ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~   作:杉田モアイ

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116 伯爵は芸術がお好き

 

 

 何かをやっていると時間と言うものはあっと言う間に進む。

 それは時間単位だけの話ではなく日付単位でも同じ事が起こるようで、会場の準備や部隊の担当者、ロクシーさんのところの執事さんなどとの打ち合わせをしているうちに、あっと言う間に壮行会の日が来てしまった。

 

 

 

「アルフィン女王陛下、シャイナ様、お初にお目にかかります。イーノックカウを治めております、バハルス帝国伯爵、エーヴァウト・ラウ・ステフ・フランセンでございます」

 

 そう言って私の前で片膝をついて傅き、頭を下げているのはこのイーノックカウを治めている貴族、フランセン伯爵だ。

 

 この人の場合、傅いていると言っても別にカロッサさんの時のように私を神格視していると言うわけではなく、他国の女王の前だと言う事で、礼儀として傅いているみたいね。

 ただ一つ問題があるのは、ここがイングウェンザー城の謁見の間ではなくイーノックカウの大使館の玄関の前だと言う事と、伯爵の横にロクシーさんがいると言う事だろう。

 

 あまり壮行会が始まる時間ぎりぎりでは顔合わせもできないから前もって昼食を共にしながらお互いの自己紹介をしましょうと、午前中にイングウェンザー大使館まで来てもらうと言う話になっていたので私とシャイナが二人が乗った馬車が到着するとの知らせを受けて玄関前で出迎えた所、馬車から降りてきた伯爵にこのように傅かれてしまったと言うわけだ。

 

 でもここの玄関って門の真正面だから、外から丸見えなのよね。

 そんなところで、この都市の領主が傅いているのって何か問題はないのかしら?

 

「アルフィン様、ごきげんよう。本日は我が国の国民の為に、この様な立派な会場をお貸し頂き、まことにありがとうございます」

 

 それに対してロクシーさんはいつものように立ったまま、笑顔で私たちに挨拶をしてくれた。

 この人は私がこういう仰々しい事をあまり好まないことを知っていてくれるから助かるわ。

 ただね、片や傅き、もう片方は普通に挨拶してくれているこの状況って、受けている方からするとどうしたいいのか解らない訳よ。

 

 いや、私だってロクシーさんはこれでいいと思うのよ。

 でも、ここまでかけ離れていると対処に困るから、どちらかと言うとフランセン伯爵を何とかしてから挨拶してくれると嬉しかったなぁなんてことも考えてしまうんだ。

 

「ようこそ、我がイングウェンザー大使館へ。歓迎しますわ」

 

 とりあえず挨拶だけはしなければと思い、二人にカーテシーをしながら歓迎の挨拶を。

 それからシャイナが挨拶するのを待ってフランセン伯爵に立ってもらえるよう、話そうと思っていたんだけど。

 

「ささ、アルフィン様、立ち話もなんですから中で話しましょう」

 

「えっ? でも」

 

「大丈夫、大丈夫ですから」

 

 そう言ってロクシーさんは、私の腕を引いて大使館の中へと引っ張って行ってしまった。

 でも流石にこれには私もびっくりして、ロクシーさんに思わず質問してしまう。

 

「ロクシー様、宜しいのですか? 確かに私の方が立場は上ですが、傅いている伯爵をあのまま放っておくのは流石に」

 

「いいの、いいの。あれは伯爵独特のポーズみたいなものだから」

 

 慌てて取り乱している私に対して、ロクシーさんは涼しい顔だ。

 

 かって知ったる他人の家ではないけど、すでに訪れた事がある上に元々ロクシーさんの執事の紹介で買った屋敷だから彼女はこの大使館の構造をしっかりと把握している。

 だからか、ロクシーさんは歩みを止めることなく大使館の廊下をどんどん進みながら話を続けた。

 

「アルフィン様、よく思い出してください。先日のパーティーでジルクニフ陛下が会場に姿を現した時、貴族たちはどうしていました? 陛下がアルフィン様にお声をかけた後もずっと傅いていましたか?」

 

 そしてこんな言葉を私に投げかけてきたから、私はあの時のことを必死に思い出す。

 いきなりの皇帝陛下の登場で頭が真っ白になったけど、まったく記憶に残っていない訳ではないからその時の事を思い出すと。

 

「そう言えばエル=ニクス陛下の御前ですのに、招待されていた貴族たちは傅いてはいませんでした」

 

「その通りです。謁見の間ならともかく、あのような場では最大の礼を尽くすのは入場の時のみで以降は普通にするものなのです。そしてそれは誰かの館に足を運ぶような場合、その館の主人が迎えるために玄関まで足を運んで下さった時は、たとえ自分より位が高い相手であったとしても同じ様に傅くのではなく、立って挨拶するのが普通ですのよ」

 

 なるほど、だから伯爵独特のポーズなのか。

 普通なら私が玄関で出迎えている時点で傅いて挨拶するのは本来ありえないことだから、私はそれに対して何かリアクションをする必要は無かったと言う事なのね。

 

 と、そこまで話したところで、ロクシーさんがある事に気が付いて少し慌てたような顔をする。

 

「ロクシー様、どうかなさいましたか?」

 

「シャイナ様は? もしかしてシャイナ様を置いて来てしまったのでしょうか?」

 

 手を引っ張られて大使館の中へと連れ込まれたのは私だけだし、他国の貴族を迎え入れたんだから私が抜けた以上シャイナが対応するのが当たり前だよね。

 でもロクシー様はそうは考えなかったみたい。

 

「わたくしとしたことが、うっかりいたしました。シャイナ様の挨拶を待って、一緒に引っ張ってくるべきでしたわ」

 

「いえ、流石に伯爵をそのまま玄関に放置する訳にはいきませんから」

 

 そう、苦笑しながらロクシーさんに答えたんだけど、彼女からはなんとそれを否定する言葉が帰って来た。

 

「いえ、シャイナ様を残したのはわたくしの失態です。出さなくてもいい犠牲者を出す事になってしまったのですから」

 

 

 ■

 

 

 私が挨拶をしようとすると、ロクシー様がアルフィンの腕を取ってさっさと大使館の中へと入って行ってしまった。

 あまりに突然の事に一瞬呆けてしまったけれど、このままと言うわけにはいかないよね。

 だって、目の前にはフランセン伯爵が傅いたままなんだから。

 

「シャイナです。ようこそ、歓迎しますわ」

 

 とりあえずカーテシーで傅いている伯爵に挨拶をする。

 ところがこの伯爵、挨拶が終わった後も傅いたままで、一向に立ち上がろうとしないのよね。

 

 これには困った。

 だって私は立場的にただの一貴族だし、他国の貴族に傅かれた状態でどう声を掛けていいのか解らないもの。

 これがアルフィンなら女王と言う立場だから、上から立ち上がるのを許しますなんて感じの言葉をかければいいのだろうけど、私がそんな言葉を発しても滑稽なだけだろう。

 

 こんな時は誰かに助けを求めるに限る。

 そしてこの様なときに頼りになるのは何と言ってもギャリソンだ。

 と言う訳で、軽く後ろを向いて彼を探したんだけど・・・いない!? もしかして・・・いや、もしかしなくてもアルフィンについて行ったんだろう。

 彼はアルフィンの家令と言う立場なのだから当たり前なんだろうけど、でもこの場面だけでも残って欲しかった。

 

 前に視線を戻せばそこには未だ傅く伯爵の姿。

 私は途方にくれるしかなかった。

 

 

 ■

 

 

「フランセン伯爵は悪い人ではないのですが何をするにも仰々しく、また文化芸術に目が無い人でして。他国の家具や装飾、絵画や美術品があるような場所ではその度に立ち止まってしばらく見入ると言う困った所があるのです」

 

 やれやれ困ったものだと言わんばかりに目を伏せ、こめかみに手を当てて頭を振るロクシーさん。

 その表情からはあの癖さえなければと言いたげな雰囲気が此方にまで伝わってきた。

 

「ここは都市国家イングウェンザーの大使館ですから、この館はアルフィン様の国の家具や装飾品で溢れているのでしょう? あの伯爵がそのようなものを前にして素通りできるはずがありませんもの。ですからわたくしは強引にアルフィン様を引っ張って館に入ったのですが・・・申し訳ありません、シャイナ様の事まで気が回りませんでした。本来ならばわたくしの執事に案内を任せるつもりだったのですが」

 

「まぁ。芸術や文化にお詳しいとは聞いていましたけれど、そこまでとは思いませんでしたわ」

 

 う~ん、ちょっとした困ったちゃんなわけね。

 でもそうなるとシャイナを置いてきたのは確かに失敗だったかも。

 私なら何とか対処できたかもしれないけど、シャイナの場合はそっち方面は本当に疎いからなぁ。

 

「でもギャリソンも残っているでしょうから、大丈夫でしょう」

 

「申し訳ありません、アルフィン様。来客をおもてなしする補佐をしなければと思い、此方に同行してしまいました」

 

 わっ!?

 てっきり残っているものと思っていたギャリソンに、後ろから声をかけられてびっくり。

 さっきまで足音もしなかったし、気配も無かったわよね? 多分ロクシーさんとの会話を邪魔しないようにと言う配慮なんだろうけど、忍者じゃないんだからそういう事はやめるように。

 

 まぁ、でも今更そんな事を言っても始まらないわね。

 

「ギャリソン、シャイナではフランセン伯爵に質問されても答えられないでしょう。ここはいいから、シャイナの手助けをしてきてちょうだい。いえ、それよりもシャイナには私が呼んでいるからと此方に来て貰った方がいいわね。ギャリソン、伯爵のお相手はあなたとロクシー様の執事に任せます。いいですね」

 

「畏まりました。アルフィン様」

 

 ギャリソンはそう言うと、私とロクシーさんに一度頭を下げてから、来た廊下を引き返していった。

 うん、これでシャイナに関しては多分大丈夫だろう。

 私が思いつく限りで、ギャリソンは一番頼りになる助っ人だからね。

 

「ではロクシー様、伯爵が来ない事には昼食を取る事も会場の下見をする事もできませんし、控え室でお茶でも頂きながら待つことにしませんか?」

 

「そうですわね、アルフィン様」

 

 私たちはそのまま、廊下を進んで行くのだった。

 

 

 ■

 

 

「伯爵、アルフィン様もロクシー様と共に大使館の中にお入りになられました。それに伯爵が何時までもそのように傅かれていてはシャイナ様もお困りになられます。ここは一度立ち上がり、シャイナ様とのご挨拶をしてから我々もアルフィン様の後を追うべきでしょう」

 

 私が途方にくれているところで、助け舟を出してくれたのはロクシー様のところの執事さん。

 流石に有能だねぇ、私ではどうしたらいいのかまるで解らない場面をうまくとりなしてくれたよ。

 

「おお、美しい女性を困らせるのは私にとっても本位ではありません」

 

 そしてその言葉を受け、フランセン伯爵はそう言いながら立ち上がってくれた。

 よかった、これでやっとこの居た堪れない空間から開放されるよ。

 

「改めまして、バハルス帝国皇帝から伯爵の位を頂いている、エーヴァウト・ラウ・ステフ・フランセンです。以後お見知りおきを」

 

「都市国家イングウェンザー6貴族、シャイナです。本日はようこそ。歓迎いたしますわ」

 

 改めて挨拶をされたので、私はカーテシーをして改めて自己紹介と歓迎の意を示す。

 そしてそれから。

 

「それではフランセン伯爵様、どうぞ中へ」

 

「はい、それではお邪魔させていただく」

 

 やっと私は伯爵を先導するように、大使館の中へと歩を進めることができた。

 

 ところが、である。

 

「おお、これは凄い」

 

 この伯爵、困った事に新たな装飾品や家具を見つけては、その度にその場所に飛んで行って絶賛するのよね。

 

 最初は玄関エントランスの中央にぶら下がっているシャンデリアだったわ。

 

 ここには買った当初、少し派手すぎる印象のシャンデリアがぶら下がっていたんだけど、天井絵とか壁の彫刻を考えると絨毯とシャンデリアはあまり派手で無い方がいいだろうと、アルフィンがデザインしたものに取り替えたのよね。

 

 だから絨毯は上質でクッション性はいいものの、ワインレッド一色の落ち着いたものになっているからこの伯爵も特に目を引かれなかったようだけど、シャンデリアはこの国にはないデザインだからと大層気になったらしく、少し離れて見物したり、真下まで行って見上げてみたり、中央階段から2階に上がって真横から見たりと色々な角度からシャンデリアを見て回ったりしていたのよ。

 

 まぁこの時は私も、この伯爵は異国のシャンデリアに興味があるんだなぁくらいにしか思っていなかったんだけど、それが間違いだとすぐに思い知ったわ。

 だって彼、二階に上がってシャンデリアを見た時に何かを見つけたような顔をして、階段を駆け下りてきたんですもの。

 

 それで、彼が見つけたのは通路近くに花を生けてあった花瓶。

 これも当然イングウェンザー城から運んできたもので、買った当時のこの館には無かったものだ。

 それを興味深く観察し、そして絶賛する姿を見て。

 

 ああ、これはあれだ。めんどくさいタイプの人だ。

 

 そう気付かされた。

 

 そしてそれ以降は最初の通り、都市国家イングウェンザー製のものを見つけてはその度にそちらに吸い寄せられるから、実の所私たちは玄関エントランスからまだ通路に出る事さえできないでいた。

 

 う~ん、どうしよう? このままだとロクシー様をお待たせする事になりそうだし。

 マスターならうまい事やっているだろうけど、それにも限度があるだろうからなぁ。

 そう思いながらロクシー様の執事さんに目を向ける。

 

 彼なら何とかしてくれるのではないかと言う期待を籠めた視線だったんだけど、彼はどうやら伯爵のこの様な行動には慣れているらしく、特に口を挟む気はないご様子。

 もしかするといつもこの様なことがあるけど、ある程度堪能したら職務に戻るのだろうか? それならば堪能しきるまで待っていると言うのも納得できるのだけど。

 

「この先の廊下とかにも、イングウェンザー製の家具や絵画、美術品が並んでいるんだよなぁ」

 

 何せここは大使館だから来客を想定し、結構気合を入れて用意された調度品で固められているのよね。

 おまけに今日は壮行会と言う事で、普段は飾っていない絵画とかまでかけられているから、この伯爵様の目を引くものには事欠かない状態なんだよね。

 

 これ、ちょっと不味いんじゃない?

 

 どうにかして引っ張っていけないものだろうか? でもなぁ、初対面な上に相手は伯爵、位的には大貴族と言える部類の人だから力ずくで引きずって行く訳にも行かないし。

 

 と、私がそんな事に頭を悩ましていると。

 

「シャイナ様、このエントランスの魔法の明かりが取り付けられている台座なのですが、一つ一つ違ったデザインで作られていますよね? これには何か意図があるのでしょうか?」

 

 なんとフランセン伯爵が調度品の説明を私に求めてきたのよ。

 

 入り口エントランスの総合プロデュースをしたのはマスターだし、リアルの本職がデザイナーであるマスターがあえてそうしたのであればきっと意味があるんだと思う。

 でも、そんな事を私に聞かれても解るはずないじゃない! ああアルフィン助けて、マスターにこのピンチを伝えて!

 

 そんな私の心の声が伝わった訳ではないのだろうけど、ここで救世主が現れた。

 

「その台座はアルフィン様がイングウェンザー本国の神話に基づいて、12の星座を元にデザインされたと聞き及んでおります。すなわちこのエントランスを世界に見立てたとすると昼は天窓から太陽の光が、そして夜はこの魔法のランプが星明りの代わりとなって地上を照らす。そのような意図が籠められているのではないかと私は考えております」

 

「おお、なるほど! そのような深い意図があったとは」

 

 突如現れたギャリソンの説明によって、深く感心するフランセン伯爵。

 いやぁナイスタイミングだよギャリソン、本当に助かったわ。

 

 でもそうか、このランプってそんな意図があったのね。

 道理で動物とか虫とか、変なものを模っていると思ったわ。

 

「シャイナ様、アルフィン様が御呼びです。フランセン伯爵様は私とロクシー様の執事殿がご案内するように申し付かっていますから、シャイナ様は控え室の方へお急ぎを」

 

「解りました。フランセン伯爵、女王から召還の令が来てしまいました。ここからの案内はこのギャリソンがいたしますので、私はこれで」

 

「女王陛下からのお言葉では仕方がありませんな。私はこの家令殿の案内でゆっくりと参りますからお気になさらず。ではまた後ほど」

 

「はい、失礼いたします」

 

 私はこうして、やっとこの伯爵から解放されたのだった。

 

 

 ■

 

 

 私たち3人はロクシー様の提案でさっさと昼食を済ませ、それどころか小腹が空いたからと、おやつにスコーンと紅茶まで頂いていた。

 

「まだ調度品を御覧になられているのでしょうか?」

 

「フランセン伯爵のことですから、そうなのでしょう」

 

「しかし、もう3時を超えていますよ。昼食も取らずに見続けるものでしょうか?」

 

「あの伯爵なら食事も忘れてギャリソンに質問している姿が、私には簡単に想像できるわよ」

 

 それ程の時間が経っているにもかかわらず、伯爵は一向に姿を現さない。

 そんな訳でこんな事を話しながら、おなかは空かないのかしら? なんて私が考えていると。

 

 コンコンコンコン。

 

 ドアをノックする音が、控え室に響いた。

 

「どうやらお見えになられたようですね」

 

 やっと伯爵が到着したのだろうと思い、ドア横に控えているメイドに合図をして来客を招きいれてもらう。

 ところが、ドアをくぐって控え室に入ってきたのは私たちが想像している人物ではなかった。

 

「アルフィン様、シャイナ様、ロクシー様、本日はお忙しい中、壮行会に時間を割いていただき、ありがとうございます」

 

「あら、ライスターさん。それにヨアキムさんも。もういらっしゃったのですか?」

 

 そう、入ってきたのはイーノックカウ駐留軍のフリッツ・ゲルト・ライスターとその部下、ヨアキム・クスターの二人。

 どうやら早めに会場入りしたから、挨拶の為に此方に顔を出してくれたみたいね。

 

「はい。私の隊はアルフィン様やシャイナ様に懇意にさせていただけていると言う事で、ご挨拶に参りました。しかし、領主様は相変わらずのようですね」

 

「ここへ来る途中、絵画を眺めながらギャリソンさんから詳しい説明を受けておられましたよ」

 

 どうやら未だ彼は廊下で調度品を眺めているようだ。

 

 

 しばらく談笑した後、ライスターさんたちを見送り、そのあとも待ち続けること1時間ほど。

 流石にもうそろそろ準備をしなければいけないという時間になって、ようやくフランセン伯爵は私たちの前に姿を現した。

 

「申し訳ありません。まさかこれほど時間が経っているとは思わず」

 

 それも入り口に立って小さくなり、反省仕切りという顔でひたすら謝罪を繰り返しながら。

 

 かなりの時間を待たされたとは言え流石にここまで低姿勢で謝られると怒るわけにも行かず、私とシャイナ、ロクシー様は苦笑いを浮かべながらフランセン伯爵を控え室に迎え入れるのだった。

 





 善人なんだけど、かなり困った所のある伯爵のお話でした。
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