ありがとうございます。
ネタはあるのに、筆が進まない。
しかし、進むときは一気に進むがネタが微妙になる……。
あちらと立てればなんとやら状態です。
とはいえ、こんなところで止めるわけにもいきません。
夏も終わりかけてますけれど、全コラボキャラクターを出すまではやめませんから!
まあ、逃げの一手として“ほら、秋夏祭りだし、秋に入っても大丈夫じゃないか(笑)”とかいうのを考えてます、ハイ。
冬弥様、ゆーむ@狐巫女様。
なにぶん、拙い文章ですので、修正箇所等がありましたら、メッセージをいただけると幸いです。
空には星と月が輝く。
その下では、別世界の住人を交えた、大きな祭りがおこなわれている。
祭りの中、一十百は右へ左へと走り回っている。
一つは、露店の確認。
お客も増え、秋夏祭りも本番といったところだ。
全ての露店を開き、このお祭りの参加者が目一杯楽しめるようにしていく。
もう一つは、別世界からのお客様への挨拶だ。
気が付かないうちに、かなりのお客様がこちらに来ていたようだ。
一十百は可能な限り挨拶をしようと思っている。
わざわざ来ていただいたのだ、それくらいは当たり前といったところだろう。
祭りの中を走り回っていた一十百の足が止まる。
見慣れない姿を見つけたようだ。
赤いジャケットに黒のTシャツ、黒髪に茶髪混じりの短髪の青年だ。
やはり別世界のお客は、どこか幻想郷とは違う雰囲気を感じる。
とにかく、まずは挨拶をしないといけませんね。
そう思って一十百が声をかける。
「あの、別世界からいらした方でしょうか?」
赤いジャケット姿の青年は一十百に声をかけられ振り返る。
怪訝な表情をしていたが、どうやら質問の意味を理解したらしく、一度頷いた。
「ああ。こことは違う場所から来たからな。別世界ってことで間違いはない」
「やっぱりそうでしたか! えと、このお祭りの主催者の一十百です。秋夏祭りにようこそ!」
そう言って一十百が一礼する。
「俺は、霧林 冬弥。よろしくな」
赤いジャケット姿の青年、霧林冬弥も軽く一礼した。
祭りを案内するという事で一十百は、霧林冬弥と共に露店並びを歩いている。
案内すると言っても、どこにどの露店があるかを一緒に見て回るだけだ。
「う~ん、これだけたくさんのお客様が来るのでしたら、露店の位置が乗った地図を作っておくべきでした」
「まあ、あれば便利だったかもしれないな」
「次、お祭りを開催することがあれば、その時はしっかりつくっておくことにします」
そんなことを話しながら歩いていると、二人の足が止まった。
とある露店の周りだけ、異質な空気が漂っているのだ。
死屍累々の惨状がそこの周りに広がっている。
ある者は露店の横に倒れ、またある者は木を背にして動かなくなっている。
倒れている者達から呻き声が聞こえるので、生きてはいるようだ。
「……おいおい、なんだよこの露店」
「えと、この露店って……、確か……」
一十百が横の幟をみる。
そこには“Dの露店屋台”としっかり描かれていた。
「やっぱり、異世界からのお客様の御一人、ドラゴンさんの露店ですよね」
「DってDragonのDなんだな。てっきり、DeathのDかと思ったぞ」
「あはは……。でも、何があったのでしょうか? すみませ~ん」
一十百が露店内に声をかける。
すると……。
「いらっしゃ……おっ! 十百じゃないか。どうだ、一つ買ってくか?」
中からドラゴンが出てきた。
片手には、お祭りらしく笹の葉をプラスチックパックの代わりに使った、たこ焼きのようなものが持たれている。
ふわりと湯気が立ち、ソースの香りが漂ってくる。
「うわ~、おいしそうです! 一つくださいな」
「おう。ちょっと待ってな」
手慣れたもので、ささっとたこ焼きを作り上げた。
しかし、それを見ていた冬弥は少し違和感を感じる。
たこ焼きって……あんなに白かったか?
焦げ目はついていたけれど、たこ焼きにしては随分と白かったような……。
「ほい。できたぞ」
「わ~い」
一十百はドラゴンからたこ焼きを受け取ると、そのまま一つ口に入れた。
もぐもぐと美味しそうに食べている。
「なんだか、もちゃもちゃしていて、不思議な触感です。変わったたこ焼きですね」
「材料が特別だからな! 普通の人には作れないたこ焼きだ」
「お、おい。その、特別の材料って……なんだ?」
一十百の持っているたこ焼きが、何かに似ていることに気が付いた冬弥。
嫌な予感はするものの、ドラゴンに尋ねる。
ドラゴンは胸を張って一言。
「スキマの目玉」
ドラゴンの背景に“ババ―――ン”と文字が現れる。
そして渾身のドヤ顔である。
「やっぱり目玉か! その、スキマってのはよく知らないが、それをたこ焼きとして売るのはどうかと思うぞ!」
「もっちゃ、もっちゃ」
「いや、十百。お前も美味しそうに食べるなよ!」
その一言で、一十百はハッとした表情になる。
そして、スキマのたこ焼きを一つ楊枝で刺すと、それを冬弥に向けた。
「はい。どうぞ」
「いやいや、俺も食べたいって意味じゃなくてだな……。この死屍累々の元凶はそれだろ」
一十百は辺りを見回す。
確かに、周りに倒れている者達は、皆同じようにスキマのたこ焼きを持っている。
それを見て一十百は何かに気が付いた。
「……はっ! まさか、皆さん……。よく噛まずに食べて、喉に……」
「そうじゃねえって!! おい、誰か! 常識のわかる奴!!」
「「呼んだ?・呼びました?」」
「お前ら以外のことだよ!!!」
霧林冬弥は、一十百と別れて行動することにしたようだ。
もう少し、まともな奴がいるはず、といって別の露店並びの方へと歩いていった。
少し疲れた表情をしていたが、大丈夫でしょうか……。
「あっ、そう言えば! ドラゴンさん。それ、紫さんにばれたら怒られますよ、たぶん」
「ばれたら大変だが、ばれなきゃ大丈夫だ」
「なるほど……」
凄い理屈だが、一十百は納得したようだった。
「それでは、僕も行きますね。お店頑張ってください」
そう言って一十百は露店並びを歩いていった。
やはり、夜になればなるほど、お客が増えているのがわかる。
一時間ほど前に通った場所も、人通りが倍くらいに増えている。
これだけ人が多くなると、別世界からのお客を探すのも一苦労だ。
人の間をすり抜けるように、一十百が露店並びを歩いていく。
そんな中、人だかりが出来ている露店がある。
前は、金魚すくいの露店だったけど、今回は……。
一十百がその露店の幟を見る。
“砲的屋”と書かれている。
その幟を見て、ポンと一十百が手を打った。
「そう言えば、射的屋の景品が寂しいから、ちょっと大きめの物に変えた露店がありました! 分かりやすいように“砲的屋”に名前を変えたんでしたっけ」
一十百が作った、この砲的屋。
射的屋と同じコルク銃を使うのだが、対応する景品が……巨大なのだ。
小さ目の物で、チェーンソー、アンティーク柱時計、幻想郷の賢者の銅像と、射的の景品にしては、すでに大きすぎる。
大きめの物になると、コンバイン、ゼンマイ式全自動洗濯機、トラックと、どうやって持ってきたと先に尋ねられるであろう、桁違いの大きさだ。
これ故に、この露店並び最大難易度の露店だ。
一応、攻略方法もあるようだが、コルク弾でどうやって撃ち落とすんだと聞かれそうな程、不可能に近い露店だ。
一十百が人ごみの外側から、そっと覗きこむ。
何人かが挑戦しているようだが、やはり景品の大きさのため、絶望している人がほとんどだ。
しかし、景品が巨大で取れないだけなら、足を止める人がいるくらいのはず。
それが挑戦する人、期待を込めて見物する人、次は俺だと意気込む人……と、かなりの人数が集まっている。
つまり、誰かが景品を取ったのだろう。
決してやさしい難易度ではないこの射的。
一体誰が……。
気になった一十百は、近くで見物している男性に尋ねる。
「あの、誰かが景品を落としたんでしょうか?」
「ああ、今さっきね。確か、アンティーク柱時計と、銀食器のセットを撃ち落としていったよ」
声をかけられた男性はそう答えた。
一十百が用意した景品の中では小さ目の景品の方だが、ここの景品を落とせたのは正直に言って奇跡に近い。
「あのっ、その人は何回くらい挑戦していました?」
「一回だよ」
「い、一回ですか!?」
一回の挑戦で撃てるコルク弾は25発。
多いように思えるが、景品の巨大さから考えれば、少なすぎるくらいだ。
「いったい誰が……」
「名前は分からないけれど、片手に厚めの本を一冊持っていた、黒髪で和服の男性でしたよ」
一十百は、その男性に心当たりがあった。
多分、八幡載斗という別世界からのお客様だろう。
和服の男性はかなりの人数いるが、厚めの本を持った和服の男性となれば、それなりに人数が限られる。
「載斗さん、かなぁ」
「おや、知り合いでしたか? 見ているこちらが息をのむくらい、素晴らしい射手でしたよ。それと、確か“持ちきれないからこれくらいでいいか”と、余ったコルク弾を隣の人に渡していたみたいですし」
初対面のこの男性がそこまで言うのだ。
きっと少し前、この露店では大きな歓声が上がっていたのだろう。
見たかったです……。
少し残念そうに、一十百が肩をすくめた。
「そう言えば、お兄さんは挑戦しないんですか?」
「あまり得意でなくてね。こういうのは雰囲気に酔うのが一番ですよ」
「雰囲気に酔うですか……。変わった言い回し……って、あっ!」
一十百は、とある雰囲気に気が付く。
今、目の前にいる男性、どことなく雰囲気が他の人たちとは違う。
髪の色は黒だが、肌は色白で、人里の住人ではないことが分かる。
「えと、もしかして、別世界の方……でしたか?」
一十百の問いかけに、目の前の男性は一度頷く。
「はい。ここではない幻想郷でBARを営んでいるものです」
「BARですか! 僕もお酒が飲める歳になったら行ってみたいなぁ」
「おや、珍しいですね。幻想郷にいる方ですから、歳など気にせずに飲んでいるかと思いましたよ」
「まったく飲まないわけじゃないんですけれど、酒場やBARに行ける程、たくさんは飲めないんですよ」
少し前、博麗霊夢、霧雨魔理沙と共に酒盛りをしたのだが、グラス数杯ですぐに酔いが回り、そのまま眠ってしまったのだ。
その時になって、自分はお酒に弱いという事を初めて自覚したのだった。
一十百が難しい表情をしているのを見て、BARの店主は柔らかな物腰で語りかける。
「お酒は自分が飲みたいだけ飲むのが一番です。それに、酔うだけがお酒の楽しみではないですからね」
「なるほど……。酔うだけがお酒の楽しみではない、ですか」
さすがBARの店主といったところだろう。
何気ない一言に、強い説得力がある。
きっと、この店主さんの経営しているBARの客質はとてもいいんでしょうね。
一十百はにっこり微笑む。
「もし、僕がそちらの幻想郷に足を運ぶ機会があれば、“寄って”みたくなりました」
「BARですからね。“酔って”いただければ、それだけで私は満足です」
くすくすと一十百と店主が笑いあう。
「お酒自体が苦手でも、扉を叩いてみてください。このお祭りのように、雰囲気に酔えるようなBARですから」
「はい! あっ、そうでした。大切なことを忘れてました」
一十百は一歩下がり、片手を自分の胸に当てる。
「秋夏祭りにようこそ! 主催者の一十百です。今日は楽しんでいってくださいね、店主さん」
一十百は店主に手を振り、別れを告げる。
まだまだ、出会っていない別世界のお客様がいらっしゃるはず。
しっかり挨拶をしないといけませんね!
そんなことを思いながら、露店並びを歩いていった。
今回の出来事・一十百メモ帳より抜粋
異世界のお客様7:霧林冬弥さんです。赤いジャケットに黒いTシャツの青年です。外の世界から来た外来人さんだと思われます。秋夏祭りを案内していたのですが、途中で別れちゃいました。少し疲れたような表情をしていましたが、大丈夫でしょうか?by一十百 誰のせいだと思ってるんだよ……。by冬弥
異世界のお客様8:店主さんです。異世界の幻想郷でBARを経営しているらしいです。柔らかな物腰と、丁寧な言葉使いが、良店主であることを裏付けてくれています。きっと、この店主さんの経営しているBARには色々な人が来ているんでしょうね。楽しそうです。by一十百 もし、足を運ぶことがあれば、お気軽に扉をお開きください。by店主