ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~ 作:杉田モアイ
とりあえず、私がいないうちに判明した事の報告を受ける。
「まずは私からね」
と、シャイナが報告を始める。
「ギャリソンに一通り見てきてもらったけど、作業設備自体は特に問題ないみたい。鍛冶場も壊れてないし、調理場も大丈夫」
作業場はいろいろなNPCが働いているし、チェック自体はそれほど大変ではなかったようだ。
「次に農地、広大すぎてもしかすると生育に問題が出ている作物もあるかもしれないけど、主要な作物やフルーツは大丈夫だったみたい」
害虫や病原菌のいないユグドラシルでは肥料と水さえ与えれば木や作物は育つ。
そしてその二つともマジックアイテムで与える事ができるから、作業場よりはるかに広い農場でも働いているNPCはかなり少ないようで、こちらはかなり苦労したみたい。
几帳面なギャリソンが調べたにもかかわらず、少ない時間では流石にすべてを調べる事はできなかったようだ。
「あと牧場にいる動物たちはこの世界に転移した事自体気づいていないんじゃないかな?いつもどおり、のんびりすごしていたみたいだし」
牧場は農地と同じか、もしかするとそれ以上に広大な土地だ。
でも、こちらは農場と違い、遠めで見ても解るからフライの魔法と飼育係のNPCでほぼ全部の家畜を見て回れたみたいで、確かな情報だそうな。
「森林地区も遠めで見る限り変わったところはないみたい。まぁ、森の木は作物と違って多少傷んでも、ほって置いたら元に戻るだろうけどね。枯れそうでも回復魔法で直るし」
最後に木材を取るための森も特に問題ないとの事、材料系はこれで大丈夫かな?
「そうか、では外の景色と場所以外は特に変わったことはないわけだ」
「そうみたいだね」
これは転移したと言うよりこの世界のこの座標がユグドラシルの前の座標と同じで、世界を移動しただけって事かもしれない。
転移等でどこか他の場所に移動したのなら家畜はともかく、根を張っている植物には何かしらの影響は出ていたはずだからなぁ。
「次はあたしね」
続いてあやめが立ち上がる。
「あいしゃと一緒に金庫を見てきたけど、こちらも特に問題なし。棚に飾ってあるアイテムもちょっと不安定そうな像一つ倒れているものは無かったし、当然紛失したものもなし」
「あとねぇ、ワールドアイテムもマジックアイテムや魔法のそうびも問題なかったよぉ」
と、あいしゃが続く。
貴重品関係は問題なし、と。
まぁ、自分たちが装備しているマジックアイテムは性能も防御力も変わってないし、番人から何の連絡も無かったと言う事は紛失の心配はないからそれほど心配はしてなかったけどね。
「あと、金貨や宝石も見た感じ減ってないみたい」
「そっか。金庫がその状況ならたぶん地上の設備も何もなくなったものはないだろうね。上にあるのは転移用のマジックアイテムか、見栄え重視の金銀や宝石で飾った家具とかが中心だし」
「うん、そう思うよ」
金貨や宝石も所持しているものが変わってないから同じように心配していない。
城自体も最終確認するまでは断言できないけど、ここまでの報告からすると地上だけが壊れたり物が紛失したりするなんて事はないだろう。
「でもまぁ、後で掃除がてらメイドさんたちに確認させておいて」
「うん、解った」
それよりも、
「生産に必要な材料は?性質が変わってしまったレアメタルとかはない?」
「それも大丈夫。ついでに見てきたけど、地下の鉱山地区も変わりなかったよ」
それを聞いて一安心。
この世界にない鉱石とかはなくなっているなんて事があるかもしれないと心配していたんだよね。
簡単な金属とかはクリエイト系の魔法で作れるけど、レアメタルとなるとそうは行かないから。
「とりあえず物を作ることに関しては報告を聞く限り、何も問題ないし、そのほかの部分も特に問題なしっと」
まだ、判断するには早いかもだけど、イングウェンザー城自体はユグドラシルあった頃と何も変わっていないと思う。
やはり別の場所に転移したのではなく、そのまま世界だけが移動したのだろう。
「最後に俺から」
そう言ってアルフィスが立ち上がる。
あれ?アルフィスには何も頼んでないよね?
「特に指示を受けなかったし、警備はまるんに任せておけば俺は出る幕がないだろうから生産をしてみた」
「そっか、この世界で魔法を付加したものを作れるかどうかは真っ先に調べるべきだった」
ナイス!アルフィス、さすが私。
と、ここで生産の話が出てきたからちょっと説明。
生産系スキルには魔法効果を付ける事の出来る上位生産スキルと料理のようにつかない下位生産スキルがあって、上位生産スキルは裁縫、武器鍛冶、防具鍛冶、道具鍛冶、木工、薬師の6種類がある。
ユグドラシルではレベル合計100までスキルが取れるため複数を同時に取る事も可能で、生産系のキャラは複数のジョブを持っているのが普通。
ただ、調子に乗って生産系を取りすぎると戦闘スキルが足りなくてストーリーが進められないなんて事もありえるから、取る人でも3~4つくらいまでしか取らないし、前提スキルのいる上級スキル、それも15レベルにいたっては複数持つ人はあまりいない。
同アカで複数キャラ作れない事もないけど、課金しないとそれほど強くなれないこのゲームではメインに注力してサブキャラは作っただけって人が多く、課金をしてまで育てようなんて言う人はほとんどいなかったから余計にね。
まぁ、私はストーリーはもっぱらシャイナとまるんでクリアしていたので、二つずつ取っていたりするけど。
因みに、自キャラたちは女の子は料理ができた方がいいという私の個人的な考えから戦闘特化であるシャイナとまるんも含め、全員が最低でも料理スキルを1~2は持っている。
あと、私たちが持っている15レベルの上位生産スキルは以下の通り。
アルフィンは裁縫
あいしゃは武器鍛冶と木工
あやめは防具鍛冶と裁縫
アルフィスは道具鍛冶と薬師
シャイナとまるんも一応生産系スキルは取ってはいるけど、戦闘特化だからみな下位レベルのみ。
生産系キャラではアルフィンのみひとつ。
これはファーストキャラで少し戦闘スキル多めなのと、翻訳、鑑定系のスキルをいくつか取ったためで、アルフィンとあやめの裁縫が重複しているのは布を使う防具が存在するためだ。
簡単なスキル説明をすると、裁縫は読んで字の如く、布系全般で魔法の布からドレス、布製防具まで幅広く作る。
武器鍛冶と防具鍛冶、木工も名前の通りの生産職。
あ、木工は家具がメインだけど杖とか弓、スティックとかの武器も作ることが出来るんだ。
魔法の家具と言うのはたとえば[転移門の鏡]<ミラー・オブ・ゲート>と言うアイテムがあるけど、高レベル木工師なら、これの下位転移アイテム[転移の輪]<リング・オブ・ゲート>(移動距離が町単位の広さまで限定転移)とかを作ることが出来る。
これに強いモンスターが落とすアーティファクトや外装をつけると[転移門の鏡]<ミラー・オブ・ゲート>のような上級マジックアイテムになるわけだ。
次に道具鍛冶だけど、このスキルは魔力のこもった生産道具を作る鍛冶職で、生産に使われる魔法の素材を作ることも出来る。
高位の生産品は高位の魔法生産道具を使わないと作れない。
また、上級生産職が作るものには高品質な生産品があり、それが出来る確率、品質度も生産道具の品質に左右される。
余談だけど、ユグドラシルでは料理は高位調理道具を使う事によってより見栄えがよくなり、高レベルの料理スキルを持つものが高位の、それも高い品質の道具で作るほど、同じ材料で料理を作ってもよりおいしくなると言う設定があったんだ。
たぶんこの世界では実際においしくなるんじゃないかな?後で料理長に作ってもらって食べてみよう、ちょっと楽しみ。
薬師は薬全般や魔法のスクロール、各種マジックアイテムなどを作る生産職。
実はこのスキル、ユグドラシルの初期は高レベルになるとポーションやスクロールなどを使う事が少なくなるので一番人気のない生産職だったんだよね。
そこで運営も問題視したらしく、てこ入れとしていろいろと後付で作れるものが増やされたため、薬師と言うのに主に作るのはマジックアイテムと言う変わった職になってしまった。
戦闘に使われるものばかりではなく、魔法の明かりや入れたものが常に冷えている魔法の水さしなどの生活に使われるマジックアイテムも、この生産職で作ることが出来る。
最後に、前にちょっと触れたけど、各上級生産職は15レベルになるとより強力な付加価値をつけるスキルを手に入れる事ができたり、最高品質品が出来やすくなるスキルやランダム発動ではあるが効果の大きい必殺技なるものが使えるようになる。
強力な付加が付き、なおかつ最高級品が出来れば、装備にによっては10億以上のお金で取引される事も珍しくなかったんだ。
数字的にみると2とか3の違いなのに1上がるたびに値段が億単位で上がるのはある意味滑稽な話だよね。
でも、みんなその2~3に必死だったんだよなぁ。
一つ一つは小さくても、複数個所集まれば大きなアドバンテージになったからね。
とまぁ、生産職の大まかな説明はこんなところかな。
私たちは魔法の布や武器や防具につけるマジックアイテム、それを生産する魔法の掛かった工具アイテムや日常で使うマジックアイテムを自分たちで作れるから新しく何かを作るのには困らないけど、たとえばたった一人でこの世界に放り出されたら困ったろうなぁと思う。
物を作るのにはいろいろな職業が必要だし、問題が起こった時とかに相談できる相手がいないのは不安だ。
たとえ中身が自分だとしても、性格が違うのなら当然違う意見が出てくるからね
ホント6アカ作っておいて良かった。
さて、話を元に戻そう。
「作ってみたのは鍛冶用アダマンタイト製ハンマーとアダマンタイト製木工刀。どちらも普通に作れたよ。まぁ、上品質にならなかったけど」
因みにアダマンタイトと言うのは道具の材質で、この上には七色鋼を使った道具もあったりする。
「そっか。なら生産そのものも今までと同じ様に作れそうかな?後不安があるとしたらこの世界に生産に必要なレア金属があるかどうかと言うことか。たぶんプラチナとかはあるだろうけど・・・」
最低でもアダマンタイトくらいはありそうだけど、魔法を含んだレア金属はどれくらいあるだろう?
一応ストックはかなりあるけど、最高位マジックアイテムに使う金属だけは確保できる目処がつくまでは大事にしないと。
アーティファクトや外装なんかは絶望的だろうなぁ。
使いきれないほどあるにはあるけど念のため、比較的数の少ない最高位のものは自分たちが使うもの以外はなるべく生産しない方がよさそうだ。
「一応武器と防具も後であやめと作ってみるから、アルフィスはポーションとスクロール、後魔法付加もお願い」
「後と言わずに、今すぐやろうよ。これはうちにとって一番大事なことだし」
あやめに促されて、即行動する事にする。
確かにここまで今までと同じだと他の生産品も同じだろうけど、生産品を利用して作るアイテムとか、消耗品とか効果が違ったり材料が違ったりしてもいけないからね。
と言うわけで、全員で地下1階層にある作業場へ移動してそれぞれ生産を開始。
私はとりあえず魔法の布を作り、それをあいしゃへ。
そしてその布を使って簡単な魔法の家具を作ってもらう。
あやめは特殊効果のついた金属製、布製防具を作り、それをシャイナとまるんに渡して試してもらう。
最後にアルフィスがポーションと簡単なスクロールを作成。
ついでにフライの魔法を付加したのペンダントを作り、それの効果を確かめた所でとりあえず検証は終了かな。
「うん、全部今までどおり」
「とりあえずここにあるもので作った限りでは、違和感無く作れそうだね」
まだ、この世界の材料を使って作ってみない事にはずっとこの体制が維持できるかどうかわからないけど、とりあえずは一安心だ。
「ただ、生産は一度ストップしたほうがいいと思う」
「どうして?あるさん」
まるんが不思議そうに聞いてくる。
「今までなら何が売れるか解っていたから、売れ線を中心に作っていたけど、この世界では何が売れるか解らないからね」
「そうか、売れないものを作っても在庫を大量に抱えるだけだからね」
確かにこの城は広大で倉庫になるところは無数にある。でも、折角作ったものがほこりをかぶってずっと放置されるのはやはり寂しい。
「とりあえず、2~3日後にでも領主に会いに行こうと思ってるし、その時にエントの村と領主の館を見比べてこの世界の文化レベルを確かめてみるよ」
マジックアイテムはともかく、調度品を見ればどれくらいの価値のものがこの世界で売れるか位はわかるからね。
4話アップです
近所の本屋ですが、オーバーロードの増刷分を大量入荷しました
特設棚にはいっぱい並んでいました。。
漫画版1巻が。
コレジャナーーーーーーーーーーーーーーーーイ!
で、今日行ったらまた大量入荷していました。
漫画版2巻が。
コレジャナインダヨォォォォォォォォーーーーー!
と言うわけで約束通りアップです。
まぁ、4巻はリザードマン編だからいいけどね・・・。
ドラクエの設定流用箇所を削除しました