「レミィやフランは私以上よ」とさらりと言うのだから恐ろしい。

 

 だが、

 

「上等だぜ」

 

 魔理沙の顔には不敵な笑みが張り付いていた。そう、壁は高ければ高い方が良い。その方がやる気も出るし、越えた時の達成感も高まるというものだ。現に、霊夢はその壁を越えて見せたのだから。

 それに、紅魔館に行けば勉強が出来る。なんだかんだ言いつつ、パチュリーと小悪魔はそれまでほぼ独学で勉強していた魔理沙の面倒を見てくれた。本こそ、小悪魔やパチュリーに弾幕ごっこで勝たなければ持ち出せないが、自分で書き写すなら書き写したノートは持ち出せるし、特別に危険な書物でなければ閲覧は自由。それが最初に弾幕ごっこで敗北した魔理沙が受け入れたルールだった。

 それが魔法使いとしてどれだけ有り難いことか、有り得ないことか、魔理沙はよく知っていた。その話をした時、常に沈着冷静な知り合いの人形遣いが珍しく目を丸くしていたのを覚えている。

 

 さあ、家に帰って今日の反省点をまとめ、明日の対策を練ろう。そして明日はそれを実地に確かめるのだ。

 

 霧雨魔理沙は充実していた。

 

 

(本当に、魔理沙の言った通りだったわね)

 

 アリス・マーガトロイドは驚きを隠しきれなかった。目の前に広がる果ての見えない書架の列と、その中に収められた無数の書籍が、若干の例外を除いて全てアリスに解放されているという。それは、アリスの常識と照らし合わせば、当に狂気の沙汰とでも言うべきことだった。

 紅霧異変の一件が載った天狗の新聞が届けられた頃、魔法の森で出会った魔理沙の話。当初は何時もの通り魔理沙が自分を担いでるのだろうと思って気にも止めなかった。

 それが半信半疑に変わったのは、昨日の新聞で、紅魔館の面々が人里で神社の建立するという記事と、実際に作業を行っている途中の写真を確認したからだった。

 土系の魔法を使用しているのであろう、予定地の大地が平坦になる所を捉えた連続写真と、そこに据えられる礎石が宙に浮く写真。そこに紹介されていたのは、「七曜の魔女」パチュリー・ノーレッジ。

 自らの魔法を人前で堂々と、神社の建立のために使ってみせる魔女は、図書館から動くことなく知識を秘匿する人嫌いの研究者、というアリスの先入観を覆した。

 さらに、それに付随したインタビューでは、まだ一般開放こそ出来ないが、紅魔館内の図書館の利用については相談に応じる用意がある、とのコメントが、紅魔館の主レミリア・スカーレットの同意と共に掲載されていたのである。

 早速、相談に訪れたアリスに出された条件は、「自分の技術に関して、公開出来る部分を書物として書き記して定期的に納入すること」とされた。本当にそれだけでいいのか、と聞き直すアリスに、紅魔館当主の吸血鬼、レミリア・スカーレットはこう口にした。

 

「自分の名前を著者として冠し、今後幾多の読者に読まれるであろう本の内容をどうするか、それはお前の自由だ」と。

 

(上等よ、その挑戦、受けるわ)

 

 アリスは心の中で決意を固めると、司書として紹介された小悪魔へ声をかけるべく、その姿を探し始めた。

 

 

「これは大した光景だな」

 

 上白沢慧音はそう口にした。実際、大した光景だった。人里の北側に広がる田園、その中央部に島のように残っていた岩で出来た小山が見事に取り除かれ、均された台地の上には、高床式の社が形を見せ始めていた。何より、普通の普請と異なるのは、田の畦道を人が担いで運ぶには難儀するような柱や板が、空中に浮かんだ人影によって軽々と運ばれていることだった。

 人民帽を被った長身の影と、ともすれば幼児ではないかと思わせるような体格の宝石を鏤めた羽を持った影が、大人二人かがりで持ち上げるような柱を一人で軽々と運び、指示された通りに渡し、あるいは地面に置いていく。地面に置かれた柱は、紫色の魔女が手を一振りするだけで誰も手を触れずに空中に浮き、棟梁の指図の通りに移動して勝手に組み上がる。

 そんな夢のような光景が、慧音の眼前──畦道を伝って行った田の向こう側で繰り広げられていた。

 

「霧雨のご主人も来ておいででしたか」

 

「これは、慧音先生、見回りご苦労様です」

 

 近づく人の気配に振り返った慧音の前に立っていたのは、彼女の旧知の人物だった。紺の絣の着物に黒の帯を締めた鶴のように細身の人物は、人の良さそうな笑みを浮かべて頭を下げた。

 人里で道具屋を営むこの人物が声を荒げたり怒りを見せた姿を、慧音は彼の若い時から一度も見たことがない。噂では、彼が怒ったのは二度だけ。一度目は彼の妻となる女性との交際を周囲にからかわれた時、そしてもう一度は──慧音は彼が激怒して魔理沙を勘当したということを未だに信じられないで居る。

 

「ご主人は、こちらの宮座にお入りになったのですか?」

 

 慧音の問いかけに、彼は困ったような笑みを浮かべた。

 

「いやいや、こちらは十分に氏子がおられるようなので、うちは相変わらず博麗さんの方です」

 

「何か、気になることでもお有りですか? 毎日見ておりますが、紅魔館の妖怪達はあの通り、真面目に働いております」

 

 慧音が寺子屋の授業前と授業後にこうして普請現場を見回っているのは、そのためだった。人里に迷惑を掛けたお詫びに、人里を守護した秋姉妹の神社を建立したい。そういう話が人里にもたらされたのは異変が解決して直ぐのことで、人里での緊急の寄り合いの後、いくつかの条件が付けられてその申し出は了承された。

 人外からの申し出とは言え、人里でも、農家を中心に秋姉妹の神社を求める気持ちが強かったことが後押しした。慧音がここに居るのも、いくつかの条件の一つである。

 

「よーし、休憩にするぞー!」

 

 棟梁のかけ声で、作業していた人員が道具や資材を置いて思い思いの木陰に腰を下ろしていく。銀の髪のメイド服が、飲み物や手ぬぐいを配って回る。

 

 霧雨の主人は、そんな光景に眼を細めて口を開いた。

 

「昨日、天狗の新聞を読みまして」

 

「ああ、私も読みました」

 

「恥ずかしながら、この年になるまで魔法がどういうものか良く知らなかったのですよ。退魔師の方々が使う術は若い時に見ましたが、あれは火を出したり、相手を吹き飛ばしたりするようなものでした。……こんなことも出来るのですなあ」

 

 慧音は何を口にするべきか迷って、結局口を閉じたまま頷いた。慧音とて魔法に詳しいわけではないが、魔法が危険なものであることは知っていた。おそらくは、七曜の魔女がやってのけた方が例外であろう、ということも。

 

「それでは、私はこれで失礼します」

 

「はい」

 

 頭を下げて、去って行く紺絣の姿を見送ると、慧音は普請現場へと足を向けた。

 

 

「あれは人里の守護者よね? 何かあったのかしら?」

 

「随分、慌ててるみたいですねえ」

 

 人里での秋姉妹の活躍を記した「文々。新聞」と、紅霧異変の当日現場インタビュー記事が目玉の「花果子念報」のそれぞれが好評を博したことで、牽制をしながらも次なる目玉、「妖怪が普請する神社密着取材」を行おうとしてる姫海棠はたては射命丸文と顔を見合わせて首を傾げた。

 上空から普請現場に近づくと、厳しい表情の上白沢慧音が紫の袱紗を大事そうに抱えて、人里に向けて全力疾走しているのである。

 

「慧音さーん、一体何があったんですかー?」

 

「ちょっと文、抜け駆けは無しよ」

 

 面識のある文が先ず声をかけ、それにはたてが釘を刺しながら続く。

 

「何かと思えば、天狗の新聞記者か、そちらも?」

 

「姫海棠はたてです。今後ともよろしくお願いします」

 

 辺りを見回して立ち止まった人里の守護者の前に、文と並んで舞い降りる。

 

「そうだな、お前達も見てくれ」

 

 興奮を隠せない様子で、震える手で袱紗の結び目を解く慧音の手元を、文とはたては固唾をのんで見守った。

 

 ごくりと唾を飲み込んだのは、自分か、それとも文か。はたては食い入るように袱紗の中身を見つめた。

 

 秋静葉 様

田中神社

 秋穣子 様

 

 それだけが記された、彫刻飾りも何もない素っ気ない額。しかし、その文字の美しさたるや、この世の物とは思えなかった。墨痕淋漓にして流麗、鳳凰が宙を舞う如く華麗で、麒麟が大地を御するが如く優美、一文字とて忽せにしない書でありながら全体としては何よりも優しい印象を与える、その書の非凡さよ。筆を執る生業の記者として、はたては自らの文字の下手さを嘆いた。

 

「私は長いこと歴史書を編纂してきたが、今日程自分の手蹟の拙さを嘆いた事は無いよ」

 

 静かに語る歴史家の気持ちが切ない程理解出来てしまう。この書を見て、記事を書かねばならないのか。この文字の横に見苦しい活字が並ぶと思うだけでげんなりする。

 まるで、天狗の新聞の活字の汚さを示すための記事ではないか。

 

 ノロノロとカメラを取り出す。見ると、傍らの文も難しい顔で自慢のカメラを構えていた。連続するシャッター音。シャッターを押しながら思う。写真で果たしてこの文字の美しさを捉えることが出来るのか、と。

 

「それでは、私はこれを御阿礼の子に見せてくる。里の外に出られない彼女もこれを見ておくべきだろうからな」

 

 そう言って、何度も失敗しながら袱紗を結び直して駆け去った慧音を、はたては文と並んでぼんやりと見送った。

 

「……文」

 

「……なんですか?」

 

「あの人、飛べないの?」

 

「興奮しすぎて、飛ぶのを忘れているんでしょう」

 

「そう」

 

「ああもう、辛気くさいっ! こうなったら、是が非でも秋姉妹に話を聞かないといけませんねっ!」

 

 突然叫んで飛び上がった文を、はたては呆然と見送った。

 

「……抜け駆け?!」

 

 そこで、一度大きく息を吸う。落ち着け、姫海棠はたて。文と同じ事をやっていては駄目だとわかった筈だ。考えろ。

 

 ……紅魔館。そうだ、今、あの神社の普請を行ってるのは紅魔館の住人達の筈。彼女達なら何かを知っているかも!

 

 姫海棠はたても空へ舞い上がった。

 

 

 レミリア・スカーレットはフランドール・スカーレットと共に、紅魔館の門まで進み出た。静かに目の前の月光に照らされて猶黒い、最初に出会ってから全く変わったように見えない人影に声を掛ける。

 

「行くのか、先生」

 

 それは、自分が「視た」確定事項。だから、妹と自分だけで見送りに出たのだ。

 

『はい』

 

「神社の棟上げも、皆が楽しみにしてる紅葉狩りの宴会も未だなのに?」

 

 フランドールが絞り出すように続ける。地下から出て来てから、ついぞ聞いたことの無かった声色で。

 

『ここでの僕の仕事は終わったと思います。それに』

 

 ぐにゃりと歪んだ黒い人影、いや、歪んだのは人影を取り巻く空間そのものか。

 

『予約していた次のお客さんが痺れを切らしてしまいました』

 

 歪む、空間が、その向こうに何かがある、見てはいけない虹色の何かが。

 

「待ってちょうだい、それなら、次の仕事を予約するわ!」

 

 隙間から身を乗り出した、八雲紫が叫ぶ。

 

「来年の皐月に、治療をお願いしたいの!」

 

「予約、確かに承りました」

 

 それは、月光が見せた幻だったのか。異界の響きだけを残して、田中田吾作と名乗った奇妙な外来人は、幻想郷から掻き消えた。いくつかの変化と、いくつかの置き土産と、自分の名前が付いた神社を幻想郷に残したまま。

 

「彼は、行ってしまったわ」八雲紫が、酷く耳障りな声でそう呟いた。

 

 だが、その耳障りな声があたかも救いの福音であるかのようにフランドール・スカーレットは微笑した。その耳障りな声こそが、最後の言葉が幻で無かった証なのだから。

 

 レミリア・スカーレットはそっと妹の頭に手を置いて、自室に向かって歩き出した。

 

 

「これでやっと安眠出来るわね」

 

 博麗霊夢は自室の寝床に横たわった。

 

「ま、つかの間の平穏でしょうけど」

 

 そのまま掛け布団を引き上げると、そっと目を閉じる。

 

 

「人里に新たな神社」 文々。新聞 第百十八季 神無月の項より抜粋

 

 今まで、博麗神社しか存在しなかった幻想郷に、二つ目の神社が誕生した。その名も、田中神社──その名の通り、人里の北の田園の中に残された巨石を紅魔館当主の妹、フランドール・スカーレットが砕いて作られた神社である。祭神は秋の神である秋静葉様と秋穣子様。紅霧異変での償いのために紅魔館の妖怪達が協力し、収穫が守られたことに感謝した人里の農家が中心になって建てられた神社である。

 神社名の由来に関しては、「山と田を繋ぐ神社だから山田神社か、田の中にあるから田中神社か、結局秋様達がお決めになって田中神社となったと聞いております」(棟梁の源造)とのこと。

 

 特筆すべきは、その正面に飾られた額である。祭神と神社名だけが書かれた簡素な額だが、そこに書かれた文字はあまりにも美しい。「美しすぎて何も言えません。誰が書いたんですか? その人を連れてきて下さい!」(御阿礼の子・稗田阿求)「私もそれなりに長く生きているつもりだが、あれ程の手蹟に出会った事はない」(寺子屋教師・上白沢慧音)と人里を代表する文筆家両名が絶賛している額は一見の価値有り。

 

 祭神御二人は、「自分達の神社が出来たことはとても嬉しい。あの額の文字はどこの神様に見せても羨ましがられると思う」(秋静葉)、「これからは姉と協力して秋の恵みをもたらして行きたい。神社の分、責任を痛感している」(秋穣子)、人里を守った御二人の習合に関しては、「あれに関しては何も申し上げられない」(秋静葉)、「必要になったらまたやるかも」(秋穣子)とのことである。

 

 また、当面、田中神社は宮座と呼ばれる農家の代表によって年替わりで神主が務められる当家制が取られる模様。神主に関しては、「今はそれで十分です」(秋静葉)「いずれ、相応しい人が来たら考える」(秋穣子)と現状で問題ない模様。なお、田中神社は紅魔館に分社が置かれている。

 

 いずれにせよ、人里を守護する神社が出来たことで、これまでその役目を担ってきた博麗神社側の出方が窺われる(射命丸文)

 

 

「謎の書道家は外来人?」 花果子念報 第百十八季 神無月の項より抜粋

 

 人里で話題となっている田中神社の額だが、同一人物が書いたと見られる額がそれ以外にも存在したことが記者の独自の調査で判明した。

 

 一つ目と二つ目の額が見られるのは、霧の湖の畔の紅魔館である。紅魔館の入り口の『紅魔館』という額と、紅魔館内部の田中神社分社の『田中神社』の額である。

 

 そして、三つ目と四つ目の額が見られる場所は妖怪の山にほど近い、厄神の祠である。直接、厄神に遭うことが危険であるため、人里の代表がそっとお供え物を置いていくだけの簡素な祠であるが、最近掛けられたと思しき祠正面の額と、祠の壁に掛けられた奉納額の文字が田中神社の額と同一人物によるものと確認できる。

 

 内容は、正面の額が『厄神之祠』。

 

 壁の物が、

 

 『勸君金屈巵 満酌不須辞 花發多風雨 人生足別離』 于武陵の漢詩である。

 

 これに関しては、

 

「これ、井伏鱒二という外の詩人が『厄除け詩集』という訳詩集を出してるから、その洒落でしょうね。訳詞ではこうよ。

 

『コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ 』」(八雲紫)

 

 という識者のコメントがある。

 

「厄いでしょう? 私の宝物よ」(鍵山雛)ということからして、厄神本人もかなり気に入っていると見られる。

 

 いずれにせよ、稀代の名筆と言えるが、厄神に遭遇する可能性が高いのでわざわざ見物に行くことはお勧めしない。記者は取材のため厄神に遭遇した後、全治一ヶ月の重傷を負ったことを付記しておく。

 また、別れの詩を書いたことも含め、紅魔館関係者は、その額を書いた人物は外来人であり、既に外の世界に戻ったことを明らかにしている。(姫海棠はたて)

 

 




これにて、紅霧異変編ひとまずの終了でございます。

語られなかった人、ちょっとだけ顔を出して流されてしまった人、それぞれの事情はあれど、それぞれに時を過ごして舞台は妖々夢へと移ります。

そして、妖々夢以降は主人公は幻想郷に定住します。本来なら作中で説明すべき事でしょうが、敢えてこれだけはメタで説明させて頂きます。

思えば、SSを書こうと決意した時、ROM専だった時から考えてみました。

読み手は纏まった量がないと感想を書けない。書き手は感想がないとモチベーションが維持出来ない。

なら、一章までは毎日書いて毎日更新すれば良いじゃない。(マリー・アントワネットっ面で)
こんなことを考えていた当時の自分をぶん殴ってやりたくて仕方が無いです。

とりあえず、明日からは五時に起きて書籍文花帖などを読みあさらなくて済むと思うとほっとしております。

朝ネタ出し→休憩時プロット組み→夜執筆で更新してました。

こんな無茶が出来たのは、一重に皆様からの感想、評価、UAのお陰です。
こんな癖のある二次創作にお付き合い頂きまして、本当に有り難うございました。

そして、よろしければこれからもまたよろしくお願い申し上げます。

一応の評価が頂ける分だけ材料は出たと思いますので、ご意見、ご感想などお寄せ頂けましたら幸いです。

ハーメルンのルールに従う限り、酷評、駄目出し大歓迎です。天子さんに勝るドMを自覚しておりますので。放置プレイだけはご勘弁を。





以下、解放されて緩んだテンションでの戯言が続きます。



うどんげ設定どうしよう……。だ、脱走兵……。

風神録がもはや原形を留めなくなったでござる。

なに、主人公がチート過ぎる? 逆に考えるんだ、儚月抄の八意XXに対抗するには、もっとチートさせる必要があると考えるんだ。

実際儚月抄無かったらこの話は生まれなかった。公式であそこまでやって良いなら、自分でも何か書けそうだと思った、今は反省している。

ゆうかりんはもっと血生臭いシーンを出したかった。ぶっちゃけ、最初のスカーレット姉妹との対決はどこかに入れたかった。

ごめん、美鈴、門番として名無し妖怪相手に頑張ってるのに、そんなこと書いても誰も喜ばないと思ってカットしたら出番が殆ど無くなった、マジごめん。

そして、最大の犠牲者、チルノとルーミア。主人公は護衛抜きで外で歩く必要も意欲も無いから出番ないのさ。名前出たっけ? 出してなかったような……。

主人公ェ……。どちらにとっても相性が悪い者同士だから対面はお預け。

日常編、面子が揃ってないと幻想郷内での生活がなあ。永夜異変くらいまで行けば賑やかになるけど、現状ロック掛かってる場所多すぎ。

現状での魔改造リスト

・おぜう様:究極生物一号
吸血の必要なし、完全体カーズ様程度の再生能力。視るだけならかなり運命視れます。

・妹様:究極生物二号
吸血の必要なし、完全体カーズ様程度の再生能力。今日の私は絶好調なんだ! 惑星だって壊してみせる、程度の能力。「フォーオブアカインド」使うとガチで地球ヤバい。

・ゆうかりん
肉体はビオランテ程度のタフさ。
『ブッ殺す』って思った時にはすでに行動は終っているからだッ!! 『ブッ殺した』なら使っていいッ!!、程度の能力。

・秋姉妹
合体すると術式解放時の旦那並みのタフさ。
でも、やれることは姉妹二人分。でも、効果範囲パネェ。

・パチュリー
ダークシュナイダー並みの魔術師。

・小悪魔
スライムだと思ったらフラックだったでござる。
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