両方とも古いラノベなので、今後も出てこないかもしれません。と言うか、出て来て欲しい。読んでみたい。
ファイルを整理していたら出て来たので投稿しました。
きっとあの時、あそこで起きたことを今更あーだこーだといったところで何が起きたのかなんて実際問題誰も把握していなかっただろう。否、訂正する。たった一人、理解しているであろう人物のことを失念していた。長門だ。そう、情報統合思念体の人型インターフェースであるところの長門有希なら知っているはずだ。まあ、もっとも何が起きたのか根掘り葉掘り知ろうとも思わない。何せ、今回の場合、俺は蚊帳の外のモブキャラKといった役どころだったのだから知らないほうが吉なのだと思う。そう、断じて知ったらめんどくさい展開になるなどと思ったからじゃないぞ。
ブギーポップの噂をハルヒから聞いたのは何時だったか? 確かあの永遠に続くかに思われた夏休みも終わり、秋も中盤に差し掛かった頃だった気がする。
その日は土曜日だった。
つまり休日だ。そして合いも変わらず不思議探索がスケジュールで埋まっていた。夏の暑さも忘れ、朝方はめっきりと寒くなってきたので温い布団で眠っていたかったのだが、そんなことをきくハルヒではないので、早々に諦め、遅刻だけはしないようにと何度目か分からないことを心に思いながら自転車を漕ぎ漕ぎ、北口の駅前に向かった。
シャッターの閉まった銀行前に不法駐輪(すまん)して北口の改札出口に俺が到着したのが九時五分前。すでに全員が雁首を揃えていた。
やれやれ、また奢らされるのか。
「遅い、罰金」
何回目になるか分からないことを言われ、もはや常連になってしまった喫茶店に向かい、お決まりのくじ引きをする。
くじ引きの結果は、朝比奈さんとのペア。中々、今日の運勢はいいらしい。
「いい? デートじゃないんだからちゃんとやりなさいよ。真面目にブギーポップについて探すのよ!」
「わあってるよ」
我ながらやに下がった顔になっていたんじゃないだろうか?
そんな俺に伝票を握らせると、ハルヒは大またで店から出て行った。
いま俺達は、いつかも来た桜の木下にあるベンチに腰掛けている。小休止といったところだ。
「カフェオレでいいですか?」
「うん、ありがとう。キョン君」
自販機で買ってきたミルクたっぷりを謳っているカフェオレを朝比奈さんに渡す。因みに俺はコーヒーだ。
「いえいえ、どういたしまして。ところで朝比奈さん、ブギーポップって何ですか?」
昨日部室でハルヒがいつものように突然『ブギーポップを探すのよ!』などと言い出し、今日の不思議探索はそのブギーポップ探索になったわけなのだが、いまいちそのブギーポップなるモノを俺は知らなかった。
「ブギーポップですか? うーん、そうですね……。都市伝説? ううん、噂ですね」
「噂?」
「聞いたことありませんか? 黒い帽子、黒いマントを身に付けたそれは、その人が最も美しいときに、それ以上醜くなってしまう寸前に、苦痛のないやり方で一瞬に殺してくれる──という噂です。女の子の間で流行ってるんですよ」
そう言って朝比奈さんは少し恐がっているような感じに微笑む。
「……聞いたことないですね」
「そうですか? 別に男子に秘密にしなきゃいけないって訳でもないですけど……」
朝比奈さんは靴のつま先に視線をやりながら続けて、
「まるで死神みたいで、少し……恐いです」と言った。
まるで震えているチワワと言った風情の朝比奈さんに思わず胸キュンしそうになる。
「噂は噂ですよ」
だから笑い飛ばす。実際、そんな死神めいた怪人が居てたまるか。そんな変死体がニュースになっているのなんか滅多にないぞ。
「うん、そうだけど、良いも悪いも関係なく噂には元があるの」
「元ですか?」
「ええ、火のないところに煙は出ないのと一緒。何がしか、噂がうまれる要因があるはずなの。それが恐い」
何か、あるのだろうか?
疑問に思うが、さらに突っ込んで訊ねるのも憚られる。なにせ、いつも最後は禁則事項で締めくくられるのだから。
ブギーポップについての話はそれで終わり、その後、俺達はハルヒからの携帯が鳴るまで街をブラブラしていた。勿論、居るかどうかも定かではない死神野郎の手がかりなんてこれっぽっちも見つかるはずも無く、ハルヒを不機嫌にさせるだけだった。
昼食を取っていた全世界的に展開するハンバーガー屋での二度目のくじの結果は長門とのペア。ハルヒが益々不機嫌そうになるのが訳分からん。
「四時に駅前で落ち合いましょう。今度こそ何かを見つけてきてね」
そう言ってハルヒはイチゴシェイクをチュゴゴゴと飲み干した。
ハンバーガー屋の前で立ち尽くす俺は長門に訊ねる。
「どうする」
「……図書館」
「うん、図書館に行きたいのか」
日が出てているとはいえ、ぽかぽかと暖かいわけじゃない。むしろ寒い。なら空調の利いた図書館で午後のひと時を過ごすのもいいだろう。
「分かった。図書館に行くか」
「……」
心なしか、嬉しそうに長門は肯いた。
図書館に着くと長門は目当てがあるのだろうか、迷うことなく本棚へと歩いていった。俺はそれを見送り、適当に本棚に目をやり、目についたノベライズを一冊抜き取ると、日が当たって暖かそうなソファへと向かった。
思ったとおり、そのソファは陽だまりになっており暖かい。
パラパラと数ページ読むが、あまり読む気のない本を読むのは流石にノれず、瞬く間に俺は睡魔との闘いを余儀なくされ、敵の圧倒的な波状攻撃にあっさり陥落、俺は速やかに眠りに落ちた。
尻ポケットが振動した。
「おわ?」
飛び起きる。液晶画面を見なくても分かる、ハルヒだ。
俺は急いで館外に出ると、通話ボタンを押し耳に当てる。
『何やってんのよバカ!』
金切り声の大音声がつんざくように鼓膜を打ち振るう。思わず、キーンとなる耳から携帯を遠ざける。お蔭で、残存していた睡魔は彼方に去った。
俺は腕時計を見る。四時半を回っている。ダメダこりゃと思いつつハルヒに謝りながら携帯を切った。
図書館に戻り、根が生えたような長門を急かして駅前に戻る。その途中、通りで騒ぎが起きているのが目に付いた。
騒ぎだけなら、急いでいるのだから無視して駅前に急ぐのだが、今回ばかりはそうはいかなかった。
ある種の野次馬感情がないと言えば嘘になるが、そのとき騒ぎの原因を見てしまい思わず立ち止まってしまったのは我ながらしょうがないと思う。騒ぎの原因になっていたのは二人だった。全身傷だらけで薬でも決めているみたいなサイコさん。そして重要なのが残りの一人だった。なにせそいつは午前中朝比奈さんから聞いたブギーポップのような姿をしていて、そして俺はそいつの顔に見覚えがあったのだから。
騒ぎ自体は警察官が来たこともあり直ぐに収拾された。
ブギーポップのような奴が警察官との短いやり取りの後、サイコさんが歩み去ってしまい、慌てた警察官が追いかけようとしたその隙にブギーポップのような奴もまたマントを翻して走り去ってしまった。
「あ、ああ! おい、待て!」
一人しか居ないこともあり、どちらを追えばいいのか分からず見ているこちらが呆れるくらいおろおろとしていた。俺はそんな警察官を後目にただ、あいつが走り去った方向に視線を向けていた。風のようにという形容が点くぐらいの速さで、あいつは消えていった。傍らに居た長門は、俺とは逆にあのサイコさんの後姿を見ていた。
その時、俺は知り合いが居るのに気づいた。県内有数の進学校である光陽園学院に進んだ中学時代の先輩の竹田先輩だ。
呆然としている様子に声を掛けていいのか逡巡する。
なにせ今走り去っていった奴の顔は間違いなく竹田先輩の彼女であり、中学時代の同級生でもある宮下籐花だったからだ。
結局、先輩に話しかけることも無く合流したハルヒに散々お小言を頂戴し、その日は解散となった。結局のところいつもと同じ時間と金を無駄にしただけである。
「ほら、帰るぞ長門」
「……分かった」
心ここに在らずといった風に、なにか考え事をしているように俺の目に映る。あの騒ぎからずっとこれだ。
「……何かあるのか?」
誰にも聞えないように小声で訊ねる。
「まだ何もいえない」
そう長門は応えた。
その日から数日後、久しぶりの旧友との再会は偶然だった。
下校途中、コンビニで週刊漫画雑誌を立ち読みしているとスポルディングのでかいバッグを担いで歩いている宮下籐花を見つけた。
俺は先日の出来事もあり、急ぎ足でコンビニから出ると宮下に声をかける。
「よう、宮下。久しぶり!」
声を掛けながら肩を叩こうとした次の瞬間、俺の身体はふわりと宙に浮き、アスファルトの路上に叩きつけられた。
「──っ!」
あまりの激痛に息を飲み、次第に何が自分の身に起きたのか理解する。俺はコイツに足払いを食らったのだ。
「君は……宮下籐花の知り合いか?」
俺の記憶の中で一致する、宮下籐花の顔で、声で、こいつは言った。
だが間違いなく俺は確信する。こいつは宮下籐花じゃない。
「……お前は……誰だ? 宮下籐花じゃ……ないのか?」
何とか膝をつき、立ち上がりながら俺は言う。それにこいつは表情を変えずに応えた。
「まず最初に言っておくと、ぼくは宮下籐花ではない。今はブギーポップだ」
「……──!」
思わず唾を飲み込んだ。ゴクリと喉が鳴るのを聞く。
「君も、言葉ぐらいは聞いたことがあるだろうが、手っ取り早く言うなら〈二重人格〉という概念が一番近い。わかるだろう」
安っぽい小説や漫画の中でよく聞く二重人格。こいつは自分がそうなのだと言う。
「君らはまだ誰も気づいていないが、全人類に危機が迫っているんだ。だから、ぼくが出てきたんだ」
そんな中二病をこじらしたような戯言、笑い飛ばしても良い。だが笑えない。こいつが嘘をついてるようにはかけらも俺には見えん。それぐらいに、こいつ──ブギーポップは至極大真面目な顔で言った。
現在俺は近くの公園のベンチにブギーポップと供に座っている。傍から見れば高校生同士なの0で違和感などない光景なのだろうが、個人的には笑えないほど違和感だらけだ。
そもそも何故こんな状況なのか?
それは俺がこいつに聞きたいことがあったからだ。
つまり──、
「お前は涼宮ハルヒのことを知っているか?」
これに尽きる。
「そうか……、キョン君は涼宮ハルヒの知り合いか」
そう表情も声色も変えること無くブギーポップは言った。
「彼女は危険だ。世界の敵になりうる可能性がある」
俺はブギーポップが言うところの世界の敵とやらについてはトンと理解できない。だが、ハルヒをあの噂のように殺すのなら黙っていられない。
「おい、俺は正直、お前がどんな奴だろうが構わん。本当に二重人格みたいなものなのか、それとも悪霊のように宮下に取り憑いていろうが知ったことかっ! だけど、ハルヒを殺すってんなら……」
「取り憑く、ってね、そういう言い方はやめてくれないか。ぼくだって好きで出てきているんじゃないんだ。それにキョン君は勘違いしているよ」
「何を、だ」
「ぼくは自動的なんだよ。周囲に異変を察したときに、宮下籐花から浮かび上がって来るんだ。だから、名を不気味な泡という」
どうもこいつは自分でブギーポップと名付けたらしい。
「そして今回の異変に涼宮ハルヒは関係ない」
「そうか……、ん? いや、待てよ。……ブギーポップ、お前はいま『今回は』って言ったか?」
悪い予感ってのは当たるもんだ。今回もその例外じゃないようだ。
「ああ、言った。以前、二回ほど彼女が原因だと思われる異変でぼくが出てきたことがあった。最も、直ぐに消えたけどね」
「その二回って」
俺はその二回に思い至るところがある。
「三年前と、今年の五月だね」
やっぱりか。
俺は顔をうずめ、落ちかけている陽がつくった自分の影を見詰める。
「彼女は何も知らない。キョン君、だから気をつけたほうがいい。キミの行動如何によって彼女は世界の敵になりうるのだから」
そう言うとブギーポップは立ち上がった。
「キョン君、これは忠告だけど、光陽園学院には近づかないほうがいい」
「何でだ?」
俺は顔を上げた。傍にたっている街灯の光源によって逆光になり表情がよくわからなかった。だけど、きっと表情を変えては居ないのだろう。
「あの学校には魔物が巣食っている」
「魔物?」
「そう“人を喰うもの”だ。大変危険な奴だ。しかも周囲に溶けこんでいる。今はまだそれほどの活動を開始していないが、本格的に動き出されたら世界はおしまいだ」
俺は乾いた笑い声が口から洩れるのを自覚する。
「はは、なんだよそれ……。異変? 全人類の危機? 魔物? 何だよそれ、訳わかんないのはハルヒだけで充分だよ」
宇宙人、未来人、超能力者、おまけに世界の敵と戦うセイギノミカタかよ。
その時、口笛が聞えた。明るく、アップテンポな曲で、しかも呼吸に緩急があって俺の耳でも上手いと思った。
「上手いな。何て曲だ?」
口笛が終った。俺は拍手をしながら立ち上がった。
「“ニュルンベルグのマイスタージンガー”第一幕への前奏曲さ」
「そうか」
既に陽は完全に落ちている。
「そろそろぼくの時間は終わりだ。楽しかったよ、キョン君。じゃあね」
そう言ってブギーポップは歩き出す。俺はその背に声を掛けることはなかった。
それから数日後の放課後。いつものように部室へ行くと、長門がいつもの席で分厚いハードカバーを読んでいた。どうやら長門以外誰も居ないらしい。
俺は机に鞄を置き、速く朝比奈さんが来てお茶を淹れてくれないかなと思いつつペットボトルを取り出すと一口飲んだ。
ふと、背後を見る。
気配も無く長門が何時かのように分厚い本を差し出していた。
「……これ」
反射的に受け取る。予想通りずしりと重い。
俺はなにかを言おうと口をあけた瞬間、タイミングよく部室のドアが勢いよく開いた。
言うまでもない。我らがSOS団団長・涼宮ハルヒである。途中であったのだろう、朝比奈さんが続いてはいってくる。
「……今日読んで、帰ったら直ぐ」
ぼそりと俺にしか聞えない音量で長門は呟くと、先ほどまで居たテーブルの隅の定位置に戻っていった。
「ほらほらキョン、速く出て行きなさい。みくるちゃんが着替えられないでしょ?」
そう言いながらハルヒは俺の背を押しまくる。
「分かったから押すな!」
因みにその日の朝比奈さんのコスプレはゴスロリ風メイド服だった。いつものメイド服もいいけど、今日のも最高だった。
家に帰り、妹の遊んで遊んで襲撃をかわし、長門から借りた本を捲る。案の定、花のイラストがプリントしてあるファンシーな栞が出てきた。裏には勿論、手書きの文字。
『五時に光陽園学院裏門前にて待つ』
腕時計をみる。自転車で飛ばせばぎりぎりといった時間だ。
「くそ、先に言えよ」
俺は悪態をつきながら力の限り、自転車を漕いだ。あの長門だ。何かあるはずだ絶対に。
約束の時間には辛うじて間に合った。長門はそんな俺を見ると頷き、こっちと歩き出す。
「おい、どういうことだ」
自転車から下り、鍵をかけると、早足でう長門の後を追う。俺は息切れしながら長門に問う。
「いいから、ついて来て」
まだ説明する気がないのだろう。長門は黙り込んだまま、その歩みを止めることはなかった。そしてそのまま校舎内へと足を踏み入れる。
「おい、いいのか」
まだ生徒や教職員が居るだろう時間帯である、見つかったら面倒だ。
「大丈夫」
振り返ることも無く、長門は階段を上る。俺は黙ってその背を見ながら後に続いた。
直ぐに屋上に続くだろう扉の前に出た。
「少し静かにして」
長門は俺を制止させる、すると扉の向こうから激しい音が聞こえてきた。そして直ぐにどどんという鈍い音が響いた。
「もういい」
躊躇うこと無く長門は扉を開け、屋上へと出た。俺もそれに続き屋上に出る。既に月は出ているからだろう、校内よりも明るいぐらいだ。
「こっち」
何時の間にか長門は校庭を一望できる場所に立っていた。隣に来いということだろう、手招きしている。
「なんだこれ……」
校庭には幾つかの人影が見える。
その中の一つ。
この位置からではよくわからないが男に見える。その男の手が指差すように光陽園学院の制服を着ている少女のほうへ向かって伸びた。
『──我が身を“情報”に変えて、今、御許に“報告”を送る!』
長門の口からつむがれた言葉。俺にはあの男が言っているように感じた。
「おい、長門!」
俺は長門にここに連れてきた真意を問いただそうとした瞬間、俺の視界は真っ白な閃光に塗りつぶされた。
そして、その光が止み、視界が回復した頃、俺は聞いたことのある口笛が聞えてきた。そう、あの口笛には似つかわしくない、ワーグナーの“ニュルンベルグのマイスタージンガー”だ。
そして俺はあいつ──ブギーポップが言ったことを思い出した。
視線の先、光が掠め大きなダメージを負ったように見受けられる少女を見る。
「あいつが、人を喰うものなのか……?」
同意を求めるように俺は長門を見る。長門は同意するように肯き、指し示す。
「あれが人を喰うもの──マンティコア」
静に、いつものように淡々と長門はそう告げる。
「……マンティコア」
それが、ブギーポップが言った異変の正体。つまりは世界の敵。
「──て!」
風に乗ってブギーポップの声が聞こえた。生憎、距離があり何を言っUたのかはわからなかったが、これだけはわかった。
「──終わりだ」
丁度、矢がマンティコアの頭を粉砕したところだった。俺は一瞬、ブギーポップの噂が頭を過ぎった。確かにあいつは死神かもしれない。俺はそう思った。
少しの間俺達は揃って校庭を見下ろしていた。もう秋も終わり、冬も間近に迫ったこの季節、正直寒い。
そろそろ帰らないかと長門に言おうとしたとき、またあの口笛が聞えてきた。
「やれやれ」
そういいながら俺は振り返った。
月を背に、円柱の長い影を伸ばしてあいつ/ブギーポップは立っていた。
「やあ、久しぶりキョン君。それに始めまして」
いつかのような大真面目な顔でブギーポップは言った。そして長門のほうへ顔を向ける。
「君はエコーズのことを知ってるんじゃないか? あの閃光になった彼だよ」
そう言えば、俺は長門からそのことを聞いてないことに気づく、うっかりしていたとしか言えない。
「彼、彼等は宇宙に拡散する広域情報意識であるところまでしか我々は認識していない」
つまりは統合思念体以外の宇宙人ということだな。
長門は俺とブギーポップのほぼ中間まで歩くと顔を上げ頭上に広がる夜空を仰ぐ。
「彼等は我々から見て天頂方向から来た、故に仮称名称・天蓋領域。或いは未来においてあなた達人類が彼等を虚空牙と呼称する」
そうハッキリと言った。
俺は後に知る。それが人類種の天敵になるだろう存在──天蓋領域/虚空牙──を人類が正式に認識した初めての瞬間だったことを。
残念ながら続きません。