東方お仕事記   作:TomomonD

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初めまして。
多くの偉大なる作者様たちに少しでも追いつけるように頑張っていきます。

では、どうぞ~。


プロローグ 幻想郷と呼ばれた場所
零仕事目 始まりの神社


「いってきまーす」

 

駆け抜けていく少年。

一般的に人が走る速度を大幅に超えて駆け抜けていく。

自転車も車も電車も追い越していく。

「確か、この公園を通り抜けると近道だったかなぁ」

少なくとも70km/hは出ているだろう。

その速度で直角に曲がって公園を駆け抜けていく。

「そういえば、この公園って……」

少年はゆっくりと走る速度を落とす。

「クロラージュさんと初めて会った公園だ……。懐かしいなぁ」

周りを見まわす、あの時とまったく変わらない風景がそこにはあった。

少年は目を閉じ、少し前のことを思い出す。

 

初めて魔法使いに会った日……。

初めて親友と呼べる人に出会った日……。

 

「あの時は驚いて逃げちゃったんだっけ、えへへ」

少年のはにかんだ笑顔は少女と思わせてしまうような笑顔だった。

 

「さあ、のんびりしたし、出発……あれ?」

少年の目に映ったのは、空間を裂いて現れた不思議な空間。

公園の中央に現れた裂け目。

「なんだろう?」

近づいて裂け目の中を覗いてみる。

すると、いくつもの目がこちらを見ているように見えた。

少年は一歩後ろに飛び退く。

「び、ビックリしたぁ……。う~ん、これってそのままにしておくと、たぶん危ないよね。よし!」

そういって少年は服のポケットからとあるものを取り出した。

30cmはあろうかという縫い針と普通の服には使えないような太さの糸、この二つ。

少年の服のポケットはどう見てもこの二つが入るほど大きくは無いのだが、ともかくその二つを取り出した。

「これをこうして……」

 

「よし! これで大丈夫っと」

少年は大きくうなずくと公園を駆け抜けていった。

残されたのは……、しっかりと縫合された謎の空間の裂け目だった。

どうやって空間を縫ったのかは謎である……。

 

 

「ここですね」

少年が向かった先は、亞心神社。

石碑に彫られ縦書きのため悪神社と読む人が確実にいそうな神社である。

「たしか、この神社には何か秘密があるそうなんですけど……」

 

少年の主は長い年月を生きた吸血鬼。

古い神社やお寺などを好んでいる。

いろいろと事情があるため本人は、ある学園から外に出ることが出来ないのだ。

そのため従者である少年を使い、外の情報を集めている。

 

この亞心神社もなにやら昔からの言い伝えがあるようで、その究明を任せたようだ。

「でも……この神社、誰もいないんでしょうか?」

苔むした境内、蔦が絡まった鳥居、使われてないことがわかる賽銭箱……。

神社の敷地の中には人の気配がまったくしない。

「せめて神主さんや巫女さんがいればお話を聞けたんだけど……、うむぅ」

そういいながら少年はメモ帳を取り出した。

長く使っているのか、分厚い皮の表紙がかなりくたびれているようだ。

ぱらぱらとページをめくり、この頃の日付のページまでやってきた。

「えと“亞心神社の言い伝えの片鱗でも見つけて来い。一十なら何かしら見つけてくるかもしれないからな。もしも、言い伝えよりはるかに大きな出来事が起こったなら……そうだな、納得するまで戻ってこなくていいぞ”」

 

少し理解の仕方を変えれば、従者クビというような内容だ。

けれど、主にそのような考えはまったく無く、従者である少年もまったくそのようなことは思っていない。

「ううぅ、結構期待されてるんだよね。が、頑張らないと…」

主から一十と呼ばれている少年は賽銭箱の前に立った。

ポケットから五百円を出し、中に入れる。

お賽銭にしては少し高額だが、祈っている少年の真剣さを考えれば妥当な額だとも思えてしまう。

「どうか、どうか……僕の主が納得してくれるような物が事が起こりますように!」

少年の祈りは虚空に消え、あたりには静けさが戻った。

「よしっ、ではなにか探しましょう!」

トンと地面を蹴って賽銭箱に背を向けて歩き出す。

鳥居のほうから調べていくようだ。

 

鳥居を逆向きにくぐった先は……暖かな日差し差し込むのどかな里だった。

「あれっ?」

 

今この時をもって、亞心神社は無人の神社となった。

少年がこの神社に戻ってくるのは……もう少し先のお話。

 




今回の出来事・一十百メモ帳より抜粋

謎の空間の縫合:針と糸を使って縫っておきました。これなら迷い込む心配も無いですよね!by一十百

亞心神社探索:古い神社みたいです。きっとここには大きな秘密があると思います!by一十百

お賽銭:五百円じゃ少ないかなぁ? ご利益があるといいなっ!by一十百


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