ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~ 作:杉田モアイ
一度周りを見渡してからあらかじめ話すつもりであった議題を披露する。
「とりあえずやるべきかなと思うのは領主と、この近くにあると言うもう一つの村を訪ねてみる事。後、首都に行く前に、一番近い町も見ておくべきかな」
「顔つなぎと言うこともあるし、偵察と言う意味もあるよね」
私の話にシャイナが相槌ををうつ。
「そう。エントの村ではこの辺りは安全みたいな話ではあったけど、少し離れただけで治安は変わるものだから一応確かめるべきだと思う」
モンスターはどうやら森以外はあまり居ないようだけど、もしかしたら私たちと同じ様にユグドラシルから来た勢力がそちら側に居ないとも限らない。
まぁ、イングウェンザー城は辺鄙なところにあったし、私の予想通り座標が変わらず世界だけ転移したのなら近くに他のプレイヤーの本拠地があるとは思えないけどね。
「それと領主は前に一部にも話したけど、前もって挨拶をしておかないと、後々問題になるかもしれないからなぁ」
正直ただ住み着いただけで攻めてくるとかはないだろうけど、余計な問題を起こさない為には挨拶は大事だ。
「最後に町だけど、やはり文化レベルを調べるのなら地方の村ではあまり意味がないからね」
現実世界でも地方都市ならともかく、東京と山の中にある過疎の村では、経済レベル、文化レベル、生活レベル、住む人の意識や向上心のどれを取ってもまるで違うから、エントの村を基準にすえてしまうと、後で大変な修正を迫られる可能性大である。
「首都ほどではないにしても、町まで行けばある程度の文化レベルはわかると思うから、やはり見に行くべきだろうと思うんだ」
商売するにしても、ただ暮らしていくにしても、その場所の文化レベルがわからなければどうにもならない。
自分の常識はこの世界では非常識な可能性があるし、実際非常識な部分は多いと思う
エントの村を見る限り、現代人の私の常識はまるで通用しないとはじめから思ったほうがいいだろう。
「さて、ここまでで、何か意見はある?」
一回り周りを見渡すと発言を求めたのは二人。
ここまでの話はシャイナたちには話してあったから当然NPC勢でメルヴァとギャリソンだ。
因みにセルニアは。
「はぁ~、さすがアルフィン様、色々とお考えなんですねぇ」
とのんきな顔をしてうなずいている。
「ではメルヴァから意見を聞かせて」
「はい」
そういうとメルヴァは立ち上がり話始める。
「昨日はアルフィン様が自ら出かけられましたが、やはり私はあのような行動には賛同できません」
「どうして?」
「アルフィン様は我々の創造主であり、イングウェンザーの支配者であらせられます。そのような御方が護衛もつけず御一人で御出掛けになられるなど考えられる事ではありません」
解らなくはないけど、私はそれほどの存在ではないと思うんだけどなぁ。
「そこまでの事かなぁ?」
「そこまでの事です!」
必死な顔でメルヴァはとんでもない事を言い出す。
「お近くに居なければアルフィン様の楯になって死ぬ事ができません!」
「なっ!」
おいおい、とんでもない事を言い出すな、この子は。
「死ぬって、それはだめだろ」
「いいえ、私どもの役目はアルフィン様をはじめ、至高の方々の時に槍となり、時に楯となり忠義を尽くす事。その為に生まれて来たのですから、たとえアルフィン様であってもこれだけは譲れません」
そういうとギャリソンも、セルニアさえもうなずく。
「ですから、もう御一人で御出掛けになられるのはやめてください」
と、目に涙を浮かべて懇願されてしまった。
そこまで言われるとなぁ。
「解ったよ、もう一人では行かない。約束する」
「進言、御聞き入れ下さり、ありがとうございます」
メルヴァはそういうと深々と頭を下げた。
心からほっとしたような顔をして。
心配させたんだなぁ。
次からは気をつけないと。
なんとなく居た堪れなくなってギャリソンに話を振る。
「ところで、ギャリソンはどんな意見があるの?」
「私ごときが進言すべき事ではではないのかもしれませんが」
いや、たぶんここで一番頭のいいギャリソンが考えた事なのだから聞くべきことだよ
「いいから言ってみて」
「はい、それでは御気を悪くされるかもしれませんが」
ギャリソンは私の目をじっと見つめて語る。
「先ほどアルフィン様は私共に気楽に話をするようにと仰いましたが、イングウェンザー城以外では威厳を持った行動を、少なくとも身分を知るものの前ではすべきだと思います」
これはちょっと予想していなかった内容だ。
「どうして?」
「はい。まず、言うまでもないことですが、アルフィン様はイングウェンザー城の支配者であらせられます」
「そうだね」
「それだけにアルフィン様は支配者であると言う事を、この世界の住人に認識させなくてはなりません」
認識って。
「えっ、でも」
「アルフィン様、人には役割と言うものがあります。アルフィン様はお望みにならないと存じ上げますが、御身内だけならともかく、支配者が支配者として振舞わなければ、仕える者は困ってしまいます」
そう言う物なのか。
「たとえば領主の下に赴かれるとの事ですが、その際アルフィン様は商人のように振舞われるおつもりだったのでは?」
「その通りだけど、だめだったかなぁ?」
もう村でそんな感じで村長と話をしたけど、もしかして考え無しの行動だった?
「領主と言うことは相手は貴族。ならばこちらもある程度の地位があることを見せねば侮られます」
「侮られてもそれほど問題はないんじゃないかなぁ」
別に権力がほしいわけでもないし。
「そう言う訳には行きません。侮られてはいらぬ譲歩を要求されてしまいます」
「たとえば?」
「イングウェンザー城の一部譲渡などです」
それは困る。
と言うか、そんな事は考えても見なかったよ。
「そんな事、あるかなぁ?」
「権力者と言うものは、相手が下と見ると際限なく要求し、奪おうとするものです」
そういえば色々なアニメや小説で領民から税を搾り取って苦しめる領主はよく出てくるよなぁ。
「そうなった場合、到底飲めないのですから争いとなり、最悪この国とイングウェンザー城の戦争にまで発展する可能性すらあります」
「流石にそこまでは・・・」
と言いかけて、続きの言葉を発せられなかった。
確かにこの城にある金貨やマジックアイテム、特にワールドアイテムの存在を知ればありえない話ではないか。
正直この城に立てこもれば、この国の戦力がどれほどのものでも負ける気はしない。
それだけの防御力は持っているつもりだし、ワールドアイテムもある。
最悪本当に戦争になっても、相手の国に上位ギルドが参加でもしていない限り全戦力を投入すれば滅ぼす事も可能だろう。
でも、偉そうにしたくないからと言うだけで大量に人を殺すなんてとんでもない話だ。
「どうすればいいと思う?」
「まず、アルフィン様は遠い国から来た商人だと村では御話になられたのですね」
それが一番無難だと思ったからね。
「うん、言ったよ」
「では、それは使いましょう」
ギャリソンは少し考えた後、話を続ける。
「アルフィン様、嘘だけで話を作ると後でつじつまが合わなくなります」
「そうだね」
「そこで、アルフィン様方が私どもに御話になられた過去にイングウェンザー城があった場所、ユグドラシルでの我々の立場を表現を変えて説明されてはいかがでしょうか?」
立場?
「えっと、どういう事かな?」
「群雄割拠していたユグドラシル、すなわち我々がいた遠くの国ではいくつもの小さな都市国家が集まって一つの大きな国を形成していたと言えるのではないでしょうか」
たしかにギルドを小さな国としてみればそう言えなくもないか。
多くの藩が集まって日本と言う国を作っていた戦国時代みたいなものだね。
「アルフィン様はイングウェンザー城の支配者です。ですからこの場合は都市国家の支配者、この国で言うところの大きな領地と多くの兵を持つ上級貴族と言う事になりますね」
「ギルド長から上級貴族にクラスチェンジか」
思わず笑ってしまう話だけど、確かにイングウェンザー城を一つの都市国家と考えればそう言えなくもないか。
「この場合、他の至高の方々も領地はないにしてもそれ相応の兵を持つ以上、貴族と言うことになりますね」
「私たちも貴族なのか」
シャイナが苦笑を浮かべる。
「しかし、これだけですと村で語った商人と言うのはどういうことかと言う話になります」
確かに。
「まだ領主には伝わっていないでしょうけど、都市国家の支配者だと名乗ってからその話が領主に伝わった場合、疑われてしまいます」
「そうだね」
「そこで、村では商人だと名乗ったとはじめにばらしてしまうのです」
あら。
「当然理由はあります。村に現れた見知らぬものがいきなり他国の都市国家の支配者だと自己紹介しても誰も信用しません。それに、そもそもそんな身分の方が御一人でそのような所に現れる事自体がおかしな話です」
「確かに」
「そこでアルフィン様が特殊な衣装で村に訪れたのが生きてきます」
えっ?どういう事。
「それは・・・」
今回出張が重なったため、更新が遅れてしまいました。
そして今週も水木と出張です。
う~ん、ストックがなくなってしまう。
とりあえず9話まで書いてあるけど、来週までに1話も書けないと予備がなくなってしまうんだよなぁ。
連休中に書けると思ったのに、その連休に出張があったのが痛かった。
おまけに原作4~6巻とオーバーロード初回限定版の小説も読んだから本当に時間が足らない。
困ったもんだ。
と言うわけで今週分はあまり加筆してません。
本当はもうちょっと書き加えたかったんだけどなぁ。
なんとなく文章が味気ないのはそう言う理由だからです。
まぁ、こちらで投稿した分は誤字以外は修正しない事にしているのでご容赦を。