東方お仕事記   作:TomomonD

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今回は、doragon様、六逸呉狂太様のお二方とコラボさせていただきました。
ありがとうございます。

他にコラボを許可してくれた皆様、もう少しお待ちください。
必ず、全キャラクターを登場させますので!


doragon様、六逸呉狂太様。
なにぶん、拙い文章ですので、修正箇所等がありましたら、メッセージをいただけると幸いです。



夏季特別企画四話 変わった三人組みと厚手のメモ帳

夕焼け色に染まる博麗神社。

その真上に、大きな花火が撃ちあがった。

「それじゃ、私はもう少し人がくるまで、神社の中でのんびりしてるわ」

そう言って博麗霊夢は本堂の方に向かっていった。

 

 

「さてと……、世界線を揺るがした大花火、だったわね」

霊夢の姿が見えなくなってから、八雲紫が口を開く。

「はい。今回の秋夏祭りは他の世界からもお客様がいらっしゃると思います」

「一応、この幻想郷の賢者として、私も挨拶した方がいいのかしら?」

「それは大丈夫だと思いますよ。向こうの世界にも、幻想郷の賢者としての八雲紫という存在はいるはずです。考え方まで同じ……と言うわけではないですけど」

一十百は鳥居の方を見る。

既に異世界とつながっているはず。

後は、電車が来るのを待てば……。

 

「ねえ、一十百君。その、異世界からお客が来るときって、どんなふうに来るのかしら? やっぱり、あの電車に?」

「はい。普通の方なら、電車にのっ……」

そこまで一十百が言いかけた時、空から三つの人影が降ってきた。

鳥居の方を向いていた一十百と八雲紫はそのことに気が付かなかった。

故に、一十百の真上にその人影は、そのまま一十百の上に降り注ぐ形となった。

ドシン!

「みぎゅっ……」

「いたた」

「ぐぇっ……。おい、降りろドラゴン」

「おっ、ついたみたいだな。ほら、別に電車を待たなくたって大丈夫だったろ?」

 

何かが落ちる音に驚き、八雲紫が振り返る。

するとそこには、見たことのない三人組が一十百の上に乗っかっていた。

見た目からすると、男が二人、女が一人……。

これが、一十百君の言っていた異世界から来るお客?

……って、それよりも!

「一十百君! 大丈夫!?」

「みぎゅ~……」

 

 

異世界から来る際に、多少手違いがあったようだが、彼らが一十百の言っていたお客に間違いはないようだ。

「あっ、ドラゴンさんだ。お久しぶりです」

「お、久しぶり」

一十百が微笑んで片手を振る。

どうやらドラゴンと呼ばれた方も、気さくに話しかけている所から見ると、一十百と面識があるようだ。

 

「えっと、一十百君。彼らは?」

「あ、はい。この前、雪合戦の解説を頼まれたので、少しだけお邪魔させてもらった世界の方々です」

一十百の紹介を簡単にまとめると、一十百と初めに話していたのはドラゴンという名の男性だ。

その隣にいる、黒い半袖の男性が豪鎖 縛。

その斜め後ろにいる赤い長い髪の女性が李淳 明。

三人とも同じ世界から来たようだ。

 

「それで……、なんで僕の上に降ってきたんですか? あの花火が上がった直後、駅っぽい物ができませんでしたか?」

「ああ、それなんだけどな……」

何やら縛が言いにくそうに視線をずらす。

「駅みたいのは出来ていたわ。でも……」

明も額に手を当てて、はぁ~、とため息を吐く。

「「ドラゴンが“イィィヤァッフゥ――!!”ってホームから飛び出したんだよ・のよ」」

「なんでっ!?」

横で聞いていた八雲紫は、意味が分からないと、目をぐるぐる渦巻きにしながら突っ込んだ。

 

「おまけに飛び出すときしっかりと、私と縛の服を掴んでね……」

「おかげで、俺達までホームから飛び出して、気が付いたら十百の上だった、ってわけだ」

二人がドラゴンの方を向く。

その視線を受けてドラゴンは大きく胸を張った。

「いや~、そんなに褒めるなよ」

「「褒めてない!!」」

「ま、まあまあ……。三人とも無事に到着できましたし、結果オーライですよ」

一十百が軽く両手を振って、にっこりと笑った。

 

 

「それでだ、十百。ちょっと、提案があるんだが」

「なんですか?」

「俺も屋台をやりたい!」

「おい、ドラゴン。いきなり来て、それは……」

「オッケーです!」

軽くウインクして一十百がサムズアップ。

「「「いいの!?」」」

縛、明、紫の三人がほぼ同時に反応する。

 

屋台というからには、それなりに場所も取るだろうし、これから来るであろう客が喜ぶようなものでなくてならない。

「すぐに用意できるとは思えないのだけれど……。ほら、屋台としての設備とか、場所とか……」

少し心配したのか、八雲紫が一言声をかける。

それを聞いて一十百が露店の並びを指差す。

すると、そこには、“Dの露店屋台”と書かれた屋台がしっかりと設置されていた。

「ええっ! さっきまであんなもの無かったじゃない! いつの間に……」

「さすが十百! 話がわかる!」

グッとドラゴンもサムズアップをする。

 

「で、ドラゴン。お前は何を売るつもりだ?」

「料理」

「……ワンモアプリーズ」

「料理」

縛と明が顔を見合わせる。

そして、一度頷きあった。

「確保! ドラゴンを確保するんだ!!」

「せっかくの祭りを台無しにするつもり!!」

「HA・NA・SE!!」

縛と明がドラゴンを取り押さえる。

しかし、屋台をやりたい執念なのか、それともギャグ補正なのか、二人に取り押さえられつつも、ドラゴンはゆっくりと屋台に向かっていった。

 

「それでは、もう少し人が集まったらまた来ますね~」

一十百はそんな三人に向けて、にこやかに手を振るのだった。

 

 

縛、明、ドラゴンといったん別れた一十百と八雲紫。

秋夏祭りの開催の合図をしたとはいえ、まだ人里から客は来ていない。

もう少し暗くならないと集まっては来ないだろう。

「ねえ、一十百君」

「なんですか?」

「その……言いにくいんだけど、異世界の客って、ああいうのばかりなの?」

疲れたように八雲紫がDの露店屋台を指差す。

料理の仕込みをしているのか、屋台内でドタバタ音がする。

 

「もっと、こう、一般的っぽい人とかいないのかしら?」

「それは、来てくれる方にもよりますよ。それに、ドラゴンさん達だって、個性的で面白い方々じゃないですか」

「もうすでに、お祭り始まる前から疲れてきたのだけど……」

そんなことを話していると、博麗神社の鳥居が輝く。

そして、いつものように、深い汽笛の音が聞こえてくる。

 

「あっ、別の世界からお客様がいらっしゃったようです」

一十百の表情が、ぱぁぁと明るくなる。

対称的に、八雲紫の表情が疲れたように暗くなる。

多くは望まないから、常識のある人。

せめて、まともな人でありますように!

 

八雲紫がそんなことを祈っていると、鳥居からいつものように電車が出てきた。

なんでも、異世界と駅がつながると、そのぶん電車も増えるそうで、移動には困らないらしい。

ゆっくりと電車が止まる。

シュゥゥ……という音と共にドアが開いた。

そこから降りてきたのは、一人の男性。

黒髪で和服、幻想郷に合っている容姿だ。

片手に持っている厚い本のようなものが気になるが、それ以外はいたって普通に見える。

 

「秋夏祭りにようこそ!」

「おっ、ちょっと早かったか?」

「いえいえ。夜からお客さんは増えるでしょうけど、お祭り自体はもう始まっていますよ」

「そうか。せっかくの祭りだから、長く楽しまないと損だ」

そう言って和服の男は一度伸びをする。

 

「あっ、そうでした。異世界からいらっしゃった方ですよね。僕は一十百です」

ぺこりと一十百はお辞儀をする。

「俺は八幡 載斗。一応、とある存在から指示を受けてきたんだが……。まあ、楽しみに来たのがほとんど。いわば休暇だな」

そう言って手を出す。

一十百も手を出し、しっかりと握手をする。

「私も名のっておいた方がいいわね。八雲紫と言います。以後お見知りおきを」

「幻想郷の賢者か。今日は一日楽しんでいかせてもらう事にする」

そう言って軽く礼をする。

それを見て、八雲紫はホッと息を吐いた。

よかった、この異世界人は常識的だわ。

 

 

「それじゃ、手始めに……この香ばしい香りは、焼きトウモロコシか」

一十百も言われて気が付く。

醤油の香りと、焼きトウモロコシ独特の香ばしい香りが、どこかから漂ってくる。

妹紅に任せた焼きイカと焼きトウモロコシの露店の方から、白い煙が上がっている。

準備はばっちりといったところだろうか。

載斗はスタスタと露店に向かっていく。

一十百も気になったのか後を追うことにした。

 

「い、いらっしゃい」

初のお客に戸惑っているのか、おずおずと妹紅が挨拶をする。

「一本もらおうか」

「あ、ああ」

備え付けの刷毛で手早く醤油を塗っていく。

練習などはしていないはずだが、なかなかの手つきだ。

火の扱いが上手いので、火傷とかを気にせずに、作業ができるのがよかったのかもしれない。

 

すぐに串に刺さった焼きトウモロコシが出来上がる。

お代を払うと、載斗は焼きトウモロコシを受け取った。

「ありがとうございました」

「それじゃ、頑張れよ」

軽く手を振り、妹紅の露店を後にする。

 

「えと、載斗さんはこれからどうします?」

「そうだな。食べ歩きながら、いくつか露店周りでもしようかと思う」

そう言って軽く辺りを見回す。

いくつか露店を用意されてるものの、まだ機能していない露店もある。

やはり、祭りは日が沈んでからが本番なのだろう。

「祭りも夜には賑やかになるだろうからな。そのころにまた会えるだろう」

「はい。えと、それじゃ、載斗さん。目一杯、楽しんでいってください」

「おう」

八幡載斗とは、いったんここで別れることになった。

お客が増えた頃にまた会えるだろうと、一十百は大きく手を振った。

 

 

八幡載斗と別れた一十百はいったん博麗神社本堂に戻る。

「霊夢さ~ん。そろそろ、外に出てお祭りを楽しみましょうよ」

「ちょっと待ってて。ほら、魔理沙、腕あげて」

「や、やっぱり着慣れないものは着るもんじゃないぜ」

何か、中で声が聞こえる。

どうやら、いつの間にか霧雨魔理沙が来たようで、霊夢が着付けを手伝っているようだ。

 

一十百が賽銭箱の前で少し待つと、中から二人が出てきた。

霊夢はいつもの格好だが、魔理沙の格好がいつもと全く違う。

いわゆる浴衣姿になっている。

紺色の布地に、大きく流れ星の絵が描かれた、霧雨魔理沙らしい浴衣だ。

「魔理沙さん、とっても似合ってますよ」

にっこりと一十百が笑いかける。

 

いつものと違って帽子がないのに違和感があるようで、霧雨魔理沙はあたりをきょろきょろと見回している。

「うぅ。な、なんだか落ち着かないぜ」

「たまには魔女服以外の服も着なさいよ」

「れ、霊夢も浴衣を着ればいいんだぜ」

「私は博麗の巫女だから、この服でいいのよ」

「じゃ、じゃあせめて、一十が浴衣を着てほしかったぜ」

「え、あの……そのタイプの浴衣は女性専用ですから。僕が着るわけにいきませんよ」

 

一十百が困ったように一歩下がる。

下手をすると、本格的に着せてくる可能性もある。

それだけは勘弁願いたいところのようだ。

「魔理沙。諦めてお祭りを楽しみなさい。ちゃんと着こなせてるから大丈夫よ」

「そ、そうか? うん、そうなら、まあ……」

そう言って霧雨魔理沙は露店並びのほうに歩いていった。

 

魔理沙が見えなくなると、霊夢は少し難しい表情をする。

「霊夢さん。どうかしましたか?」

「いや、ちょっとね」

フンと悔しそうに鼻を鳴らし、小さくつぶやいた。

「思ってたよりも、スタイルが良かったから、少しね」

「ほぇ? 何か言いましたか?」

「何でもないわよ」

霊夢が露店並びの方を見る。

 

秋夏祭りはまだまだ始まったばかりだ。

 




今回の出来事・一十百メモ帳より抜粋

異世界のお客様その1:豪鎖 縛、李淳 明、ドラゴンの三人です。ここの世界はとても多くの方が行く世界らしく、異変解決から宴会まで、たくさんの異世界人が集まっているらしいです。きっと、そう言うイベントを企画しているドラゴンさんが凄いんだと思います!by一十百  えっ!?by縛  それは……ないと思うわ。by明  いや、少しは肯定してくれよ!byドラゴン

異世界のお客様その2:八幡 載斗さんですね。なにか、えらい方からの指示でこちらにいらしたみたいです。でも、休暇も兼ねているそうなので、楽しんでいってほしいです。もう少し暗くなったころにもう一度会えるかもしれません。不思議な厚いメモ帳をもった方です。by一十百  せっかく足を運んだんだから、たのしませてもらおうか。by載斗
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