東方お仕事記   作:TomomonD

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今回は、鷹崎亜魅夜様、SHOW@にじファン様のお二方とコラボさせていただきました。
ありがとうございます。


フィナーレまであと一話……と言うところで、まさかここまで時間がかかるとは。
……いや~、カットイン絵を描いていたら、二週間たっていました。
ゴメンナサイ。

暇を見つけて、カットイン絵も掲載しようと思います。


さて、これで全コラボキャラクターが登場しました!
何度も見直したはずですが、私のコラボキャラクターが出ていないぞ!! という方がおられましたら、叱咤のコメントと共に、TomomonDにメッセージをください。


次が夏季特別企画、最終話……のはずです!


鷹崎亜魅夜様、SHOW@にじファン様。
なにぶん、拙い文章ですので、修正箇所等がありましたら、メッセージをいただけると幸いです。


夏季特別企画十二話 表裏、兄妹、流星宣伝

秋夏祭りも、もうすぐフィナーレ。

そんな雰囲気が祭りの広場に漂い始めた。

けれど、そんなことで賑わいが衰えることはない。

各露店では、最後の稼ぎと高らかに声を上げている。

 

 

一十百はそんな露店の前を駆け足で通り過ぎていく。

フィナーレのライブを行うため、準備をしなくてはいけない。

ステージや椅子、音響板などの用意はすでに整っているのだが、秋夏祭りに来ているお客がライブに気が付くかは分からないのだ。

 

何とかしてライブの宣伝をしないといけないのだが、あまり時間もないのも事実。

一十百は、何としても日の出前にはフィナーレにしたいと考えているようだ。

「妖怪の皆さんも、露店の皆さんも、あまり夜遅くまで起こしているわけにもいきません。急がないと……」

そんなことを思いながら一十百は露店を駆け抜けていく。

 

中央露店の中ほどまで移動した一十百は一度足を止め周りを見る。

露店にお客が集まり、がやがやと賑わっている。

「う~ん、ここで大きな声で宣伝しても、あまり効果はなさそうですね。そうなると……」

一十百が鳥居の方を見る。

アレを使えば……上手くいくかもしれませんね。

よしっ!

一十百が鳥居に向かって駆け出そうとする。

 

そのとき、一十百の目の前の空間が歪んだ。

スキマとは違う、もっと別の歪み方だ。

ザザーッ、とノイズのような音が響く。

その歪みから、人影が二つ現れる。

 

「よし、ついた。しっかりと博麗神社に……って、夏祭りの最中か?」

「なんだか、いつもの博麗神社とは違うようだけれど……」

一人は黒いブレザーとズボン姿であり、左目の前で少し長めの髪を、ピン二本で止めてある男性。

ただ、着崩しているのか、ブレザーのボタンは留められておらず、中のシャツの裾も出しているようだ。

もう一人も同じ黒いブレザーとズボンを着用している男性。

此方は、赤いネクタイを着用し、しっかりと着こなしている。

 

一十百からすると、この二人の来ている服には見覚えがある。

外の世界で言う、学生服、だ。

つまり、彼らは外の世界からのお客様という事になる。

急いでいるとはいえ、しっかりと挨拶をするのは礼儀。

一十百はにっこり微笑んで二人に話しかけた。

 

「こんばんは! 外の世界からのお客様ですね? 秋夏祭りにようこそ! 主催者の一十百です」

「お、この祭りの主催者か! オレは本堂 静雅。お前さんの言ったように、外の世界から来た。まあ外の世界と言っても、幻想郷って部分は同じだけどな」

「自分は辰上 侠。静雅と同じ幻想郷から……どうかした?」

一十百が腕を軽く組んで首をひねっているのに気が付いたのか、辰上侠が尋ねる。

「えと、こちらに来るとき、こう……大きな花火が上がって、駅が作られていませんでしたか?」

「ああ、作られてたな。もしかしなくても、あれに乗ればここに来られたのか?」

思い出したように本堂静雅が言う。

一十百は静かに頷いた。

 

「安全にこちらに来ていただけているみたいなので、使わなくてもよかったんですけれど……。むぅ~……」

せっかくインパクトのあるお出迎え方法なのですから、使ってほしかったです。

確かに、少し時間はかかりますし、虚数次元空間を超える際、ちょっと揺れますけど……。

やっぱり、能力の差なんでしょうか。

そんなことを一十百は考える。

 

一十百が難しい表情をしているのを見て、辰上侠はそっと本堂静雅に話しかけた。

「なんだか彼、困ってるみたいだけど……。やっぱり、ちゃんと電車に乗るべきだったのかもしれないよ」

「そうかもな。もしかすると、指定席の往復切符みたいのが中で配られていたのかもしれないな。だから、帰りの電車の事を考えて悩んでいるんじゃないか?」

「帰りの電車って……、静雅の能力で帰れば問題ないよね」

「そうだな。よし」

本堂静雅は一十百に話しかける。

 

「十百だったか? 帰りもしっかりとオレの能力で帰るから安心してくれ」

「あぅぅ……。そ、そうですか」

帰りも電車は使わないと、しっかり言われてしまいました……。

何だかやるせないです、ぐすん。

 

「それで、お二人はこれからどうしますか?」

「せっかくの祭りなんだから楽しまなきゃ損だろ」

「わざわざ呼んでくれていたみたいだし、楽しまないと失礼だからね」

二人がそこまで話した時、思い出したかのように一十百がポンと手を打った。

「そうでした! もうすぐフィナーレを飾るライブがあるんですよ! そちらも、是非見ていって下さいね。それでは!」

そう言って一十百は大きく手を振りながら二人に別れを告げ、鳥居の方に向かうのだった。

 

 

一十百が博麗神社の鳥居の前に着く。

ここから幻想郷での生活が、始まったともいえる鳥居だ。

「僕が幻想郷に来たのも、別の世界に行くことができるようになったのも、この鳥居をくぐったところから始まったんですよね」

そんなことを考えながら鳥居を見上げる。

博麗神社の端に立つこの鳥居からなら、博麗神社全体に向けてライブの宣伝ができるかもしれません。

そんなことを思って、一十百は、よしと頷く。

 

「それじゃ……あれ?」

鳥居を上に上ろうとした一十百は、鳥居が淡く輝いていることに気が付く。

「この鳥居が輝いているってことは……、お客様!?」

一旦、一十百は鳥居から離れる。

離れた直後、鳥居の中ではなく、鳥居の右端の空間が大きく割れた。

「あれ? 鳥居の外側の空間が開きましたね……」

 

本来なら鳥居の中から電車が出てくる。

これは一十百が作り上げた、虚数次元空間内の線路という安全な『道』の上を移動するためである。

虚数次元空間内は、危険の一言に尽きる。

故に安全な道を通ると、必然的に一十百の引いた線路の上を移動することになり、確実に鳥居の中から出てくることになる。

もしも今回のように鳥居の外側が開くとなると、かなりの力を持った存在がやってくることになる。

一十百は気を引き締めて、待つことにする。

 

 

少しして、フォォォンと汽笛の音が鳴り響いた。

甲高い汽笛の音と共に、電車が現れる。

『特別快速急行・博麗神社行き』と書かれている以外は、いつもの電車と変わりない。

電車のドアがゆっくりと開くと、二つの人影が降りてきた。

「どうやら、到着したようですね。此方の博麗神社は、随分と賑わっているようで」

「賑わってる……ってか、祭りの最中だろ?」

 

一人は艶やかな黒髪のポニーテールで、背丈はあまり高くはない。

糸目がその容姿に相まって、優しげな女性にしか見えない。

もう一人は金髪のウルフカットに三つ編みを一房つけた、背の高い男性。

身体の線自体は細いが、無駄のない筋肉の付き方なのが見てとれる。

鳥居の外側に開いた道から来た電車とはいえ、別世界からのお客であることは間違いないはずだ。

 

一十百は二人に近づき、いつものように挨拶をする。

「こんばんは! 別世界のお客様ですね。秋夏祭りにようこそ! 主催者の一十百です!」

「おや、これはご丁寧に。私は博麗 九十九。この度は、お招きいただき有難うございます」

「霧雨 魔喰真だ。わざわざ別世界から誘ってくれるとは思わなかったがな」

二人の名前を聞いた一十百は驚く。

何せ、博麗、霧雨という苗字は、一十百にとって馴染みの深い二人と同じ苗字なのだ。

勿論、その二人とは博麗霊夢、霧雨魔理沙である。

 

「えと、もしかしてお二人って、霊夢さんや魔理沙さんの……」

「兄ですよ」

「兄だが?」

別世界とは言え、二人の兄に会えるとは思ってもみなかった一十百は、おぉ~、と軽く手を合わせるのだった。

 

 

一十百は二人から別世界のことを聞く。

幻想郷のことや、別世界の博麗霊夢や霧雨魔理沙のことなど。

やはり、別世界の幻想郷と、こちらの幻想郷では少し違っていることがある。

しかし、幻想郷自体は平和で、楽しい毎日を送っているようだった。

そんな風に話を聞いていた時、一十百はふと自分のすべきことを思い出した。

 

「あ、そうでした! この後、このお祭りを飾るライブがあるんでした! それの宣伝をしようと……」

そう言って一十百は鳥居を見上げる。

何とかして、鳥居の上にのぼりたいですね……。

「えと、あの、お二人とも、少しだけ手を貸していただけませんか?」

「別にかまいませんが、何を手伝えばいいのですか?」

「あの鳥居の上にのぼりたいのですけれど……」

一十百が博麗神社の鳥居を指差す。

「なるほど。分かりました」

博麗九十九は一度頷くと、両手を組み、足を肩幅に開く。

一十百も理解したのか、いったん靴を脱ぐ。

 

「それじゃ、いきますよ~!」

ダンと、一十百が地面を蹴り、博麗九十九に向かって走る。

しっかりタイミングを合わせ、手の上に一十百が乗った瞬間、博麗九十九は両手を振り上げる。

一十百も投げられる瞬間、しっかり足に力を入れ跳びあがった。

いつもの何倍もの高さへと跳びあがる。

夜空に綺麗な曲線を描き、一十百はスタンと鳥居の上に着地した。

 

「とどいた~! 九十九さん、ありがとうございます!」

鳥居の上から一十百が手を振る。

「さてと、これなら……」

一十百はポケットからスペルカード取り出すと、高らかに振り上げた。

青い光が鳥居の上に集まっていく。

 

「極星『レヴァル・ハーミステート』」

一十百がバッと、両手を広げる。

その後ろから次々と流星弾幕が放たれていった。

流星弾幕は鳥居から本堂の方に向けて放たれていく。

 

秋夏祭りに参加している妖怪たちはそれを見て、どちらかの方向に移動するだろうと一十百は考えた。

一つは、一十百自身のいる鳥居。

もう一つは、ライブ会場のある本堂。

「本堂の方に向かった方々は、そのままライブ会場に。こちらに来た方々は、僕がライブ会場の方に誘導すれば万事オッケーですね!」

一十百は満足そうに鳥居の上で頷くのだった。

 

 

スペルカードの光が消え、夜空に静寂が戻る。

一十百もふぅと軽いため息を吐き、鳥居から降りようとした。

そこで気が付く。

「……あれ? のぼる事は出来ましたけど、降りられません」

一十百は高く跳ぶことはできても、飛ぶことは出来ない。

故に、降りられなくなってしまったのだ。

 

「あの~、九十九さ~ん。その、助けてくれませんか~」

一十百が博麗九十九に助けを呼びかける。

しかし、上手く聞こえない時にするようなジェスチャーが返ってくるばかりだ。

「おや? 急に風が吹き始めて、上手く聞こえません。何やら、彼が必死に呼びかけているようですが……」

「おい、風なんて吹いてないだろ。俺にはしっかり聞こえるんだが」

 

「九十九さ~ん。降りられないんです~、た~す~け~て~」

一十百はぶんぶんと手を振り、何とか気が付いてもらおうとアピールする。

「ほら、彼も楽しそうに手を振っていますよ。ふふふ……」

恍惚な光を目に宿し、博麗九十九は一十百に手を振りかえす。

「ふふふ、じゃねーだろ! わざわざ別の世界まで来て、ドSっぷりを発揮してるんじゃねえ!」

ああ、また九十九の悪い癖が……と、霧雨魔喰真は首を振る。

「ここは、追い打……いえ、手を貸してあげるべきなのかもしれませんね」

「少しでもそう思ってるなら、助けてやれよ!」

 

その後、一十百は無事に霧雨魔喰真に助けられたそうな。




今回の出来事・一十百メモ帳より抜粋

異世界のお客様17:辰上侠、本堂静雅のお二人です。別世界……と言うよりは平行世界の幻想郷からいらっしゃったようです。二人の来ているものが、学生服によく似ていました。なんだか、懐かしい気持ちになれました! そう言えば、静雅さんから、どことなく執事の気配を感じたのですが……。by一十百  どことなくって……、立派な執事なんだが。by静雅  今の服装で執事って気が付いた、彼がすごいとおもうけど……。by侠

異世界のお客様18:博麗九十九、霧雨魔喰真のお二人です。別世界の霊夢さんと魔理沙さんのお兄さんたちです。別世界でも、霊夢さんや魔理沙さんは楽しく暮らしているようで何よりです。いい兄を持っていて幸せです。お二人ともとても優しいのですけれど、九十九さんからSの気配が……いえ、気のせいですよね。by一十百  気のせいですよ。by九十九  あれだけの事をされて、気のせいで済ます十百もある意味凄いな。by魔喰真
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