ありがとうございます。
フィナーレまであと一話……と言うところで、まさかここまで時間がかかるとは。
……いや~、カットイン絵を描いていたら、二週間たっていました。
ゴメンナサイ。
暇を見つけて、カットイン絵も掲載しようと思います。
さて、これで全コラボキャラクターが登場しました!
何度も見直したはずですが、私のコラボキャラクターが出ていないぞ!! という方がおられましたら、叱咤のコメントと共に、TomomonDにメッセージをください。
次が夏季特別企画、最終話……のはずです!
鷹崎亜魅夜様、SHOW@にじファン様。
なにぶん、拙い文章ですので、修正箇所等がありましたら、メッセージをいただけると幸いです。
秋夏祭りも、もうすぐフィナーレ。
そんな雰囲気が祭りの広場に漂い始めた。
けれど、そんなことで賑わいが衰えることはない。
各露店では、最後の稼ぎと高らかに声を上げている。
一十百はそんな露店の前を駆け足で通り過ぎていく。
フィナーレのライブを行うため、準備をしなくてはいけない。
ステージや椅子、音響板などの用意はすでに整っているのだが、秋夏祭りに来ているお客がライブに気が付くかは分からないのだ。
何とかしてライブの宣伝をしないといけないのだが、あまり時間もないのも事実。
一十百は、何としても日の出前にはフィナーレにしたいと考えているようだ。
「妖怪の皆さんも、露店の皆さんも、あまり夜遅くまで起こしているわけにもいきません。急がないと……」
そんなことを思いながら一十百は露店を駆け抜けていく。
中央露店の中ほどまで移動した一十百は一度足を止め周りを見る。
露店にお客が集まり、がやがやと賑わっている。
「う~ん、ここで大きな声で宣伝しても、あまり効果はなさそうですね。そうなると……」
一十百が鳥居の方を見る。
アレを使えば……上手くいくかもしれませんね。
よしっ!
一十百が鳥居に向かって駆け出そうとする。
そのとき、一十百の目の前の空間が歪んだ。
スキマとは違う、もっと別の歪み方だ。
ザザーッ、とノイズのような音が響く。
その歪みから、人影が二つ現れる。
「よし、ついた。しっかりと博麗神社に……って、夏祭りの最中か?」
「なんだか、いつもの博麗神社とは違うようだけれど……」
一人は黒いブレザーとズボン姿であり、左目の前で少し長めの髪を、ピン二本で止めてある男性。
ただ、着崩しているのか、ブレザーのボタンは留められておらず、中のシャツの裾も出しているようだ。
もう一人も同じ黒いブレザーとズボンを着用している男性。
此方は、赤いネクタイを着用し、しっかりと着こなしている。
一十百からすると、この二人の来ている服には見覚えがある。
外の世界で言う、学生服、だ。
つまり、彼らは外の世界からのお客様という事になる。
急いでいるとはいえ、しっかりと挨拶をするのは礼儀。
一十百はにっこり微笑んで二人に話しかけた。
「こんばんは! 外の世界からのお客様ですね? 秋夏祭りにようこそ! 主催者の一十百です」
「お、この祭りの主催者か! オレは本堂 静雅。お前さんの言ったように、外の世界から来た。まあ外の世界と言っても、幻想郷って部分は同じだけどな」
「自分は辰上 侠。静雅と同じ幻想郷から……どうかした?」
一十百が腕を軽く組んで首をひねっているのに気が付いたのか、辰上侠が尋ねる。
「えと、こちらに来るとき、こう……大きな花火が上がって、駅が作られていませんでしたか?」
「ああ、作られてたな。もしかしなくても、あれに乗ればここに来られたのか?」
思い出したように本堂静雅が言う。
一十百は静かに頷いた。
「安全にこちらに来ていただけているみたいなので、使わなくてもよかったんですけれど……。むぅ~……」
せっかくインパクトのあるお出迎え方法なのですから、使ってほしかったです。
確かに、少し時間はかかりますし、虚数次元空間を超える際、ちょっと揺れますけど……。
やっぱり、能力の差なんでしょうか。
そんなことを一十百は考える。
一十百が難しい表情をしているのを見て、辰上侠はそっと本堂静雅に話しかけた。
「なんだか彼、困ってるみたいだけど……。やっぱり、ちゃんと電車に乗るべきだったのかもしれないよ」
「そうかもな。もしかすると、指定席の往復切符みたいのが中で配られていたのかもしれないな。だから、帰りの電車の事を考えて悩んでいるんじゃないか?」
「帰りの電車って……、静雅の能力で帰れば問題ないよね」
「そうだな。よし」
本堂静雅は一十百に話しかける。
「十百だったか? 帰りもしっかりとオレの能力で帰るから安心してくれ」
「あぅぅ……。そ、そうですか」
帰りも電車は使わないと、しっかり言われてしまいました……。
何だかやるせないです、ぐすん。
「それで、お二人はこれからどうしますか?」
「せっかくの祭りなんだから楽しまなきゃ損だろ」
「わざわざ呼んでくれていたみたいだし、楽しまないと失礼だからね」
二人がそこまで話した時、思い出したかのように一十百がポンと手を打った。
「そうでした! もうすぐフィナーレを飾るライブがあるんですよ! そちらも、是非見ていって下さいね。それでは!」
そう言って一十百は大きく手を振りながら二人に別れを告げ、鳥居の方に向かうのだった。
一十百が博麗神社の鳥居の前に着く。
ここから幻想郷での生活が、始まったともいえる鳥居だ。
「僕が幻想郷に来たのも、別の世界に行くことができるようになったのも、この鳥居をくぐったところから始まったんですよね」
そんなことを考えながら鳥居を見上げる。
博麗神社の端に立つこの鳥居からなら、博麗神社全体に向けてライブの宣伝ができるかもしれません。
そんなことを思って、一十百は、よしと頷く。
「それじゃ……あれ?」
鳥居を上に上ろうとした一十百は、鳥居が淡く輝いていることに気が付く。
「この鳥居が輝いているってことは……、お客様!?」
一旦、一十百は鳥居から離れる。
離れた直後、鳥居の中ではなく、鳥居の右端の空間が大きく割れた。
「あれ? 鳥居の外側の空間が開きましたね……」
本来なら鳥居の中から電車が出てくる。
これは一十百が作り上げた、虚数次元空間内の線路という安全な『道』の上を移動するためである。
虚数次元空間内は、危険の一言に尽きる。
故に安全な道を通ると、必然的に一十百の引いた線路の上を移動することになり、確実に鳥居の中から出てくることになる。
もしも今回のように鳥居の外側が開くとなると、かなりの力を持った存在がやってくることになる。
一十百は気を引き締めて、待つことにする。
少しして、フォォォンと汽笛の音が鳴り響いた。
甲高い汽笛の音と共に、電車が現れる。
『特別快速急行・博麗神社行き』と書かれている以外は、いつもの電車と変わりない。
電車のドアがゆっくりと開くと、二つの人影が降りてきた。
「どうやら、到着したようですね。此方の博麗神社は、随分と賑わっているようで」
「賑わってる……ってか、祭りの最中だろ?」
一人は艶やかな黒髪のポニーテールで、背丈はあまり高くはない。
糸目がその容姿に相まって、優しげな女性にしか見えない。
もう一人は金髪のウルフカットに三つ編みを一房つけた、背の高い男性。
身体の線自体は細いが、無駄のない筋肉の付き方なのが見てとれる。
鳥居の外側に開いた道から来た電車とはいえ、別世界からのお客であることは間違いないはずだ。
一十百は二人に近づき、いつものように挨拶をする。
「こんばんは! 別世界のお客様ですね。秋夏祭りにようこそ! 主催者の一十百です!」
「おや、これはご丁寧に。私は博麗 九十九。この度は、お招きいただき有難うございます」
「霧雨 魔喰真だ。わざわざ別世界から誘ってくれるとは思わなかったがな」
二人の名前を聞いた一十百は驚く。
何せ、博麗、霧雨という苗字は、一十百にとって馴染みの深い二人と同じ苗字なのだ。
勿論、その二人とは博麗霊夢、霧雨魔理沙である。
「えと、もしかしてお二人って、霊夢さんや魔理沙さんの……」
「兄ですよ」
「兄だが?」
別世界とは言え、二人の兄に会えるとは思ってもみなかった一十百は、おぉ~、と軽く手を合わせるのだった。
一十百は二人から別世界のことを聞く。
幻想郷のことや、別世界の博麗霊夢や霧雨魔理沙のことなど。
やはり、別世界の幻想郷と、こちらの幻想郷では少し違っていることがある。
しかし、幻想郷自体は平和で、楽しい毎日を送っているようだった。
そんな風に話を聞いていた時、一十百はふと自分のすべきことを思い出した。
「あ、そうでした! この後、このお祭りを飾るライブがあるんでした! それの宣伝をしようと……」
そう言って一十百は鳥居を見上げる。
何とかして、鳥居の上にのぼりたいですね……。
「えと、あの、お二人とも、少しだけ手を貸していただけませんか?」
「別にかまいませんが、何を手伝えばいいのですか?」
「あの鳥居の上にのぼりたいのですけれど……」
一十百が博麗神社の鳥居を指差す。
「なるほど。分かりました」
博麗九十九は一度頷くと、両手を組み、足を肩幅に開く。
一十百も理解したのか、いったん靴を脱ぐ。
「それじゃ、いきますよ~!」
ダンと、一十百が地面を蹴り、博麗九十九に向かって走る。
しっかりタイミングを合わせ、手の上に一十百が乗った瞬間、博麗九十九は両手を振り上げる。
一十百も投げられる瞬間、しっかり足に力を入れ跳びあがった。
いつもの何倍もの高さへと跳びあがる。
夜空に綺麗な曲線を描き、一十百はスタンと鳥居の上に着地した。
「とどいた~! 九十九さん、ありがとうございます!」
鳥居の上から一十百が手を振る。
「さてと、これなら……」
一十百はポケットからスペルカード取り出すと、高らかに振り上げた。
青い光が鳥居の上に集まっていく。
「極星『レヴァル・ハーミステート』」
一十百がバッと、両手を広げる。
その後ろから次々と流星弾幕が放たれていった。
流星弾幕は鳥居から本堂の方に向けて放たれていく。
秋夏祭りに参加している妖怪たちはそれを見て、どちらかの方向に移動するだろうと一十百は考えた。
一つは、一十百自身のいる鳥居。
もう一つは、ライブ会場のある本堂。
「本堂の方に向かった方々は、そのままライブ会場に。こちらに来た方々は、僕がライブ会場の方に誘導すれば万事オッケーですね!」
一十百は満足そうに鳥居の上で頷くのだった。
スペルカードの光が消え、夜空に静寂が戻る。
一十百もふぅと軽いため息を吐き、鳥居から降りようとした。
そこで気が付く。
「……あれ? のぼる事は出来ましたけど、降りられません」
一十百は高く跳ぶことはできても、飛ぶことは出来ない。
故に、降りられなくなってしまったのだ。
「あの~、九十九さ~ん。その、助けてくれませんか~」
一十百が博麗九十九に助けを呼びかける。
しかし、上手く聞こえない時にするようなジェスチャーが返ってくるばかりだ。
「おや? 急に風が吹き始めて、上手く聞こえません。何やら、彼が必死に呼びかけているようですが……」
「おい、風なんて吹いてないだろ。俺にはしっかり聞こえるんだが」
「九十九さ~ん。降りられないんです~、た~す~け~て~」
一十百はぶんぶんと手を振り、何とか気が付いてもらおうとアピールする。
「ほら、彼も楽しそうに手を振っていますよ。ふふふ……」
恍惚な光を目に宿し、博麗九十九は一十百に手を振りかえす。
「ふふふ、じゃねーだろ! わざわざ別の世界まで来て、ドSっぷりを発揮してるんじゃねえ!」
ああ、また九十九の悪い癖が……と、霧雨魔喰真は首を振る。
「ここは、追い打……いえ、手を貸してあげるべきなのかもしれませんね」
「少しでもそう思ってるなら、助けてやれよ!」
その後、一十百は無事に霧雨魔喰真に助けられたそうな。
今回の出来事・一十百メモ帳より抜粋
異世界のお客様17:辰上侠、本堂静雅のお二人です。別世界……と言うよりは平行世界の幻想郷からいらっしゃったようです。二人の来ているものが、学生服によく似ていました。なんだか、懐かしい気持ちになれました! そう言えば、静雅さんから、どことなく執事の気配を感じたのですが……。by一十百 どことなくって……、立派な執事なんだが。by静雅 今の服装で執事って気が付いた、彼がすごいとおもうけど……。by侠
異世界のお客様18:博麗九十九、霧雨魔喰真のお二人です。別世界の霊夢さんと魔理沙さんのお兄さんたちです。別世界でも、霊夢さんや魔理沙さんは楽しく暮らしているようで何よりです。いい兄を持っていて幸せです。お二人ともとても優しいのですけれど、九十九さんからSの気配が……いえ、気のせいですよね。by一十百 気のせいですよ。by九十九 あれだけの事をされて、気のせいで済ます十百もある意味凄いな。by魔喰真