ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~   作:杉田モアイ

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5 会議1

 イングウェンザー城地下6階層にある、豪華ではあるが、同時に落ち着いた雰囲気のある会議室のような一室。

 ここはギルドメンバーである自キャラと100レベルNPC6人が会議をするという設定で作っておいた会議室だ。

 当然使われるのは今回が初めてだったけど。

 

 黒を基調とした重厚な円形の机に豪奢な椅子が12脚、壁にはギルドの紋章が刻まれた旗が掛かっており、その旗を背にしてギルド長であるアルフィンが座り、その周りに自キャラたち5人が、そして反対側に地上統括、地下統括、使用人統括の3人がそろって席についていた。

 

 その状況を確認し、満足そうにうなずくとアルフィンはおもむろに口を開く。

 

 「第264回イングウェンザー城首脳会議ぃ~!どんどんどん、ぱふぱふっ!」

 

 そんな声出るんだ!てな感じの可愛い感じの声で。

 

 アルフィンの宣言にあわせてわぁ~と、拍手とともに盛り上がるシャイナたち。

 そして何事が起こったかと驚いた顔をする2人のNPCと、ノリがいいのかすかさず盛り上がりに参加する一人のNPC。

 

 「あの・・・・アルフィン様、第264回とは?それほど多くの会議を開いてきたでしょうか?それと、どんどんどんって・・・」

 「あっごめん、このノリは解らなかったか」

 

 どうやらメルヴァたちNPCには不可解な行動と取られてしまったようだ。

 たまに神格化しているんじゃないか?と勘違いしそうな態度を取られるから解らないでもないけど・・・。

 

 う~ん、うちはパーティ業務もギルド活動のメインの一つだったからノッてくれるかと思ったけどなぁ。

 地下階層の子達はそうでもないみたいだ。

 パーティ業務にはかかわらない設定だったからなぁ?

 

 「あ、メルヴァさん、それは何と言うか・・・数字は結構いい加減なもので、特に深い意味はないんですよ。アルフィン様、私はこういうの好きです」

 「ありがとう、セルニア」

 

 戸惑っているメルヴァに説明をして私に笑いかけてくる、かわいらし女の子。

 

 彼女の名前はセルニア・シーズン・ミラーと言って、ハーフエルフで地上階層統括&コンセプトパーティーホール責任者兼店長と言うイングウェンザー城でもっとも長い肩書きを持つNPCだ。

 まぁ、普段は店長と呼んでいるけど。

 

 「店長はさすがによく解ってるね」

 「えへへっ」

 

 シャイナにほめられ?て照れくさそうに笑う姿は、とてもそうは見えないが、この子も6人いる100レベルNPCの一人だけに、当然強い。

 課金アイテム盛り盛りで神器級アイテムまで所持している。

 

 もし誰かが攻めてきた場合、真っ先に戦場になるのは地上階層だ。

 それだけに、セルニアを中心として50レベルのメイド5人、30レベルメイド10人からなる通称”魔女っ子メイド隊”はイングウェンザー城の第一防衛ラインだ、弱くてはとても勤まらない。

 

 と言っても、誰も攻めてきた事はなく、また、30レベルメイドにいたっては戦闘スキルは10くらいずつしかとっていないのである程度の規模で攻めてきたら、足止めくらいにしかならないかもだけど。

 

 大体、セルニア自体が中身はともかく、ピンク基調で背中に小さな翼のついたメイド服に身を包み、胸に”てんちょう!”と書かれた札をつけた150センチ弱のロリ巨乳だ

 おまけに”にぱっ!”と表現するのが一番似合う笑顔のNPCだけに、このキャラが迎え撃とうとしたら相手の方の力が抜けるんじゃないか?ばからしくなって。

 

 ただ、彼女が持っている胴装備のゴッズアイテム「みんなそこで待っててね」はある条件化ではかなり凶悪で、背中の羽が広がり、光を放つとその光がとどく範囲に居る者の内、前もって効果無効を指定してあるキャラ以外を15分間移動(行動ではなく)できなくすると言う効果を持っている。

 

 レジスト判定無しで動けなくはなるが、行動できないわけではないから弓も撃てるし、魔法も撃てる。

 だからそれほど強力ではないのでは?と思えるかもだけど、これがそうでもないんだよね。

 

 本拠地防衛だけに当然迎撃用の仕掛けはしてあるんだけど、このアイテムはそれを最大限に生かす物なんだ。

 

 なにせ移動できないのだから普通なら発動まで時間の掛かかる為に効果範囲外に移動すれば楽によけられる範囲魔法も大規模な罠でも避ける事ができない。

 

 行動できないわけではないから弓矢とかなら打ち落とせるけど魔法ではそうは行かないし、その特性が生かせるよう、当然セルニアは魔力系マジックキャスターだ。

 

 いくつもの異なった向きの小さな鏡で構成された壁や床で光を乱反射させ、上下左右すべての方向から侵入者に光を当てる事ができ、また鏡の反射率を変えることによってどこが光源かわからない仕掛けになっている防衛専用ホール。

 

 そのホールのいたるところに作られた壁の後ろから放たれるセルニアと”魔女っ子メイド隊”との範囲攻撃魔法の一斉発動と部屋の罠の同時攻撃で迎え撃たれたら、複数の100レベルPTでも彼女たちに全滅させられかねないほどの凶悪なアイテムだったりする。

 

 また、最悪彼女たちだけでは殲滅できない防御力を持つPTだったとしても15分の足止めの間に地下階層や仲のいい他チームからの増援が期待できるのもこのゴッズアイテムの有利と言えるところだ。

 

 この城の構造も、そのホールを抜けないと先に進む事が出来ないし、転移も許可されるアイテムを持つ者、または定点移動用アイテム以外は阻害されて出来ないようになっているのは言うまでもない。

 

 ただ、強すぎるアイテムだけに当然欠点もあって、光がとどくと注訳があるとおり、屋外、それも昼間だと太陽光にまぎれてしまいほとんど効果がなく、夜でも壁の後ろとかに隠れられたら何の効果もない欠点だらけのゴッズアイテムでもある。

 

 まぁ、だからこそ実現できた、ゴッズアイテムとはいえ強すぎるとも言える長時間足止めなんだけどね。

 

 「でも、至高の方々はもう少し怖いと言いますか、威厳に満ちた方々かと思っていました」

 「そう?」

 

 セルニアでもそうか。

 

 「はい、いつもお店に来られる時は厳格にチェックをして行かれることが多かったので」

 「そうだったかなぁ」

 

 そう答えながらも思い当たる事がある。

 ユグドラシルではシステム上、NPCが表情を変えられないのと同じでプレイヤーキャラもわざわざコマンドを入れないと表情は変わらないんだよね。

 

 お客さんたちのように表情アイコンを使って楽しげに会話をしていれば、表情が変わらなくても伝わっただろうけど、NPC相手にわざわざ使った事は当然無い。

 

 よくよく考えると無表情で毎回視察に来たら気難しいと思われても仕方ないよなぁ。

 売り上げ確認しているんだから、儲かっていれば当然うれしかったんだけどね。

 

 「やっぱり威厳があったほうがいい?」

 「いえ、私は今のアルフィン様たちの方がいいです」

 「セルニアっ!」

 

 セルニアの発言を聞いてメルヴァがとがめるような声を出す。

 でもなぁ。

 

 「いいよ、メルヴァ。私もこの方が楽だし」

 「・・・アルフィン様がそう仰られるのなら」

 

 メルヴァやギャリソンは支配者としての姿のほうがうれしいんだろうなぁ。

 でも、私たちは所詮庶民なんだよね。

 

 彼女たちからしたら創造主で神に近い存在かもしれないけど、そんな振る舞いもロールプレイも出来ない。

 

 短期間なら出来るけど、この世界にずっといるつもりならそんな無理を続けてもいつかはぼろが出る。

 なら、はじめから自分たちは絶対的な存在ではないんだよと教えておいた方がいいと思うんだ。

 

 「メルヴァもギャリソンも、そこまで気を使う必要はないよ。確かに私たちはあなたたちよりも上位の存在だけど」

 「そう、立場は上だけど、すべてを知っているわけじゃない。あなたたちの方が私たちよりも優れた部分が当然ある」

 「そうだね。だから気後れせず、自分で考え、判断して、それが私たちと違うのなら」

 「頭のいい君たちなら解るよね。俺たちに進言してもらえるとありがたいよ」

 

 あらかじめ打ち合わせしておいた通り、アルフィン、シャイナ、あやめ、アルフィスと目線を合わせ、それにあわせて私がキャラを渡りながら話をつなげる。

 こうする事により、自キャラたちの総意とNPCたちに伝わるだろうから。

 

 「アルフィン様方がそう仰られるのなら」

 「私も異存はありません」

 

 ちゃんと伝わったようで、メルヴァもギャリソンも納得してくれたようだ。

 

 「解ってもらえてうれしいよ」

 

 ほっと一安心、と思ったんだけど。

 

 「しかしアルフィン様」

 

 あれ、何か間違えたかな?

 まじめな顔で話かけられたので、あわててアルフィンに戻る。

 ちょっと挙動不審だけど、おかしな所、無かったよねぇ。

 

 「ん?なに?」

 「アルフィン様方は私たちの創造主であらせられる事には代わりありません。そのような至高の方々に同格のような口調で話しかけることなど、私にはできません」

 

 いや、してもらってもいいんだけどなぁ。

 

 「後生ですから、これまでどおりに御使えさせてはいただけないでしょうか?」

 

 そう言ってメルヴァはアルフィンの元まで近づいて、足元に傅く。

 う~ん、さすがにここまで言われたら断れないよなぁ。

 

 「わかったよ、メルヴァがその方がいいのなら私たちはかまわないよ」

 「ありがとうございます」

 「ならば私も、今までどおり御使えさせていただきます」

 

 すかさず追随するギャリソン。

 こう言う所は要領がいいというか、抜け目ないというか。

 頭の回転の速さはイングウェンザー城随一を誇るだけあって、ちゃんと周りを見て自分の意見を通す最良のタイミングを測っていたんだろうなぁ。

 

 「そうだね、ギャリソンはその方がいろいろとよさそうだし」

 

 タメ口の執事なんて確かに考えられないからね。

 

 「でも色々と知恵は貸してもらうからね」

 「御心のままに」

 

 まぁ、それぞれの立ち位置はこんな所でいいかな。

 何かあったらまた話し合えばいいし。

 

 この話はこれで終わりと言うことで。

 

 「さて、これからの方針だけど」

 

 全員が席に着くのを待ってから今日の本当の議題に戻る事にする。




 先日からこのあとがきで話していた小説版オーバーロード、木曜日にやっと近所の本屋に入荷していました。

 そこで早速4~6巻を買ってきました!

 で、ですね、今4巻を読んでいるのですが、気になる記述が。
 それは食事の効果とユグドラシルと今の世界のりんごの違いです。

 これについては、自分のHP今日アップした7話(仮)のあとがきで言い訳を書いているので気になる方はそちらを読んでもらえると幸いです。

 なお、いつも書いている通り、あちらで先行公開しているSSは言い回しや台詞、内容などがこちらで公開するものとは変わる可能性もあるので読まれる方は自己判断でお願いします。

 と言うか、必ずどこかは変わるんですけどね、今回も結構加筆修正してるしw
 こちらでアップしているものが完成品だと思ってもらえば間違いないです。

 ではまた次回も読んでもらえると幸いです。
 でわでわ。
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